ゼロの使い魔 竜の乱   作:くたしん

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あけましておめでとうございます(遅い)。くたしんでございます。
投稿遅れて大変申し訳ございませんでした。筆者多忙につきこのような事態になった事を深くお詫び申しあげます。それでも感想などをくださる読者様には感謝感激です

それでは補足説明です

この小説に出てくる元素の兄弟はこの時点でもまだサイト達に会ったことがありません。混乱するかもしれませんがよろしくお願いします。


14話 疾風迅雷

「オワァァァァァァオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

「がっ!?」

 

夜を斬り裂く鋭い咆哮に、思わず耳を塞ぐ元素の兄弟。

 

「なっ...いない...?」

 

咆哮が終わると、竜はいなかった。瞬きをたった一回している間に、その竜は消えていた

 

ザァ...と、また不気味な風が頬を撫でた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!!」

 

 

ゾワッとダミアンの全身が総毛立つ。これは長きに渡る戦いから得た、戦闘経験が脳に危険を教えていた。

 

「ドゥードゥー!!右だ!!」

 

「がふっ!?」

 

ダミアンが叫んだ後、ギィン!!という鉄と鉄が擦れ合うような鈍い音が響き、ドゥードゥーが吹き飛ばされて、地面を転がった。

 

「ドゥードゥー兄様!!」

 

ジャネットがドゥードゥーに駆け寄る。ダミアンはルーンを唱え、『ファイヤー・ボール』を一気に5つだし、竜に襲わせた

 

火が爆ぜる激しい爆発音が辺りに木霊するが、目標の竜はいない。

 

「まずっ...!?」

 

ダミアンは瞬間的に足の関節に『先住魔法』をかけ、木の枝に飛び乗った。刹那、バチン!!とダミアンが元いた空間に竜が噛み付いた。

 

「兄さん!!」

 

「ああ、分かってる。皆!!ここでは分が悪い。移動するぞ!!」

 

「グルァァァァァ!!!」

 

竜が、ダミアンに飛びかかってきた。ダミアンは跳躍して回避し、人間とは思えないスピードで地面を駆ける。横と後ろに兄弟達も続く。

 

「ドゥードゥー、無事か!?」

 

「ああ、何とか『硬化』が間に合って無事だよ。まあ、間に合ってなかったら即死だったけどね」

 

「どうするの!?このまま走り続けるの!?」

 

ジャネットがヒイヒイ言いながら叫ぶ

 

「とりあえず森を抜けたら奴は追ってこないと思う。とにかく走り続けろ!!」

 

ダミアンが後ろを向いて兄弟達に向かって叫んだ。

 

「ダミアン兄さん!!前!!」

 

すると、ドゥドゥーが前方に指をさしながら叫び、ダミアンは前方に再び視線を戻す。

 

 

そこには、さっきまで後方にいたはずの竜が待ち構えていた

 

 

「瞬間移動でも使えるってのか...!?」

 

ジャックが呻く

 

「グワアァァァ...」

 

竜は力を溜めてるように見える。実際のところ元素の兄弟にその様子はあまり見えていない。月明かりと、気配を頼りに逃げているのだ。並みの人間なら何も出来ずに既に殺されていただろう

 

元素の兄弟はその優れた直感で、危機を察知した

 

「横に飛べ!!」

 

ダミアンとジャックが、ドゥドゥーがジャネットを抱えて道脇の茂みに飛び込んだ

 

「ァァァァァァオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

その直後、竜は体を180度回転させ、無数の棘が生えた尻尾を元素の兄弟に向かって振り下ろした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァン!!!!!

 

尻尾は地面を叩き割り、地割れを作った。棘が地面に食い込み、引き抜こうとするが中々引き抜けない。それほどまでに威力が凄まじいのだ

 

「逃げるぞ!!」

 

叫ぶダミアンに反応し、茂みから飛び出す3人。すぐさま逃走を再開する

 

だが、竜は背中を向けた敵を逃がさない。

 

「グルアァ!!!」

 

尻尾を地面から引き抜いた後、人外の動きをしている4人の先に回り込み鋭い刃翼で斬りつける。

 

「うおっとお!?」

 

4人は素早くしゃがみ、事無きを得る。だが、これも紙一重。少しでも回避が遅れてたら首がとんでいた。この暗闇の中でも正確に首を狙ってくる技量には心底驚かされる。

 

頭上を通る竜を振り向きざまに見るダミアン。竜もまた、仕留めきれなかったことに対する悔しさからかダミアンを見据えた

 

『なんなんだ、こいつらは....』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こいつらは、一体何が目的なんだ...?』

 

最近のハルケギニアはこんな話題でもちきりだった。

 

ーーハルケギニアに化物が現れたーー

 

天舞う紅蓮の竜。地を駆ける緑の竜。秩序を乱す破落戸集団。全てを砕く竜、地獄の番人etc...

