魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~   作:Yuino

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 すみません、随分と間が空きましたが、何とか私は生きています。
 どうも、Yuinoです

 仕事が忙しかったり、執筆へのモチベーションが上がらなかったりで、ホントに書く速度が上がっていかなかったです。

 とにもかくにも、何とか書き上げましたっ、どうぞ!


StS05:ファーストアラート

――数日後 早朝

 

 模擬戦から数日たったとある日。今日も今日とて、僕――ラウラ=ソニアは森林フィールドを駆け巡っていた。勿論、隣にはある意味迷惑な相棒――鈴谷暁が一緒にいる。

 機動六課に配属となって早数週間。新人含めての訓練はとにもかくにも「厳しい」の一言に尽きる。高町教官の訓練は基礎を大事にしつつ、徐々に応用を教えていくスタイルなだけあって、とにかく序盤である今はものすごく厳しい。だからとて、もちろんサボる訳にはいかないので久しぶりに毎日全力で訓練している。

 なお、新人フォワードの四人は高町教導官の早朝訓練のラスト、シュートイベーションの真っ最中。自分たちブレイズ分隊は、隊を二つに分けての模擬戦中。僕と暁、ケイさんとミレイさんのツーマンセル。二対二(ツーオンツー)とは言えども、ケイさん達のほうが実戦経験が若干上。そのほかいろんな要因があって、ほんの少しだけ押されている。

 まぁ、だからといって――

 

「負ける気はさらさらないんですけどね。暁ッ!」

「りょーかいっ!」

 

 少しだけ先行した暁が、肩に担いだ大鎌を大きく振りかぶってフルスイング。大振り過ぎとも取れるそのスイングで、レイヤーで構築された森林フィールドの木々をなぎ倒していく。放たれたのは、魔力で形成された鎌鼬。それが通り過ぎていった先は、あっという間に障害物のない見通しのいい空間になる。

 

「あ、あらら」

「む――」

 

 その先に見えたのは、いつでもこちらに突っ込んでこれるような体勢を取っているケイさんとミレイさん。自分たちの姿が曝された思わぬ広範囲攻撃に目を丸くしながらも、ミレイさんはすぐさま両手に魔力を灯し、空中に魔力スフィアを複数展開する。

 

「フェル、銃座展開。オートロックオン解除。全照準をマニュアル制御!」

-All right. Gun point set. Auto lock on release. All sight is changed to manual control-

 

 ばばっ、と展開された魔力スフィアが高速回転しながら圧縮していく。その数は約十。しかも、空中にわずかな光がともっていることから、まだ増えると予測される。それを見て、僕は暁に合図を送り、その場に膝をつき構える。

 

「初風、往くぞ」

-了解ッ!-

 

 光を帯びて初風の銃口に小さな魔力スフィアが生まれる。大きく深呼吸して、正面に展開されているミレイさんの魔力球をまっすぐ見据える。そして――

 

「シュート!」

「ファイア!!」

 

 ミレイさんが手をふるい、魔力弾が放たれた瞬間、こちらもトリガーをひく。魔力弾が一斉に放たれ、中間地点辺りで連続して爆散、魔力が霧散していく。

 ミレイさんの無反動連射に追いついて、尚且つそれをさばき切るにはいつもの反応速度じゃ追いつかない。それ以上の反応速度と、あとは狙ってくるところを常に予測して迎撃するだけの演算処理能力。

 もっと速く。もっと正確に。思考することをやめず、予測することをやめず。常に頭の中を動かしまくって考える。

 視界の端に映ったのは、少し離れたところで蒼白と漆黒の魔力光が弾けているところ。恐らく、迂回した暁とケイが至近距離(クロスレンジ)戦が始まったのだろう。そんなところを考えながら、再びミレイさんの射砲撃を迎撃していくのだった。

 

 

 

――同日 聖王教会

 

