魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~   作:Yuino

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 ネット回線が部屋に通るまで、ネカフェから更新をかけているYuinoです。

 ストライカーズ編第二話、そして第三話第四話は、みんな大好き模擬戦回です。

 それでは、お楽しみあれ!

(2018/4/3 加筆修正)


StS02:烈火と不抜、星光と流星

――四月上旬

 

 機動六課が設立されて、早くも二週間が経過した。

 前線分隊、スターズとライトニングの新人たち――スバル、ティアナ、エリオ、キャロの四人は、基礎訓練やチームでのコンビネーション訓練を毎日続け、徐々に形になりつつあった。

 そして、同じようにブレイズの四人――ケイ、ミレイ、ラウラ、暁の四人と、ブロッサムの四人――龍吉、ミハエル、鏡花、陽の四人も、同じように訓練を続けていた。

 そしてある日、教導官として訓練を受け持っているなのはから、思わぬ言葉が飛び出した。

 

『今日は、各分隊のメンバーの実力を知るために、数回模擬戦を行います』

 

 行われる模擬戦は、スターズ、ライトニングの隊長及び副隊長対ブレイズ、ブロッサムの代表。スターズとライトニングの新人四人対ブレイズのラウラと暁のコンビである。上記に関しては、人数はうまく合わせるとのことである。

 そして、最終的に決定した模擬戦の組み合わせは、以下のとおりである。

 

 一、シグナム対ケイ

 二、なのは対ミレイ

 三、新人フォワード4人対ラウラ、暁

 四、ヴィータ対陽

 五、フェイト対龍吉

 

 

 

――海上訓練施設第一ポイント

 

 本物の無茶ぶりが来てしまったのではないか。そんなことを、彼は思っていた。

 なのは監修の訓練施設の一角。廃ビルの上に立って潮風を受けながら、彼――ケイ=ミカヅキは大きく深呼吸した。

 そして、そのまま正面の廃ビルに建つ、烈火を背負う騎士――シグナムへと視線を向ける。

 彼女は既にバリアジャケット、もとい騎士甲冑を身に纏っており、完全な臨戦態勢にあった。まだ彼女の愛剣レヴァンティンに手はかけていないものの、不用意に接近すれば一瞬で斬り伏せられてしまいそうな、そんな雰囲気を持っていた。

 ごくり、と生唾を飲み込み、ケイは何とか言葉をひねり出す。

 

「まさか、あの烈火の将とこうやって刀を交えられるなんて、夢のようです」

「こちらこそ、噂の『不抜の剣士』と戦えるなんてな。思ってもみなかった。是非とも、キミに刀を抜かせてみたくてね」

 

 彼女から発せられた言葉。

 不抜の剣士。その言葉を受けて、思わず苦笑いを浮かべながら、彼はゆっくりと言葉を紡いだ。

 いつの日かそう名付けられた、彼の渾名。帯刀しているにもかかわらず、まったく抜刀せず、自らの体術と納刀したままの打撃だけで状況を制圧、あまつさえサポート魔法のほとんどを習得し、前衛でも後衛でも活躍できる、そんな彼を称えてなのか、皮肉ってなのか名付けられた『不抜の剣士』。

 

「それは光栄ですね。でも、僕は自分の信念を曲げません――(おぼろ)、起動」

-御意に-

 

 ずわぁっ、と蒼白色の光が立ち上る。そして、立ち上る光が消えた後には、彼の服装はバリアジャケットに切り替わっていた。

 黒のジャケットに赤いインナー、黒のスラックス。まさに「黒スーツの侍」というような風貌へと変化したケイは、鞘に納まったままの刀を腰のあたりに添えて、構える。

 純粋なまでの居合の構え。腰を落とし、柄に手をかけていつでも抜ける状態。

 しかし、彼は絶対に()()()()()()()()()()。ゆえに、彼は――

 

『模擬戦、開始っ』

「「――っ!!」」

 

 遠くから聞こえてくる、なのはの模擬戦開始のアナウンス。それと同時にシグナムは愛剣(レヴァンティン)を抜き放ち、その身に魔力をまとわせて一気に突貫。

 そんな彼女を見て、ケイはその場で構え直す。改めて柄に手を添えて正面を見据え――

 

「せあぁぁぁっ!!」

「しっ!」

 

 シグナムの上段斬りを、鞘に()()()()()()()の直刀で受け止める!

