ブルーアーカイブ ―Cyber Troopers in Another Sky― 作:C03-HELIOS
先生とタスクの対面会……と見せかけたVR解説会です。
VO原作との変更点も説明してるので、ぜひ読んでください。
※One oh one=101
英語で『初心者向けの入門コース』を表す慣用表現
「ここがシャーレかあ……」
次の日、タスクは一人でシャーレに赴いていた。
(……昨日は大変だったなあ……)
そんな彼が思いだすのは、昨日の風紀委員会執務室での大騒ぎ。
――チナツの『明日、私と付き合ってもらえませんか?』の発言後、それはもうえらいことになった。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!! という凄まじい怒り(本人完全無意識)のオーラを無言で放ちまくるヒナ。
不純異性交遊宣言とは良い度胸ですね! と、ガチギレ(風紀委員としての怒り半分ヒナへの想い由来の怒り半分)するアコ。
えっ、ちょっ、まさかチナツもタスクに……⁉ と、何かを勘違いして右往左往し始めるイオリ。
いえ、違うんです! 違うんです! と、怒れる先輩たちに詰め寄られかけて、必死に弁明しようとアタフタするチナツ。
そして、何が起こっているのかさっぱり分からず、その場で固まるタスク。
そりゃあもう、あと少しで『ゲヘナムチムチアカタイツ討伐戦』でも始まりそうなヤバい雰囲気になったものだがタスクの
『何をするにしても事情を聞いてみようよ?』
との一言でヒナのオーラが減退(消えては無い)したことで何とか空気が戻り、イオリも焦りながらタスクの意見に賛成したことで、アコも事情を聞くことに賛成。
結果として(尋問染みたヤベー奴ではあったが)チナツへの事情聴取が行われ……
『VRに詳しいチナツの先輩にVRについての話を聞かせて貰いたいんだ』
という先生からのモモトークの内容が判明したのである。
そんな訳で今、タスクはシャーレに居るのだ。
……ちなみに本来、同行するはずだったチナツは、救急医学部からの急な援護要請が入ったせいで来れていない。
「すみません、今日約束していたゲヘナ学園の健木タスクです」
“良いよ、入ってきて”
そして、タスクは扉を開けてシャーレの執務室へと入った。
そこには大きなテーブルに乗せられた大量の資料と格闘する一人の大人――先生の姿があった。
「う、うわあ……」
“ごめんね、ちょっと仕事が終わらなくて……少し、待っていて貰えるかな?”
「僕、手伝いますよ」
“良いの?”
「あ、はい。ちょっと他人事には思えないんで……」
資料の山に埋もれていた頃のヒナ&アコを思い出しながら、タスクは積まれていた資料の山の一つを持ちあげる。
「とりあえず、何処までやっていいのか分からないので、書類の種類ごとに分類しておきますね」
“ありがとう、本当に助かるよ!”
――それから1時間後
“ふう、これで仕事は一段落ついたね”
「思った以上に書類が多かったですね……」
先生とタスクは一休みに仲良くコーヒーを啜っていた。
……なお、タスクは苦いのがダメなためカフェオレか? とツッコミたくなるくらいにミルクと砂糖をぶち込んだ奴だが。
「では改めて挨拶を。
僕の名前は健木タスク。ゲヘナ学園の2年生で、備品管理部に所属しています」
そう言ってタスクは自分の学生証も先生に見せる。
”こちらこそ、よろしくお願いするね”
先生はタスクの姿と学生証を一瞥して……ある事に気付く。
“もしかしてタスクって……男?”
「ええ、はい。性別学上では間違いなく男ですね
……やっぱり見えませんか?」
”……えーと(焦)”
「大丈夫ですよ。もう慣れっこですし
それにこの見た目のおかげで、女子の中に溶け込みやすいので、むしろ助かってます」
“そっか……でも、やっぱり大変じゃない?”
「まあ、大変です。特にトイレが……」
“ああ……それは”
「はい。とっさにトイレ行きたくても男子トイレが遠いなんてのも日常茶飯事ですし……」
“私も注意しておいた方が良さそうだね”
「絶対にトイレの位置だけは確認した方が良いです。最悪、死にます。尊厳が。
というか僕は一回、社会的にマジで死にかけました」
“……肝に銘じておこう!”