 

これらのもたらす被害は甚大であった。元素の兄弟に依頼をもちかけた貴族諸侯達もその被害に頭を悩ませており、多くのお金が羽ばたいていった。そんな中でも貴族達は合同してお金を出し合い、サイト暗殺の依頼を出した。それほどまでにサイトへの敵対心が強いのである。

 

最も、元素の兄弟から言わせてもらえばサイト暗殺の依頼金を自国の復興に使えばいいのに...と思うが今回の依頼金は小ぶりな城をニ個買えるほどの超破格の値段だ。彼らからすればそんなつまらない助言をしてみすみす大金を逃すなんて愚の骨頂であった。

 

ただ、今は...その大金をもってすらこの依頼は報酬不相応だとも思えてきた。人智を超えた、化物(モンスター)に...出会ってしまったのだから

 

だが、そんな事を嘆いている暇などない。

 

ダミアンはすぐに駆け出した。

 

兄弟も続き、竜も追いかけてくる。

 

いや、竜は追いかけてこなかった。その代わり聞こえてきたのはシュルルルルという何かを擦るような音。

 

次の瞬間、パシュッという空気が抜けるような射出音が聞こえてきた。

 

ドゥードゥーが、崩れ落ちた。

 

「ドゥードゥー!!」

 

次いで、ジャネット、ジャックが叫んで、崩れ落ちたドゥドゥーに駆け寄る。

 

ダミアンは再び『ファイヤー・ボール』を唱えるが、やはり当たらない

 

「ドゥードゥーお兄様、しっかり!!」

 

「くそ...足をやられた」

 

みると、ドゥードゥーの右足には深々と巨大な棘が突き刺さっていた

 

辺りにまた、『ファイヤー・ボール』が爆ぜる音が鳴り響く。そして、また走り出した。負傷したドゥードゥーはガタイのいいジャックが背負った

 

竜が再び攻撃を仕掛けてくるなか、ダミアンは思う

 

「(こんな奴に時間を取られてる場合じゃないのに...)」

 

この後はサイト暗殺という仕事がある。よって、そうそうにお引き取り願いたかった。だが、ダミアンの『ファイヤー・ボール』は先ほどから空振りばっかり。一撃も当たらない。

 

ならば...

 

ダミアンはトランペットのようなものを取り出して、木の枝から飛び降りた勢いそのままに、地面に吹き口の部分をあてた。もしこれがただのトランペットならなんの意味も成さない行為だが...

 

残念ながらこれはトランペットではない。れっきとした魔法道具だ。

 

カチっと、スイッチを押す。口の部分から鮮烈な光が迸り...

 

周辺の土を、水に変えた

 

その大きさはダミアンを中心にして半径10メイル、深さは2メイルほどだ。

 

その範囲内全ての土を水にかえたのだ

 

「グアッ!!?」

 

竜は慌てふためいた声をあげながらも空中に飛び上がった。元々、この竜は冷静さを失ってなければ落とし穴すら回避出来るほどの瞬発力を持っている。よって、地面がいきなり水に変わっても飛び上がることにより回避できたのだ

 

 

だが、今回ばかりはダミアンの方が一枚上手だった

 

 

竜の周りに浮かぶのは闇を照らす無数の炎玉。幻想的な明かりを放つ魔法の炎が、竜の目に映った瞬間...

 

「逝け」

 

夜空を駆ける流星の如く襲いかかってきた

 

花火とは言い難いが、空で爆発が起こり、竜は悲鳴をあげて煙の尾をひきながら落ちていった

 

ダミアンは地面に降り立った後、兄弟達の所に戻る

 

「流石ダミアンお兄様!!」

 

ジャネットを皮切りに次々と賞賛の声をあげた。しかし、ダミアンはここでも冷静だった

 

「早く行くよ。あんなものであいつが死ぬとは思えないからね」

 

そう言うとダミアンは『常時錬金装置』を手担いで、早々に闇の中を駆けはじめた。兄弟達も数瞬遅れて続く。

 

☆☆☆

 

元素の兄弟が立ち去り、幾分が経った

 

『錬金』の効果がきれた地面はもう元の土に還っている。

 

木の葉がヒラヒラと舞い落ちた。

 

それが、流紅一閃。木の葉は塵も残さず消えた。

 

紅星が流れる。幾つもの大木に傷を付け、 枝を斬り落とし、草を塵にする。

 

自らを傷つけた不届き者を斬るために、紅星が森を駆けた

 

☆☆☆

 

もう一組、この森に別の団体がいた。アリィー率いるエルフの一行である。彼らはビダーシャルに命じられて(ほぼ嵌められようなものだが)『悪魔』と呼ばれている『虚夢の担い手』を攫いに来た。そのため、今、『ド・オルニエール』近くの森の中を行軍中だ。森に入ってしばらくは馬で来たが、道程が厳しくなったので今は歩いている。同行人にはもう一人、マッダーフという若者が付いてきた

