魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~ 作:Yuino
どうも、Yuinoです。
タイトルの前半は、模擬戦試験が終わったあと、司との話し合い。それを、最近自分が受けたかなり偉い人とのお話はかなり緊張するなぁというか緊張したよ、という思いから。
後半は、ホントにどんちゃん騒ぎしてます。
ということで、ちょっと後半に行くにつれてぐだぐだしてますが、どうぞ!
――公民館 会議室
楽しかった私と佐々木君の模擬戦、彼との嘱託魔導師試験、もとい”本局所属魔導師試験”が終了して一時間が経っていた。
試験の結果としては、彼は合格。つまり、これで四月からはれて佐々木聖という人物は、時空管理局に所属する魔導師となるわけだ。
私の特権で(特権を使う、といったらシュヴァインに小言を言われたが、もう気にしない)、魔導師ランクは陸戦A-。所属先はまだ未定だが、聖きっての希望で、本局にある小さな部署、特別戦略技術研究部になりそうだ。
あんな窓際の部署を希望した理由は不明だが、どうやら聖君とあの”ジェイソン事件”の時に一悶着あったのがその部署らしい。
(まぁ、そんなことどうでもいいか、っと)
そんなことを今回の報告書にまとめ終えると、コンコンと部屋の扉がノックされる。
さて、ようやく来たかな。そんなことを小さくつぶやきながら、私――早乙女司はゆっくりと立ち上がって所定の位置に着く。
「どうぞ、八神君」
『失礼します』
キィィッ、とほんの少し立て付けの悪い扉が高い耳障りな音を立てながら開く。そこには、今回の模擬戦を見学していた彼女たち――八神はやて、高町なのは、フェイト=テスタロッサ=ハラオウン、織村龍吉、宮野沙希、四条楓の六人がゆっくり入ってきた。
「どうぞ、好きなところにかけてくれ」
「それじゃ、失礼します」
すっ、と六人が席に着く。その、どこか緊張した面もちの六人を見て、思わず私はくくっとのどを鳴らして笑ってしまう。
「そんなに緊張しないでくれたまえよ。こちらも話しにくくなってしまう」
「そ、それは分かってるんすけど」
「す、すみません・・・・・・」
「あうぅ・・・・・・」
高町達魔導師組以上に緊張した面もちの地球の三人は、肩身が狭いというような仕草を見せる。
そんな彼らを見て苦笑しながら、私はふむと考え込むような、でも少しわざとらしい仕草を見せ、指を鳴らす。
「――シュヴァイン?」
「かしこまりました、司様」
すると、どこからともなく燕尾服の男性――私専属の執事であるシュヴァインが現れ、再び姿を消す。
そして、再び現れたときに彼が引いていたのは、少し大きめのガラス製のティーポット、コップが八つ。そして色とりどりのケーキ各種が乗った大皿。それらの載ったワゴンだった。
相変わらずの手際の良さ。もしかしたら、彼はこの国にいるというニンジャという存在なんじゃないか、というほどの速度だ。
「緊張をほぐすための紅茶です。皆様の分もご用意させて頂きましたので、どうぞお召し上がりください」
よどみない動きで六人の前に紅茶のカップを置き、次いで私の前にもカップを置く。
私は何のためらいもなくそれに口を付ける。うむ、相変わらずいい出来映えだ。思わず笑顔がほころんでしまう。
私の笑顔を見てなのか、彼女達も口を付ける。
「あ、美味しい……」
「喫茶店の娘さんである高町教導官にお褒め頂くとは、恐縮です」
高町に対しぺこり、と礼をするシュヴァインを見ながら私はは微笑む。このまま、ティータイムにしゃれ込みたいところだが、私がここにいる本題はティータイムではない。そろそろ、本題に移ろうか。
もう一口だけ紅茶を飲んでからカップを置くと、表情を少しキリリと引き締める。シュヴァイン曰く、「猛禽類が上空から獲物を狙うときの眼ににています」らしいだが、その喩えはよく分からん。何はともあれ、先ほどの模擬戦の時と似た、かなり真剣な表情に切り替える