「……まあ、雑談はこれくらいにして
先生はVRについてのお話を聞きたいんでしたよね?」
“ああ、うん。そうなんだ。銃や戦車ならともかく、VRは外の世界には無いものだったからね。少しでも情報を集めておきたいんだ”
「うーん……」
タスクがゆっくりと首をかしげる。
「だったら僕よりもっと詳しい生徒さんがいますよ? 特にユウカさんと面識があるんでしたら、ウタハ先輩やホタル先輩に話を持っていった方が良いと思うんですが……?」
“ユウカに聞いたら、二人とも忙しくて時間が取れないって言われてね……”
「なるほど。だから、僕ですか……」
意味を噛みしめるように頷いたタスクは、上着のポケットから端末を幾つか取り出しながら返答する。
「分かりました。僕で良ければ説明させていただきます」
“ありがとう”
「では、最初にVRのどんな事について知りたいのか教えてください。
正直、VRの事について全部説明しようとすると、数日程度じゃ間違いなく終わりませんから」
“うーん”
先生は少しだけ悩む。
“だったら、どんなVRが脅威なのか教えて欲しいかな。この前の戦いでドルドレイ? って機体相手に危うくやられるところだったから、それと同じくらい注意しておきたい機体とか知っておきたいな”
「了解です。……あ、でも……」
“どうしたの?”
「いや、VRってどの機体でも基本的に油断したらダメな機体ばかりで、一機ずつ説明していたら日が暮れても終わりそうにないんですよ……それはマズいですよね?」
“ああ、それは確かにマズいかなあ……まだ仕事がいっぱい残っているし”
「うーん……あ、そうだ。
VRの世代を説明すれば、大まかな危険度が分かりやすくなるので、それを説明しますね!」
タスクはタブレット端末サイズの機材をデスクの上に置くと、電源ボタンを押す。
そこからホログラフで作られたモニターが展開される。
“世代?”
「はい。現在、VRは第一世代型から第三世代型までの世代が存在しているんです」
モニターに大きく『第一世代型』、『第二世代型』、『第三世代型』の項目が表示される。
「まず、第一世代型」
第一世代型の項目が白く光り、六機のVRのシルエットが浮かび上がる。
「これはシュンポシオンが最初に発表したVRの世代です。この時点で既存の戦車やヘリコプターを上回る戦術的な強みを持っていました。
第二世代型や第三世代型と比べたら低性能ですが、油断すればケガじゃ済まないくらいの戦闘能力はあります」
“相対的に弱いだけって事?”
「はい。後の世代の機体にも得意分野なら対抗できるくらいの性能を持っている場合もあるので、絶対に油断しないで下さい」
カチャカチャ、とタスクは端末をいじる。
「まあ、もう第三世代型VRが普及しているんで、性能面でもコスト面でも特に利点が無い第一世代型は一線を引いていますが、それでも幾つかの機種は運用されています」
タスクは再度モニターを切り替えると、今度は第二世代型と表示された項目を開く。
「そしてこれが本命。第二世代型VRです」
“本命?”
「はい。実は第二世代型VRは現行において最強のVRなんです」
“えっ、第三世代型まで出ているのに第二世代型が最強なの?”
「そうなんです。知らない人は良く勘違いしますけど、第三世代型より第二世代型の方がカタログスペックでは上です。
先生が遭遇した機体で例えればVOXダニーが第三世代型で、ドルドレイが第二世代型です」
“確かにVOXダニーよりドルドレイの方が強かったから納得だけど……どうして?”
「それについてこれから説明します」
モニターに様々な情報が映し出される。
「第二世代型VRは対VR戦闘を想定して開発されたVRです。
そのため、あらゆる面で第一世代型VRを超えることをコンセプトに開発されました。
新型のV.コンバータ……あ、V.コンバータっていうのはVRのメインエンジンで、従来のエンジンとは比べ物にならない出力と慣性制御能力と斥力推進システムを兼ねたオーバーテクノロジーな……」
“ちょっと待って、なんかもの凄い技術が出てきたんだけど?”
「あ、そう言えば説明してませんでしたね」
慌ててタスクが端末をあたると、すぐにCDプレイヤーかディスクゲーム機のようなユニットの画像が映し出される。
「これがV.コンバータ。先ほども説明した通りVRのメインエンジンです。
これ一つがジェネレータ、慣性制御システム、斥力推進システムを兼ねている凄いもので、VRが高火力・高機動を両立できている最大の要因です。
何より、VRの定義そのものが『V.コンバータを主動力原とする遠隔操縦式人型機動兵器』なので、実質的にVRの心臓部と言って良い代物です」
“なんかそんな凄いエンジンには見えないけどな……”
「でも、実際はとんでもないんですよ?
