魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~   作:Yuino

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 一か月ごとの更新になってしまってる……

 どうも、Yuinoです。仕事が忙しくてどうにも更新ががががが

 何はともあれ、どうぞですー!


StS07:その瞳が見るもの

 リニアレールでの事件から一週間が経過した。

 リニアで運ばれていたレリックはスバルたちフォワードメンバーが無事回収。その後の引継ぎも問題なく行われ――

 

「ほれほれ、しっかり捌かないとおっつかないぞー?」

 

 聖も正式に――もとい上司からの命令で半ば強引に機動六課へ異動となり、こうやってフォワードメンバーの訓練に付き合っている。

 

「だからって、これだけの数、どう捌けって、いうんです、かっ!?」

 

 半ば文句を言いながら、ティアナは周囲から飛んでくる光の剣を銃弾で落としていく。そして、その隙間を縫うかのように彼女もまた、空中へと魔力弾を放つ。

 放たれた魔力弾は空中を縫って聖へ飛んでいく。聖はそれをしっかり見切り、左腰に下げてる刀の柄をつかみ、思い切りスイング。柄の先から瞬時に伸びた光の刃は、飛んでくる何発もの魔力弾を斬り落としていく。

 

「おお、いい狙いだ。右足、左腕、膝。どこを撃ち抜けば動けなくなるかわかっている証拠だな。でも――」

 

 光の刃を空中へ展開し、それを宙に放つと同時に()()のロックを解き放つ。

 

「まだ()()がある」

 

 後頭部を狙うように放たれた高速弾をほぼノールックで斬り払い、にっと笑みを浮かべる。

 

「ちょっ、死角から狙ったのに、なんで分かるんですかっ!?」

「まぁ、ちょいと裏技を、な?」

 

 光の剣を握りなおす。それをまるで細剣(レイピア)のように構えると、その切っ先を真っすぐにティアナへとむける。

 

「殺気のこもった弾は相手から見抜かれやすいからな。まずは、狙った相手に自分の気を悟らせるな」

「センターガードじゃない人に言われるのは癪ですけど……やってやりますよ!」

 

 再び聖に狙いを定め、複数の魔力弾を宙へと放つ。放たれた魔力弾は複雑な軌道を描きながら時間差で聖へ迫っていく!

 しかし、聖はそれらの魔力弾を左目でも確実にとらえ、斬り払っていく。斬り払いながらも、次いで光の刃を展開して放ち続ける。

 そんな風にして数十分。二人は、互いにひたすら魔力弾と魔力剣を放ち続け、撃ち落とし続けた。

 

 

 

「おらぁ、もういっちょ行くぞ!」

「っしゃあ、来いやぁ!」

 

 相棒――グラーフアイゼンを構えて真っすぐに突進していく。

 彼女の鉄槌を前にして、青年――不知火陽はボクシングのようにガードを上げ、防御の構えをとる。もちろん、その両腕には薄くながら魔力の防壁が纏われている。

 

「でぇぇりゃぁぁ!!」

 

 そして振るわれる渾身の一撃。そのヴィータの一撃を、陽はしっかりと腕で受け止める――が。

 

「うっ、ぐぐっ――」

 

 受け止められたはいいものの、ヴィータに押し切られそのまま吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされたものの、後方の樹には打ち付けられず何とかその前で踏みとどまると、肺の中の空気をすべて吐き出すかのように大きく息をついた。

 

「ってぇなあ。でも、どうよヴィータ教官?」

「……ある意味見直したぜ不知火。まさか、ほんの少しの魔力だけで私の攻撃をきっちり受けきるとはなぁ」

 

 僅かに紫炎をくゆらす陽の両腕を、ヴィータはまじまじと見た。

 確かに、彼からは魔力の反応はあまり感じない。しかし、それ以上に、彼から感じるのは魔力とはまた異なる力の奔流。

 先日の模擬戦でも見せた、紫炎の焔。魔法とは異なり、彼特有の「異能力」。ようは単純な「発火能力者(パイロキネシス)」。彼の「感情」そして「時間」によってその出力を変化させる特異能力「斜陽」。

 攻撃にも防御にも活用でき、しかも出力すら自由自在に操れる利便性の高い炎の能力。

 そんな便利な炎を持つ彼だからこそ、このポジション(フロントアタッカー)が適任なのだろう。前に出て敵陣を切り崩し、最前衛で味方を守り切る。

 

