魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~   作:Yuino

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問い:更新速度が若干上がりました。その理由は何でしょう?
結論:Pomeraを購入して、どこでも執筆作業が出来るようになったから!

どうも、Yuinoです。

ホント、Pomera便利。電車の中でぼーっとするはずだった時間で、これ書けたりレポート書けたり引き継ぎ資料の原稿書けたりするんですもの。

はい、世間話終わり。

ということで、ゆっくりしていってくださいませ

(2017/12/26 加筆修正)


05:邂逅、其の二

――翌日、土曜日、午前11時

 

 昼前。聖は龍吉の家を訪ねていた。昨日の深夜26時、正確に言えば今日の二時にLINEでの連絡を入れていたのだが、今になってもいっこうに連絡がなかったため、心配して出てきたのだ。

 愛用のママチャリのカゴ一杯に入っているのは、美月や葵から手渡されたお菓子の山。二人曰く「久々に帰ってきてるからたまにはウチにもいらっしゃい?」だったり「たまにウチで、一緒に格ゲー、しよ?」といったアピールらしいが、聖はそれらを全て無視してここまで来た。

 もちろん、何となくではあるが記憶の片隅にあるのだが。

 

閑話休題。

 

 久々にこいつの家に来たなぁ、とか思いながら、聖はインターホンを押す。ポーン、と言う単発の音が響く。一秒、二秒、三秒と時間が過ぎてから、ブツン、という繋がったような音がインターホンの奥で鳴った。

 

『はいは~い? どちら様~?』

「お久しぶりです。佐々木聖です」

『わっ。ひじりん久しぶり~。今開けるね~?』

 

 インターホンの奥から聞こえた、透き通った声。それを彼は聞いてから、玄関から半歩離れて待つ。

 少したってから玄関が開く。その向こうには、赤みがかった黒髪の女性がエプロン姿で立っていた。

 

「お久しぶりです、小春さん」

「うんうんっ。ひじりんも久しぶり~。ほら、入って入って」

 

 ほんわかとした雰囲気を醸し出しながら、彼女──織村小春が笑顔を浮かべる。

 お邪魔します。そう忘れずに聖は言うと、龍吉――もとい織村家に入っていく。小春が出してくれた、ここに来たときに彼が履く――つまり聖専用のスリッパも忘れない。

 ぱたぱたと音を立てながら少し早足で歩く小春の後ろをついて行く。彼女が扉を開けた先――リビングに入って、第一声。

 

「龍~、聖君が来てくれたわよ~?」

「おーう、来てやった・・・・・・ぞ?」

「おう、きたか聖・・・・・・」

 

 リビングのソファ。そこに龍吉はいた。ただし、いつもの ひょうひょうとした彼ではなく、体中に絆創膏をつけ、左腕を包帯で吊った状態の、痛々しい姿で。

 

「おいおいおいおい、なんだよそれ。なにがあったよ。」

「まぁまぁそう声を荒げなさんな。簡潔に言えば――」

 

 スラッシャーに会った。そう龍吉は告げ、昨日の深夜にあったことを話し出した。

 

 

 

――昨日、深夜一時半

 

 轟音をたてて、龍吉が放った黒槍とスラッシャーの赤黒い光で染まった右腕が交錯した。鍔迫り合いの後、斬り払うようにして龍吉は槍でスラッシャーを吹き飛ばす。

 

「黒虎!」

 

 龍吉の一声。それとともに龍吉が手を添えていた黒槍が歪み姿を変える。

 それは、まるで九尾。九つの黒槍が尾のように龍吉のコートから展開され、それぞれが生きているかのように動き、スラッシャーへ狙いを定める!

 

九重(くじょう)黒槍(こくそう)!」

「――――!!」

 

 時間差かつ連続で放たれる九つの黒い槍。それぞれがまるで意志を持つようにスラッシャーへ迫る!

 しかし、それをスラッシャーはモノともしない。両手を赤黒く輝かせ、射程圏内に入る度に黒槍をたたき落としていく。しかし、龍吉はめげずにとにもかくにも槍を叩き込んでいく。

 

「キリがないな。なら――!」

 

 龍吉の一声で九つの槍が一つに束ねられる。巨大な槍、否、尾となったそれは、ギチギチと大きく軋み、風を切りながら力を蓄えるようにして振りかぶられ--

 

「吹っ飛べ!!」

「――――!?」

 

 眼で捉えられる速度を超えた一撃。横殴りにスイングされたそれをまともに受けたスラッシャーは、低い弾道を描きながら吹き飛ばされていく。そして、龍吉はそれに対し追撃をかけるべく、一気に走り出す!

