怪しげな大人
「葉ノ宮カオルさん…」
「!?」
(誰だ?コイツ…)
俺の目の前には黒いスーツを着て、頭がひび割れている人?が居た…
「そんなに警戒しなくてもいいですよ」
「いや、無理だろ、急に背後から現れるんだからよ」
「それに、お前、マダムや最近アリウスに来てるマエストロ?だっけか、そいつらに雰囲気が似ている」
「アイツらの仲間か?」
「クックックッ…ええ、そうですよ」
「私はゲマトリアの一人、黒服です。以後お見知り置きを…」
「そんな人が俺に何か用ですか?」
「クックックッ、そんなに警戒しなくていいですよ。私はただ貴方と話したいだけですから」
(嘘は付いていないな…だけど、この黒服という奴マダムやマエストロと違って何考えてるか分からねぇ…警戒はとかないようにしよう)
「分かった、話だけは聞いてやるよ、だけど任務を終わらせるのが先だ」
「えぇ、それで構いません」
賞金首を届け、任務を終わらせ、黒服と人気のないカフェみたいな所で話すことにした
「へぇーここにもこんな所があるんだな」
「えぇ、そうですよ。好きな物を頼んでいいですよ。私の奢りです」
「いいのか?じゃあ、ありがたくいただくぜ」
ここのカフェの客は俺たちしかいない、だから注文を終えたら、すぐに料理が出された
「で、話したい事とはなんなんだ?」
「その前に私達の話をしましょう」
「私達ゲマトリアは、一人一人が各自の美学や哲学を持って行動しています」
「私はキヴォトスの『神秘』を解明する事を目的としています」
「そうゆう事ね、つまり、キヴォトスでも珍しい男子生徒の俺の神秘を調べたいって事ね」
「その通りです」
「てか、アンタはマダムの仲間なんだろ?アイツも俺の事を研究しているから、マダムから聞けばいいじゃねーか」
「私もそうしたいのですがね、そもそもゲマトリアは各々の目的や美学を探求するだけの組織なので正直言って仲間意識はあまりありません」
「それに、マダムは私の事を嫌っていますしね」
「ガキかよアイツ…」
「なので直接貴方にコンタクトを取ることにしました」
「なるほどね…」
「その前に確認したい事があります」
「なんだ?」
「貴方は、キヴォトスの人間ではありませんよね?」
「!!」
(俺がここの世界出身じゃないことを知っているのはアズサだけだ。だけど、こいつがアズサと知り合いの可能性は低いし、アズサも人の秘密は言わないタイプの人だ)
「その根拠は?」
「貴方のことは前々から知っていました。勝手ながら貴方の事も調べさせていただきましたが、奇妙な事に貴方のキヴォトスでのデータは一つもなかったのです」
「なので私は一つの仮説を立てました」
「それが俺がキヴォトス外の人間と」
「まぁ、論より証拠です」
黒服が口を動かす
「葉ノ宮カオル、身長175cm、体重65kg、年齢は今の時点で16歳。宮城県仙台市の○○高等学校に入学しており、部活はバスケ部に所属していた。家族構成は母、父、カオルさんの3人家族。そして○月〇日、貴方は下校途中、飲酒運転をしていたトラックに轢かれて死亡した」
俺は言葉が出なかった
「聞くまでもないですが、あってますよね?」
「ああ、一門一句あっているよ…」
「正直私も調べてびっくりしましたよ…まさかこんな方法でキヴォトスに来るなんて」
「なんだそれ?まるで俺のいた世界からキヴォトスに行ける方法があるみたいな言い方は」
「みたい、ではなくあるんですよ」
「そうなの!!」
「元々私達ゲマトリアもキヴォトス外の人間です」
「え、マジ…?そのなりで?」
「クックックッ、今は多様性の時代ですよ」
「まあ、私達も色々あってこの姿になりました」
「それに、つい最近キヴォトス外から一人『先生』という方が来ました」
「へぇー、そうなんだ」
「ここからが本題です」
「私達と先生そして貴方は外の世界から来ました。だけど、貴方と私達は違う点が二つあります。分かりますか?」