 ケイが放ったそれは、居合の構えから放たれる攻性防御。攻撃を受け流し、振り抜いた勢いそのまま回転しながら打撃する!

 思わぬ防御方法に驚きながらも、シグナムは放たれた右斜め上方からの打撃を鞘で受け止め、そのまま鍔迫り合いに持ち込んでいく。

 

「はっ。不抜の剣士とは恐れ入ったよ! まさか本当に()()()とはな!」

「これが、今の自分の戦闘型式ですので。しかし、それでもひやりとしましたよ。貴女の剣速、さすがに肝が冷えました」

 

 彼の頬をつぅっと伝う汗。受け流したと思った一撃は、彼の頬を確実に捉えていた。非殺傷設定あるが故、出血などはしていないが、剣先が頬を掠めていった跡がはっきりと残っていた。

 今の一瞬で、ケイは察する。彼女とまともに剣劇を繰り広げていては、今の抜かないままでは確実に負ける。

 かといって、彼は無論信念を曲げる気は毛頭無い。だからこそ、一度シグナムとの撃ち合いを抜け出すと二歩、三歩と下がり距離をとる。

 同じく、シグナムも何かを察していた。

 『不抜の剣士』と呼ばれる所以が今の攻防であるなら、彼の実力は理解できた。しかし、これで彼が教導官、そして自分と同じレベルの剣士であるはずがない。

 

「はぁぁぁっ!」

「せぇぇっ!」

 

 再び両者近接。シグナムは上段から、ケイは居合いを皮切りに撃ち合いが始まる。

 シグナムが連撃を放てば、それの全てをケイが防ぎ切り、その一つ一つの中に細かい反撃を加えていく。

 まさに一進一退の攻防を交わしながら、瞬間斬り返してシグナムが距離を取る。そして、一度レヴァンティンを鞘に納め――

 

「レヴァンティン!」

-Schlange from!-

 

 勢いよく引き抜き、その蛇腹刃を以てケイの周辺の空間を制圧していく。

 レヴァンティンの形態変化のひとつ『シュランゲフォルム』。通常時の剣状態『シュベルトフォルム』を、近距離対応形態とするならば、『シュランゲフォルム』は中距離対応形態。攻防一体型の形態である。

 

「はぁぁぁっ!!」

 

 魔力を纏った伸縮する刃が、まるで意思を持ったかのように空間を飛翔しケイへ迫る。ケイは、その攻撃に対応すべく再びその刀そのものに魔力を込め、フルスイング。

 バジンッ、と何かが弾けたような音が響き、蛇腹刃は軌道を逸らされていく。

 一瞬だけ生まれた空間。それは、シグナムへの特攻ルート。そこへめがけて、敬は一歩踏み出して――後方から飛んできた刃を回避するために身体を反らす。

 思わぬ方向から飛んできた攻撃の軌道を見て、ケイは愕然とする。

 

「まさか、これは――!?」

 

 ケイを中心として、周囲を高速で移動する蛇腹刃。その先にいたのは、剣の柄を思い切り振りあげたシグナムの姿!

 

「中距離斬撃――いや、砲撃系統か!?」

「せぇぇぇっ!!」

 

 ケイの周辺の地面を切り抉り、土煙を巻き上げながらシグナムのもとへ戻っていく蛇腹刃。巻き上げた土煙は目くらまし。彼女の頭上へそのすべてが戻っていったとき、その刃すべてに魔力がまとわれていく。

 特大火力が飛んでくる。迎撃対象が見えない状態ながらそれを一瞬で判断したケイは、その場で先ほどと同じ防御の構えをとる。それでどれだけ今から飛んでくる攻撃を受け流せるか、分かっている。

 

(受け流せて二割。ミスったら直撃か――だったら)

 

 その場で構え、大きく深呼吸。そして、足元に魔方陣を展開する。

 その方陣はミッド式の魔法陣。一気に魔法をくみ上げ、編んだ魔法を自らの愛刀に纏わせる。そして――

 