 

「まずは、そのやっかいな両腕を封じる!」

 

 龍吉は助走を生かして大きく跳び上がり、一纏めにした黒尾を二股に展開。二股に分かれた黒尾はその先を鋭く尖らせ、吹き飛んだスラッシャーの両腕の中程を突き刺し、貫通させる。

 

「ガァァァァァッ!!」

 

 うめき声ともとれる声を上げて、スラッシャーが叫んだ。動かない、動かせない両腕を強引に動かそうとし貫かれた部分が徐々に大きくなっていきそこから血が吹き出る。

 ぴっ、と跳ね飛んだ血液が龍吉の頬に赤い斑点を作る。龍吉は、脱出されないように両足でスラッシャーの足を押さえつけているが、どれだけ保つか分かったものではない。

 

「このっ--!」

 

 押さえつけたまま再度足に蹴りを入れ、動かされないようにするものの効果がない。

 そのときだった。

 

「アァァァッァァアァァァッッ!!!」

-Blood shot-

「なっ――ぐっ!?」

 

 スラッシャーの雄叫び、それに隠されるように放たれた機会音声。それが耳に届いたときには、龍吉は頭から後ろに数メートル跳ね飛ばされていた。

 一瞬、何が起きたか把握できなかった龍吉は、すぐさま受け身を取って数歩後ろに下がる。額に触れると、ぬるりとした嫌な感覚。触れた右の人差し指には、真っ赤な鮮血がこびり付いていた。

 龍吉は、後ろに下がったまま様子を窺う。

 

「つ、よいな、お前――」

「そいつはどうも」

 

 スラッシャーの周囲に浮かぶ、赤黒く輝く光る球体。龍吉は、それがいわゆる“魔力弾”だと理解するのに数秒もいらなかった。

 彼は小さく「黒虎、九重黒槍」とつぶやき、再び九つの黒尾を展開する。それをみたスラッシャーは、フードの奥からわずかに見える口元をにやりとつり上げ、「俺は――」と口にした。

 

「――ジェイソン」

「ジェイ、ソン――昔のホラー映画のあれかよ」

 

 全く似てねーじゃねーか。そんな風に思いながら、龍吉は再び構えをとる。

 そして、スラッシャー、もとい“ジェイソン”は、仕舞い込んでいた先のサバイバルナイフを取り出し、それを横にスイングする。

 するとそれは、赤黒い光を纏い、それが消えた頃には彼の身の丈を優に越える巨大な鎌となった。刃の部分全てが曲線を描く、普通の鎌とは異なり、刃の部分は曲線ながら、外側の部分は直線でもって形成される、異形の鎌。芸術品として飾られるような、禍々しいそれを構え、ジェイソンは飛び出す!

 

「あんた、何故殺しをした!!」

「強者求む、俺。多く殺した、故に。名を知らせるため、強者に」

「だからって、殺していいって訳じゃねーだろうに!」

 

 龍吉とジェイソンは、至近距離で打ち合いながら言葉を交わす。

 ジェイソンは、倒置法ともとれる独特の話し方で自らの目的を。

 龍吉は、彼の否定をするように叫ぶ。

 

「一回お前は、ムショに入って頭冷やしてろ! 一重(ひとえ)──」

 

 彼の叫びに、九尾に分かれていた黒槍は再び一纏めになる。ギチギチと歯ぎしりにも近い、いやな音が響く。

 そして──

 

「──大薙(おおなぎ)!!」

 

 龍吉の外套から伸びた黒の巨槍は、大きく力を溜めるように引き絞られ、反発力を利用し、まるで鞭の如くジェイソンへ放たれる。

 ジェイソンは、それを見て大きく口元をつり上げ、真正面から鎌の切っ先でそれを受け止めた。

 

「キャハハハハハハッ。強い、お前! 気に入った、俺!! 殺す、お前!!」

「こんなところで殺されてたまるかってーの!」

 

 距離を取った両者は、再び激突した――

 

 

 

――現在

 

「んでもって、こっちの体力切れを狙ったようにスラッシャー・・・・・・ジェイソンがこっちに攻めてきて、このザマってわけだ」

 

