魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~ 作:Yuino
人生の岐路に立つ、というのもこれで三度目(高校進学、大学進学を含め)ですが、やっぱり悩ましくなるものですね、なんて言ってみたり……
何はともあれ、今回はほのぼの(ではないかもしれないけれど)回です。タイトル負けしているのは、ほら、ご愛嬌ってことで許してくださいお願いしますorz
ということで、14話、始まります!
――第三管理世界ヴァイゼン
「ぐぁぁっ!?」
闇夜を切り裂いた一発の銃弾は、見事にとある男の肩に命中し、その機能を破壊した。
男――クローヴィス=ハイネスは、ヴァイゼン議会の重鎮でありながら、裏での違法取引を得意とし、議員に就任して五年という短い期間であっという間に議会の重鎮へと上り詰めたある意味の猛者である。
もちろん、その政治的手腕は多少強引ながら本物。多くの決議案を決定してきた実力を持っていた。
だったが、如何せん一つだけ問題があった。
それは、「魔力を持たざる者、もしくは魔力の少ない者を排他的に扱う」ということだった。
管理世界の住人の殆どが魔力を持っているとはいえ、その大小様々、本当に希だが、魔力を持たない者も現れることもおかしくない。それでも、管理局は「魔力の大小や保有に関わらず平等に対応する」というものに、ヴァイゼン内で待ったをかけたのが、彼である。
魔力の大小ですべてを決定しようとしたのだ。そのため、住民からの避難は色濃く見えていたが、発言することができなかったのだ。
あまりにも、彼、クローヴィスの
彼自身も多くの魔力を保有し、学生時代はDASSのインターミドルで都市本戦へ進出し、好成績を収めた実力を持つ。
しかし、今の彼には、”彼女”の弾丸を見切れる実力はなかった。
「失礼します、管理局です! クローヴィス議員に違法取引その他諸々の件で逮捕状がでていますので、管理局への任意同行を求めます!」
瞬間、ドタドタとなだれ込んでくる管理局員。その場で膝をつき、肩から血を流し彼を見て、悪態をつきながらクローヴィスを捕縛していく。
「くそ、またあの窓際が……!」
そんな風に悪態をつきながら、局員はクローヴィスの肩を見る。そこには、クローヴィス自身の血によって刻まれた、菊花紋章が浮かび上がっていた。
――半刻後、管理局本局
「たっだいまかえりました~」
がちゃりと扉を開けて中に入る。相変わらず散らかっている事務所だなあと思いながら、私は部屋の一番奥でこっくりこっくり船を漕いでいる所長の肩を叩く。
「しょ~ちょうっ。ただいま~」
「んぐぁ。あ、リーナちゃんおかえり~」
ぐでえ、とした状態で私に手を振ったのは、ここ――特別戦略技術研究部、通称『SSDR』の所長であるルルイナ=ディートハルト。私の直属の上司。彼女は大きくノビをしてから手元のコントローラーを操作して私の方をゆっくりと向いた。
「それで、結果はどうだった?」
「目標の肩に一発撃ち込んでさっさと撤退してきたよ。利き腕を潰してきたから、たぶんあっけなく捕まったんじゃないかな?」
うんうんと頷きながら、ルルイナは一見すれば雑然としている自分のデスクからまっさらな報告書を取り出すと、それを私に突きつけてくる。私は、それを無言のまま受け取ると自分のデスクの上に置く。
疲れた体のまま、椅子にどかっと座ってから周りを見渡す。元々少ない人員で形成されているこの特別戦略技術研究部だけど、今日はいつもよりも人が少ないように感じた。
というか、私と所長以外いないんじゃない・・・・・・?
「所長~、ジン達は~?」
「ジンは本局のお偉いさんのところ、レンちゃんは任務に出てて、ヴァルツさんとレインさんはオフ、ほかの人たちも軒並み出てるわよ?」
「ふぅん・・・・・・」
そんな答えを聞いて、私は椅子の背もたれに寄りかかるように天井を見た。
-話し相手がいなくて暇なのは分かるがね? 報告書は書き終えたのかい?-
「煩いなぁ、ヘカート。だいたい書き終えてるってば。私が移動中に書いていたの、見てるでしょ?」
私の相棒で、今は待機状態でデスクの上に乗っかっているデバイス――ヘカートがいつも通りのお節介。それに対して私は若干文句に近い口調で言うものの、これもいつもの風景。
私が報告書のファイルを展開していると、ヘカートは気になる言葉を呟いた。
-なら、早々に書き終えたまえ。次の任務が待っている-
「なにそれ知らないんだけど。所長~、私の次の任務ってなにー?」
少し離れた専用のデスクで書類仕事をしている所長に声をかける。すると所長は「ごめーん、昨日伝える予定だったんだけど、面倒だったからヘカートだけに伝えてたー」を言ってきた。
ちょっと待って、それって、つまり明日明後日の内にまた任務に出かける、ってこと?
