イーフェと奇妙な館   作:ゴールデン・フルスタ・ドミネイト

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2章からは、イーフェ以外のキャラ視点も入るかも?


第2章
第24話前半 仮初の主誕生


それは俺達がB.B.ライダーの世界に来て、1週間ほどの事。

 

「ロウリィさん、話ってなんですか?」

 

「江戸前」の閉店後の時間、今は夜。

ゴース家の研究室、館にいた面々が集められた。

ナビ、もといディライすらもおり、まさに全員集合である。

 

「うむ。

お前達、いや特にディライに相談がある」

「私にだと?」

「今、お前達はアークスに留まってもらってるだろう?」

「まぁ、ディライとトーシュエンがここから出れない以上、俺達が出た所でって感じだしな」

 

ニトスがそういう。

今更すぎるが、ディライとトーシュエンには館に戻れない。

それが逃げてきた理由でもあるしな。

そう、あまりに今さら……。

 

「え?

俺とナビって、今館に帰れないの?」

 

と、思っていたら。

当のトーシュエンがそんな事をのたまいだした。

 

「理解してなかったのかよ! 22話中編見返してこい!」

「何の話をしとる?」

「見ても分からなかった!」

「お前もお前で返すな!」

 

ニトスに突っ込まれつつ、頭をかかえる。

 

「つーか、分かってないのになんでシュガーと戦ったんだよ!」

「そんなの喧嘩売られたからでしょ」

 

くそっ、安定の回答に何も言えねぇ!

 

「よく分からんが、そう言うなイーフェ。

こいつには私もまだキチンと説明してないんだ。

一昨日、店に行った時軽く話したが、その程度だしな」

 

む、それならまぁ仕方ないか。

 

「U……いや、まずはその説明もきちんとするべきか。

奴の本名は契約で言えないが、まずだな」

 

ロウリィは前、俺達にしたUについての話をトーシュエンにした。

 

「そんなとんでもない奴が居たんですね。

少なくとも、俺の知ってる作品のキャラではなさそうですが」

「お前その顔、どうせあれだろ?

私が黒幕じゃなかったのか……とか思ってるだろ?」

 

召喚したのはロウリィだから、黒幕でも間違えじゃないのでは?

 

「まぁ良い。

そして、Uとの契約で大事な部分がある。

私が奴に力を貸すかわりに、奴は私及び私の領地に一切の手出しを出来ず、領地内では力をほぼ発揮出来ないという点だ。

これがあるから、今トーシュエンもディライも無事な訳だな。

私の領地の外に出てみろ。

また狙われるぞ。今度は大量の戦力でな」

「そうですか? 同じ事じゃないですかね?

もうロウリィさんは力を貸してない訳ですから、契約が切れているでしょう?

Uはロウリィさんの領地に手出しできるんじゃないですか?」

 

トーシュエンはそういう。

まぁ、その点は確かに疑問ではあった。

ロウリィが契約を反故している以上、U側も契約を守る義理はないわけで。

 

「書面での契約ならそうだろうな。

だが、この契約はあくまで召喚者と転移者の儀式契約だ。

奴がこの周辺の世界にいる以上、契約そのものは切れていない。

あくまで、私が契約内容を守らなくなっただけだ。

つまり、契約の縛りは有効なのだよ。

奴は私の領地に攻撃できないし、私はUの正体を皆に明かす事が出来ない。ここまでは良いか?」

 

分かりましたとトーシュエンは返す。

言われてみれば、俺もそこまでちゃんとは分かってなかったかもな。

 

「ひとまず、アークス内に留まれば無事平和に過ごせはする。

他の国を動かしたり、惑星ごと壊したりもダメのようだからな。

奴が配下を動かして襲撃させるのも無理だ」

 

ほー、じゃあもうここに永住すりゃ良いな。

この街は良いし、第2の人生は平和にここで余生を終えるとするか。

ん?

でも、じゃあなんで特にディライに相談があるなんて、話だったんだ?

 

「なるほど。察したぞロウリィ・ゴース」

 

ディライがそう静かに言った。

え? 何をですか?

 

「……シュガーレッドの件だろう」

「うむ。奴とソルファはUの配下ではない」

 

え? そうなん?

てっきり全ての元凶がUだと思ってたわ。

 

「私の知らぬ第3勢力が存在すると見た。

つまり、U勢力の襲撃を防げても第3勢力の襲撃は防げない」

 

そういう事か。

シュガーレッドがリーダーなのか、あるいは配下なのか?

どの程度の規模なのか全く未知数だが、確かに第3勢力は存在する。

となれば、確かにU勢力の対策だけでは全くの無意味だ。

 

「ディライ、お主は何か知っているようだな?」

「そうだな、深い因縁になる。奴らは強大だぞ」

「そうだと思ったよ。

そんな強大な第3勢力からの襲撃は防げない以上、対策が必要になる。

しかし、この町で出来る事は限られる」

 

つまり第3勢力対策の為、アークスの外に出る必要がある。

でも、外に出たら出たで今度は2つの勢力から狙われる。

しかもU勢力は館の場所も特定済。速攻で仕掛けてくるに違いない。

え? どうすりゃ良いの?

