魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~   作:Yuino

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 2017年一発目の投稿となります。

 遅くなりましたが、お楽しみに下さいませ!


StS06:星と雷光と桜光

――エイリム山岳地帯。輸送リニアレール上空。

 

 数が減らない。減る様子が見えない。

 それが、ガジェットⅡ型に対して空中戦を繰り広げているなのはとフェイトが共通、かつほぼ同時に思った事だった。

 フォワードのみんなより先に出て、二人で空を抑える。その間にフォワードの十二人でリニアレール周辺及び内部ののガジェットを掃討。レリックを回収するという作戦。

 やることはいつもと変わらないし、簡単、用意、とは言い難いが、いつもと同じように油断しなければ全く後れを取ることのない内容のはずだった。

 しかし、あまりにも減らないガジェットⅡ型に、その作戦もなかなかうまくいっていなかった。

 

「アクセル!!」

-Snipe shot!-

 

 展開したアクセルシューターを速度と精度を優先させて放つ。放たれた魔力弾は狙い違わず全てガジェットに直撃し、爆散させる。

 

「バルディッシュ!」

-Yes,sir!-

 

 バルディッシュのフルスイングで放たれた金色の飛刃は、空間ごと薙ぎ払うように旋回し、周辺にいるガジェットを巻き込みながらその全てを切り刻んでいく。

 今の攻撃で、互いに撃墜した数はそろそろ三ケタが見えてきそうなライン。しかし、それでもガジェットはまるで何もない空間から生まれるように、どんどん増えていく。

 

「ほんっとに、多いね今回は!」

「そうだね。でも、なんとかしないとねっ」

 

 空中のガジェットを、なのははアクセルシューターで、フェイトはプラズマランサーで。互いにそれぞれ得意としている射撃魔法で次々と撃ち落としていき、上空へ上がっていく。

 それを追いかけるようにガジェットⅡ型が六機編隊が数組、全く同じ軌道をたどるように追随してくる。

 このまま上がってこい。そう思いながらなのはとフェイトは二人同時にシューターとランサーを展開し――

 

「シュート!」

「ファイア!」

 

 一斉に放ってガジェットを殲滅していく!

 爆散していくガジェット数十機。しかし、煙の向こうから再び()()()のガジェットがなのはたちを追いかけていく。

 二人はアイコンタクトで合図をすると、急降下してそのまま二手に分かれる。分かれた二人を、もちろんガジェットは追いかけていく。

 今回は少し苦労しそうだな。そんな風に思いながら、フェイトは再びプラズマランサーを展開。その穂先をガジェットの群れに向けるのだった。

 

 

 

 同時刻。リニアレール車両

 

「とぉぉりゃぁ!!」

 

 轟音を立ててガジェットⅠ型が粉砕されていく。Ⅰ型を粉砕したスバルは、再び相棒――マッハキャリバーを駆動させて進んでいく。

 思った以上の速度で進んでいくスバルを追いかけていくのは、至極楽しそうな表情を浮かべて走る暁。そして、また別の意味で疲れた表情を浮かべているティアナとラウラ。レリックまで一直線に進んでいるとはいえ、さすがにスバルの速度についていくのはかなり苦労していた。

 それに――

 

「うわぁ、っとと!?」

「バカスバル突っ込み過ぎ!」

「暁、カバー行って。A連携往くよ」

「あいさい!」

 

 突出してⅠ型六機に囲まれかけたスバルを、暁が瞬時に前に出て半数以上を叩き斬る。その間にできた隙に合わせるように、ラウラのピンポイント射撃で一気に殲滅していく。

 しかし、そのわずかな隙に次は暁が四機のガジェットに囲まれる。

 

「スバル、カバー行って! コンビネーションB往くわよ!」

「了解ティアナ!」

「暁、下がって」

「えーっ?」

 

