魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~   作:Yuino

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 相変わらず亀のような遅さの更新速度でございますが、書くことは忘れておりませぬ。

 皆様、お久しぶりですYuinoです。

 ということで、更新しましたので最新話どうぞです!


StS08:久しぶりの手合わせ

――管理局本局。

 

 かつかつと革靴を響かせながら、彼――織村龍吉は本局の廊下を奥へ奥へと進んでいた。彼の隣にはなのはが共についており、彼を先導するように歩いている。

 二人の目的は一つ。それは――

 

「ようやくできたんだ、龍吉君のデバイス」

「デバイスというより、聖曰く外部兵装らしいっすけどね」

 

こつこつと革靴を鳴らして、なのははとある部屋の前で止まる。それに倣うようにして龍吉も彼女の隣で止まり、その部屋にかかっているルームプレートを確認する。

 

「特別戦略技術研究部。ここが、聖の所属している部署なんすね」

「そう。通称SSDR。技術部としても、特別武装体としても結構有名なんだけど、本局の部署の中でもだいぶ()()()()()()()部署だから、ある意味窓際部隊って言われちゃってるけどね」

 

 そんな風になのはは言いながら、扉をノックする。すると、ややあってからその向こうから「開いてっよー」と若干疲れたような女性の声が響く。

 彼女の声を聴いてから、龍吉はなのはの顔を一瞥する。なのはが小さく頷いたのを見届けてから、扉のノブに手をかけてゆっくり引く。

 ぎぃぃ、というなぜか鈍い音が響く。引いた瞬間に、何か紙束をまとめて引き裂いたような音が聞こえた気がしたが、気にせず龍吉たちは中に入る。

 入った瞬間、これが技術部の部屋として普通の部屋なのか、と思ってしまうような部屋だった。

 二人の目の前に広がったのは大量の資料、本、雑誌、ゲームの山。

 まるで引きこもりの人の部屋のように見えるその向こうに、ふりふりと手を振る一人の女性の姿が見える。

 

「リューキチくん、ここにいるよー」

「えと、あなたがルルイナさんでいいんですよね? 聖の上司の」

 

 資料の向こうから見える女性の姿は、ジャージに白衣というさも「外見は研究者だけど中身は完全に引きこもり」というような女性――ルルイナ=ディートハルトに声をかける。すると彼女は、資料を手早く片付けながら自分のデスクと、その近くにあるコートツリーまでの道を作り出す。

 

「ごめんね~、すっごい散らかっていて。あ、高町教導官もいらっしゃい~」

「別に散らかってるのはいいんですけど、こんなところでよく仕事できますよねディートハルト一尉は」

 

 物がたくさんあるほうが落ち着くんだよねえ、と苦笑しながらルルイナはひょいと椅子から立つと、コートツリーにかかっていた漆黒の外套を手に取り、それを龍吉へと手渡す。

 

「これが、リューキチくんのデバイス――もとい外部兵装。名前は決まっていないから、君の好きなように決めてあげて」

「黒い、マント?」

 

 なのはが訝し気に龍吉が手に取ったそれ――ぱっと見は完全にただの黒い外套。黒いロングコートに視線を送る。

 龍吉は、受け取ったコートを満足げに見つめながらルルイナに一礼する。

 

「どうもです、ルルイナさん。実は、名前はもう決めてあるんですよ」

 

 そのまま羽織ると、にっといつも通りの笑顔を浮かべる。

 

「こいつの名前は――」

 

 小さくも高らかに声を上げる。彼の声に呼応するように、その外套についた漆黒の宝石がきらりと煌めいた。

 

 

 

――昼過ぎ 機動六課 訓練スペース

 

 フォワードメンバーの訓練がひと段落し、一時的にスペースも時間も空いたこの時間。聖は一人、刀の柄のみ、右手で握ると中段に構える。

 

「――刃製(ブレード・オン)

 

 柄だけの刀――過去、「血刀彼岸花」と呼ばれていた刀の柄から伸びるのは光の刃。刀、というよりは直剣というような刃を作り出したそれを一瞥。その重さを確かめるように振るってから居合の構えをとり、真正面に置いた目標――廃車となったトラックを見つめる。

 

「――霧走(むそう)

 

 小さく紡ぐ一言。瞬間、彼の足元に展開される六芒星の魔法陣。ぐ、と小さく腰を落とし、体重移動だけで思い切り前へと加速する!

