魔法少女リリカルなのはAnother~侍と呼ばれた青年~   作:Yuino

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ども、Yuinoです。

おそらく、就活前最後の更新となるでしょう。こっから忙しくなると思うので、おそらく速度ががくんと落ちるでしょう。ご了承くださいませ……><

それでは、どうぞ!


09:近づく終わり

「そぉぉれ!!」

「グゴアァ!?」

 

 障壁を解除し、ジェイソンを当て身で吹き飛ばしながら、聖は一気に体全体にきたダメージを感じ、そして今の一撃で失った"左側の光"を再確認した。

 左目をやられた。ジェイソンを吹き飛ばした聖は、目から流れる少なくない出血を袖で拭いながら当たり前のことを思っていた。

 

(左目がやられた。左側全部見えねーや。さて、どうしたものか)

 

 なのはが彼女自身の相棒(レイジングハート)を構えて魔力をチャージした瞬間、ジェイソンが飛び出して鎌を振り上げていた。その二人の会いだに”風神”で割って入った聖は、振り下ろされる瞬間鎌が移動する"座標の途中"に"椋鳥"を展開して振り下ろされるのを強制的に停止はさせた。

 しかし、それはあくまでも途中からの動きを封じただけで、結果的に聖の左目が鎌の先によって潰される、という結果になった。

 

(ていうか、めっちゃ左目(いて)え。いや、痛いどころじゃないんだけど、沈痛魔法掛けてもコレかぁ。こりゃ、当分は幻痛に悩まされそうだ)

 

 冷静に状況を分析しながら、聖は応急処置代わりの止血魔法と強制沈痛の魔法を左目にかけ、もしかしたら、ということで持ち歩いていた眼帯を左目にかける。

 改めて、左側の視界が潰されていることを確認しつつ、聖は雪風を構える。腹部を思い切りぶっ叩かれて吹き飛ばされたジェイソンは、くぐもった呻き声を上げながら鎌を構え直した。

 攻撃力の差は歴然だった。何せ相手は歴戦の勇士、というべき実力者。対する聖はちょっと剣術が出来る半人前魔導師。アドバンテージは、明らかに相手にある。

 

(まぁ、そんなこと分かってたけどさ)

 

 心の中で小さくつぶやきながら、聖も雪風を構え直す。リーチも、経験も、実力も。圧倒的に相手が上。勝ち目はほとんど存在しない。しかし、それでも--

 

「やるっきゃ、ないよな」

 

 聖は上段に刀を構える。ぼうっ、と刀に藍色の光が宿る。

 突撃の構え。そして、一撃必殺の”秘剣”の構え。

 次の一撃で、ケリを付ける。そのために、自分が傷ついてもかまわない。そんな風に思っている故の、”秘剣”の構え

 そんなときだった。

 ぽん、と聖の左肩に手が置かれる。その手が誰のものか、聖は顔を向けずに判断した。

 

「龍吉、か」

「おうともさ。援護するぜバカ聖」

「お前等の援護は必要ない、と思ってた。まぁ、数分前までの話だけど」

「それじゃ、今は必要だってことだよね、聖君?」

「せやな。援護どころじゃなくて、MVPかっさらってく勢いで往くで?」

「MVPって、はやて、それなんか違う気がするよ……?」

 

 聖を先頭。中衛に龍吉、フェイト。その後衛になのはとはやて。そんな布陣が出来上がっていた。聖をサポートする、という意志で集まってきた四人が、それぞれの獲物を構える。

 

「もう、終わりにしよう、ジェイソン!」

 

 それを見てから、聖は改めて雪風を構え直す。

 攻防一体、中段の構え。

 

「羅生黒虎、二重顎(ふたえあぎと)!」

 

 龍吉はさっと手を振って、その纏う外套から二つの影を伸ばし、その影は巨大な牙を持つ二つの龍を描き出す。

 

「バルディッシュ!」

-Yes,sir-

「往くよ、レイジングハート!」

-Yes,my master-

「さて、いっちょ決めよかリイン」

-はいです!-

 

 フェイトは戦斧を模すバルディッシュを、なのはは十年来の相棒であるレイジングハートを、はやては融合騎たるリインフォースⅡを内包(ユニゾン)しシュベルトクロイツを、それぞれ構える。

 そんな彼らを前にして、再びジェイソンは――

 

「ゴガァァァァァァッ!!!」

 

 爆轟。

 倉庫そのものを揺るがすかのような振動。それが初見だったなのは達は、一瞬だけ足が止まる。

 たった一鳴きの束縛する咆哮(バインドボイス)。それで、歴戦の魔導師三人の一時的に足を封じ込めた。

 

「――あめぇよ、ジェイソン!」

 

 しかし、すでにそれを見ていた、否、見たことあった聖と龍吉。そのタイミングがジェイソンの少ない大きな隙だと理解して、一気に突撃、肉薄する!