 新人フォワードたちの訓練を見学してから、はやては聖王教会に足を運んでいた。

 旧知の仲、とは少々言いにくいが、機動六課設立にあたって力を貸してくれたカリム=グラシアのもとを訪れていた。

 呼ばれた件というのが、近日ミッドに運び込まれたレリックと思われる不審貨物と、その存在が正確に確認されたわけではないが新型ガジェットについて。それに局と教会の二組織が連携して対応すべく、お茶を飲みつつ話に来たというわけだ。

 六課も設立してから一か月経って、何とか落ち着いてきているとはいえまだバタバタしている。局との連携もまだしっかりとれるという状態でもなく、聖王教会とも勿論それができるわけでもない。そのため、そういう連携面でもこうやって打ち合わせをしに来たというわけである。

 しかし、カリムはおいといてもはやてのほうがそういう堅苦しい話があまり得意ではないため――

 

「あー、もー、本当こういうの苦手ーっ」

「ふふっ、司令官なはずなのにほんとそう見えないわよね、はやてって」

「仕方ないやろ、それがウチやもん」

 

 椅子に寄りかかってぐだぁ、となるはやてを見て、苦笑しながらカリムは言う。こんな風に話せるのも、二人とも比較的フランクな感じだからだろう。

 そんなとき、ふとカリムの前に展開してあったモニターの一つが開く。画面の向こうには、ショートカットの女性――シャッハの姿があった。

 

『騎士カリム、お客様がお見えになりました』

「ん、意外と早かったのね。通してあげて」

『かしこまりました』

 

 それを機にモニターが消える。きょとんとした表情を浮かべたままのはやてを見てカリムはニコニコと笑顔を浮かべている。

 

「お客様って?」

「はやてはびっくりすると思うよ?」

 

 そんなカリムの言葉を合図にしたかのように、扉がノックされる。

 扉の向こうから響く「失礼します」という、凛と響く声にカリムが答えると、扉が開かれ、はやてがここに来た時と同じ服装――フードを深くかぶった男性が入ってくる。

 彼は、カリムのほうを見てから視線をはやてのほうに向け――そして一つため息をついた。

 

「騎士カリム。確かに御同業が来て話をするから一緒に話をしないか、と誘われてきた身でありますが、まさか八神指令だとは思いもよりませんでした」

「えぇ? 彼女が来ることは一応ルルイナさんに伝えていたはずなのだけれど……?」

「……あんのバカ所長。重要なことはちゃんと伝えろってんだ……」

 

 ぶつくさと文句を言いながら彼はゆっくりと椅子のほうへ向かうと、はやてのほうを見てそのフードを取った。

 

「久しぶりだな、はやて。いや、今は八神指令って言った方がいいか?」

「ちょお……聖君か!? ほんと久しぶりやなあ!」

 

 がたっ、と椅子から立ってはやては彼のもとへ行く。

 会うのは数か月ぶり。

 だけど、ほんの少し大人っぽくなったような気もする彼。

 全体的にほんの少し伸びた髪。前髪は左側に流して左目だけ隠している。今は片方だけ見えているうっすら青っぽい黒目。

 体つきとか、雰囲気とか。ところどころ大人っぽくなっているけど、根本的な飄々とした雰囲気は何も変わっていない。

 そこに、少しだけ大きくなった彼――佐々木聖本人がいた。

 

「あ、あと、別に八神指令なんて呼ばないでええよ。今まで通り、はやてでいいから、な?」

「そうか。それなら、お言葉に甘えさせてもらおうか。あと、カリム。今日は呼んでくれてありがとう」

 

 一礼しながら椅子に座る聖。そんな彼を見て、カリムもまた「こちらこそ、来てくれてありがとう」と礼を言って紅茶を出す。

 出された紅茶を一口飲んでから、聖は先ほどまでの緩い雰囲気から一転。真剣な表情に変化してじっと見る。

 

「んで、今日自分を呼んだ理由とは……?」

「そうね。そろそろ本題に入ろうかしら」

 