 やっぱり、基本頭脳担当が脳筋担当に勝てるわけねーやな。そんな風に言いながら龍吉は苦笑する。その、意外にも無事そうな姿を見て聖は大きくため息をついた。

 

「ったく。こんなに無事なら最初あんなに心配する必要なかったじゃねーかっ」

「はははっ、まぁ、お前の貴重な心配する表情がみれて面白かったノォォォ姉貴叩くのやめぇぇぇ!?!?死んじゃうからぁぁぁぁぁ!」

「バカ龍!心配してくれてんのにその口はないでしょうがっ!」

 

 ぺしぺしと音を立てながら、小春が龍吉の吊った腕を平手で叩く。そのたびに龍吉は悶えるように叫ぶが、聖は完全スルーを決めつけ手近な椅子に腰掛ける。

 小春は「だめな弟でゴメンねぇ」と両手を合わせながら謝るが、聖は「大丈夫っす。もう慣れてるんで」と一言告げ、龍吉の負傷した部分を軽くはたく。そのたびに龍吉が叫びを上げるが、聞かない聞こえていないフリ。

 そんなことを少しばかりやってから、聖はその後のことを相談しはじめる。

 

「とりあえず、奴、ジェイソンに対する対応ですけど・・・・・・」

「私たちの、花吹雪の方にも警察から直々に捕縛依頼が来ているからね。独自に動く気はあるよ」

「そうですか。なら、こちらも先ほど伝えたとおり――」

「えぇ。その、なのはさん、だったかしら? その人達と一緒に協力して彼を捕まえて。ただし、絶対に」

「無理はしない、ですよね。分かってます」

 

 ぐっ、と拳を握って聖は小春に言う。その姿を見た小春は安心したような表情で彼を見て、龍吉は「はい~嘘こけ~」と言いながら比較的無事な腕でお菓子を摘む。何か呟く度に、龍吉は小春に叩かれて大絶叫。聖はそれを聞かないフリ。

 さて、と大きく聖は伸びをすると、とりあえず明日から動くかなぁ、とか思いながらお菓子を摘んだ。

 

 

 

――翌日、日曜日。正午。海鳴市内

 

 さて、偶然というものは比較的高い確率で起こりえるものだと思っている。どうも、佐々木聖です。

 俺は今、海鳴市内をぶらぶらとふらついています。特に理由はないです。だって今日は日曜日。本当なら一日中家でゴロゴロしていたかったし、作り掛けのプラモデルを作ったり、積ゲーとなってしまっているゲームをやっていたかったです。それなのに、それなのに・・・・・・!

 

「高町さん、次あのお店行きましょ!」

「わぁ、いいですね!行きましょうか美月さん」

「葵ちゃん、次どこ行きたい?」

「んと・・・・・・あ、あのお店が良いな」

「へぇ、葵ちゃんは紅茶とかに興味あるんか?」

「うん。いろんな紅茶、飲み比べてみたりして、家で煎れてみたりするの、楽しいよ」

 

 はい。この通り、絶賛女性陣の買い物の付き合いというなの荷物持ちをさせられています。両手には、すでに大量の彼女たちの戦果。女三人寄れば姦しい、とは言うけれど、これは姦しいのレベルを超えている。と言うか、俺氏の要領もとっくに越えている。

 

「えと、佐々木く・・・・・・聖君、大丈夫?」

「あー、いーのいーのっ。ひーくんにはきっちり今荷物持ってもらって、あとで報酬渡すって約束してるから」

 

 さりげなく俺のことを名字から名前で呼び直した高町に、俺の代わりに答えるようにして美月姉さんがにっこり笑顔でそう言う。

 まぁ、大丈夫だから問題はない。そういう意味を込めて、俺はとりあえず何とかあいている左腕をプルプル上げて、サムズアップ。高町はそれが伝わったのか、「無理しないでね?」と一言。本当にありがたい。

 ついでに、周りから伝わる、突き刺さるような視線もなんのその。全部無視だ無視。

 俺はふぅと一息ついてから身なりを整えるようにして荷物を持ち直すと、少し先を歩いているテスタロッサの少し後ろまで追いつくように駆け足。そんな俺の足音に気がついて、テスタロッサが俺の方を振り返った。

 

「佐々木君、大丈夫? 持とうか?」

「あー・・・・・・うん、まだ大丈夫」

 