 ラウラの指示で下がったラウラと変わるようにスバルが飛び出る。そして、ティアナの放ったクロスファイアシュートと共にⅠ型四機を一瞬で殲滅していく。

 合計十機のⅠ型を粉砕してから、再びスバルと暁は一気に前進していく。そんな二人を見て、ティアナとラウラはため息をつきながら再び走り出す。

 

「あんな猪突猛進な娘とコンビを組んでいられるね、キミは」

「それ、貴方にも言えることよラウラ。よくあんな真っすぐにしか行けないような娘とコンビ組んでいられるよね?」

「まぁ、腐れ縁みたいなものだよ。キミも、同じような感じなのだろう?」

「まぁ、そうね。ある意味似た者同士なのかもね、私達」

「そう、かな? さて、さっさとあのバカたちに追いつこうかね」

 

 そんな会話を交わしながら、ラウラとティアナは空になったカートリッジを取り替えて再び前を進むバカ二人を追いかける。

 ガジェットを退けていきながら車両を奥へ、奥へと進んでいく。

 そして、ついにレリックがある車両のひとつ前まで辿り着いたとき――

 

-エマージェンシー。下がってくださいマスター-

「えっ!?」

 

 最前衛を走っていたスバルの相棒――マッハキャリバーが知らせた危険信号。最早直感のように大きく後ろに下がると、先ほどまでいた場所に物凄い熱量の何かが突き刺さった。

 突き刺さっているそれは、金属の柄から伸びるエネルギー刃。大熱量のそれは、強化金属で作られたリニアレールの内壁をやすやすと貫通して見せた。

 金属を誘拐させながらそれを引き抜くのは、巨大な人型のナニカ。ガジェットと似た装甲のそれは、引き抜いたエネルギー刃を右のアームでもってそのままスバルたちに向きなおる。

 

「これ、ガジェット……!?」

「人型のガジェットなんて、聞いてないわよ!?」

 

 ヒト型のそれが振り下ろしてくるエネルギー刃を回避して、ティアナは頭部へ魔力弾を連射する。寸分違わぬ場所へと放たれた魔力弾は、まっすぐに人型ガジェットの頭部へと向かう。

 しかし、それをガジェットは左のアームについていた巨大なシールドで受け止め、金属音を響かせずに消滅させた。

 

「まさか、シールドからもAMFが放たれてるのか……?」

 

 そんな予測をたてたラウラは、後方からスコープを覗いてヒト型ガジェットの脚、腕、首の三点の関節部に狙いを定めると、そのまま各所に三点バーストを放つ。

 各所三連射、攻撃九発の高速度魔力弾が人型ガジェットへと飛んでいく。しかし、それをガジェットは何の苦も無く右のエネルギー刃で切り払い、左のシールドで完全に防御する。

 

「こいつ、反応速度が尋常じゃないっ」

 

 軽い文句を言い放ちつつも、ラウラはスコープを覗かずにひたすらトリガーをひいていく。しかし、眼前の人型ガジェットはその高速連射を全く苦もせず右のエネルギー刃で弾き飛ばしていく。

 弾き飛ばしながら、徐々にラウラへと近づいていく。ガジェットが距離を詰めてくるのに合わせるようにしてラウラも距離を離していく。

 

「ラウラ交代(スイッチ)!」

「っ――おう!」

 

 見かねた暁が叫び、後方から一気に突進してくる。それを見て、ラウラは初風を直接ヒト型ガジェットに叩き付ける。

 その瞬間、生まれたわずかな隙。ぐらりと、ガジェットの本体が僅かによろける。

 強引にガジェットを弾いたことによって生まれたノックバック。そのほんのわずかな隙さえ、彼女()は逃さない。

 

「これなら――」

 

 一瞬にしてガジェットの前に躍り出ると、その勢いのままダンッ、と強く踏み込む。

 袈裟から大鎌を振り下ろす。

 しかし、結果的にその一撃は外れてしまう。鎌先をほんの少しだけ、掠めるようにガジェットの本体を左のアームを傷つけていく。

 