「確かに、不知火の防御が固いのは分かった。でも、その防御に頼ってちゃあ、お前はそのうち殺られるぞ」

「んなこと分かってらぁ。だからこそ、アンタに師事しているんだろう。攻撃も防御もうまくて、防御ごとぶち壊すのが得意なヴィータ教官?」

「ンなこと分かってるさ。さぁ、次行くぞ!」

「おうよ、かかってこいや!」

 

 そう言って両拳を打ち合わせると、再び陽は防御の構えをとるのだった。

 

 

 

 障害物の中を超高速で駆け巡る影が二つ。

 ラウラは初風を、エリオはストラーダを。それぞれ構えて、四方八方から飛んでくる模擬弾を回避しつつ障害物の中を駆け回っていた。

 ステップと持ち前のスピードで放たれた弾丸を回避するエリオに対し、ラウラは障害物を使いながら回避していく。

 

「ほんと速いなエリオくんはっ」

「そんなことないですって! それより、ラウラさんのほうが速いんじゃないですかっ!?」

 

 ほぼ同時に二人がワンステップで切り返し、身を翻して模擬弾を回避する。体ごと思い切り振りまわして回避するエリオに対して、ラウラは最小限の動きだけで模擬弾を回避していく。

 エリオにとっては、この「最小限の動きだけで回避していく」部分が目に移り、余計に彼が速く動いているように見えるのだろう。しかし、それに対してラウラは「そうでもないよ」と苦笑いを浮かべる。

 

「僕は事実平凡だからあんまり速くない。でも、自分で言うのもなんだけれど、僕は他の人よりも瞳と反応速度がいいみたいで、それを活かすためにはこういう乱戦とか撤退戦、対空戦闘が向いているみたいなんだ」

 

 「目の良さ」と反応速度。それだけを使った迎撃戦。ただただ、自分の得意分野に特化したことで得た最強の戦術。それが、彼なりの「速さ」を求めた結果。

 

「だから、苦手は苦手なまま得意にしなくていい。苦手なものはそれなりにできるようにして、特異なものに特化していけばいい。それだけさっ」

 

 参考程度に覚えておくといいよ、と付け加えてエリオに伝えると、再び最小限の動きだけで模擬弾を回避する。

 エリオも、彼の言葉を聞いて自分の中で消化するようにうなずくと、再び模擬弾の回避に集中するのだった。

 自分でも気が付かなずに、ほんの半歩動くだけで回避してから。

 

 

 

「キャロちゃんの召喚魔法は、錬鉄の召喚と竜召喚の二つ、でいいんだよね?」

「はい。もしかして、尾崎さんも召喚魔導師なんですか?」

 

 キャロが展開した魔法陣から放たれる無数の鎖を、手持ちの日本刀で斬り払いながら鏡花は問いかけた。彼女の問いに肯定してから、キャロも返すように問いかける。

 

「召喚魔導師、というよりも式神使い、かな? 私はキャロちゃんみたいな召喚魔法は使えないけど――」

 

 正面から飛んできた無数の鎖を素早く斬り払いながら数歩下がると、着物の懐から一枚の札を取り出すとそれを宙へと投げ放つ。

 

「散る花弁の美しさよ。されど蕾のまま、散ることもなし――」

 

宙に放たれた式符を手持ちの刀で切り裂くと、鏡花の後ろが僅かにぶれる。まるで、後ろのスクリーンに映し出された虚像が、ノイズを纏ってぶれるように。

 

「顕現せよ、紅夜叉!」

 

 そして、彼女の言葉を受けた瞬間、ぶれていた虚像は輪郭をはっきりとさせてその姿をあらわにする。

 その姿は、真紅に染まった着物を身にまとった女性の姿。顔を隠すように、真っ赤な布を頭からかぶっているため、その顔も表情もわからない。

 それでも唯一分かるのは、鏡花の背後に浮遊するそれが、召喚魔法――と似た何かによってここに呼び出されたということ。

 

「召喚魔導師の弱点は、自分が倒されちゃうと、召喚対象が消滅してしまう可能性がある、ということ。これはキャロちゃんの竜召喚には一部当てはまらないけど、フリードにかけた強化は解かれちゃうよね」

「はい。だから、フェイトさんからはなるべく攻撃を受けないように回避する訓練を受けてました」

「そかそか。あの金髪お姉さんもよく考えてるなぁ」

 

 そんなことを言いながらうんうんとうなずく鏡花。しかし、すぐに真剣な表情に戻ると手持ちの刀を再び構える。すると、後ろの夜叉も同じように刀を構える。

 