なにせ、キヴォトス一の技術力で有名なミレニアムでも解析や製造が不可能な代物なんですから。
キヴォトスでもV.コンバータの製造技術を持つのはたった二社だけです」
“あっ、もしかしてその会社の一つが”
「そうです。お察しの通り、VR市場をほぼ独占してる【シュンポシオン】がその一つです。
逆に言えばシュンポシオンは、V.コンバータの製造技術を持っているからこそVR市場を独占できていると言えます」
“……それは連邦生徒会もシュンポシオンに手が出せないわけだよ”
「全く、本当にそうなんですよ……あ、話を戻しますね」
一息ついてから、タスクは再び第二世代型VRの項目を開く。
「というわけで第二世代型VRは高出力・高効率な新型V.コンバータを採用したおかげで、第一世代型VRとは比べ物にならない出力を実現できました。
だから、第一世代型VRでは採用できなかった機能や装備が採用されています。
加速も減速も無しに瞬間的に90度以上の方向転換が可能な【バーティカルターン】
短時間の単独飛行能力と、空中ダッシュとも言われる短距離超高速飛行能力。
高出力かつ多彩な兵装を搭載・運用可能なパワーリソースと高度火器管制システム。
そして、何よりも特徴的なのが【V.アーマー】です」
モニターに映る一機のVR。
それを覆う、あるいは纏うようにバリアが展開されているのが描写されている。
「V.アーマーを単純に言ってしまえば『射撃武器を防ぐバリアです』。
V.コンバータの余剰出力を利用して展開されるこの斥力バリアは、実弾系、ビーム系、レーザー系の射撃攻撃のほぼ全てを無効化あるいは減衰します
本来はVRの高威力武装を防ぐための機能なんですが、それ以上にキヴォトスで多発する銃火器での撃ち合いにおいて無敵に近い防御性能を発揮するんです。
このせいで、普通の生徒が第二世代型VRを倒すのはかなり難しいと言えます。
まあ、さすがにバリアはバリアですので、耐久限界以上の攻撃を受ければ壊れるし、近接攻撃には無力なんで、倒すのが不可能というわけでは無いんですが……」
その話を聞いていた先生が渋い顔を見せる。
“確かにあのドルドレイは無茶苦茶に頑丈だった”
タスクもそれに頷く。
「ドルドレイは特にV.アーマーが頑丈な機体ですから……というか先生、本当に良く無傷で倒せましたね?
確かに正実の副委員長がいたとは聞いていますが、残りのメンツから考えると勝ててもかなりの被害を受けるはずなんですが……」
“まあ、何とか指揮が上手く行ったからね。それに生徒の皆のおかげだよ”
「……(どんだけ指揮が上手いの先生?)
……と、とりあえず、このV.アーマーを含む革新的な機能や装備によって第二世代型VRは最強と言われるだけの性能を得ました。
状況によっては大規模学園の治安維持部隊と真っ向から戦って完勝できてしまうくらいの。
……だけど欠点もあったんです」
“欠点……って事はそれが第三世代型に関わるんだね”
「はい。第二世代型VRの欠点は『高性能にし過ぎた』ことです。
新型V.コンバータは高出力な代わりに制御が難しくて、VR適性が高い人しかまともに扱えない。
第一世代型VRを凌駕する機動力のせいで操縦難度が異常に高くて、高い操縦センスと反射神経を持ち合わせていないと普通に事故る。
火器管制システムが複雑になったせいで、専門の訓練を受けないと武装をほとんど使いこなせない。
その上、コストは非常に高い。
……という『カタログスペックだけを見た結果がこれだよ!』みたいなじゃじゃ馬になっちゃったんですよね」
“えっと、地味にマズくないそれ?”
「ええ、不味いです。
少なくとも『高性能だけどめちゃくちゃ扱いづらくてコストも高い』っていうのは量産型兵器としては大失格です。
……ですが、逆に言えば使いこなせるパイロットが使えば、最強という評価に相応しい性能を発揮できるだけのポテンシャルはあるんです」
“例えるなら一般向けの乗用車として作っていたのにF1カーができちゃった感じ?”