 

「せやぁぁぁっ!!」

 

 聖は”霧走”によって作り出した加速を利用して前に跳躍。ジェイソンとの距離を一気に詰めて斬り掛かる。

 しかし、それを読み切ったようにジェイソンは大鎌を振るう。

 瞬間響く、甲高い金属音。一瞬の鍔迫り合いを伴いながら、ぎちぎちと火花を散らして拮抗する。

 その僅かな時間。刹那、と言っていいような一瞬の時間。そのタイミングで、龍吉がジェイソンの懐に潜り込む!

 

「せぇやっ!!」

「ナイスタイミング!」

 

 龍吉の黒虎、その右側の牙がジェイソンに迫る。その牙を、ジェイソンは聖を弾き飛ばした後にすぐさま鎌で受け止める。

 しかし、その開いた”ラグ”を見逃すほど、聖も甘くない!

 

「はぁっ!」

 

 間髪入れずに聖の斬撃。それをジェイソンは、龍吉の牙を弾き飛ばして再び受け止める。

 その後も、弾き飛ばされては聖が攻めに転じ、その攻めの間を縫って龍吉が攻め、ひたすら繰り返す。

 永遠に続くかのような攻めと守り。しかし、その攻めにもほころびが生まれてしまう。

 

「グルアァァァッ!」

「く――っ」

 

 聖渾身の刺突がジェイソンの障壁に弾かれる。龍吉の援護も間に合わない。振り下ろされる斬撃に対し、聖は真っ正面から受け止める。

 ガギンと響く鈍い音。受け止めた先で湾曲した鎌が聖の肩に突き刺さり、ブスリと肉にめり込む。

 しかし、そのタイミングで聖は刀で鎌を受け止めながらその柄を掴む。

 

「こ、この距離ならっ……」

 

 数十秒前からキィィィ、と響いていた収束音。それを片耳で捉えていた聖は、この”ジェイソンの動きが止まる”一瞬を、待ちかねていた。

 空間をゆらゆらと、桜の花弁のように舞う桃色の魔力光。そして、その光が行く先は……

 

「たたき込め、なのはぁ!!」

「バスタぁぁぁぁ!!!」

 

 ゴウッ、と唸る空気。空間そのものを飲み込む様な、桃色の光。それが、聖が抑えていたジェイソンを一気に吹き飛ばしていった。

 目の前を桃色の極太砲撃が通り過ぎていった様子を見て青ざめる聖。近くにいた龍吉も「モロにくらったら死ぬなあれは」とか言っていたが、聖はスルーしてなのはの方を見る。

 自分の十八番であり、自分を象徴する砲撃――ディバインバスターをジェイソンに叩き込んだ彼女は、冷却孔から白い煙を吐き出すレイジングハートを構え直し、彼女は聖にぐっと親指を立ててにこりと微笑む。

 その中で、土煙を強引に吹き飛ばしてジェイソンが現れる。吼えながら鎌を振るい、土煙を切り払いながら魔力を放出する。

 まるで効いていない。自分の全力全開の砲撃をものともしていないジェイソンになのはは戦慄する。しかし、龍吉は彼女の方を見て、

 

「大丈夫っすよ、高町さん。効いていないように見えても、無造作に魔力をぶっ放して砲撃を相殺したみたいっす。効いていない、ってことはないと思うっす。それに――」

 

 龍吉は、土煙が舞う中を指さす。

 

「次弾は、避けようと思っても避けられねーっすから」

 

 そこに既に先回りしている、金色の閃光を!

 

「はぁぁぁっ!」

 

 空間を駆ける金色の閃光。高速移動を以てジェイソンへ迫るのは、戦斧を構えた金色夜叉(フェイト)。バルディッシュを振りかぶり、ジェイソンの反応速度を凌駕する速度で迫り、その一撃を叩き込む!

