Re:インフィニット・ストラトス   作:ぬっく~

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クラス代表決定戦!(1)

【教室】

朝。IS学園一年一組の教室では、織斑一夏が珍しく早めに席につき、教科書と睨み合っていた。

 

「おい一夏……まだ授業が始まってすらいないぞ」

 

後方から響く声に振り返ると、長い黒髪をポニーテールにまとめた篠ノ之箒が眉をひそめている。

 

「いやぁ……ちょっとでも準備しとかないとヤバそうでさ」

「その気持ちは分かるが……お前は基礎知識すら怪しいんだ。まずは教官の話をしっかり聞け」

 

「……ごもっとも」

 

その時、教室前方のドアが開き、副担任の山田麻耶が入ってきた。軽やかな足取りで教壇に立つと、

 

「皆さんおはようございます! 今日は入学二日目ということで……恒例のクラス代表決定戦について説明しますね」

 

一斉にざわめく教室。麻耶先生は苦笑しながら、

 

「代表は各クラス一名ずつ選出してもらいます。立候補、推薦、あるいは希望者の決闘――方法は自由です。でも決戦は今週末ですから、時間がないですよ〜」

 

「先生! その代表って具体的に何をするんですか?」

 

前列の女子が手を挙げる。

 

「年に一度の〈学年別タッグトーナメント〉への出場義務がありますし、その他にも委員会の業務や生徒会との調整役など……要はクラス全体の顔役です」

 

麻耶先生が説明を終えるとほぼ同時、背後から鋭い声が割り込んだ。

 

「我が英国に連なる者として、このクラスの代表はぜひ私にお任せください!」

 

立ち上がったのは金髪碧眼の少女――セシリア・オルコット。完璧な所作で一礼すると、

 

「皆さんも分かっているでしょう? 専用機持ちの私ならば間違いありませんわ」

 

 

「いやいや、そう簡単に決めちゃダメだろ」

 

反射的に立ち上がり反論する一夏にクラス中が注目する。セシリアは一瞬怯んだものの、

 

「貴方が何を仰ろうと結果は変わらないわ。なぜなら織斑くん、あなたは基礎すら欠けた状態――」

 

 

「そこまで」

 

冷ややかな制止の声。担任の織斑千冬が扉に凭れ掛かるように立っていた。

 

「セシリア・オルコット。自薦は否定しないが最終的には投票か決闘だ。ただし男子である織斑一夏にもチャンスを与えよ」

 

 

「……分かりましたわ」

 

渋々引き下がるセシリア。

 

「じゃあ決まりね! 織斑くんvsセシリアさんの直接対決でクラス代表を決めようじゃない!」

 

盛り上がる教室。一夏は天を仰ぎ、

 

(どうしてこうなった……!)

 

【アリーナ控室】

 

訓練日。広大なグラウンドを囲むように建造された立体観客席の下、ピットの一角で一夏は全身を覆うパイロットスーツを着用していた。

 

「準備完了か?」

 

モニター越しに声をかけるのは訓練担当教官・篠ノ之箒。

 

「いつでもOK!」

 

白い機体――試作型近接格闘型〈打鉄改〉の装甲が完全にロックされると同時にブザーが鳴り響く。

 

『訓練エリア開放。演習対象機〈打鉄〉、訓練目標設定・回避不能攻撃判定Aランク』

 

一夏が目を凝らすと約50メートル先で青白い光が弾けた。出現するのは無骨な量産機〈打鉄〉――ただし機動速度は通常の倍。シミュレーター設定で最大値だ。

 

「いくぞ!」

 

フットペダルを踏み込む。背部スラスターから炎の尾が伸び、一夏は瞬時に音速域に達した。

 

『標的接近』

 

人工音声が告げる。打鉄が大型ブレードを構えて迎撃態勢を取る。

 

「こっちだって!」

 

右手に握る刀〈雨月〉を閃かせて斬りかかる一夏。しかし剣閃は虚しく空を切る。

 

「速すぎだろ……!」

 

その刹那。左肩に衝撃が走った。回避不能と判定され、仮想ダメージとして損傷が表示される。

 

「まだまだ!」

 

距離を取りながら背面ブースターを全開。鋭角的な方向転換から再アプローチ。だが打鉄は完璧なタイミングで銃撃を繰り出す。

 

「くっ……!」

 

間一髪で機体を捻り回避するも、左脚が焼け焦げるような痛み(仮想)を覚えた。

 

『訓練対象の移動速度低下を検知。第二形態に移行』

 

機械音声に続き打鉄の装甲がスライドし、背部から新たに二基のブースターが露出する。

 

「おいおい冗談だろ!? まだ上がるのかよ!!」

 

絶叫しながらも一夏は歯を食いしばる。ここまで来たのだ。引くわけにはいかない。

 

「来いよ……やってやる!」

 

咆哮とともにブースター全開。轟音とともに二人の影が衝突点に向かって一直線に駆ける――

 

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