 そう言いながら、俺は苦笑い。テスタロッサも苦笑い。そんなやりとりをしてから、俺は「ひーくん、はーやーくー!」と急かす美月姉さんの後を足早に追いかけていった。

 

 

 

 それから少し歩いて、さらに荷物が増えて要領オーバーとなった俺は、休憩を所望。ちょうど海鳴臨海公園の近くまで来ていたため、そこで休憩となった。

 どっこいせ、とまるで老人のような声を出しながら俺は芝生の上に座り、そしてゴロンと寝ころぶ。うん、芝生最高。このまま寝たい寝てしまいたい。

 うつらうつらとくる眠気を何とか振り払いながら、俺は確保した弁当の中身(美月作。彼女が実は料理は佐々木家の中で一番美味い)を摘む。うむ、やはり美味い。

 俺は弁当の中身を平らげると、肩掛けの鞄の中に弁当箱をしまい再び寝転がる。少しだけ首をひねると、そこは女の園(別に変な意味ではない)。高町、テスタロッサ、八神、そして美月と葵が和気藹々と弁当を摘んでいた。流石は女子。仲良くなる速度が恐ろしく速い。仲が悪くなる速度も恐ろしく速いところがまた怖いところでもあるが。

 

「そーいえばさぁー」

 

 そんな風にして美月姉さんが俺の安眠を邪魔すべく声をかける。

 何だ、せっかくいい感じに眠気が来ていたって言うのに。なんのようだ?

 

「なのはちゃんたちとひーくんって、どういう経緯で知り合ったの?」

「それ、私も知りたい。妹として」

「やだね。めんどくさい。つーか寝かせろ」

 

 美月姉さんの一言を一蹴。それを聴いた美月は「ざぁんねん」と一言言うとそのままぐでぇと芝生に。それを見て、俺は思わず呆れてしまって途中で買ったポカリを一飲み。

 そのまま、本来ならここで少しだべって、その流れで最近近くに出来たショッピングモールに行ってから帰宅、と言う流れになるはずだった、んだけど……

 

「待て待て、完全に俺はぐれたぞ」

 

 そのショッピングモールで、俺ははぐれました。

 まぁ、ガキじゃないからそこまで慌てたりはしないけど。それでも多少は焦るもんよ。

 とりあえずケータイもあるし、連絡をつけりゃなんとかなる……は?

 

「ケータイ、圏外?」

 

 おかしい。圏外になるはずがない。だって此処は、ショッピングモールの屋上だぞ。とりあえず電波の良いところで、と言う意味も兼ねてわざわざ屋上に上がってきたのに、圏外になるのはおかしすぎる。

 

「どーなってやがる」

 

 俺は辺りを見回す。思わず見上げた空は、先ほど広がっていた晴天とはほぼ真逆。まるでこの場所、ショッピングモールの屋上だけが、世界から切り離された様な、そんな空が広がっていた。

 

(ん。世界から、切り離す……?)

 

 このとき、俺はふとテスタロッサから聴いた事を思い出していた。

 魔導師戦を行う場合、特に相手が危険だと思われる際、現場にいる人たちに被害が出ないように封時結界を展開し、その中で戦う。そんなことを思い出していた。しかも、それぞれ(ミッドチルダ式とベルカ式)で個性があるものの、ミッドチルダ式もベルカ式も共通していることは一つ。それは、『発動者が選択した条件に見合う対象をその場に残す』ということ。

 つまり・・・・・・

 

「俺が対象、ってわけか」

「ご名答」

 

 俺の一人事に対して答えるように響いたテナーボイス。それが聞こえた先に視点を動かすと、そこにはスーツを身に纏った青年が立っていた。

 

「初めまして、サー・ヒジリ・ササキ」

 

 そんな最初の対面。こうして俺、佐々木聖は、管理局員と何度目かの邂逅を果たした。

 しかし、この出会いが、後々大きな関係を気づいていくことになるとは、思いもせずに。

 




感想とか、色々お待ちしております!



追記

読者の皆様からのオリジナルキャラ募集を始めようかな、とか思ってます。
昔は、にじふぁんでもたまぁにやっていたので、ここでもやってみようかな、と。
とりあえず、告知は早い内に活動報告の方で詳細説明の方を行おうかと思いますので、もしも良かったらよろしくお願いします。
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