イーフェと奇妙な館   作:イーフェの手記

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第18話後半 黄泉の国の調査?

『ジークが死んだが、話を続けよう』

「良いんですか?」

『かまわん!』

「は、はぁ」

『ともかく、監視カメラはもう何の必要もない。

しかし、私が屋敷に向かうのは危険だ。

ジークをこちらに呼び、平穏に暮らせれば1番良いな』

「行き来はもう出来るようになったんですよね?」

『あぁ。しかしゾディアーク・ディライが追ってくる可能性もある。

そこが問題だ』

「何のために? ディライがわざわざ?」

『奴はトーシュエン第一だ。

不穏分子と見なせば、私をつぶしにかかるぞ。

そして、私の居る世界は奴から派生したものにすぎん。

戦いになれば、世界の総力を賭しても勝ち目はない』

 

そうか、そう考えるとロウリィからは厄介だよな。

 

『そういえば、イーフェ。

貴様、なにやらナビに対して一矢報いる策があるらしな?

相手があのディライと知った今でもそれは有効か?』

 

ディライ相手でもか……。

 

『まぁ、恐らくは』

「ほう! それは良い!

どんな作戦だ?」

 

うーん。

ディライに敵対する意味も今はないが、どうせ実行出来る可能性は低い作戦だし、教えても良いか。

 

「えー、まず黄泉の国にいく必要があるんですが……。

その前に、黄泉の国の詳細を聞いても良いですか?」

『なんだ?』

「あれって、死者全員が行くわけじゃないですよね?

聞いた話では、ニトスさん達はここに来る時、走って死者から逃げてきたそうじゃないですか?

全世界から見れば、空を飛べる者がどれだけいるんだって話です。

しかも、トーシュエンの身体能力はあくまで人間の範疇。

死者が全世界から集っていたら、ただの走りで逃げられる訳がありません」

『鋭いな。それはその通り。

あの黄泉の国に行くのは限られた者だけ。

全世界でなくこの周辺の世界。

それも「転生を拒絶された魂」に限る。マギスンとジークが一緒に居なかったのはそういう事だ。

マギスンは、私とB.B.という形に転生しているからな』

「転生を拒絶?」

『詳しくは私も分からんが、分かりやすいのは死ではなく消滅で一生を終えた場合だな。

ジークの場合は、まさにそれだ。

後は一定の悪行をすると、転生が出来なくなるとか。

異様な程、転生を繰り返すともう出来なくなるとかもあるらしい』

「へー」

 

でも、それならやっぱり思っていた通りの事が出来るかも。

ニトスにも聞いてみるか。

 

「ニトスさん! ニトスさん!」

「ん? なんだ、イーフェ?

俺はもう今日、ショックで寝込みたいんだが……」

「そこをなんとか!

黄泉の国で知り合いに会いませんでしたか?」

「うーん、広い所だからな。

それに飛ばされてから大して経って居なかったし……。

あ、だが、そういえば」

 

ニトスは起き上がって、こういった。

 

「凄く懐かしい男が居た気がするな。

転生を自分で拒否して、俺に復讐するためにやってきたと言っていた。

すぐに倒してやったが、名前を忘れた。

短髪で金髪で足の速さに自信のありそうな男だったな」

 

え? それって……。

 

「十字八剣のツヴァイでは?」

「そういえば、そんな感じの名前だったかもな」

「ええええええ!?」

 

つ、ツヴァイだと!?

 

『そんなやつ居たなぁ』

 

ロウリィも興味なさそうに言ってる。

しかし数秒後、息を飲み、声のトーンを変えて、こう言った。

 

『だが待て、大抵の奴は自力で転生の拒否など出来ないはず。

あの十字八剣……実力はともかく、神と交渉する権利でもあるというのか?』

 

死後、神と交渉……ま、まさか。

よく異世界転生もので死後に女神と話すような空間があるが……。

あの空間に運よくツヴァイが飛ばされたのか?

