イーフェと奇妙な館 作:イーフェの手記
プールに来たは良いものの……。
これはどうなってるんだ?
「…………」
鼻血を出し、倒れているニトス……は一旦無視して。
そんな事よりも今、ハイブリッドが千年戦争アイギスのアンナさんの姿に一瞬で変わったぞ!?
トーシュエンが何かしたとしか思えない。
そして、確かトーシュエンはアンナさんが好みだったはず。
つまり、トーシュエンの願いでハイブリッドが変身出来る様になった!?
それってつまり……。
「そうか、既に両想いという訳だな」
「おい待てイーフェ! 何か勘違いしてるぞ!」
「なら、俺に言える事は2つだけ。
終わった後のプールの掃除はちゃんとする事。
そして掃除で手に入れたポイントは、ちゃんとギャンブルに回すんだぞ」
そう言い残し、俺はその場を後に……。
「良いのかイーフェ!?
今立ち去ると、賭博部屋が使えなくなるかもしれないんだぞ!」
「なに!? 詳しく聞かせろ!」
「詳しくは助けてくれたら、話す!」
使えなくなるだと? い、いやハッタリだ。
だって、そうなる理由がないだろ。
……だが、果たしてそう言い切れるか?
この状況も考えてみれば、不可解な気がしてきたぞ?
「よし、助ける!」
ハッタリかもしれんが、1%でも可能性があるなら逃げる訳にはいかねぇ。
「賭博部屋の事は、本当だろうな!?」
「嘘をつくわけがないだろう!」
確かに、嘘を言っている様には見えないな?
「よし分かった!
逆に聞くが、助けさえすれば良いんだな!」
「出来るならやってくれ!」
ここまで助けを求めるという事は、恐らく、本当に両思いでもないのだろう。
つまり、性的な意味で襲われているだけ。
ここで助けて、ナビに恩を売らせてもらうぜ!
「へぇ、イーフェもパパと同じで邪魔をするつもりぃ?
でも、貴方如きに何ができるのかしらぁ?」
本当にアンナさんの声で、ハイブリッドが喋ってる。
いやそもそもアンナさんの声を、ちゃんと聞いたことないけど。
ドラマCDだっけ、声ついてたのは。
それに準拠した声なのかなこれは?
「何をよそ見しているのかしら?」
「あぁ、すみませんね。
それと……今からもっとすまない事になるかもしれないので、先に謝っておきますよ」
「へぇ、自信たっぷりねぇ? それで?
一体、何を見せてくれるっていうの?」
何を、か。
当然俺に特別な力なんてないし、このプールの特別な仕掛けを見つけたとかもない。
そして、実はすごいスキルを取ってましたとかもない。
だが今くらいに会話が成立しているなら、交渉という武器は俺にも使える。
「ハイブリッドさん。
貴女の並行世界をみせたいんですよ」
「なにを言っているのか分からないわぁ?」
「そこを、ちょっと我慢して聞いてくださいよ」
トーシュエンも、どういう事か分からなそうにこっちを見ている。
やれやれ。
だから、あれだけしつこくやれと言い続けてきたのに。
「俺はね。
ハイブリッドさんが、そいつを性的な意味で襲っている様子を見ても違和感がありませんでした。
なぜだと思います?」
「どうでもいいわ。邪魔だから、そろそろ消えてくれるかしらぁ?」
「俺の知る世界では、ハイブリッドさんはニトスさんの事を性的な意味で襲っていたからです!」
その時、場が凍り付いた。
「な、なにいいいいい!?」
倒れていたニトスが飛び起きる。
「さすがに嘘つけ! そんな事あり得る訳がないだろう!」
「そうよぉふざけるのも大概にしなさい?」
「ですが、証拠があります」
「「証拠?」」
ニトスとハイブリッドが共にそう聞いてくる。
よし、かなりうまくいっているな。
「俺がゲームでお2人の事を知ったのはご存じだと思います。
それと同じシリーズのゲーム。
『ゆうしゃのはなみち』というゲームの中にあるんですよ。
その場面がね」
「戯言よパパ」
「あぁ、そうだ」
「本当に戯言か……見てみるのはどうですか?」
「見るまでもないわ。消えてちょうだい」
乗って来ないか。
だが、そのパターンは想定済みだ。
「そうだな。
イーフェ、悪いがそんなもの見るまでも……」
俺はニトスの耳元に近づき、こっそりこう言った。
「ちなみにニトスさん。
『ゆうしゃのはなみち』には、ニトスさんとカルラさんのエロシーンもありますよ」
「!?」
「見せるのに協力してくれたら、ニトスさんにだけ特別にそのシーンも見せますが」
それを聞いた途端、ニトスの表情は激変したッ!
「うおおおお! 行くぞハイブリッド!
デルタブレイク!」
先の反省を活かしニトスは目を隠しながら、なにやら素早い攻撃を仕掛ける。
「くっ!」
「よし成功!
これで、少しの間動けないから今の内にトーシュエンは逃げろ!」
あぁ、50%の確率で1ターン行動不能にする技か。
待て、ニトスの幸運で決まったのか!?