 そうカリムが言うと、リモコンのスイッチを一つ押し、先ほどはやてとガジェットやらレリックやらを話した時と同じようにカーテンを全て下ろし、モニターを一つ出す。

 モニターに映し出された画像、映像はひどく不鮮明なものだった。

 荒涼とした丘の上に立つ一人の女性。丘の向こう側には戦乱の最中なのだろうか、いくつもの火が立ち昇っている。

 そして、その女性の後ろに映っているのは、不鮮明とはいえ明らかな死屍累々。そして、その死体の山を築いたであろう、彼女が持つ血に塗られた武具の数々が、少女の周りを浮遊していた。

 その映像を見て、聖は驚いたように立ち上がるとその映像の日付を確認する。

 記されていた日付は、彼がとあるものを探しに管理外世界に出ていた日の翌日だった。

 

「この場所は……」

「貴方が行った場所と同じところよ。第49管理外世界ラクーン。そこの戦乱地帯」

 

 一日早かったのか。そんなことを呟くと、聖はその画像を自分のデータメモリーにコピーしてポケットにしまう。再び椅子に腰かけると、大きく息をついてからモニターを自分の方へ寄せる。

 

「この人は?」

「彼女か。彼女は――」

 

 はやての問いかけに、聖が答えようとした瞬間――

 

「えっ!?」

「まさか……」

「ちょっ、こんなときに!?」

 

 突然鳴り響くアラーム警報。瞬時にモニターに展開される座標。それを見て、聖は小さく呟く。

 

「エイリム山岳地帯。対象は高速で移動中、って。おいおいまじかよ」

 

 がたっ、とそのまま立ち上がってそのまま聖は扉の方へ向かう。はやても通信越しに部隊と話している用だった。

 司令官としてしっかりとした指揮を執っているはやてを後ろ目で見て、聖はふっと小さく笑うとそのままカリムへと話しかける。

 

「騎士カリム。騎士はやてにお伝えください。後ほど、合流しますと」

「えぇ。わかったわ――気を付けてね」

 

 カリムの言葉にただ、手を上げて答えるのみ。聖はそのまま扉を開けて向こうへと消えていった。

 聖王教会の敷地を出た聖は、そのまま彼はただまっすぐに走っていく。通信モニターを開きっぱなしにして、そのまま自分が所属している部署――特別戦略技術研究部へ通信をつなぐ。

 

「所長、ジン、繋げるか?」

『そろそろ来る頃だと思っていたぞ、聖』

 

 モニター越しに響く声は、綺麗なテナーボイス。モニターに映っているのは、端正な出で立ちの男性。既に白銀の甲冑に身を包み、ドックのような場所にいるジン=アームスレインがそこにはいた。

 

「ジン、雪風はもういけるか?」

『っと……残念。まだ最終調整中』

「そうか……なら、エイリム山岳地帯、リニアレールまでの最短ルートを出してくれ」

『その必要はない。何せ、もう()にいるからな』

 

 その言葉を受け、聖は上を見る。

 そこには、聖が所属している部署――SSDRの部隊章である星と鴉のデザインが記されたヘリが滞空している。そして、そのヘリの扉は既に開いており、そこには白甲冑の優男――ジン=アームスレインがいた。

 彼はにこりと笑顔を浮かべると、そのまま梯子を降ろして聖に上がってこいと合図する。そのまま梯子をつかんで一気に上に駆けあがると、ヘリに乗り込む。

 

「現状は?」

「とりあえず、六課のフォワード陣がエイリムのリニアレールに対して先行している。こっちから今出れるのは、俺と聖だけだ」

「おおう、なかなかにそれは人員不足だな」

「うむ。所長は会議中だし、レンとリーナはそれぞれ別件。ヴァルツさんとレインさんは公休。つまり、動ける戦闘向き魔導師は俺たちだけというわけだ」

「ほんと、窓際部署は大変だ……サクラっ」

 