「そうそう、そんな感じです
というわけで、第二世代型VRは実質的な失敗作として見なされて、操縦性と運用性、そして量産性を重視した第三世代型VRが開発されたんです」
モニターの中で第三世代型の項目が開かれる。
「第三世代型VRの特徴は『【マインド・アジャスター】の標準搭載』と『兵装換装システムの標準搭載』の二つです。
まず、マインド・アジャスターはVR適性が低いパイロットでもVRを操縦できるようにする操縦補助システムの一種です。
技術面とかを詳しく説明すると長くなりますが、簡単に言えばパイロットに合わせて機体側が色々と最適化してくれるシステムです」
“って事は、これまでのVRはパイロットに合わせてくれなかったんだ”
「ええ、そうです。
第一世代型や第二世代型の時は技術力不足で、どうしても『パイロットが機体に合わせる』ようにしか出来なかったんですよね。
第三世代型の開発段階になってようやくマインド・アジャスターが実用化されて、『機体がパイロットに合わせてくれる』ように出来たんです」
“だったら、第二世代型にもそのマインド・アジャスター? を搭載すればVR適性の問題を解決できるんじゃないの?”
「先生、鋭いですね。実はそのアイデアも第三世代型の開発時にはあったんですが、無理だったんですよ。
実はマインド・アジャスターって、最適化する仕組みの問題で一定出力以上のV.コンバータでは、稼働効率が大幅に落ちるっていう欠点があるんです。
第二世代型に採用されているような高出力なV.コンバータだと、稼働効率が1割以下に落ちちゃって実質的に無意味になっちゃうんですよ
かといって高出力なV.コンバータを使わないとすると、今度は第二世代型のハイスペックを維持できないんです。
特にV.アーマーは高出力のV.コンバータじゃないと使用不可能なので、第二世代型VRとしての優位性が無くなっちゃうんですよね。
扱いやすくした代わりに性能が落ちるくらいなら、同じくらいの性能を出せる第三世代型を作った方が安上がりで効率的だ……って事です」
“うーん、やっぱり上手くは行かないんだね”
「はい。だから、第三世代型VRより第二世代型VRの方がカタログスペック上は高性能なんです。
具体的に言えば第三世代型はV.アーマーを展開できないし、単独飛行能力もほとんど失っています。あ、空中ダッシュは可能です。
バーティカルターン機能は残されていますが、稼働効率が落ちているため物理法則を無視したような動きは厳しくなっています。
ただ、それを差し引いても誰でも乗れる利点の方が大きいし、高出力のV.コンバータが使えない=コストが抑えられるという事なので、量産機としてはむしろ長所と捉えられていますね」
“さっきみたいに車で例えると、一般道で一般人が使う自動車にF1カー用のハイパワーエンジンや特殊素材製のボディはいらないって事に近いのかな”
「その認識で間違いありません。
そして、その避けられない性能低下を補い、より操縦しやすくするために追加されたのが、さきほどにも挙げた兵装換装システムです」
タスクが端末を操作すると今度は1機のVRの姿が映し出される。
それはリアルロボットアニメ主人公機を彷彿とさせる、スマートなデザインの機体だった。
「これは第三世代型VRの一つ【テムジン747A】です。
攻撃力・防御力・機動力が全て水準以上の能力を持つハイバランス機体で、第三世代型VRの中でも傑作機として有名です。
で、この機体にはアーマーシステムという各種の装甲を換装する事で、別の特性を持った機体になれる機能を持っているんです」
テムジン747Aのオーソドックスな装甲が外れ、代わりにウィングが特徴的なユニットが装備されていく。
出来上がったのは大きなウィングが背部や脚部に装備された、如何にも高機動形態となったテムジンの姿。
「これが【テムジン747F】。
高機動戦用のフレックス・アーマーを装備した形態で、747シリーズ特有の汎用性に高い機動性と空中機動能力を兼ね備えているのが特徴的な機体です。そして……」
テムジン747Fの各種装甲が再び外れ、今度は頑丈そうな装甲や中型キャノンなどを含むユニットが装備されていく。
今度は分厚い装甲に中型キャノンやミサイルポッドを肩部に搭載した、重装甲の後方支援機のような姿へと変わっていた。
「これが【テムジン747H】
重支援戦闘用のホールド・アーマーを装備した形態で、747シリーズの汎用性に高い火力と装甲を兼ね備えた、優秀な後方支援機として完成しています」
そして、モニターにはテムジン747A、747F、747Hの三機が並んだ表示される。
「このようにテムジン747はアーマーを換装することで、全く違う用途の機体になることが出来ます
そして、方法や名称は機種によって違いますが、第三世代型VRは全てこのような兵装換装システムを持っているんです」
“ふむふむ、装備を換装する事で、同じ機体を違う用途で運用出来るようにするっていうのはロボットアニメでは定番だけど……操縦しやすくするって?”
