「ハァッ!!」
(頭イテェ…何処だここ?何かデジャブだな…そんな事はどうでもいい…何が起きたんだ?確か俺は、何者かによって撃たれたはず、でも、何で生きているんだ?それよりもアズサは…?)
まとまらない思考を考えてるうちに、ドアの開く音が聞こえる…
「やっと起きたか…」
(そういい俺の目の前に居たのは、ガスマスクを付けた少女がいた)
(あのガスマスク、アリウスの奴らが付けてたのと一緒の奴だ…てことは、ここは奴らの拠点か?)
「着いてこい…貴様には、あって貰う方がいる。」
そういい奴は強引に俺の手を引っ張る…
(俺の手には手錠がされてるし、ここから逃げ出すのは無理だな、大人しく命令に従っとくか…)
(アズサの事も気になるけど、今はあいつのことを信じよう)
看守に連れられ、5分くらい看守は扉の前に止まりノックをし始めた。
コンコン「マダム、例の者が目を覚ましました。」
「そうですか…おは入りなさい。」
「ハッ! 失礼します」
そういい扉を開け、部屋の中に入る。そして、異様な光景を目にする…
「ごきげんよう、私の名はベアトリーチェ。このアリウス分校を支配している者です。」
(何だコイツ…人間なのか?)
そう感じるのも無理はない、ベアトリーチェと名乗る者の姿は、長身で、長い黒髪に赤い肌、白いドレスを身に纏う。目がついている翼で埋め尽くされた毛玉の様な頭部を持つ…
まさに、異形と言ってもいいような見た目だったからだ。
そう考えている内に、ガスマスク野郎が声を荒らげる
「貴様!マダムがあいさつをしているのだ、さっさと返事しろ!」
「おい、おばさんその格好はあんたの趣味か?ならやめた方がいいと思うぜ。今多様性の時代だけど、その格好は擁護できないぜ?」
「……ほう」
(俺の言葉が気に入らなかったのか、目を細めただただ黙って見つめている…)
「貴様!マダムになんてことを…失礼だぞ!!」
そう声を荒らげ、俺の腹にパンチをしてくる
「…ゴハァッ!!」
殴られ続けられている俺を、ベアトリーチェは止めず、ただ眺めているだけ…そんな俺を見て心なしか楽しそうに見つめている…
「……お辞めなさい。まぁいいでしょう。貴方はこれから私の被検体となる事でしょうし、その言葉遣いも、品も、学も何も無いただの子供の戯言。気にしては品格が失われるもの。」
(あくまでも、大人な対応を見せるベアトリーチェ、まるでさっきの言葉が、聞いてないような口ぶりで告げる」
「…さっき、俺が殴られている所を見て、優越感に浸ってたのによくゆうぜ…」
「貴様!何度言えば」
(声を荒らげるガスマスク野郎を無視し、ベアトリーチェに質問する)
「じゃあそんな、学も品性もない哀れな俺の質問を聞いてくれるかい?」
ベアトリーチェはニヤッと笑い答える…
「特別にいいでしょう。」
「じゃあ3つの質問をする。」
「まず、1つ目の質問。俺が倒れていた所に羽の生えた白髪の少女は居なかったか?」
「アズサのことですか…えぇいましたよ。彼女は捕まり今、ここにいます。本来であれば、脱走した罪で殺すつもりでしたが…偶然か、必然か、貴方という存在に出会えたのも事実、ですから特別に処分は見逃しました。」
(アズサは脱走に失敗したらしい、まだ生きてるだけマシか…)
「2つ目、ここは何をしている場所何だ?」
「簡単に言えば、暗殺者や、私兵を育成する訓練場と言った所ですね。貴方も次期に行ってもらいます。」
「なぜ、そんなことをする?」
「アリウスを追いやったトリニティに復讐するためですよ。」
「そんな事をするために、子供を利用するのか?」
(…アズサもそうだが、俺達を追いかけてきたアリウス生、ここにいる奴だって、見た感じ俺とあまり年齢差は感じられなかった。」
「当たり前でしょう?子供は大人に搾取されるべき存在です。」
当たり前のように言い切るベアトリーチェ…
(こんな大人がいるのかよ…確かに俺がいた所も、そんな考えな奴も少なからずいた…だけど、こんなにもドス黒い奴は今まで会ったことがなかった…)