「飛龍――一閃!」

護刀(まもりがたな)、一ノ型――颯天(はやて)!」

 

 放たれるシグナムの砲撃。それに合わせるようにしてケイも一撃を放つ。

 砲撃と打撃。二つがぶつかり合い、()()()()()()()したのと同時に爆風が周囲に吹き荒れる。

 爆風がやんだ時には、再びシグナムとケイは互いの剣を撃ち合わせていた。互いの表情は、完璧なほどの笑顔だった。

 

「ははっ。すごいな君の剣戟! 魔力を纏わせただけの攻撃で、私の飛龍一閃を吹き飛ばすなんて!!」

「吹き飛ばしたというより、攻撃無効化範囲を作り出しただけなんですけどねっ!」

 

 どこか嬉しそうに話すケイとシグナム。剣戟を合わせる速度は、徐々に徐々に加速していく。剣速はいつしか高速を超え、ほぼ直感での攻撃と防御を繰り返す、まさに神速の攻防へと昇華していた。

 何度目かの打ち合いを経て、ケイが先に一歩引く。額には珠のような汗がいくつも浮かんでおり、今にも膝をつきそうな状態だ。

 それに対し、シグナムは至って平静。むしろ、楽しさでテンションが最高潮に達しているような状態だった。笑顔を浮かべながらレヴァンティンを構える。

 

「さぁ、さぁ! 次のキミの一撃を見せてくれ!」

 

 そんなことを言いながら、シグナムは一気にケイとの距離を詰める。体勢を立て直し切れていないケイは、そのままの状態で彼女の大上段からの一撃を受け止める。バゴンッ、と地面に巨大なヒビが入り、衝撃波が周囲をモノを吹き飛ばしていく。

 徐々に体勢を崩されていく中、ケイは自問する。

 抜くか、否かと。

 

(抜けば、きっと()()()カタが付く。でも、抜くまでの時間零コンマ数秒を稼げるか、そこが問題だな)

 

 超高速の連撃が飛んでくる。そのうち一発を受け止め、二つ目を受け流す。そして、再び撃ち合いながら思案する。

 上段からの攻撃を防ぎ、下段からの斬り上げを回避し、左右の連撃を受け流す。彼女の隙間を縫いながら、打突を一つずつ叩き込んでいく。しかし、シグナムはそれらのすべてを見切っているかのように防御、回避していく。

 

(時間――か。そんなモン、作ればいい話!!)

 

 そう結論付けたケイは、もう一度思い切りシグナムの攻撃に対して全力で打ち込んでいく。

 瞬間、鋭い音が響いてシグナムとケイの距離が開いた。

 距離にして三メートルにも満たない。シグナム側のノックバックも小さく、すでに体勢を立て直し、逆に仕掛けてきている。しかし、この僅かな距離、一瞬開いた間。ケイにとっては、訪れたたった一度の好機!

 

(狙え――!)

 

 素早く刀を腰だめに構える。構えの型は居合。全魔力を右腕から刀に流し込み、それをすべて一つの太刀へイメージする。

 イメージするのは高速の剣閃。相手にソレを視認する時間すら与えず、一瞬にして相手を倒し伏せる神速の一撃。三日月流の剣術の基本が『護りの刀』と言えど、その中でも極めたものが放てば音速を超える最強の防御(攻撃)となる。

 キッと、真正面からまっすぐ突っ込んでくるシグナムを見据えて、ゆっくりとその手を刀の柄にかける。

 狙いは一点。

 

「紫電――」

 

 まっすぐに、ただまっすぐに振り下ろされる灼熱の剣。それを見据えたまま、ケイは手にかけた柄を握る力を強める。そして――!