あのほぼ確実にチートが手に入るボーナス空間に!

普通なら、神にチート異世界転生を望むだろう。

だが、ツヴァイは違ったのだ。

ニトスに復讐する為に黄泉の国に送れと頼んだのだ! 恐らくな。

……神も唖然としたろうな。

 

「俺が見た中では、あいつだけが黄泉の国で正気を保っていたな。

実力は雑魚だったが」

『神の加護というやつだろうか。

それは、もしかしたら突破口になるかもしれんぞ?

よし、ツヴァイを調査しようではないか』

「どうやって?」

 

今の所、黄泉の国に行っても死ぬだけだと思うんだが。

 

『そこは、ほら、あれだよ?

……カロスー!』

「カロスでもダメだったんじゃ?」

 

これ、1回トーシュエンに話した方が良いやつだろうか。

とりあえず伝えよう。

俺達がトーシュエンの正体を知った事。

そして、ロウリィは知ったうえで別に敵視まではしていない事。

後、ツヴァイが授かっているであろう加護、これについてロウリィが調査したがっている事。

 

「今までの事、トーシュエンに伝えていいですか?」

『う、うーむ、まぁ、そうだな……。

確かに他に手はないか……致し方あるまい』

 

トーシュエンはともかく、ナビ、もといディライの事は敵視しているロウリィだ。

回答の歯切れは悪かったが、とりあえずOKは貰った。

それに俺としても気になるのだ。

ツヴァイが加護を誰から貰ったかはな。

それ次第では、俺も新たな力を手に入れ……。

 

異世界でギャンブル勝ち放題になるかもしれんしなぁ!

 

 

「探したぞトーシュエン。

こんなところにいたのか?」

 

夕食が近いので例のごとくキッチンに居るかと思ったが、そんな事はなく、ゲーセンコーナーにトーシュエンはいた。

ロウリィとの通信は切り、ニトスにはポイントを与える事を約束し、俺が手に入れたスキルの実験をしてもらっている。

 

「夕食はどうする気だ?」

「一応、簡単には作っておいたぞ。レンジであっためるだけでもう食べられる」

「やるな。さて、話があってきた」

 

トーシュエンはこちらを見つめてくる。

ふむ、この感じは俺がトーシュエンがシルバの亡霊だと知っていると、分かっているな。

なら、話そう。

俺はまずトーシュエンの正体、ロウリィやニトスが敵対はしていない事を話した。

ついでにナビの正体を知ったという事も。

 

「そうか。

シルバの亡霊とバレて、大変な事になるかと思ったが意外だったな」

「まぁ、ニトスとオラクルの実例があるからな。

亡霊じゃそう簡単に敵視はしないよ、そりゃ。

ナビについては敵視していたが、予想以上に強大な相手だったからか慎重だ。すぐにロウリィが動くことも無い。

で、だな。

そこでロウリィが思いついたのが、こんな手なんだ。

多分驚くと思うぞ?」

「ん? どんなだ?」

「なんとな、黄泉の国から十字八剣ツヴァイ救出作戦!

ツヴァイに宿ってる謎の加護の秘密を探ろう! だ」

「ツヴァイ!?」

「あぁ、特定の存在しかいないはずの黄泉の国!

そこに、条件を満たしてないはずのツヴァイが居るらしい!

しかも、なぜか正気を保ったまま!

これは、何らかの加護があるとしか考えられないみたいなんだ。

ひとまずこれを調査したいらしい!

この調査、面白そうじゃないか?

やる価値はあると思うねぇ!」

 

ふっ。トーシュエンの奴、考えてるぜ。

さぁ、どう転ぶか。

これでもし、調査が進んで加護を俺も授かるなんて事になったら……。

ふへへへへ! 異世界ギャンブル編が始まるぜぇ!

ヒャハハッハハ!




奇妙な館の交換小説は、全24話で一区切り!
「イーフェと奇妙な館」は後3回で終わります。
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