内緒やで、ぶっちゃけダサいと思っとんねん。術師が得物使わんの 作:器用貧乏ならっこ
(思ったよりやりよるんやね。正直舐めとったわ)って心の中のドブカスくんも驚愕してる。
「なっ!?」
脹相は驚愕した。
今放った『超新星』は脹相のオリジナル。150年間自身の術式と向き合い続け、研鑽して編み出した最高傑作である。
速度は『穿血』には及ばないが、その破壊力と攻撃範囲は随一。
間違いなく当たる筈であった。
しかし、目の前の敵──禪院直哉は刀片手に怪我一つなく立っている。
「何故……生きている」
「なんでって……ああ、そういうことね」
そう言って直哉は掌を”空気”に当て、術式を発動した。
直哉が掌に触れた空間がフリーズし、透明なカード状の物体になる。
「は……?」
「俺の術式は投射呪法言うてな。24fpsで動きを作る術式や」
驚愕する脹相を他所に直哉は術式の開示を始めた。
「これにはリスクがあってな、動きを作るのに失敗するとガタついてフリーズすんねん。要は1秒間動けなくなるわけやな。ほんでこの効果は、俺の掌に触れたものにも適用される。もちろん事前の説明無しにやで?」
そう言って直哉はもう一度空気に触れ、今度はそれを叩き割った。
「ほんでそれの応用としてな、フリーズさせた空気を割ることで衝撃波を発生させることができるねん。ここまで言えばわかるやろ? 俺が何をしたか」
「フリーズさせた空気を割った衝撃波で、俺の『超新星』を相殺したのか……」
そう言いながら脹相は悔しさを滲ませる。
自身の術式の最高傑作がいとも簡単に防がれたことに対してではない。
「お前、俺が『穿血』ではない他の技を使うと予想していたな?」
「正解、言ったやろ? ”こっちはカウンター前提で動き作っとんねん”って」
直哉は嗤う。
それに対して脹相が再び術式を発動しようとしたその時、
「なんや、もう来たんか」
「っ!」
乙骨憂太が虎杖を引き摺って戻ってきた。
「お疲れ様です。直哉さん」
「悠仁!」
脹相は虎杖を奪還すべく、力を振り絞って走り出す。
「そこを退け! 俺は! お兄ちゃんだぞ!」
「ごめんやけど、もう君に用はないねん」
だがそれを見逃す直哉ではなかった。
投射呪法を使用した神速の抜刀術が脹相の胸を袈裟斬りにする。
「ガッ……」
脹相はそれに反応すらできず斬られ、血の海に沈んでいった。
「殺さなくていいんですか?」
「俺の役割は足止めやろ? それが終わった今、わざわざ殺す必要なんかないやろ」
乙骨の問いにそう答えた直哉は歩き始める。
「ほんで? 恵くんは何処におるん?」
直哉が聞くと、乙骨はそれに一言、「案内します」とだけ答えた。
◆◆
乙骨との戦闘後、虎杖は脹相を連れて約一週間ぶりに高専に戻って来ていた。
その目的は脹相の術式を利用して、高専の忌庫に侵入し、日本の結界の要──天元と接触を果たし、伏黒の姉──伏黒津美紀が巻き込まれた『死滅回遊』についての詳細を聞くためである。
だが、その前にまずは九十九由基と合流することが先であるため、彼女が潜伏している高専の部屋の一角に四人は入った。
「よう、久しぶり……ってわけでもねえか」
「あれ? 真希先輩?」
するとそこには約一週間ぶりに会う禪院真希。
「やっ」
元気にこちらを向いて手を上げる九十九由基。
「も゛っ」
それと、数時間前に戦った禪院直哉が九十九由基にちょうど殴られた状態で居た。
「えぇ……」
虎杖は困惑した。
脹相はしてやられたのがそれなりに苛ついていたのか、鬱憤が晴れた様子である。
そして真希はニッコニコで笑っていた。
「で? 誰がクソアマだって?」
「ご、ごめんちゃい……」
最後に、乙骨は直哉への評価を再びドブカスに変更した。
少し急ぎ足ですが、一応これでプロローグ的なお話は終了です。
ここから本格的に原作と違う世界線を歩んでいきます。
(なお、素の直哉の性格はほぼ変わらないものとする。)
それと前回で、乙骨は直哉への評価を改めて、『常識のあるドブカス』くらいになったんですけど
最後の流れで『やっぱりドブカス』になりましたね。たはー
まあ直哉はドブカスなんで…多分真希ちゃんのことバカにして、その流れで九十九さんに喧嘩でも売ったんでしょう。
あと、直哉のフリーズ爆撃は原作で呪霊直哉が使用してたやつに近いものです。
なんかフリーズを色々弄ってたら見つけたっぽい。その辺もいつか書こうかな…