 

「一閃!」

護刀(まもりがたな)、撃ノ型――舞姫!」

 

 模擬戦が開始されて数十分。今まで抜き放たれなかった刀が、今、ようやく抜き放たれた。

 その光景は、シグナムにとってスローモーションに見えるような光景だった。音速以上の速度で抜き放たれたはずの刀は、ゆっくりとレヴァンティンの刀身に当たってからそれをゆっくりと押し退けるように弾くと、そのまま降り抜き、返す刀で斬り上げる。まっすぐに放たれ、そして斬り返された刀の挙動はまるで舞台にて舞う巫女のよう。

 カキィンッと乾いた音が響き、シグナムが放った紫電一閃が綺麗に打ち消され、レヴァンティンそのものも空中へと舞っていく。

 一瞬の間に自らの相棒を失ったシグナムは、その間だけ呆然としてしまうがすぐに状況に気が付き、とっさの判断で身体強化、一気に後退しようとするも――

 

「これで、詰みです」

 

 すっ、と首元に突き付けられる鈍色の刀。ぴたりと合わせられた刃を見て、シグナムは思わずため息をついた。

 今、目の前で対峙している青年。すさまじい量の汗をかき、肩で息をしている。疲れ切った表情ながら、その表情はどこか楽しそうなものだった。こうして敗北した自分がいるというのに、自分もまた、嬉しい表情をしているのだとどことなく理解していた。

 

「降参だ。しかし、次は負けんぞ?」

「ははっ、お手柔らかに……」

 

 敗北したというのにどこかすっきりした表情のシグナムと、勝利したはずなのに消耗しきって疲れ切った表情のケイ。互いに対照的な表情を浮かべて、このフィールドでの模擬戦は終了した。

 

 

 

――海上訓練施設第二ポイント

 

 シグナムとケイの模擬戦が開始した時間とほぼ同じ時刻。模擬戦開始のアナウンスをしたなのはもまた模擬戦の準備をしていた。

 いつもの真白なバリアジャケット。右手には相棒を携え、すでに戦闘準備万端といった状態だ。

 なのはと対峙する彼女――ミレイ=カリスタもまた、戦闘準備を整えていた。

 灰色の体が丸ごと隠れるような大きなマントで身を包み、その挙動の全てを隠しているかのような、そんな感じだった。

 

「それじゃぁ、始めよっかミレイさん」

「ミレイ、でいいよ。さん付けとか、あんまりなれないから」

 

 ちゃき、となのはがレイジングハートを構える。それに合わせるように、ミレイもまた、マント越しでごそり、と何かを構えた。

 ややあってから、なのはがカウントダウンモジュールを空中に展開される。表記される数字は、まず10から。

 9。なのはが一歩、踏み出す。

 8。ミレイが半歩、右足を引く。

 7。なのはがレイジングハートを握りなおす。

 6,5,4と、徐々に数字が小さくなっていく。緊迫した十秒間だが、なのはもミレイもまっすぐにお互いを睨んでいた。

 3,2,1とカウントされ、そして――

 

「アクセル!」

 

 ゼロカウントの合図とほぼ同時に、なのはが先制のアクセルシューターを撃ち放つ! 縦横無尽に動き回る魔力弾がミレイの周囲から時間差で迫る。

 対するミレイはそれらへと視線を素早く移動させ、マントの奥から右手をふるう!

 

「フェル!」

-All right!-

 

 キィィィ、と高い音が響き、ミレイの両手に魔力が灯る。その色は紫。暗闇の中でほのかに灯る炎のように揺らめくそれを構え――

 

「はあぁっ!」

 

 後方から最速で迫っていた魔力弾一発を叩き落し、そこからまるで舞踏のように、流れるようなモーションでシューターすべてを叩き落していった。

 斜め下方からの多段射撃も、前方から幾重にも重ねたフェイントの果ての一発も、そのすべてが叩き落されていく。

 しかし、それを見てもなのはは怯む様子を見せない。

 追撃のシューターを生成し、波状攻撃を仕掛ける。再びそれをすべて撃ち落とすと、先の攻撃が様子見と言わせるような数の魔力弾が彼女の周囲に浮遊する。

 まるで移動砲台。そんな表現が似合うなぁとか思いながら、ミレイはもう一度両手に魔力を灯し――

 

「反撃、するしかないかな――?」

 

 パァンッ、と手を打ち鳴らす。すると、彼女の周囲になのはと同じように魔力弾が複数生成される。そして――

 

「はぁぁっ!」

「シュートッ!!」

 