「そうだよー? しかも、今回は出張任務っ」
「うげっ、まじ?」
マジマジー、と言いながらルルイナはコンソールをタップすると私のPCに出張依頼のデータを転送する。
それを私は受け取ると、そのデータを流し見程度に確かめていく。
出張先、地球。依頼内容、違法魔導師の確保。協力者、現地にて休暇中の魔導師三名、現地協力者複数名・・・・・・え、これだけ?
もちろん、ほかにも諸注意などが記されていたが、書かれていたのはかなり曖昧な内容だった。
「何、このわっかりにくい内容」
「仕方ないんだってばー。私も、上からこうやってデータ送られてきたんだから」
窓際部署だから仕方ないよね~、と言いながら彼女は再びコンソールを操作して書類作業を再開する。
そんな所長を見ながら、私――リーナ=クロイツェフは、改めて依頼内容の確認をし始めた。
――同時刻、地球。喫茶翠屋
どうも、聖です。
今日、海鳴市にある殆どの学校で行われる実力試験、というものがあり、すべての学校がいつもより早く授業を終わらせた。
無論、俺の通っている学校も例外ではなく、午前中で授業が終わった。そのため、俺と龍吉、そして沙希と龍吉の彼女である楓を連れ、海鳴市内をブラブラと歩き回っていた。
そんなとき、沙希と楓の行きつけの喫茶店に行こう、ということになったのが、ここ、喫茶翠屋。
しかし、ここにきてしまったのが運の尽き。
なんと、ウェイトレスとしてフェイト達が手伝いにきていたのです。
そして現在、俺はかなり身持ちの狭い状態にいます。
何せ、今俺の隣には、バチバチと視線で火花散らして笑顔を浮かべている二人の女の子がいるのですから。
「で、あなたは先輩の先生、というわけですね?」
「そういうこと。分かってくれたかな?」
俺の右隣には、笑顔を浮かべながら紅茶を飲む沙希。そして左側には、同じくコーヒーを飲むフェイト。
なんだろう、この、個人的にかなり怖い状況は。
双方とも、俺に対してある程度の好意を抱いてくれているのは知っているし、それに沙希は候補ということがあるが、一応は俺の彼女である。
そんな二人が、同じテーブルに座ってしまえばこんな状況になるのはわかっていたことで・・・・・・
あぁ、なんでこうなってしまったのだろう。
ちらり、と視線をずらして、別テーブルにはやて達といる龍吉へサインを送る。
(我、救援、求ム)
ハンドサインを送り、返答を待つ。ついでに、ぱしんっ、と拝むように両手を合わせて懇願の意を示す。それを見た龍吉は、少しだけ考え込むような表情をしてから、ハンドサインを返してくる。
(悪イ、救援、不可能。スマンナ)
あの野郎っ。今度ボコボコにしてやるっ。見えてないと思ってるのか、ご丁寧に「てへぺろ」までしやがって。
視線で龍吉に文句を送ってから、俺はとりあえずこの場を納めようと「あ、あのさ」と一言言おうとした。
しかし、その瞬間に沙希がとんでもない事をいいやがった。
「わ、私はっ、ひ、聖先輩の彼女、候補なんですっ」
「「「はいっ!?」」」
「ぶっ!?」
「く、ははははっ、」
どんな会話からその言葉が出るに至ったのか、とことん問いつめたくなるような言葉だった。
同席していたフェイト、遠くから眺めていたはやてとなのはは素っ頓狂な声を上げ、龍吉は大爆笑。かくいう俺は、口に含んでいたコーヒーを吹き出しそうになる。もしも飲み込んでなかったら、思い切りコレを吹き出していただろう。
龍吉が俺の背中を叩きながら馬鹿笑いしているが、とりあえず一発軽くぶん殴って黙らせる。「ぎゃふんっ」というマンガのような声を上げてひっくり返る彼を無視し、俺は冷や汗を浮かべながら「そ、そういうことなんよ」と三人に言う。
「へぇ、聖君の”彼女”候補なんだー」
にやにやとイジるような表情で俺のことを見てくるなのは。
「むふふ、これは面白くなってきたなぁ。ねぇ、フェイトちゃん?」
俺とフェイトを交互に見ながら言うはやて。「何仕掛けてやろうか」って顔になってますから、ホントやめてくださいマジで!