「それじゃぁ、始めよっか。召喚魔導士狙いとその対策。たっぷり教えてあげるよ!」

「――っ。よろしくお願いします!」

「きゅくるぅ!」

 

 キャロの傍らで飛んでいたフリードの口に火球がともり、再び訓練という名の模擬戦が始まる。

 

 

 

――早朝任務終了後、食堂

 

 サンドイッチを片手にカタカタとキーボードをたたく音が食堂に響く。片目を眼帯で隠したまま、彼――佐々木聖は、先日起こったリニアレール事件の際に現れた新型ガジェット二機について独自のレポートを書き上げていた。

 

「AMFは双方の標準装備。人型のガジェット、通称ガジェットH型は武装に超硬化シールドと魔力エネルギーソード。あの生物型ガジェットは……ひとまずバイオガジェットとでも名付けておくか……」

 

 カタカタとデータを打ち込んでいきながら、ううむとうなりを上げる聖。そうなるのも、当たり前といえば当たり前なのだ。

 先の戦闘で「新型」と頭につくものが多く登場しすぎた。ライトニングの二人と龍吉・ミハエルのペアが遭遇した、通称Ⅲ型。今ちょうどデータを打ち込み、これから解析に入ることになるであろうH型とバイオガジェット。ある意味――

 

「課題は山積み、か――ん? うん、あぁ、解ってるさ。データ解析はもちろん、所長たちにやってもらう。今やるのは弱点解析のほうで――」

「誰かと通信中?」

 

 データを打ち込みながらぶつぶつと呟いていると、ふと声をかけられる。その声の方に視線をやると、トレーに聖と同じようにサンドイッチ各種を盛ったフェイトが立ってた。

 彼女の問いに対して首を振って否定すると、は「隣、いい?」と視線を送られる。聖はそれに応えるように自分のトレーと端末をずらし、席を譲る。

 フェイトは席に着いてから、そのままサンドイッチを一口かじって、聖の打ち込んでいたモニターを覗く。

 

「そのデータ、この前のガジェット?」

「あぁ。出会って間もない、記憶が鮮明なうちに眼に覚えさせておきたくて」

 

 そう聖は言いながら、左目――につけた機械じみた眼帯と、そこから伸びるユニットケーブルを端末から引き抜きながら言う。

 

「そういえば、さっきのって……?」

「あぁ、これ? 俺の左目の義眼に埋め込んだ試作魔導機と話してた」

「試作、魔導機?」

 

 機械じみた眼帯をこつこつと叩きながら聖はうなずく。そして、眼帯をとってその眼をフェイトに向ける。

 

「単純に言えば、脳の使用領域の拡張、かな?」

「使用領域の、拡張?」

 

 フェイトの言葉に対して聖はうなずき、どこからともなくノートを取り出して絵を描きだす。

 

「単純に言えば、人の動きとかその人の音声とか、色んな情報を左目(こいつ)が集めて、多角的に解析することが出来るわけよ」

「へぇ。あ、もしかして朝の訓練でティアナの背後撃ち(バックショット)を防いだのも……?」

 

 フェイトの言葉を受け、聖はその通りと言わんばかりににっと口元を上げて頷く。

 

「まあ、魔力反応も追っかけられるし演算能力は高いしで、体を動かすのは俺担当、考えるのは左目(こいつ)担当みたいになっててな。無駄に噛み合っちまったから弾道予測はもはや未来予測の領域ってらしくてな」

 

 はぁ、とため息をつきながらもう一度眼帯を付け直す

 

「他にも機能はあるみたいだけど、どのみち使いすぎれば人として終わるからな、って言われててな」

「そんなの、だめだよ。人として終わるなんて、無茶が過ぎるからね?」

 

 きっ、と少し怒るような表情を聖へ向けるフェイト。そんな表情を向けられた聖は焦ったような表情をしてから苦笑いを浮かべる。

 

「も、もちろん無理無茶無謀は俺の専売特許だけどさ。さすがに左目(こいつ)の使いどころは考えて使うさ」

 

 そう言ってから聖は頬を描きながら苦笑い。フェイトもまた、心配そうな表情を一瞬だけ浮かべてから同じように苦笑いを浮かべるのだった。




めっさ短いww

しかし、日常かいなんてこんなもんでしょうと思いたい、ほんとに。

それでは、次回もお楽しみに~
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