「最後に3つ目、俺を被検体にすると言っていたが、何をするんだ?」
「それが、貴方をここまで連れてきた理由ですので、一から説明しましょう…」
そう言い、ベアトリーチェが椅子に腰を下ろして話し始める…
「私は貴方に興味があるのです…男性はキヴォトスでも前例がないほどに珍しい…伝承でしか伝えられていなかったので…」
「…はぁ?…なっ何言ってんだテメェ…男性は前例がないほど珍しい?それだとまるで…俺しか男が居ないみたいな言い方じゃないか…」
「…えぇ、その通りですよ。おっと、言い方を替えましょう…生物学的にも男性はこのキヴォトスにもいます…ですが、それは犬や猫の畜生だったり、ロボットなど…人型の男性はこのキヴォトスの中でいくら探し回っても、貴方しかいません…」
「私が最初に見つけられて良かった…もし最初に見つけたのが、私じゃなく、他のメンバーだったらと思うと肝が冷える…」
「ロイヤルブラット、そして貴方を研究すれば私の計画はもっと質の高い崇高へと、近づけるに違いないでしょう…」
(ベアトリーチェが嘘をついてる気配はない…つまり…あいつが言っていることは本当だと言うことだ。)
(まず、俺しか男が居ないってどうゆう事だ…じゃあこいつら、どうやって生まれてきたんだよ…てか…アズサも言ってたが、キヴォトスって何だ?アズサやアイツの話し方的にこの世界の名前ってことか…?それに…ロイヤルブラット…?崇高…?何を言っているんだ?」
(でも…アイツの事だから、どうせろくなものではない…なら、アイツに従うくらいなら、死んだ方がマシだ…」
甲高く笑っているベアトリーチェに叫ぶ…
「…誰が、いつ、アンタの命令に従うって言ったよ?」
笑っていたベアトリーチェも俺の答えに笑うのをやめ、静かに見ている
「貴様ッ!何をッ!!」
ガスマスク野郎が俺に注意するが、それを無視し、ベアトリーチェに問う…
「別にアンタの計画なんざ…俺にとっちゃ、めっちゃどうでもいいことなんだよ!!お前なんかの操り人形になるくらいなら、今ここで舌噛み切って自害した方がマシだね」
そう言い切る俺に、ベアトリーチェは静かに笑う…
「…確かにその覚悟は認めてあげますよ…しかし、貴方にそれは出来ない…肉体的にも精神的にも…」
「……何を言っている?」
ベアトリーチェは机にある拳銃を拾い…俺の脇腹に発砲する…
「ガハァッ…」
「何だ…?命令に従わないなら、自分の手で殺すってか?」
「……そんな下衆なこと私がする訳無いでしょう…?」
そう言い放つベアトリーチェに脇腹を押さえながら聞く…しかし、そこには違和感があった…
「気づいたようですね…」
(何で俺の傷口が塞がっている…?」
「不思議には思いませんでした?貴方はここに連れてこられる前…頭と心臓を貫かれたのになぜ、生きているのか…」
(確かにそうだ…俺は頭を撃たれ、気絶し、ここに連れてこられた…普通は有り得ない、人間は、脳と心臓…どちらかが傷つけば、死ぬ…なのに俺は生きてる…」
「貴方の神秘は他の人とは違い、再生力が高いようですね…体は砂のように脆いですが、それを補う程の再生力…ますます貴方に興味が湧いてきました…」
「……それに貴方が従わないなら、白洲アズサの命はないと思った方がいいでしょう…」
「なんでだ!?アズサは関係ないだろ!!」
「言ったでしょう…白洲アズサが殺されなかったのは、貴方がいたからです。偶然ですが、アズサは、貴方の存在を私に示してくれました…なら、そんな貴方が居なくなれば、アズサは貴方という免罪符が無くなる…そうなれば、私が彼女を生かす理由は無くなる…」
「それに貴方は、彼女の事を気にしている…さっきの質問にも、真っ先に彼女の生死を聞いていたのですから…」
「……分かった…お前の実験に協力する…」
「理解のある子供は好きですよ…」
「お前になんか好かれたくねーよ」
「ここから数日間私の実験に付き合って貰います…呼ばれるまではさっきの部屋に待機してください」
そう言われ、俺はまた、さっきの部屋に連れて行かれる…やっぱり俺は異世界転生しても不運なようだ…