「外れた――?」

「いや、彼女の鎌は()()だ。外れるわけが――」

 

 ガギッ、という、溶接された金属と金属が外れるような音が響く。

 

「ないっ」

 

 ラウラがそう言ったその瞬間、ガジェットの左アームの先をバラバラに分解していく。

 

「もう――いっちょう!」

 

 一歩だけ後ろに下がったガジェットを、暁は逃すはずがない。

 振り抜いた勢いのままもう一歩距離を詰めて再びガジェットを射程圏内に収める。鎌を背中に持っていき、再び同じ方向から斬りつける。流石に学習したのか、次の一撃をガジェットは()()()()とシールドで受け止めた。

 それを見て、暁はニヤリと口元をゆがめた。

 

「受け止めてくれたね――ラウラ!」

「もう用意はできてる。ティアナ、スバル。二人とも下がっていて」

 

 暁のサポートに出ようとしていたスバルとティアナが声のする右方を見て――驚きの表情を浮かべる。

 そこにあったのは、彼の身の丈以上もあるだろう巨大なロングライフルと、それを構えるラウラの姿。その砲門に宿るは、巨大な魔力収束のあかしである極光。その光を、まっすぐにガジェットに向ける。

 

「初風、フルバーストモード。魔力圧縮完了。内蔵カートリッジ、全弾消費――」

 

 がこん、と力の限りロングリロード。その瞬間、残っていたカートリッジ数十発が一気に排出されていく。がらんがらんと鈍い金属音をたてながら薬莢が床に落ち、それと同時にラウラの額から玉のような汗が滴り落ちる。

 少ない魔力を絞り出しながら、周囲の魔力をも収束していく。残り体力の少なさも相まって、ラウラにとってはかなりきつい状態になっている。

 しかし、それでも関係ない。ただ、全力で目の前の敵を抑え込んでくれている相棒に応えるため、自分の限界を超えかねない魔力を全力で抑え込み――

 

「圧縮魔力、全面解放――シューティングスター!!」

 

 トリガーをひき、轟音を立てながら収束された魔力弾が放たれる。それを見計らい、暁は抑え込むのをやめて思い切り跳び上がる。魔力弾と入れ違いになるように空中へと跳ね上がり、そのままラウラの隣に降り立つ。

 がたん、と初風を床に落とし、そのまま座り込んで肩で息をするラウラの背中をさすりながら、暁は「お疲れさま」と一言。

 しかし、再び響いた轟音、駆動音。それを聞いて、暁、ティアナ、スバルが臨戦態勢に入る。

 

「あれでほぼ無傷って……」

「どういう装甲してるのよ、あれ……!」

「とにかく、どうにかしないと――!」

 

 スバルが一歩踏み込んだ瞬間、ガジェットが右腕のエネルギー刃を振り上げる。列車の内部装甲、屋根、壁、その他もろもろを纏めて焼き切りながら暁たちに迫る。

 それを回避しようとしてぐっと足に力を込めた瞬間――

 

「なめ――るな!」

 

 ぱぁぁ、と広がる蒼の障壁。それを出したのはもちろんラウラ。疲労と魔力消費でほとんど動かない体に鞭を打ち、少ない魔力を絞り出してシールドを張ったのだ。

 しかし、ほぼ魔力と体力が切れている状態での障壁など、眼前のガジェットのエネルギー刃にはないに等しかった。一瞬だけ拮抗したのち、一瞬で振り抜かれて粉砕されていく。

 やばい、()られる。そう思った瞬間、ラウラは自然に暁たちの前に立って両腕を大きく広げる。

 完全に死を覚悟した。その時――

 

――よく頑張った。ここから先は任せてもらおう。

 

 どこからともなく声が響く。

 唸るエネルギー刃を打ち消地消したのは真紅の焔。

 それが、まるでラウラ達をエネルギー刃から守るように、目の前を駆けた。

 

「なるほど。こいつが噂のガジェットⅣ型か」

 

 そんなことを呟くのは、鎧を身に纏う青年。右手に握るのは炎に包まれた両刃の剣。左手に握るのは体の半分以上をカバーできるくらい巨大な盾。青年は、銀を基調とした鎧に身を包んでいる。

 青年――ジン=アームスレインは、握った細身の剣を下段に、シールドをそれぞれ構えて待機する。

 ややあってから、ガジェットが先に動いた。右腕のエネルギー刃を大きく振りかぶり、それを思い切り叩き付ける!