 巻き上がる土煙。ごうっ、というジェット推進音にも近い音が響いたかと思うと、すでに聖は目標の後ろにいた。

 血糊を払うように振るって光剣を消滅させると、その瞬間にトラックは真っ二つになっていた。

 

「光剣だけでも十分な切れ味だな、こいつは」

 

 くるくると柄だけの刀を宙に放りながら腰のホルスターに収めると、後ろで一連の所作を見ていた彼――龍吉へと声をかける

 

「ンで、何の用だよ龍吉」

「いや、お前ンところ(SSDR)から受け取ってきたこいつの運用テストをしたくてな」

 

 そんなことを言う龍吉は、すでに羽織った真新しいロングコートを彼に見せる。

 聖はそれを見て察したのか、仕方ないなと小さくつぶやきつつも時計を確認。

 休憩終了までまだ幾分か時間がある。聖は上で次の訓練メニューを組みなおしているであろう教導官――なのはに目配せをする。

 目が合ったなのはは、その視線の意味を理解し、仕方ないなぁというため息をつくと、かたかたとキーボードコンソールをいじって聖へ送る。

 ややあって送られてきたメッセージには「午後の時間いっぱい上げるから、好きにやっていいよ」と一言だけ。

 そのメッセージを見て、思わずため息をつく聖は、龍吉に対して真っすぐに向き直る。

 

「なのはさんが好きなだけやりなって。全く、あの人も無茶言うぜ」

「そういう聖も、どことなく楽しそうだけどな?」

 

 聖の言葉に対し、龍吉は皮肉交じりに言い返す。そして、手に持った炭酸ジュースの空き缶を思い切り上空へ放った。

 一、二、三と、二人は脳内でカウントしていく。最高到達点に達し、一瞬滞空してから、あっという間に地表に落下する。

 カラン、という軽い金属音が鳴った瞬間――

 

「シッ――!」

「セァッ――!」

 

 二人の拳がぶつかり合う!

 薄い魔力でコーティングされた聖の拳と、黒虎で硬化された龍吉の拳がぶつかり合う。

 ぶつかり合った瞬間、龍吉は身にまとった外套に魔力を回し、背中から巨大な黒い獣の顎――黒虎を展開し、聖の頭上から攻め立てる!

 しかし、聖もそれを視界の端でとらえてガードを上げたまま思い切りバックステップ。黒獣の牙を回避し、両手を合わせる。

 

「――刃製(ブレード・オン)

 

 バジバジッ、と両の手からスパークがあふれ、その手に一本の光の刀が生まれる。生まれた刀を両手で握り、その切っ先を真っすぐ龍吉に向ける。

 切っ先を向けられた龍吉は、いつも通りのニヒルな笑みを浮かべて「こっからが本番、ってことよなぁ」と一言つぶやく。そして、そのまま拳を握り締めてファイティングポーズをとる。その瞬間、その身にまとった黒い外套がゆらりと「風もないのに」揺らめいた。

 

「行くぞ、山茶花(さざんか)

 

 龍吉の一声とともにマントが揺れ、翼のように広がる。広がった黒い翼は、あっという間に形を変え――

 

「羅生黒虎――双顎(かさねあぎと)

 

 二つの巨大な獣の顔へと変化する。

 二頭の獣は、まるで自らの意思を持ったかのように鎌首をもたげ、その牙を聖へとむける。

 明らかな敵意を向けられた聖は、光の刃の切っ先を龍吉に向け、突撃態勢をとったまま動かない。

 龍吉もまた構えたまま、そして外套から伸びる双頭の獣は時折威嚇するように口を大きく開き、吠えるだけで動かない。

聖は、上下左右どの方向からでも一太刀浴びせられるような、ごくごく自然体。ある意味、「天剣佐々木帝流」の基本の構え。

 対する龍吉は、先ほどから全く変わらずに構えを崩さない。

 一秒。

 二秒。 

 三秒。

 なにも、誰も動かずに十秒が経過し――

 

「天剣佐々木帝流――!」

「羅生黒虎――!」

 

 聖が先に一歩飛び出し、それにわずかに遅れる形で龍吉が迎撃の構えをとる。

 たった十数メートルの間合いを、聖はたったの二歩で詰めてくる。ブリッツアクションと同じ、カスミ式魔法「風神」を初手から惜しみなく使用し、全力の魔力ブーストを以て瞬間的に詰めていく。

 しかし龍吉はひるまない。ガードを上げ、左足を半歩前に出し、聖の一太刀よりも早く龍吉の左リードブローが伸び――

 

「かわせ――っ!?」

「食らいつくせ!」

 

 それに対して半テンポ遅く、背中の二尾の獣が牙を剥いて襲い掛かる!