「むむっ、ま、負けられない・・・・・・!」
えっと、何が負けられないのか具体的に言ってほしいのですがフェイトさん! 気づいていないと思ってるんすかね、魔力が漏れて若干バチバチしてますよ!?
-人気者なのも苦労しますね、
「雪風、わかってるならこの対応法を教えてくれよ」
-そんなの、知りません♪-
「ご機嫌そうに言ってんじゃねえ!!」
俺の心の叫びは、誰にも届きそうになかった。
そしてその後、どうなったのかというと。
やはり、女性のコミュニケーション能力というものを侮っていたと、俺と龍吉は思っていた。
若干険悪なムードが漂っていた沙希とフェイトだったが、いつの間にか笑顔で会話を交わしていた。
何があったのか、と沙希に聞くと「女の子同士の秘密ですっ。いくら先輩でも教えませんよ?」と言われ、フェイトに聞き直すと「これは聖君でも教えられないかな?」と同じように笑顔で返された。
何だかなぁ、と思いながら俺は真っ直ぐに帰宅していった。
――夜、宮野宅
お風呂からあがった私は、いつものスウェットに着替えてベッドにボフン、と横になる。
風呂上がりでまだまだ火照っている顔を氷嚢で冷やしながらケータイを開くと、まさに狙ったようなタイミングで着信がなった。発信元は、『テスタロッサさん』。
「テスタロッサさんからだ・・・・・・」
私は少しだけ驚きながらケータイの通話ボタンをタップし、耳に当てる。
「はい、宮野です」
『こんばんは、沙希さん。夜分遅くにごめんね?』
いえいえ、とんでもないです。というか、わざわざ電話をかけてくれて、私も嬉しいです。
そんなことを少し慌てながら言うと、テスタロッサさんは電話越しでクスクスと笑っていた。恥ずかしくて少し顔が赤くなるけど、私はぶんぶんと首を振ってから落ち着きて話し始める。
「それで、どうしたんですか?」
『えっとね。この前、聖と一緒にいたときに知らない人に襲われた、っていってたじゃない?』
それについて、何か心当たり無い? そんな風に、テスタロッサさんは聞いてきた。
心当たり。そんなものあるのかな、私はうーんと少しだけ考え込んでから、一息ついてから答えを告げた。
「えと、心当たり、無いです……」
『そっか。ごめんね、こんな事聞いて』
「だ、大丈夫です!」
その後、私はテスタロッサさんと二、三、他愛のない世間話をかわしてから、さくっと電話を終えた。
ぽーん、とケータイをクッションに放り投げてから、そのままベッドにダイブし、ごろごろと仰向けに転がってから、天井に右の掌をかざした。
月明かりが差し込んでくる部屋でぼうっとしながら、私は小さく呟いた。
――■より■でて■に■つ
ぼうっ、と手のひらに生まれるのは、光の球体。一つ、二つ、三つと、私の右手首あたりを周回するようにくるくると周り、いつしかその球体は一つの大きな球体となった。
その球体を、私は右の拳に浮かべるように意識する。すると、その意識通りに球体はふわりと私の拳の上に浮遊した。
それを浮遊させたまま、私は部屋の大窓を開ける。吹き込んできた夜風に髪をなびかせながら、私は夜空を見上げた。
満天の、とは言い難い夜空。都内だから、星もなかなか見えない。
そんな星空に向かって、私は、いつからか”身体に染み着いていた”構えをとった。
そして、そのよどんだ星空に向かって、私は自分とは思えない、凛と通った声で、その”名”を唱えた。
――■り■る■■の■■
キィィン、と夜空へ走る空色の閃光。放たれた光は夜空を切り裂き、空へと登っていった。
私は、それを見上げながら、自分の胸に手を当てて小さく呟いた。
「私の、力・・・・・・」
その力が何か、まだ私には分からなかった。
今回と次回は、それなりのゆったりしている回です(多分)
ということで、ご意見、感想などなど、お待ちしています!
それでは、次回もお楽しみに!
追記
いつかやったキャラ募集も、もう少し続けますので、我こそはと思われる方がいましたら、ぜひによろしくお願いします!
↓その件のURLです
http://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=62305&uid=53593