 しかし、ジンはそれを完全に見切ったように左腕の盾で完全に受け止め――

 

「――バースト」

 

 そのエネルギーを逆に吸収し、シールドの先端から短距離砲撃を放つ!

 カッ、と閃光が瞬きガジェットを吹き飛ばしていく。シールドの先から漏れる真紅の光を、まるで血糊を払うかのようにふるって吹き飛ばす。

 ジンは、そこから追撃する動きを見せることなく、体をラウラへ向けると倒れかけているラウラへと手を伸ばし、彼を立たせる。

 

「大丈夫か?」

「あぁ……アンタは?」

「私か? 私は、ジン=アームスレイン。所属はそうだな。聖王教会兼――」

 

 ぶんっ、と細身の剣を構えなおし、軽く笑みを浮かべて彼――ジン=アームスレインは言う。

 

「管理局本局、特別戦略技術研究部所属の騎士だ」

 

 ラウラの問いかけにそう答えながら再びガジェットⅣ型に向きなおるジン。吹き飛ばされたガジェットの装甲には、確かに損傷が出来ているものの致命傷には至っていないようだった。

 駆動音を響かせながら立ち上がると、左腕につけられたシールドを破棄してそちらからもエネルギー刃を展開する。

 二刀流か。そんなことを呟いてから、ジンは剣を担ぐようにして構えると、そのまま魔力を刃に収束していき――

 

「焼き尽くせ、ヒースクリフ!」

-御意に、我が主-

 

 ごうっ、と剣に再び焔を宿し、そのまま思い切り突き出す!

 灼熱を纏った剣が真っすぐに、ガジェットの胴体へと飛んでいく。ガジェットもそれを受け止め、再び交戦状態へと入った。

 

 

 

――ほぼ同時刻、リニアレール上空。

 

「正面、見えました。高町教導官とテスタロッサ=ハラオウン執務官です」

 

 ヘリパイロットの声を聴いて、聖は閉じていた瞳をゆっくりと開く。

 一瞬だけヘリの窓の向こうを見渡すと、周囲を景色が上に下に、僅かに揺れているだけで動いていないことが分かった。どうやら、降下ポイント、もしくは出撃ポイントに到着したようで、ヘリはその場にホバリングしているようだった。

 肩へ視線を移すと、すやすやと寝息を立てる小さな少女――サクラの姿があった。

 そういえば、ユニゾンを一度解除してここで寝かせてたか。そんなことをふと思い出して、改めて彼女をゆすって起こす。

 

「サクラ、そろそろ出撃ポイントだ」

「はふぅ……もう、時間なんです?」

 

 寝ぼけ眼をこすりながら、彼女はふよふよと浮き上がり今度は彼の頭に乗っかる。そして、遠くを見るように目を細めて実際にパイロットの示した方向へ視線を向ける。聖もそれに倣って、()()()()()()()に強化魔法をかけてその方向を見る。

 確かに、パイロットの示した先には見覚えのある、それぞれ白と黒のバリアジャケットを纏った友人(なのはとフェイト)が、多数のガジェット相手に見事な空中戦技を披露していた。

 細かい目標――ガジェットⅡ型は問題なく撃ち落としているようだが……

 

「一つだけ手を焼いてるのがいるっぽいな……あれ、新型か?」

「そうみたいです。パブリックフォルダの中にも、あのデータはありません」

 