 しかし、ジェイソンは彼女が目の前に来た瞬間に鎌を振るって彼女の攻撃をブロックした。

 まさにそれは、野生の勘。土煙を払ったとはいえ、殆どの視界がつぶされている状態で渾身の一撃を回避された。その事実に驚いたフェイトは、思わずバランスを崩してしまう。

 しかし、バランスを崩しても、彼女はジェイソンから放たれる次撃の大上段振り下ろしを回避し、なおかつ反撃の一撃を叩き込む。

 足払いを含むコンビネーション。石突き、切り払い、切り下ろしと、縦横無尽にバルディッシュを操り、ジェイソンと相対していく。

 そして、一度拮抗した後、すぐさま離れ、フェイトは叫ぶ。

 

「はやて、今!」

「了解や!」

 

 キィンと響く魔法陣の音。それに伴い、吹きすさぶ莫大な魔力。ジェイソンの動きを封じるため、フェイトは離脱際に一瞬でバインドを四基展開し、そのまま彼の動きを封じる。

 バインドを強引に破壊しようとジェイソンが身もだえる。その、今後在るかも分からない大きな隙を、はやては絶対に逃さない!

 

「夜天の書より魔術を引用。砲身展開、開始。八重魔法陣、直列起動。魔力高速回転開始。リイン、思い切り往くで!」

-はいです、はやてちゃん!-

 

 展開されるは八つのベルカ魔法陣。それが、直列に真っ直ぐ連なる。

 はやてが引き出したのは、彼女自身ほとんど確認していなかった夜天の書の奥深くに存在していた謎の魔法。古代ベルカ式の高威力の砲撃魔法と記されたそれは、八つの魔法陣を直列展開し、なおかつそれらを高速回転させて放つ。

 

天地貫く(スピア・オブ)――」

 

 魔法陣が高速回転し、収束された魔力が一つの形をなす。

 その形状は、一本の異形の形をした槍。三つ叉の穂先と、柄の中央に埋め込まれた、柄よりも大きい黒い宝石。周囲をバチバチと雷撃が走り、その三つ叉の穂先はジェイソンにねらいを定める。

 そして――!

 

「――雷神の槍(ヴァジュラ)!!」

 

 さっと腕を一振り。瞬間、解き放たれたかのように槍が空間を飛翔する。

 放たれた一撃はあっという間に速度を上げ、ジェイソンへと迫る。

 初速から終速まで、全く速度を落とさない。直撃間際にジェイソンはフェイトの仕掛けた拘束(バインド)を完全に砕いてみせたが、防御は完全に間に合わない。

 瞬間、轟音。

 目も眩むような雷撃の光と閃光が空間を埋め尽くす。もうもうと立ちこめる爆煙。

 衝撃波に巻き込まれないように、各々障壁を張って防いだ聖たちは、その威力に驚いていた。

 

「ちょっと、これはさすがに威力超過(オーバーキル)じゃないのか……?」

「さっすがに、やりすぎてしもたかなぁ?」

「いくら魔導師とはいえ、超電磁砲(レールガン)もどきを人にぶっ放すのは、ねぇ?」

「それ、なのはが言えること?」

「あはは……高町さん(こえ)ぇわ」

 

 ゆっくりと障壁を解除して再び一転に集まる聖たち。

 これで終わってくれたかな? そんなことを思っていたなのは。

 しかし、その思いはすぐさま崩れ落ちることとなる。

 

「――まだだ」

 

 聖の一言。その言葉に触発されたのか、はたまたそれぞれが感じ取っていたのか。疑問の表情を浮かべながらもそれぞれの得物を構える。

 瞬間!

 

「くっ!?」

「佐々木君!?」

 

 土煙を吹き飛ばして放たれる赤黒い砲弾。それを聖は雪風で斬り払うが、思いも寄らない攻撃だったのか、砲撃の威力でその場に膝をついてしまう。

 

「だいじょう――」

「油断すんなフェイト! 次弾来るぞ!」

 

 再びの砲撃。聖はそれを絶対守護障壁を二重に展開して弾き飛ばす。弾き飛ばしてなお、聖の右腕はびりびりとしびれ、おまけに二重に張ったはずの障壁が使い物にならないほど破損してしまう。

 あり得ねぇ、と心の中でつぶやきつつも、聖は再び雪風を構え直す。

 

「■■■■■■■■!!!」

 

 土煙から現れたジェイソンは、すでに人の姿を留めていなかった。

 

「なんだよ、あれ……!」

「俺が聞きたいくらいっすよ、八神さんっ」

 

