宇宙戦争掲示板 -1人なんかおかしいのがいるけど-+α   作:タカナガ

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今回は掲示板形式ではありません。


intermission-謳われぬ勝利の価値ー

後の歴史があるとすれば、この日は『辛くも脱出に成功した一例』か『戦局の転換点』どちらに記録として残るのか。

 

100隻に迫る艦隊を擁するガル星人に対して、たった2機の戦闘機と人型機動兵器が挑み艦隊旗艦と戦闘空母を破壊し、人類連合の艦隊脱出を成功させた。挙げた戦果としては破格の物だろう。

 

そして、艦の中において厳重な警備によって守られた区画。

そこには、ワープ船を開発した教授とその助手たちが忙しなく動いていた。彼らの中心にはその教授に『人類の切り札』とまで称されたAI『ザ・ファースト』が静かに鎮座している。

 

2人が守った人類の切り札。先程までの戦闘中の喧騒はどこに置いてきたのかというほど、黙して何も語らない。その存在を伍長はただじっと見守っていた。

 

「ここにいたか、伍長」

 

声の先には彼の上官が、先の戦闘の疲れなど微塵もみせず佇んでいた。元レジスタンス部隊『リーダー』、今は『特務大尉』と呼ばれる男だ。

 

絶望的なメル防衛戦に現れた英雄。一騎当千の元レジスタンス部隊をまとめ上げ、メルの敵を叩き潰した『人類の希望』であり、ガル星人にとっての『死神』でもあった。

無言で伍長の隣に並んだ彼は、ガラス越しに『ザ・ファースト』を見つめる。

 

「ああしていれば、静かなものだ」

「そうですね。まあ・・・大尉を見ていれば、騒ぎたくなる気持ちもわかります」

「心外だ。それに、騒いだ原因は伍長の事も含んでいる」

「確かに」

 

戦闘中の事を思い出したのか二人は忍び笑いを漏らした。薄暗い通路に二人の押し殺した笑い声が響く。ひとしきり笑った後、伍長は視線をAIに固定したまま話し出した。

 

「正直、自分はあの敵艦隊の規模を見て、ファーストが人類の勝利の可能性が0%と言うのも無理はないと感じました」

「・・・続けてくれ、伍長」

 

彼の上官は沈黙でも遮る訳でもなく話の続きを促した。伍長は体ごと視線を大尉に向け、大尉も向き直って互いに正対した。

 

「我々は脱出に成功しましたが、依然として人類連合は全戦線で敗走、メルとマールでの勝利も大海に一滴を落としたようなもの。ガル星人の規模は、我々の想像を超えるほどに圧倒的でしょう」

「そうだな」

 

ガル星人は地球の植民惑星に対して、多方面からの同時侵攻を行っている。この広大な宇宙の海で

これほどの同時戦力展開を行って、なお余りある戦力を持っているのは間違いない事だった。

 

彼らには与り知らぬことだったが、事実マールに差し向けられたあの艦隊すら、敵にとってはただの分遣艦隊に過ぎない。

 

「その上でお聞きします。大尉、我々の勝利に価値はあると思いますか?」

「ある。俺達の戦いだけではない、今もどこかで誰かを守るために戦う全ての兵士の戦いに価値はある」

「・・・」

「そして、あのポンコツの計算が0%だというなら・・・俺は、俺達は1と0の間に『計算外』を打ち込んで、勝利する。今もこれからもだ」

 

揺ぎ無い決意を乗せた言葉。現状と彼の事を知らない人間が聞けば、ただの強がりのようにも聞こるだろう。だが、この男ならやれるという確信に近い物を伍長は感じ取っていた。

 

「気を使わせてしまいました。すいません、少し弱気になっていたようです」

「気にするな。伍長、これは俺の勘だが近い将来この戦いの趨勢を決める何かが起こる。その時、軍曹やお前の力が必ず必要になる。ついてきてくれるな?」

「大尉の勘はあたりますからね。お供しますよ、この星の海の最果てでも」

「伍長は詩人だな。その言葉忘れるなよ?」

「了解、大尉」

 

表情を和らげた2人は、もう一度『ザ・ファースト』を一瞥すると、軍曹達が待機している格納庫に足を向けた。

 

彼らが歩み続ける限り、人類の未来は死なない。その足音にはその響きが確かにあった。

遠ざかっていく足音を『ザ・ファースト』は静かに聞いていた。




特務&伍長『俺達は止まんねぇからよ、お前達が(俺達のハチャメチャで)止まんねぇかぎり、その先に俺達はいるぞ!だからよ、止まるんじゃねぇぞ…。』
ファースト&将来振り回される予定の人達『無茶いうなああああ!!』

おあとがよろしいようで。
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