 

「そこでディライに相談だ。

一時的に私を館の主にしてくれないか?」

「「なっ!」」

 

ハイブリッドがニトスが驚きの表情を浮かべる。

あまりに強気な交渉だ。

なにせ相手は、原点たる神話上の存在。

それに対し重大な基地を譲れと言っているのだ。

一時的とは言え、強気と言わざる負えない。

 

「奴は私の領地内に手出しを出来ない。

つまり、館を我が領地にすれば良い。

狭間たるあの館を領地にすれば、資源も得やすく対策はしやすい」

「なるほど、合理的だな」

 

そう言いつつもディライはやはりというか、なんというか首を縦に振らない。

しばらく沈黙の時間が続き……。

 

「あの空間は私だけの力で築いたものではない。

独断では決めかねる」

 

やっぱりそうなのか。

そうなのかとは思っていたが。

 

「なら、協力者はどこに……。

いや、Uからはお前の協力者はトーシュエンだけと聞かされている。

つまり」

「察しの通り故人だ。

力を使い果たし、黄泉の国にも辿り着かぬ完全なる消滅を迎えた」

「そうか」

 

ロウリィはどうしたものかといった表情を浮かべていた。

 

「…………だが」

 

静かにディライは呟く。

 

「私の最大の目的は、トーシュエンに良い生活を送ってもらう事だ。

奴には少し悪いが、良いだろう。

背に腹は変えられん。

一時的になら権利を譲渡してやろう」

「良いのか!? というか出来るのか!」

「出来る事は出来る。今の管理者は私ゆえにな。

だが、1週間前まで居た館はおすすめしかねる。

シュガーレッドとソルファに位置が特定されているからな。

別の館の権利を一時譲渡しよう」

「なに? 他にも似たような館があるのか!」

「あぁ、いくつかある。

前までのものと似た所を一時譲渡しようではないか」

 

お、おぉ!?

なんか、前までの所とは違う別の館に行けるようになるっぽい!

 

 

それから、約3週間が経った。

 

「と、いう事があって。

新しい館とこっちを往復出来るようになったのは良かったんですけどねぇ!」

 

……アークスの個室居酒屋にて。

カクテルをガタンと机を打ちつけて、俺は眼前の相手に話しかける。

 

「酔っているのか……?」

 

龍曲使いロンドその人である。

 

「これノンアルカクテルっすよぉ!

つまりただのジュース!」

「そうなのか……」

 

なんか若干引かれてる気がしなくもないが、気にしない。

 

「なんなんだぁ! あの新しい館はぁ!

デカすぎんだろお!

内容そのまま大きさ2倍ってね! ハッハッハッ!」

「本当に酔っていないんだな……?」

「嫌だなぁ、「江戸前」で働いてもらったポイントとお金。

これをアークスの賭場で100倍にしただけの事ですよ!

ハッハッハッハッ!

10日しか働いてないのに70万S!

こんなに美味しい話がありますか!

あっ、ここの会計はもちろん俺が払うので!」

「納得した……」

 

クク。

それに、金だけじゃなく館のポイントも賭けで増えてる。

館が広くなったから、パチンコやパチスロもかなりの機種数設置されてるみたいだが……それは俺は全くやってない。

つまり、前と変わらぬ方法で増えている! 最高かよ……。

 

「しかし、ロンドさん。

会いたかったのに、今日まで会えなくて寂しかったですよ。

仕事、そんなに忙しいんですか?」

「あぁ……今、アークス大展示館で個展があってな」

 

使用人としてじゃなくて、画家の方かよ。

て、アークス大展示館?

今、そこで個展があるのといえば!

 

「ロンドさんて、もしかして!

あのアークスで大人気のゆるキャラ、すろードラゴンくんの作者 リンさんなんですか!?」

「まぁ……そうなるな」

 

すろードラゴン。

それは緩くて可愛らしい絵柄のドラゴンのキャラクターであり、どうやらこの時代のアークスで大人気みたいなのだ。

「江戸前」で10日働いていたが、すろードラゴンくんのグッズをつけた客を何人も見たし、客同士が話しているのも聞いた。間違えない。

 

「画家と聞いていましたが、大人気ゆるキャラ作家だったとは」

「元の画風から、写実的な絵画よりこちらに進んだ方が良いと今の妻に以前、助言されてな。

それからは上手くいっている。

俺の思い描いていた画家とは違うが、多くの人に喜んで貰えるなら、これも悪くはないと思っている」

 

そう言って、ロンドは静かに笑った。

うんうん。

すろードラゴンくん見たけど、かなり可愛いキャラクターだしな。

しかもその絵に反して、設定とかは少しダークなんだよな。

それがまた良い。

人気になるのも分かるというものだ。

 

……て、待て。

 

「ロンドさん。

今から俺、ひぐらしのなく頃にの名ゼリフを1つ言いますね?」

「急に知らないタイトルを出すな……」

「給料いくらだ」

 

俺は、ロンドに対してぐわっと身を乗り出した。

まぁ、ひぐらしの方だとこの台詞は、「悪事に加担するお前はいくらで買われてるんだ?」みたいな意味なんだが、そこは気にしてはいけない。

 

「どうした急に……」

「金に余裕があるのに、奢らせようとしましたねぇ!」

「勝手に奢ろうとしたのでは……?」

「うおおおおなんたる事だ!

失敗しそうになったぜ! あぶねぇ!」

「普通に割り勘で良いだろう」

 

呆れたようにそう言ったロンド。

しかし、何事か真剣な表情に変わる。

 

「それより、先の話に出てきた第3勢力。

備えは3週間でどの程度進んだ?」

 

あぁ何かと思えば、今の備えか。

そうだ、確かにその話はしておいた方が良いだろう。

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