「一つはあれじゃないのか?さっき言ってた、キヴォトスにくる方法じゃないのか?」
「えぇ、正解です。あと一つは?」
「………見た目?」
「いいえ、違います。先生は普通の人間です」
「うーーん、分からんギブアップで」
「正解は……」
「貴方には神秘がある事です」
「先生や私達にはない神秘。キヴォトス外の人間が神秘を得ることは初めてです」
「外の世界で死んで転生したから、神秘が現れたのか、それとも貴方だからか、他の理由なのか」
「それに、神秘の効果も珍しい…基本神秘を得ると身体の身体能力や、頑丈さが上がるのに、貴方にはそれがない…その代わりに超越した再生力」
「神秘を研究する者として凄く気になる…」
熱心に語る黒服
「そんなに熱心に語っているけど、協力するとは言っていないぞ」
「タダでとは言いません」
「一旦外へ出ましょう」
お会計を済み外へ出て行った
「奢ったから、研究に協力してくれって言う訳じゃないよな?」
「いいえ違います。研究に協力してくれれば、これをあげます」
そういい、黒服が取り出したものは
「鉄パイプ?」
「これはただの鉄パイプではありません」
「これは数年前マエストロが作った物です」
「貴方の戦闘を見ていましたが、貴方には明確な弱点があります」
「戦闘をした事ない私でも分かりました。それは決定力がないことです」
「あーやっぱりそうか…」
「気づいてましたか…」
「まぁな、さっきの戦闘だって大きなダメージを与えられたのは自爆だったしな、正直、一回目のスモークグレネードで勝負をつけるつもりだったけど、倒せなかったしな…」
「で、その鉄パイプは何が出来るんだ?」
「そうですね、この武器は持っている者の受けたダメージを貯めて、相手にそのダメージ分の衝撃を出せます」
「凄いな…そんな物を作れるんだ…」
「確かにそれが本当だったら、俺の再生力と相性がいい」
「再生力だけじゃありません。貴方の身体とも相性がいいです」
「どうゆう事だ?」
「この武器は持ち主によって蓄積できるダメージが違います」
「と言うと?」
「簡単にゲームで説明しましょう。この武器を仮にさっき貴方が戦った人が持ってるとします、そしてその人が銃弾を3発当てられました。キヴォトス人は銃弾ではあまりダメージにはなりません。なので、1発10ダメージとします、それを3発、なのでこの武器には30ダメージ分貯まります」
「ですが、貴方の場合、銃弾が当たるとキヴォトス人とは違い致命傷になります。なので銃弾1発が100ダメージぐらいになります。それを3発、そしたらこの武器には300ダメージ分貯まります」
「つまり、同じ攻撃をくらっても、貴方と他の人では10倍もの差があります」
「それに加えて、ほぼ無限の再生力、貴方にこれほど適した武器はありません」
「確かにな、これがあれば、戦いを有利に進められる…」
「どうです?協力する気になりましたか?」
「そうだな…最後に等価交換の条件を再度聞かせてくれ、それで決める」
「私が貴方に課す条件は二つ、一つ目は貴方の左右どちらかの腕1本と脳と心臓の一部をください。二つ目は今回の事はマダムには内緒にしてください」
「おっけーそれならいいぜ。だけど、その前にその武器の効果が本当か確かめさせてくれ」
「いいですよ」
武器にダメージを貯める方法は単純、地肌に武器を持ち、そのうえでダメージを負う
俺は武器を持ち、左腕を切り落とし、心臓と脳の一部を抉った
そして武器を壁に軽く叩く…
(確か任意のタイミングで出せるんだよな)
壁に向かって衝撃を放つ
ガンッ!!
「すげぇ、本当にできた!!」
壁が大きくへこんだ
「クックックッ、お気に召した用でなりより」
「ほらよ、約束の品、一応止血はしといた」
「ありがとうございます。では私はこれで」
そういい、去っていく黒服…
「俺も戻るか…」
そういい、アリウスに帰った