「前にも言った通り、第二世代型VRが扱いづらい理由の一つに、火器管制システムが複雑過ぎて使いこなせないっていうのがあります。
というわけで第三世代型VRは第二世代型VRの兵装をそれぞれ分割・簡略化した上で換装式にすることで、火器管制システムを単純化しているんです。
このおかげで第二世代型VRよりも操縦しやすく、使いこなしやすく、戦力化するのも楽になっているんです」
“じゃあ、コストは?”
「もちろん、第二世代型VRより安いです。
平均的な第二世代型VR一機を買う費用で、平均的な第三世代型VRが三機以上買えるくらいには安いです。もちろん、運用コストも同じくらい安いんですよ」
“まさに量産型だね”
「実際、キヴォトスに普及しているVRの90%近くが第三世代型VRなくらいですからね」
そう言ってからタスクはモニター表示を切り替える。
「纏めると
『相対的に弱いけど油断はできない』第一世代型。
『驚異的な性能を持ち最優先で対応する必要がある』第二世代型。
『普及率が高くて個性豊かで性能も高い』第三世代型。
って感じです」
“やっぱり第二世代型の危険性が突出しているね……見つけたら真っ先に対処しないと”
「はい。ただ、他の世代にも注意しないといけない機体は多いので……」
タスクは端末の一つから一個のメモリースティックを取り出す。
「こちらのメモリースティックに、分かっている限り全てのVRのデータを入れてあります。自由に使ってください」
“本当⁉”
「はい。ついでにAI式の自動識別アプリも入れてあるので、良く分からない機体でも端末のカメラで読み取れれば自動でデータを出してくれます。
あとオマケにデータに無い機体でも、その機体の装備や特徴を識別して、どんな特性の機体なのかを予測してくれる機能もついています」
“至れり尽くせりだね、本当にありがとう!”
「ええ、どういたしまして!」
先生はそのメモリースティックを受け取ると、自分の端末――シッテムの箱――に差し込む。
(アロナ、このデータとアプリケーション使える?)
(はい! このスーパーAIアロナちゃんにお任せください!
……ってうわあ⁉ なんか大きなコンピューターが来ました⁉)
(ああ、シッテムの箱の中だとそんな感じになるんだ……)
(ええっと、これはこうすれば……うわあ、すごいです!)
(どうしたの?)
(これ、ものすごく使いやすいシステムですよ! これなら、すぐにでも使えるようになります!)
(うん、じゃあアロナ、お願いね)
(はい!)
そして、先生はタスクの方を向く。
“データもアプリケーションも無事に使えそうだよ”
「それは良かったです。もし、何か問題があったらいつでも連絡してくださいね」
その時、タスクのポケットから着メロが鳴った。
「あ、すみません」
タスクはポケットから自分のスマホを取り出すと通話ボタンを押した。
「はい。タスクです……え、嘘でしょう⁉ わ、分かりました、すぐ戻ります!」
電話を切るや否や、タスクは慌てたように端末を回収し始める。
「すみません、ちょっとゲヘナの方で大問題が起こったので、戻ります!」
そう言うや否や、タスクはめちゃくちゃ慌てた様子で、先生の返事を待つことも無くシャーレを飛び出していくのだった。
“……色々とすごい子だったなあ……”
それをしばし呆然と見送っていた先生だったが、未だ残る書類の事を思い出してテーブルに座りなおす。
“さてと、仕事をしないとね……次はっと”
先生が手に取った手紙には――アビドス廃坑対策委員会よりと記されていた。
な、なんとか分かりやすく説明しようとしたけどこれが限界でした……
専門用語だらけで分かり辛い説明になってしまい申し訳ないです。