 龍吉の左のリードブローが飛び、それを聖が回避した瞬間に二尾の獣が聖の剣術『翡翠』を妨害する。

 ガギンッ、と鈍い金属音が鳴り響き、振り下ろす前の光の刃は大きく上へ吹き飛ばされる。

 

「まず――っ」

(ここだ――っ!)

 

 聖が体勢を崩したのを視認した龍吉は、さらに踏み込み自分の射程距離に聖を収める。

  思い切ったステップイン。まるで飛び込むような突進力。少し前の龍吉にはなかった速度に、聖は驚いて一瞬だけ体が固まる。

 そんな大きな隙を、今の龍吉が逃すはずがない。

 

「羅翔羅刹、鎧槌(がいつい)双装(そうそう)!」

 

 龍吉の両腕に漆黒の籠手が纏われる。さらに腰を落とし、その左の拳を聖の顎へと狙いを定める。

 しかし、聖も龍吉の狙いは、彼の視線の先で何となく察していた。

 咄嗟に左腕に自慢の防御壁である『絶対守護障壁』を展開し、龍吉の一撃に備える。

 しかし――

 

「ら――ぁっ!!」

「がッ――!?」

 

 超高速の二連撃。

 上下からのほぼ同時の連撃をまともに受け、聖の腰が落ちる。

 落とされそうになった意識を何とか繋ぎ止め、聖は倒れこみながらも体を回転させて間合いを開け、再び構える。

 

「て、めっ。そんな攻撃、フィクションの中だけにしろって―の」

「へへっ。熱量加速使わないとこいつは再現できないからな」

 

 左拳の打ち上げと右拳の打ち下ろし。通常の速度で放てば簡単に防ぐことができたはずのモノ。しかし、それが出来なかった。

 単純な威力でガードがこじ開けられ、その上から叩き込まれたのではない。単純な威力だけなら、先手を打って張った『絶対守護障壁』を撃ち抜けるはずがない。

 それ以上の威力か、もしくは聖の反射速度を上回る速度で放たれたか――

 

「っ――まぁ、完全に俺の反応速度越えか」

「聖の反応速度越えを大前提に考えた技だからな。名付けて『黒牙(シュヴァルツファング)』ってな」

 

 再び両腕の籠手から蒸気を吹かせ、またもや一瞬で距離を詰めてくる龍吉。

 しかし、同じ手段が二度通じるほど、聖は甘くもない!

 

「なめんなよ、龍吉!」

 

 龍吉の突進に合わせるようにバックステップ。

 たった一度の被弾で龍吉の『黒牙(シュヴァルツファング)』の、突進を含めた諸々の射程距離を見切る。

 龍吉の初撃はものの見事に空振る。しかし、空気を切り裂くゴウッという音が聖の耳まで届き、その威力を改めて痛感する。

 もう一撃、まともに食らえば、確実にダウンだということを。

 冷汗がつうっと頬を伝う。だが、聖は一息ついてから構えた光の刃を宙へ霧散する。

 その行動に小首をかしげる龍吉。しかし、にやりと不敵な笑みを浮かべた聖を見て、彼はもう一度構えなおし――

 

「さぁ、ここから思い切りいかせてもらうぜ!」

 

 思い切り一歩踏み込み、再び驚異的な加速で二人の間合いがゼロになる。

 そして、その突進の勢いそのままに、速度を乗せたまま左拳を真っすぐに撃ち込んでいく。

 だが、それを予測していた聖はその前に最低限の動きだけで戦闘態勢を整え、右足を半歩前へ出し、ファイティングポーズをとる。

 そして、龍吉の突進に合わせてカウンターを放り込む!

 

左構え(サウスポー)のライトクロス!?)