「――最近、この町を中心に起きているという魔導師への連続襲撃事件について聞かせてもらおうかな?」
「正確には、魔導師ではなく、異能力者っすけどね」
「ふむ――?」
私の言葉を遮るように、私の右斜め前のイスに座っていた少年が身を乗り出す。そして、横に置いてある自分の鞄から『異能保有者襲撃事件の件について』を大きくタイトルが書かれた分厚い資料を彼女の前にぽんと置く。そして、ジャケットの胸元から一枚の名刺を差し出して、言う。
「私立探偵社”花吹雪”所属、副所長の織村龍吉。とりあえず、今現在、こっちで起きている話を聞いてもらいたいっすね」
「ほう。キミが噂の――」
噂には聞いていた。私立探偵社”花吹雪”所属の”異能力者”。私たちが使用する魔法とよく似ており、しかし異なるもの。それが、彼らの持つ”異能”であり、この世界に存在する特異な能力。そして、彼が、その異能力者を束ねる部隊である探偵社を率いるものの一人か。
ニヤリ、と私は思わず口元をつり上げる様にして笑う。そして、手元にあったバターナイフを思い切り龍吉に投げつける。
魔力込みではないものの、ふつうの魔導師以上に鍛えている私が放つナイフの投擲はまさに一瞬。空を切り、彼へ迫る。
しかし、至近距離で放たれたバターナイフは、龍吉の”背中から出てきた黒い影”にはたき落とされ、テーブルに落ちたときにはその刃面をごっそり抉られていた。
すとっ、と会議室のテーブルに音が響く。その音の正体は、テーブルを挟む彼と私の間に降り立った一匹の真っ黒な猫。しかし、猫と言うよりは牙も爪も鋭く、体付きも大きい。言うなれば、一回りサイズダウンした虎がそこにいた。口元には、先ほど司が投げたバターナイフの刃面。
「グルルルルゥ……ニャグゥッ」
そして、パキンッという音をたててバターナイフの刃面は砕ける。その虎の頭を撫でながら、龍吉は不敵な笑みを浮かべる。
そして、私はその猛獣の正体を悟り、思わず声に出してしまう。
「なるほど。”影”か」
「正確には、身につけた外套を起点にして発動するものっす。んで、この小虎はその応用編ってわけっす」
シュルル、と萎むような音を立ててその小さな虎は彼が着ている黒っぽいスーツの中に隠れていく。隠れる、と言うよりは収納される、という表現が正しいかもしれない。まさにそんな感じである。
「ふふっ、いいだろう。とりあえず、話を聞こうか」
「ありあとざいます。とりあえず、事の発端ですが――」
私は、彼からこの異能力者(今や魔導師も込みになったが)襲撃事件の発端から、現在に至るところまでを聞く。少し長くなるため、今回は割愛させていただく。
そしてそれを聞き終わってから、私は少し考えながら彼に問いかけた。
「ならば、どうすればいい?」
単刀直入に。ただ、まっすぐに、問いかける。
すると、彼はニヤリと不適な笑みを浮かべた。
「ちょいと荒技になりそうですけど、こういう裏っぽい事には裏の人たちの方が事情は知ってそうですし・・・・・・」
「裏の、人?」
高町やハラオウン、八神の三人は首を傾げる。対する地球の二人。確か、四条楓と宮野沙希だったか。その二人は、まさかという感じの、何かに少し恐怖しているような表情を浮かべる。
そして、彼――織村龍吉は、そのニヤリと口元をつり上げた表情のまま、言い放った。
「県内トップツーの不良グループ。”フィアンマ”のリーダー、不知火陽さんに、話を聞きにいきましょう」
――同日 夜 佐々木家
どうも、佐々木聖です。この始まりも、もうそろそろ三回目くらいでしょうか。
まぁ、そんなメタな話はおいとくとして。
今日、一応魔導師試験は終了しました。
一応、結果は合格。最後の模擬戦で、早乙女司とかいう美人な女性にボコボコにされるという、一部の人からはご褒美なんじゃないかという状態になりながらも何とか合格をもぎ取ることができました。
まぁ、その代償に三時間ほど気を失った上に左腕の骨にヒビが入り、更に帰りが結構遅くなるという事になってしまいましたが。
まぁ、そんなことはいいんです。問題は・・・・・・!