 聖がため息をつきつつも一声上げる。すると、彼のポシェットに隠れていた桜色の髪色の少女が顔を出し、そのまま聖の肩に腰掛ける。

 ワンピースをメインに、要所要所に鎧を取り付けたような軽甲冑に身を包んだ彼女――サクラは、にこりと笑顔を浮かべてから大きく伸びをする。

 

「んん~、マスターっ。あんな狭いところに入れられっぱなしは疲れたんです!」

「はいはい、わーったわーった。とりあえず、ユニゾンだ。コンタクトモードでな。甲冑は今回はいらないから、魔力防御と剣だけでいい」

「りょーかいしましたっ」

 

 明るい声で彼女が告げると、そのまま桜色の光となって聖の胸の中に入っていく。コンタクトモードでのユニゾンの証として、彼の左手人差し指に桜色の宝石――クンツァイトが埋め込まれた指輪がはめられる。

 ユニゾンの具合を確かめるように深呼吸して、体内の魔力を循環させる。

 巡らせた魔力をゆっくりと両手足の魔力回路へ。両手足に回した魔力は、呼吸、血流と共に心臓へ戻り、ゆっくりとリンカーコアを中心にして循環していくのを感じる。

 よし、いける。そう判断した聖は、そのまま体力温存のために瞳を閉じるのだった。

 

 到着まで、あと十分と少々――

 

 

 

 緊張のし過ぎで呼吸が安定しない。

 こんな風に思ったのは、いつ以来だろうかと、キャロは自問していた。

 今までたくさん訓練もしたし、みんなとの連携もきっちりやってきた。

 それでも、自分に対する自信がなかなか持てなくて、余計に緊張してしまう。

 安定しない呼吸をどうにか落ち着かせようと、一度大きく深呼吸する。

 

「すぅ――はぁ――」

 

 吸って、吐いて。吸って、吐いて。

 大きな呼吸を一度、二度と繰り返していったん自分を落ち着かせる。

 そんな自分を見て、心配そうな視線を隣にいた飛竜――フリードが向けていた。くるる、と心配そうな鳴き声も一緒につけて、大丈夫と問いかけるような視線を向けていた。

 大丈夫、大丈夫だよと。そう彼に、そして自分に言い聞かせるようにフリードの頭を撫でてやる。心地よさそうな目を浮かべている彼に笑顔を向けて、自分を落ち着けるようにゆっくりと瞳を閉じる。

 

「不安とか、緊張か?」

 

 そんなときに声をかけてきた一人の男性。赤茶の髪に細っこい体躯。白シャツの上に黒いマントを羽織った彼――龍吉が彼女に小声で問いかけた。

 急に話しかけられたせいで、彼女は「えと、その、あの」とどもってしまう。そんな彼女を見て、龍吉はくすくすと笑いながらくしゃくしゃとキャロの頭を撫でる。

 

「大丈夫だ、とは断言できないけど、キャロ達には俺とあそこのイケメン神父が着く。さっき、なのはさんも言ってたろ? おっかなびっくりじゃなくて、思いっきりやってみよう、って」

「で、でも――」

「心配する気持ちもわかる。でも、ビビってたりして全力だせなかったら、その時こそ後悔するぜ? そうならないように――」

 

 思いっきり、やってみようや。そう彼は言って再び椅子に深く腰掛けるようにして目を閉じる。

 そんな、ビビらずに思い切りやってようと、そう言ってくれた龍吉を、自分の周りにいる仲間たちを信じるように深呼吸すると、キャロはぐっと両手を握って覚悟を決め、小さく呟く。

 

「自分の力に、ビビらない。全力でやろう、フリード」

「きゅくるーっ」

 

 フリードへ笑顔を向けて、キャロは今一度、前を向いた。

 

 到着まで、あと十分――




感想、ご意見、「俺がキャラ考えたから使ってみなさいこの下郎(意訳)」がありましたら、どしどしお待ちしておりますゆえ!
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