 

 龍吉も何とか反応し、振り切る前に右拳を撃ち込んで聖のライトクロスの軌道をぎりぎりそらす。

 チリッ、という何かが焦げるような音が響き、龍吉の頬が焦げる。

 視界の端に映ったのは、蒼い光。聖が握っていた光の剣と同じ光。それが、聖の両拳に纏われ、鋭い光の矛と似たものへと変化していた。

 たんたんっとステップで距離を開け、それが何かをもう一度視認する。

 両の拳だけを覆うように纏われた蒼光の矛。龍吉が装備している「鎧槌」のような、拳から肘の手前までを覆うような籠手のようなものとは明らかに異なる。

 遠近両用だった光の剣を、防御を完全に捨て近接攻撃へと特化させた形状。その名の通り、何物をも貫き通す矛。何物をも斬り裂く刃。

 

「光の剣の応用ってわけね。なかなかエグイものを仕込んできたな」

「これだったら、AMFの濃いところでも集中展開で使えるからな。射程距離が一気に短くなるっていう欠点があるがなっ!」

 

 再び思い切り聖が踏み込み、両者ともに射程距離に入る。その瞬間、龍吉はただただ『純粋に加速させただけ』の拳撃を聖へ打ち込む。聖もまた、その拳撃をいなしてカウンターとなる左拳を打ち込む。

 しかし、その一発も龍吉には届かない。纏った外套から、まるで腕のように伸びる黒影が聖の光の矛を阻む。

 まさに一進一退の攻防。

 聖も龍吉も、互いに交えるのは近接戦闘。

 しかし、聖は自分の得意分野として、龍吉は自分の苦手をつぶす形として、それぞれ特化させてきた。

 それは、互いに相棒(パートナー)でありながら好敵手(ライバル)であり続けるために。

 互いに何度目かの相打ち――十度、二十度、三十度と撃ち合い、回避を重ね、相打ちを経て、二人の間合いが再び開く。

 

「ふぅぅ――っ」

 

 間合いが開いた瞬間、聖はその場で広めのスタンスをとって構える。構えは正拳突きの構えにも似て、しかしそれとは非なるもの。

 打ち込みの瞬間に全体重をかけることが可能な、まさに突撃の構え。

 それを見て、龍吉は装備していた鎧槌を解除し、外套から再び巨大な牙を形作る。

 チリチリッ、と空気が焦げるよう。瞬間、聖の右腕に青い光が纏われ――徐々に大きくなり、巨大な槍のように変化する。

 

「この魔法はまだ未完成だがな――お前にだけはこの状態でくれてやる!」

「だったら、俺もお前へこの新技をくれてやらぁ!」

 

 そう龍吉が言うと、その場で同じように構えなおす。それに追従するように外套の黒獣がその鎌首をもたげ、巨大な顎を開く。

 一歩、聖が踏み込む。瞬間、巨大化する右腕の光の槍。大雑把な形だったものが、より鮮明な「槍」の形として腕から伸びる。

 それに合わせるように、龍吉も右腕を上げる。その姿は、まるで一軍を指揮する軍司のよう。

 そして――

 

「光の剣応用編――」

「羅生黒虎――」

 

 ダンッ、と踏み込み、思い切り突進する。

 聖の突進に合わせて、龍霧もまた、右腕を振り下ろす。

 

「――彗星!!」

「――凶顎(まがつあぎと)!」

 

 同時にぶつかり合う黒獣と光の槍。

 瞬間、空間がはじけ飛び大爆発を起こす。

 爆発がやんだころには、立っていたのは龍吉でも聖でもなかった。

 それもそのはず。二人とも地面に倒れ伏せていたのだから。

 聖は未完成の状態で放った『彗星』の反動で、龍吉はぶつかり合った『彗星』と『凶顎』の爆発で、それぞれ完全にダウンしてしまっていた。

 

「はっ――はっ――まだ、流石に未完成だわ――これ」

「なに――未完成のやつ――放って――倒れてやがる――このばかやろ――」

 

 数十分、互いに憎まれ口をたたきあう二人。

 しかし、遠くからその様子を見ていたなのは曰く、とても楽しそうだったという……

 

 

 

――管理局本局

 