 なのはの周囲のシューターが放たれると同時に、ミレイもまた両手を動かし、周囲に形成した魔力弾を固定から解き放つ。それぞれが独特、特異とも取れる軌道を描きながら、なのはのアクセルシューターに着弾、相殺させていく。

 しかし、そこで相殺させられても怯まないのがエースオブエース。高町なのはという人物なのだろう。素早く空中へ跳び上がると、高度を一気に上げて魔力球を展開、一気に圧縮させていく。その圧縮率は、先ほどから連射していたアクセルシューターの比ではない。

 それを一目見て、ミレイは察した。

 向けられた巨大な魔力球。

 今まで見てきた、経験してきた中で、一番の魔力圧縮率。

 それは、なのはの十八番。

 

「│砲撃《バスター》――!?」

 

 察してからミレイは動きは早かった。バックステップでもう一度場所を位置取ると、もう一度手を打ち鳴らしてその手に魔力を灯す。

 

「ふうぅぅぅ――」

 

 長い呼吸共に、左手を広げて前へ、右手で拳を作り引く。そんな独特な構えを取ったミレイは、掌に魔力球を生み出し、ゆっくりと、確実に収束させていく。

 一つ、二つと魔力球に術式のリングが形成されていく。ミッド式の魔法式をベースとしたその術式リングは、二つ展開されたのちに急速回転していく。

 高速圧縮されていく魔力を見て、なのははその魔法が砲撃系統であると一瞬で理解する。しかし、理解して尚なのはは笑顔を浮かべたまま、砲先を構える。

 彼女もまた、心の中では強い人と戦いたいという気持ちがある。だからこそ、彼女は逃げずにまっすぐ、彼女に砲を向け――

 

「ディバイン――バスター!!」

「バーストッ!!」

 

 桃色の砲撃と、真紅の砲撃がぶつかり合う!

 超高速圧縮されたなのはの砲撃と、ほぼ抜き打ち同然で放ったミレイの砲撃。もちろん、威力はなのはの方が数段上。あっという間にミレイの砲撃は打ち消されていき、爆発と共に彼女は上空へと吹き飛んでいく。

 吹き飛んだミレイを追撃せんと、なのはは再び砲撃の体制を作り上げる。魔力を収束させ、その砲先をミレイに向けなおし――思わず驚いた表情を浮かべてしまう。

 わずかに回転しながら宙へ吹き飛んだミレイ。その右手には、先ほどと同じ魔力球。真紅の光の尾を引きながら、魔力を圧縮していく。そして――

 

流星落とし(メテオストライク)ッ!!」

「ディバインッ、バスター!!」

 

 再び双方の砲撃がぶつかり合う!

 先ほどとは状況が逆。ほぼフルチャージしたミレイの砲撃と、抜き打ち同然のなのはの砲撃。はたから見れば確実にミレイのほうが有利に見えるが、それでもなのはの砲撃の技術は圧倒的だった。

 抜き打ち同然の砲撃でも、その魔力収束の技術は天性のもの。空間に散った魔力を吸収していきながら、抜き打ちの威力から徐々に完全収束状態の砲撃へと威力を上げていく。

 そして、最終的には先ほどと同じように、ミレイの砲撃を消滅させて彼女ごと飲み込んでいった。

 

 

 

 無論、このなのは対ミレイの模擬戦はミレイの敗北で終了した。

 しかし、なのははこの模擬戦の結果をほとんど予想していなかったのだ。

 何せ、記録上空戦B+の彼女が、射砲撃戦で自分と互角に渡り合うとは予想だにしていなかった。それに、彼女はポジション的に言えばフルバック。最後衛だ。いくら彼女自身が理想とするフルバックが「味方のサポートをしつつ、隙があれば射撃魔法で牽制を入れられる存在」とはいえど、彼女はある意味「出来過ぎ」なほどだった。

 

(ミレイさん、やっぱり何かまだ隠しているんだろうなぁ)

 

 そんな風に思いながら、彼女との模擬戦をやってよかったなと思っているなのはだった。

 もちろん、ミレイからすれば、なのはとの模擬戦は本当の無茶ぶりでまいっちゃう、といったところだったのだが、それはまた別の話。

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