 両手で構えていたはずの大鎌はなく、あるのは鋭く鋭利な角のような無骨な剣のようなモノ。それが腕を飲み込むようにして生えていた。両肩から生えているのは、腕を飲み込んでいる剣のようなモノよりも遙かに大きな、鋭利な骨のようなナニカ。背中には魔力で形成されたと思われる、煙のようにゆらゆらと揺らめく翼。腰の当たりからは、虫の足のような触手が二対四本蠢き、腰からは赤黒い鱗に覆われた鋭利な尾、そしてその先にあるのは、彼が保持していた大鎌。

 まるで改造生物。そんな感想を抱いたなのはは、思わずレイジングハートを構え、叫んだ。

 

「レイジングハート、ワンショット!」

-Yes.Axel shooter-

 

 キィィ、と甲高い音をたてて桃色の魔力が集中していく。その数、四基。あくまでも”様子見”のワンショット。一気に魔力が収束し――

 

「シュート!」

 

 放たれる!

 それぞれが不規則な軌道を描いてジェイソンへと向かう。初見では会費が難しいとされる、乱雑な軌道からジェイソンの急所を狙い撃つ、彼女お得意の精密射撃。

 ジェイソンはそれをそれぞれ一瞥すると、背中の翼をうねうねと蠢かし、腰の触手を大きく広げる。そして――

 

「■■■■■■■■!!!」

 

 その腕を高速で振るい、魔力弾を全て弾き飛ばしていく。いや、吹き飛ばしたように見えた。

 うねる腕の先に捕まれているのは、なのはが放ったはずの桃色の魔力弾。それを、弾核を破壊せずに掴み取った。

 

「まさか、魔力弾を掴み取ったのか!?」

「うそ――」

 

 レイジングハートを構えたまま動かない、いや、動けないなのはを強引に後ろに下がらせ、聖は構える。

 するとジェイソンは、掴み取った魔力弾をそれぞれ見ると、それらを一纏めにし、ニタリと口元を怪しくつり上げると――

 

「グアァァ――」

「なっ……!?」

 

 大口を開けて、魔力弾を口の中に放り込んだ。。

 がりがりと噛み砕く音をたて、味を確かめるグルメリポーターのように咀嚼すると、ごくりと飲み込む。

 

「魔力弾を、喰った!?」

 

 まさかの事実に驚く聖達。

 その瞬間感じる、恐怖。とっさに聖は、地面に手をついて叫ぶ。

 

「雪風! 絶対守護領域、残りの全残弾叩き込んで俺たちを囲え!」

-わかりました!-

 

 ゴウッ、と突風が吹き荒れる。それは、聖の魔力が一気に集中し、広く厚いハニカム構造の障壁が展開される合図。瞬間、一気に障壁が展開し、聖達を覆う巨大な障壁が展開された。

 その障壁を見て、ジェイソンがニタリと怪しげな笑みを浮かべる。そして、その魔力弾を喰らった大口を再び開け――

 

「ァァァァアアアアァァッッ!!!」

 

 咆哮と共に赤黒い砲撃が放たれる!

 障壁ごとの見込む巨大な砲撃。それを防ぐように、聖は両手を突き出し必死に抵抗する。

 

「く、っそ。こいつは、想像以上だ……でも――!!」

「佐々木君!」

 

 聖は左手を突き出しながら右手で鞘に収めていた雪風の柄に手を掛ける。フェイトの言葉を聞き流し、彼は居合の型に入る!

 

「天剣佐々木帝流、居合の型――!」

 

 一歩踏み込む。左腕がぎちぎちと軋みを上げている。しかし、今はそんなことは関係ない。今は、この砲撃を吹き飛ばすことのみに集中する!

 

「鳳凰、二閃!」

 

 駆ける二本、十字の剣閃。聖の剣閃は、障壁を吹き飛ばして、なおかつ砲撃を四分割にして吹き飛ばした。

 しかし両腕に異常なまでにダメージがあった。障壁維持のための左腕と、”鳳凰二閃”を放った際の右腕。そしてここまでの戦闘におけるダメージが、彼の身体に大きな負荷を掛けていた。

 その場に膝をつく聖。そのタイミングを見計らったかのように。

 

「ァァァァアアアアァァッッ!!!」

 

 咆哮と共にジェイソンが再び砲撃を発射する!