 データの無い敵性反応。姿形は今までのガジェットⅡ型とは大きく異なっていた。

 飛行機のような形をしているⅡ型とは異なり、今彼女たちが交戦しているのは明らかに()()。管理外世界に生息している翼竜型生物に、金属の装甲を取り付けたような、そんなモノ。もはや生物として判別していいのか悩むところだが、正直この際はどうでもいいだろう。

 サクラの言葉を受け、彼はヘリのパイロットに合図を送る。すると、ヘリはその場で回転し始めて後方のハッチを彼女たちの方へ向くように回る。

 そして、ゆっくりとハッチが開く。機内の気圧が一気に変化し、強烈な風が内部に吹き込んでくる。しかし、彼はそんなことを全く気にせずハッチの射出口に立ち、隣に浮かぶサクラに声をかける。

 

「サクラ、ユニゾン」

「了解なんだよ、マスター」

 

 キィィ、という音を響かせて再びサクラが俺とユニゾンし、身に纏うスーツから桜色の軽甲冑へと姿を変える。そして、右手に握ったガンブレードをくるりと一回転させ、回転弾倉にカートリッジを装填していく。

 

「ひとまず、狙ってみなきゃ分からんか」

 

 中折れ形式のそれを、勢いよくがつん、と元の形状に戻してから構える。そして、左目についている眼帯をばっと取り払い、若干長くなった前髪を左側に流す。

 くるりとガンブレードを回転させ、ワンハンドでゆっくりと狙いを定める。

 通信用のイヤホンを耳に取り付け、小さく呟いてから引き金を引く。

 

「弾道を計測する。二人とも、退いて」

 

 ダァンという乾いた音が響いた瞬間、ガンブレードの銃口から魔力弾が放たれる。

 超高速で放たれた実弾複合型の魔力弾は、真っすぐに何の邪魔を受けることなくなのはとフェイトの間を通り抜け、その先にいる新型ガジェットの頭部に直撃する。

 しかし、直撃したとは言えどもその弾丸は魔力が消滅してそのまま弾かれる。むしろ、受け止められて落下していく。

 

「実弾複合型の魔力弾はあまり効果なしか。なら――」

 

 そのままガンブレードのカートリッジ部分を回転。弾倉の後ろに「みの弾実」と刻印されたモノに切り替えてから再度装填。再び狙いを定めて撃ち放つ。

 しかし、これも装甲に当たり、綺麗に弾かれていく。

 その様子を、舌打ち――

 

「初期加速を魔力に頼った実弾オンリーだと装甲に弾かれる。魔力のみだと、あれのAMFに簡単に打ち消される。だったら――」

 

 もう一度カートリッジ部分を回転。「除解定限」と刻印されたものに切り替えて再装填。

 そして、覚悟を決めたように大きく呟く。

 

「あれに直接叩き込むか」

 

 瞬間、ごうっと唸りを上がる魔力の奔流。そのままハッチの先端に立ち、突撃の構えを取る。刀身を担ぐようにしてガンブレードを構え、腰を落として魔力を脚にためていく。

 

 

『聖君!?』

「標的に突っ込む」

『聖君無茶だよ!?』

「無茶かどうかは、やってみなきゃ分からない。それに、無理無茶無謀は俺の専売特許だ」

 

 フェイトとなのはの声を無視し、聖はそのまま真っすぐ正面を見据える。

 無論、正面にいるのは噂の新型ガジェット。

 弱点不明で情報はほぼ皆無。対応策不明、解らないだらけの相手。

 ただ、今の聖には、彼と相対しているのが新型ガジェットであるというのは既に関係ない。

 ただ、目の前の障害は何であろうと斬り伏せる。目の前の敵は、確実に打倒するのみ!