「生きてたなら連絡の一つや二つくらい入れやがれこのバカ親父ぃぃ!!」
「だーっはっはっはぁ、いいじゃないかそれくらいぃ!」
「よかねぇよバカ親父!! というか、死んだとか言う心臓に悪い嘘ついてやがった!?」
「そのことに関してはまたあとで話してやるから。いまは、ほれ!のーむぞぉぉ!!」
「話を勝手にぶった切ってんじゃねぇぇ!!」
そう。今、現在進行形で酔っぱらっているこの男。
つい最近まで、死んだと聞かされていた俺の父親である佐々木京士郎が、生還して帰宅。あまつさえ、叔父さんが隠しておいた秘蔵の酒の数々をパッカパッカしていたのでした。
「そうよー? 久しぶりの家族団欒なんだから、楽しまなきゃそんでしょー?」
「そーらそーらぁ! あはは~」
「美月姉さん、酔いすぎ。母さんもその状態の姉さんのグラスにお酒注がないで。後が大変になる。あと父さん、私のグラスにさりげなくウイスキー注ごうとしないで。私まだ未成年」
「え、えーと・・・・・・?」
そして、けろっとした顔の親父とともに帰宅してきたのは、我が家の
そんな母は、俺が帰宅した時点ですでに完全に出来上がっていた美月のグラスがあいた瞬間にビールをそそぎ込んでいる。あれは完全に楽しんでいる証拠だ。
葵も「もうどうにもならないや」という、諦めモード全開でコーラをちびちびと飲んでいる。
そして、ここの家の住人ではない一人の女性――リーナ=クロイツェフもまた、この現状にどうにもこうにもついていけてない状態にあった。
なにやら、彼女はうちの親父に連れ込まれ――もとい、俺が試験をやっていたすぐ近くの林で、あの襲撃事件の犯人と思われる人物と交戦していたらしい。そこで一撃受けてしまい、気を失っているところを親父に助けられ、今に至るんだと。
どうやら、この家を事件終了までのセーフハウスにする了承も受けているらしい。なんつー手回しの早さだ。
まぁ、何はともあれ、彼女は有力な情報源だなと思っていると、彼女は俺の方に身を寄せてひそひそと話しかけてくる。
「あの、迷惑じゃない? せっかくの家族団欒なのに」
「家族団欒に見えるか、あれが?」
美月姉さんが酔いつぶれ、それに気がつかないもしくは気がついているがそんなこと気にしていない母親がビール瓶をパカパカとあけていき、なぜか親父はそれに登場人物が軽く二百名を越えそうな、ソーシャルゲーム発の某アイドルユニットの楽曲を歌いながらコールし始め、葵は相変わらずちびちびとコーラを飲んでいたかと思いきや、どうやらそれはコークハイボールだったらしく、いつの間にか酔いが回って寝てしまっている。
ある意味、地獄絵図。仲の良すぎる家族、と取ればまだ良い感じに見えなくもないが、未成年である俺や葵のグラスにアルコールを注いで飲ませようとところ、この母親はどこかいかれちまっているように見える。
「ど、どうなんだろうね?」
「ま、その反応が一番正しいでしょう?」
一応、彼女にも数日後のフィアンマへの挨拶などについてきてもらう約束はしてある。
これで、どうにかなってくれればいいが。そんなことを祈りながら、俺は近くにあった炭酸っぽいドリンクを手に持って一気に飲み――
「――って、これジントニックじゃねーか!!誰だこれ作ったのってあんたか母さぁぁぁん!! あとさりげなく俺が成人したら飲みたくて知り合いに取り寄せてもらったスピリタス空けるなしストレートで飲むな死ぬぞ親父ぃぃぃぃ!!」
そんなことを叫びながら、アルコール耐性があまりない俺はその勢いのまま一気に顔を赤くしてしまい、そのまま隣にいたリーナの膝にころんと寝転がってしまうのだった。
何はともあれ、お酒は二十歳になってからだぞ、諸君。
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