 膨大な質量の砲撃が、聖へ迫る。しかし、それを防ぐように彼の前に彼女たちがデバイスを構える。

 

「させないよ、フェイトちゃん!」

「うん、なのは!」

 

 彼を守るようにしてなのは達が前に出て障壁を展開する。管理局の中でも防御力は上位に値するなのはと、オールラウンダーのフェイト。この二人がまとまって張った障壁は、局の中でも随一の強度を誇る。

 それでも、その強度を以てしても、ジェイソンの砲撃は”規格外”すぎた。

 

「きゃぁっ!」

「くっ!?」

 

 その二人が束になって障壁を展開するも、数秒で吹き飛ばされ、障壁はバラバラになってしまう。爆風に巻き込まれながらなのは達は吹き飛ばされていく。聖はなんとかその場にとどまり、再びふらふらの状態で雪風を構える。

 しかし、その瞬間放たれる砲撃。

 防げない。そう思った瞬間--

 

――全く、貴方はこうも無茶をする人だとは思わなかったよ――

 

 ザンッ、と地面を踏みしめる音が響く。ぼうっとした表情で見上げると、そこに写っていたのは銀色の巨大な盾と十字の細剣を構える青年。

 放たれた赤黒い砲撃。防御はとうてい間に合わない。

 しかし、青年は砲撃を一瞥すると変わらない無表情で呟く。

 

「なるほど。そう言うやつだったか、そのロストデバイスは」

 

 青年は盾を砲撃に向けると、盾の中に剣を納めて叫ぶ!

 

「ヒースクリフ、バーストバッシュ!」

-御意-

 

 轟音。砲撃を盾で受け止め、轟音が響く。砲撃を半ば強引に弾き飛ばすと、盾の上部に付いた砲塔をジェイソンへ向ける!

 そして――

 

「せぇぇぇやっ!」

 

 気合裂帛。瞬間、放たれる閃光。赤銀の砲撃がジェイソンへ放たれる!

 ジェイソンは四本の触手でそれを受け止め、再び取り込もうする。しかし--

 

「甘いな、ジェイソン!」

「■■■■!?」

 

 砲撃の魔力を追加することで受け止めていたジェイソンをさらに押し込み、一気に壁へと叩きつける。

 それを見ていた聖は、強引に身体をたたせて青年--ジン=アームスレインの隣に並び立つ。

 

「何のようだ、ジン!」

「何って、ウチの所長にヘルプ行ってらっしゃいって言われちゃってね。助けにきてあげたのに、その態度はどうなんだい?」

 

 ぽう、と左手に真っ赤な光を宿し、それをふるう。その光は吹き飛ばされたなのは達を包み込み、彼女たちに出来たダメージをゆっくりとではあるが癒していく。

 それをしっかりと確認すると、ジンは盾から剣を引き抜き、構える。そして聖のことをちらりと横目で確認すると、気障ったらしい表情でほほえみながら言う。

 

「無理なら、同行しなくても良いのだが?」

「うるさい。お前こそ、足引っ張ったらおいてくぞ」

「ふっ。それだけ言う元気があるなら、問題ないな」

 

 ざっとほぼ同時に地面を踏みしめる。土煙を振り払うようにしてジェイソンが体中の”武器”を振り回す。

 そんな、すでに人の形をとどめていない彼を見ながら、聖は小さく呟く。

 

「申し訳ない。人の形のまま、貴方を(あっち)に送れなかった――」

 

 刀を構え、聖は覚悟を決めた表情でジンより一歩だけ前へ出る。

 そして――

 

「――――ッ!!」

 

 無言のまま飛び出した。

 そんな彼を見てあきれるような表情をジンはしてため息をつき、後ろで体力回復につとめているフェイトに声をかける。

 

「やれやれ、彼はまさに猪突猛進、ってかんじだね。ねぇ、テスタロッサ=ハラオウン執務官?」

「急に割り込んできて何を言いますか、アームスレイン執務官? でも、それが――」

 

 彼の良いところです。そういうフェイトを見て、少し驚いた表情を見せると、ジンはのどを鳴らすようにして笑うと「確かに、そのことに関しては同感だ」と言いながら剣を構える。

 

「それでは、参ろうか。”神代の霊剣”ヒースクリフと”神帝剣”ジン=アームスレイン。推して参る!」

 

 聖に追いつく速度でジンも飛び出す。

 戦いの終わりは近い。そんなことを予感させる、冬の始まりを告げる風が吹いた。

 




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