 共有のデスクワークスペースにただ一人だけ。白い長髪をゆらりゆらりと揺らしながら、のそのそと仕事を進める女性の姿があった。

 デスクの上にぐでっとだらしなく体を投げ出し、そんな体制のままぱちぱちとのんびりとキーをタイプする姿は、まるでぐーたらなニートのよう。しかし、本局内で仕事しているから、もちろんニートではなく――

 

「榊一尉、またそんな恰好で仕事をしていたのか」

「あら、ナカジマ三佐。ごきげんよう」

 

 ぼうっとした表情を浮かべたまま、彼女――榊一姫はゲンヤ=ナカジマ三佐へ顔を向ける。そんな顔を向けられたゲンヤは、彼女以上にげんなりとした表情を浮かべ――彼女の前にポンと束になった書類の山を置く。

 

「こちらは?」

「本局第一航空戦隊。通称一航戦からの勅令だよ。つまりは、お前んとこ六〇一航空隊の上からのお達しだ。しかも、お前さん宛てにな」

「へぇ、赤城さんからの」

 

 一姫は、直属の上司――赤城玲一からの勅令と聞いてわずかに頬を緩ませる。紙束をむんずと掴みぱらぱらとめくりながら内容を頭に『転写』していく。

 その様子を見ながら、ゲンヤは呆れたような表情こそ見せたものの、どこか感嘆とした表情を浮かべた。

 

「本当に、キミは真面目にやれば凄いのに。何故いつもそうしないんだい?」

「理由は二つ。面倒くさい。そして、いつも真面目にやると疲れる」

「全く。色彩の名が泣くよ、榊一尉」

 

 いいのよ、これで。そんな風に返答し、彼女は再び書類へと目を通し、再び書類の中身を脳内へと『転写』していく。

 その姿を見ながら、ゲンヤは一息ついてそのまま去っていく。

 ゲンヤが去っていくのを横目で見ながら、一姫は記憶し終えると、いつになく真剣な表情をして立ち上がる。

 そして、デスクの横にひっ掛けていた翼の形をしたペンダントをつかみ、首から下げるとそのまま共有デスクスペースを発つ。

 

-出るのかい?-

「えぇ。久々の全力稼働になりそうよ。覚悟なさいハルート」

-あぁ、解っているよ。全力で、キミとこの空を踊ろう-

 

 何時しか彼女は本局の屋上。そのヘリポートにたどり着く。

 首から下げた翼のペンダントを、半ば引きちぎるように首から取り去るとそのまま空へ掲げる。

 きらりと太陽光に反射して、銀色の翼が輝く。そして、彼女は小さく、しかし凛とした声で唱える。

 

「さぁ、行きましょう――」

 

 ぱちん、と指を鳴らす。瞬間、甲高い金属音に近しい音が響き蒼銀色の魔力光が彼女を包み込む。

 その光が落ち着いた後、彼女が纏うのは同じく蒼銀色の軽甲冑。甲冑、というよりも必要最低限の部分にのみ鎧をまとわせ機動性に優れた、ベルカの騎士甲冑をベースにしたバリアジャケット。そして、彼女の背から伸びる、機械風の翼。

 その、現時点では一点物のデバイス――アーマードデバイス「ハルート」を身にまとった彼女は、とん、とその場で小さく跳び、そのまま空へと飛びあがる。

 ほんの数秒で遥か高く跳びあがった彼女は、空中で一回転してそのまま本局航空隊の本隊のあるほうへと飛んでいく。

 空を自由に飛んでいる彼女の表情は、どことなく楽しそうだったという。

 

 

 




~次回予告~

 機動六課フォワードメンバー全員、そして聖の所属部隊SSDRからの助っ人二人を含めて取り掛かる「ホテルアグスタ警備任務」。

 何でもない警備任務のはずが、その中で一人――ティアナだけはどこか気負っていた。

 優秀な同期、強すぎる先輩、成長を感じられない自分へのいら立ち。

 そんなティアナを見て、助っ人で来た彼女が、ティアナへと寄り添い――

次回、魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~

StrikerS編9話~強さを求めるわけ~

「私は、もっと強くならなくちゃいけないんです」
「じゃあ、その強さに一つ、二つ、新しい意味を加えてみよ?」


~~~~~

久しぶりに次回予告なんか入れてみましたが、なんか慣れないww

感想、ご意見、「俺がキャラ考えたから使ってみなさいこの下郎(意訳)」がありましたら、どしどしお待ちしておりますゆえ!
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