 

「往くぞ。サクラ」

-了解なんだよ、マスター!-

 

 ユニゾンしたサクラに声をかけ、肩にガンブレードを担いだ体勢でそのまま思い切りハッチを蹴って空へ飛び出す。

 ごうっ、というジェット機の推進音にも似た轟音を立て、途中で行く手を阻むように飛んでくるガジェットⅡ型の悉くを薙ぎ払っていく。

 そのまま一度、急上昇して再加速。一度停止したまま、落下の勢いを使って急降下。一瞬でガジェットとの距離を詰める。

 そして――

 

「っらぁ!」

 

 思い切り、ガジェットの腹部装甲にブレードを叩き付ける!

 ガギンッ、という金属音を響かせてガジェットを吹き飛ばすと、再び最接近して今度は銃口を頭部に突き付けて、トリガーを弾く。

 二度、三度とトリガーを弾いて複合魔力弾を放つも、そのたびに装甲に弾かれ、僅かなヒビが入るだけで致命的なダメージになっていないことは明白だった。

 ダメージ量の少なさに舌打ちし、ガジェットが振り抜いた尾撃を回避してからなのは達の近くに舞い戻る。

 僅かに感じた、頬への違和感。それを頼りにそっと撫でると、僅かに出血していること理解する。

 

(今の一発、掠ってたか。振り抜いた風切りでもこの威力とか、だいぶ反則……)

 

 拭って強引に止血すると、もう一度ガンブレードを構えて撃鉄を起こす。そのままもう一度弾丸を装填し、魔力を刀身を軸に放出していく。

 まるでとめどない泉のようにあふれ出る魔力。それを一つに束ね、刃を覆うように収束させるとぶんっ、と思い切り振るって余剰魔力を振り払って構える。

 

「なのは、フェイト。援護を頼む」

「ふふっ、昔とホント変わらないね聖は」

「ほんとほんと。それじゃあ、リクエストに応えよっか、フェイトちゃん!」

 

 その一言を皮切りに、なのはとフェイトはアイコンタクトをかわすとそのまま飛び上がっていく。飛び上がった二人を見上げながら、聖はそのまま切っ先を真っすぐにガジェットへ向け、中段に構え直すとゆっくりと瞳を閉じる。

 

「プラズマランサー、ファイア!」

 

 好機は一瞬。

 ならば、その一瞬に全力をかけ――

 

「アクセルシューター、シュート!」

 

 ただ一刀のみにて、切り伏せるだけ。

 

「叩き斬るぞ、サクラ!」

-はいです、マスター!-

 

 中段の構えから、くるりとガンブレードを回転させてから居合いの構えへ。

 幾百、幾戦、幾万と繰り返した、流れるような動き。

 目を瞑っていたって、無意識のうちに体が勝手に動く。

 

「天剣佐々木帝流、居合の型奥義――」

 

 今いる場所は地上ではないけれど、同じように使えるのであれば全く以て関係ない。

 一歩踏み出し、腰を落としてから踏み込んで真っすぐに加速していく。

 踏み込みの勢いと、カスミ式魔法の自己強化。単純な魔力放出を用いたロケット推進にも似た加速は、まさに音を超え、光を超えた速度!

 二歩目の踏み込みで再加速し、一瞬でガジェットの懐に入り込む。

 そして――!

 

「鳳凰!」

 

 思い切り振り抜き、ガジェットの胴体へまずは鋭く一撃を、そして切り返してもう一撃を叩き込む!

 ガコンッ、という鈍い金属音が二度響き、胴体の装甲板がへこむ。しかし、相手そのものにはほとんどダメージが届いていない様子だった。

 しかし、今の聖はその一撃で終わるはずがない。

 一歩下がり、反撃とばかりに振るわれた鋼鉄の翼のスイングを回避する。そして、反転してから再接近しその胴体に自分の掌を当て――

 

「ここか――」

 

 閉じられた左目を見開き、小さく言葉を紡ぐ。

 

――刃製(ブレードオン)

 

 その胴体を、今度は桜色に輝く光の剣が貫いた。




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