宇宙戦争掲示板 -1人なんかおかしいのがいるけど-+α   作:タカナガ

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intermission ー暁を待つー

ー特務達が『リヴァイアサン』を奪取して1週間後ー

 

抜けるような晴天に『センター』の中心部である大統領府は包まれていた。

つい1週間前まで、絶望に覆われていた空には一点の曇りもなく、燦燦と太陽が輝いている。

式典の為に解放された大統領府の広場やその周囲には群衆が押し寄せていた。

 

壇上に設けられたスピーチ台にたった大統領が凱旋式典に先んじて、追悼の辞を述べた。

 

「先の決戦のみならず、人類の明日を守るため宇宙の海に散った全ての将兵、並びに犠牲となった多くの人々の魂に黙祷をささげます。黙祷」

 

軍楽隊により鎮魂の曲が奏でられる。厳粛な空気の中、戦没者に対する敬意を示す弔砲が青空に鳴り響いた。

先程までの聴衆のざわめきが一転して静寂に転じる。

 

そこに集った全ての人が誰かの未来の為に戦い、明日を繋げるために抗った者達とこの惨禍によって犠牲となった無辜の市民達に鎮魂の祈りを捧げた。

 

長い黙祷の後、音楽が止まると閉じていた瞳を開いた大統領は、再び人々に話しかけた。

 

「ありがとうございます。彼らの決意や思いを胸に、敵の旗艦を奪取した英雄たちを改めてご紹介します」

 

そして、多くのマスコミや衆人の見守る中、ついにその時が訪れた。

大統領と政府高官、元帥や軍高官の視線の先から、礼装に身を包んだ特務大尉を先頭に10人の兵士たちが壇上へと姿を現すと大気が震えるほどの大歓声が会場を包み、礼砲が鳴り響いた。

 

軍楽隊による勇壮な演奏が始まり、壇上の一段下に控えていた儀仗隊が捧げ銃を行う。

宇宙航空部隊所属の戦闘機が会場をフライパスし、空に白い軌跡を描いて人類を救った英雄たちの凱旋に華を添えた。

 

壇上のスピーチ台から大統領は着席した特務達を見ながら、彼らの成し遂げた事の経緯を簡単に話していき、そして勲章の授与となった。

 

「皆様お待たせしました。只今より、勲章の授与に移ります。この場で彼等『12人』に勲章を授与できることに、大統領としてこれ以上ない喜びを感じています!」

「部隊、気を付け!!」

 

椅子から立ち上がった特務が号令をかけると、軍曹以下のメンバーが一斉に立ち上がる。

壇上中央へと移動して、会場を向くように並び整列する。

直立不動の姿勢をとった特務達に大統領と式典官がメダルをもって近寄る。

 

大統領は、先頭に立つ大尉の胸元に、燦然と輝く黄金の勲章をピンで留めた。

 

夜明け勲章

 

人類を闇から救い出し、新時代の幕を開けた者に贈られる史上最高の栄誉。大統領と特務大尉は固く握手をする。軍曹と他のメンバーにも次々と授与され、それぞれと喜びを分かち合った。

 

そして、11人目の授与が終わった後に残った空白に大統領が正対する。

眼前に誰もいない所で立ち止まった大統領に、割れんばかりに響いていた拍手が止まる。

聴衆が訝しんでいると、先頭にいた特務が軍曹達の後ろを通り抜けて大統領に正対した。

 

何事が始まるんだと、どよめきが会場を包む。

その騒ぎを収めるように大統領は声を震わせながら語りだした。

 

「・・・大尉達が夜明けを齎した者ならば、彼は夜が明ける前の最も暗い闇を退けた兵士。彼がいなければ、我々に朝はこなかった」

 

式典官が大統領にケースに入った夜明け勲章とは異なる意匠が施されたメダルを手渡した。

そこには、群青色の勲章が収められていた。

 

夜明けと暗闇の狭間の色である群青のメダルが太陽の光を反射して煌めく。

 

暁勲章

 

たった1人で艦橋へと押し寄せんとしたガル星人に立ち向かい、その身に盾にして殲滅した兵士。

伍長のためだけに特別にあつらえられた、この世界でただ一つの勲章。

 

「その絶大なる人類への献身と勇気を称え、伍長にはこの『暁勲章』を授与します」

「代理として謹んでお預かり致します」

 

両手でケースをしっかりと受け取った大尉はケースを左手で持ち直し、右手で力強く大統領に敬礼を行い、軍曹達もそれに倣った。

 

会場は再び割れんばかりの拍手に包まれた。

この場にいないもう一人の勇者に届けと言わんばかりに鳴り響いた。

 

「以上で式典を終わります。今日を境に我々人類は再び新たな一歩を歩みだします!皆さんと共に!!」

『人類連合に栄光あれ!万歳!!!」

『『『万歳ーーーー!!!!』』』

 

今日一番の歓声と拍手が巻き起こり、箱舟に積むはずだった白い鳩が空に放たれ式典は終わりを告げた。

途切れる事のない歓呼の声が響き渡り、人類連合旗が無数にたなびく光景が大尉達の目の前に広がる。

 

人類史に新たな歴史が確かに刻まれる光景の中、未だ『暁』に止まる仲間に、彼らが何を想ったのかを窺い知る者は誰もいなかった。




次回、本編最終回。
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