どんだけカルラのエロシーン見たいんだよ!
「分かった!」
そう言って、トーシュエンがその場から立ち去っていく。
よし、目標達成!
……後の事は知らんからな?
「ニトスさん!
ハイブリッドさんを運んで、シアタールームまで行きましょう!」
「ふふ、甘いわあ。そんな技喰らってもすぐに動け」
「デルタブレイク!」
えええええ!?
復活した瞬間に打ち込みやがった!
「よし成功だ!」
そして、また50%引き当ててるううう!?
「これを繰り返しながら、シアタールームまで運ぶぞ」
「そんなに成功するもんなんですか!?」
*
「成功しちゃったよ」
嘘だろ……ニトスの奴。
ハイブリッド動けるようになる→デルタブレイクを叩き込む。
の流れをひたすらやりながら、運んできたんだけど。
成功率100%じゃねぇか。
「はぁはぁ……死ぬかと思った」
だが、ニトスもただではすんでいない!
そう具体的には。
「背負ってる時のおっぱいの感触で死にそうだったぜ!」
なんか勝手に鼻血出して死にかけてた。
どんだけアンナさんのおっぱいにやられてんだよ。
「私ももう抵抗出来ないわぁ」
アンナさんもとい、ハイブリッドも攻撃を喰らいすぎて、HP、もとい、ゴリッチュ作品風に言うならEPが限界スレスレだった。
なぜだ。
なぜシアタールームに連れて来るだけで、こんな死屍累々とした様相になった。
だが、ハイブリッドが落ち着いてくれたならひとまず良い。
ここ、シアタールームは小規模な映画館になっており、自分の好きな映像を大画面で流す事が出来る。
勿論、パソコンの映像もだ。
「ここまで連れてきた目的は……聞くまでもないわよねぇ」
「えぇ、証拠を見せるためです」
別に目的を果たしたので、見せる必要はないが……。
ただのハッタリと思われるのも嫌だし、後、面白そうなのでみせる事にした。
「並行世界とはいえ、私がパパをエッチな理由で襲う訳ないでしょぉ?
嘘を吐くのも大概にしなさい」
「悪いが、イーフェ。それは俺もそう思う」
「ま、見れば分かりますって」
昨日、ポイントでパソコンを買っておいて良かった。
更についやりたくなって、ゴリッチュ作品一式と好きな場面から物語を見れるセーブデータセットも買ってたからな。
登場人物が召喚された後だからか、ぼったくり価格(※ゴリッチュ作品とセーブデータだけで10万ポイント)だったが、報われるってもんだ。
ちなみに、こんなシアタールームにパソコンがあるのは、昨日俺が深夜にここでゴリッチュゲーをやっていたからだ。
こんな大画面で出来るとは、まさに夢のようだよなぁ。
俺はシアター後方座席にある接続ケーブルとパソコンを繋ぎ、ハイブリッドのエロシーン直前のセーブデータを開いた。
準備は整ったぞ!
さて、シアタールームだし映画っぽく。
「それではお客様!
短い時間ですがお楽しみください!」
そうして、ショート映画は幕を開けるのであった。
「始まったか。
アレは冥王会に居た頃の俺か?」
「はい、そして手前のが主人公ですね」
俺は後方座席からニトスに話しかける。
一応、最低限の説明はした方が良いだろう。
「ちなみに次元や世界を行き来する物語なので、ゲートで未来に飛ぶことも出来ます。
って事で、今からゲートでハイブリッドさんが未来から来ます。
ニトスさんを気絶させてから、未来へと連れていくという流れです」
「色々理解しがたいが、まず俺がハイブリッド相手に気絶させられるなんて思えないぞ」
「まぁ、見ていてください」
ゲームを進める。
ゲーム内のニトスが主人公であるネオスと会話を始めた。
『なに、あそこに大きなおっぱいが落ちている?
そんなもの誰が信じるか!』
「これは……確かに俺だな」
ゲームの中のニトスを見つつ、本人は確信していた。
そんな様子を見つつ、ゲームを進めていく。
『まぁ物は試しだ。行ってみよう』
ゲームの中のニトスはそう言って、自室を出る。
「うん。あの行動は間違えなくパパね」
思わずハイブリッドも確信する。
ゲーム内では、部屋から出た瞬間、おっぱい探しで虚を突かれたニトスがハイブリッドに気絶させられていた。
そのまま場面が未来へと切り替わる。
「だが、ここからえろい事が始まるわけがないだろう。
見ろ、あのハイブリッドのセリフを」
私を見捨てたあなたへの復讐、今ここで晴らしてあげるわぁ……と出ている。
「えぇ、あの頃の私が言いそうなセリフね」
だが、その直後!
早速、気絶したニトスを性的な意味で襲い始めるエロシーンが始まるのであった。
「ぶー!」
ニトスは鼻血ではなく、普通に噴出した。
「…………」
ハイブリッドは思わず、唖然としてしまっている。
いやー、だから言ったんだがなぁ。
今から、もっとすまない事になるかもとねぇ!