 

「ねえ、そろそろ休みたいわ」

 

歩きながら尊大に言い放つのは同行してきたルクシャナ。アリィーは反射的に言い返そうとしたが、確かに夜更けだ。仮眠ぐらいとっても良いだろうと判断した

 

「...わかった。もう少し歩いたら休もう」

 

それから少し歩き、草木を分け、獣道を下ったら...そこには幻想的な風景が広がっていた。

 

一本の小川の周りを草や木が生い茂っており、その木々の隙間から漏れる二つの月光が小川を照らす。それに添えるように無数の蒼白い球状の光が辺りを漂っており、虫の鳴き声が辺りを包み込んでいた

 

「へぇ..」

 

「...蛮人の国も捨てたもんじゃないな」

 

「ああ、綺麗な所じゃないか」

 

三者三様、感想をこぼす。ルクシャナは素直に、アリィーは憮然と、マッダーフは目を丸くして驚いていた。それほどまでに、この光景は儚げで...美しかった。

 

「じゃあ、ここにテントを張るか」

 

そう言い、アリィーは手荷物から棒状のものを取り出し川から少し離れた所の地面に突き刺す。すると、棒を中心に幾何学模様の魔法陣が展開された。だが、その光は一瞬。直ぐに消え去った。あとは棒が突き刺さってるだけで、何も起きていないように見えるが、これで寝床...所謂『テント』の完成である。

 

アリィーが虚空に向かって手を伸ばす。パサッと布に当たるような音がする。すると、映っていたはずの草木がグニャっと歪み、『中』が見えた。『中』には簡素ながらも広い空間があった。

 

そう、これはエルフの魔法道具の一つ。布が特別製で周囲の風景に同化する事により敵などに見つかりにくい仕様となっている。ちなみに、昔行われた『聖戦』でもこのテントは大活躍。ハルケギニア連合軍が夜襲を仕掛けたが、テントのおかげで全く見付からなかったとか

 

話しを戻す。

 

アリィー達は近くを流れている小川で水を汲み取る。闇夜でもわかる抜群の透明度。魚影も少しだが見えた。キャンプ地としては最高であろう、とエルフ一行は思った

 

「ねえアリィー、この光何かしら?」

 

「さあ?分からん」

 

ルクシャナが興味を示したのは辺りをただよい、水面を照らす無数の球状の光。

 

ルクシャナは近くを通った光に向かって手を伸ばす。

 

すると..

 

バチィ!!

 

「きゃっ!?」

 

光に手を触れると何かが爆ぜる音と共に手が弾かれた。ただ、弾かれた、と言うよりかはルクシャナが反射的に手を光から外した、と言う表現が合っている

 

「大丈夫かルクシャナ!!」

 

アリィーが慌ててルクシャナに駆け寄る

 

「え、ええ...大丈夫よ。全く、何だってのよこの光」

 

光は変わらず辺りを漂っている

 

「分からん...ただ、あまり触れない方が良さそうだな」

 

「もちろんよ。二度とゴメンだわ」

 

そう言い、ルクシャナは川の水を飲む。

 

と、その時...

 

ガササッ...

 

自分たちが元来た道から草を掻き分ける音が聞こえた。瞬間、アリィーとマッダーフが魔法を発動する準備を整える。ルクシャナはアリィーの後ろにいながらも魔法を発動させる準備は出来ていた

 

そして、出てきたのは...

 

背丈は10歳ほど、草木から身を守る為か長袖の服とフード付きマントを身に纏っている。フードは深くかぶっており、自分達が着てきたものとよく似たものを着ているため人間かエルフかはパッと見分からないがこんな所にエルフなんてまずいない為人間だと判断した

 

「そこで何をしているの?」

 

人間が声を発した。声音からして十歳ぐらいの男の子のようだ。アリィーとマッダーフはどうしたら良いか分からずお互い顔を見つめるが、その間にルクシャナが人間に歩み寄る。アリィーは静止の声をあげかけたが、蛮人の対応ならルクシャナの方が向いているだろうと思い、見守る事にした

 

「お前の婚約者は本当に命知らずだな...」

 

「分かっているさ...」

 

アリィーは頭痛を堪えるように頭に手を置くが、直ぐにルクシャナを見る。どうやら少年のようだが、何があるか分からない。いつでも行動を起こせるように準備するのだった

 

 

そんなアリィーの心配を知ってか知らないか、ルクシャナは少年に歩み寄りしゃがんで、少年の目線に自分を合わせた

 

「ボクこそこんな夜更けに何してるの?子供はもうお家に帰る時間よ」

 

「別に帰る家なんて無いんだけど...」

 

さらりとトンデモない事を言い放つ少年。これには流石のエルフ一行も顔がひきつった

 

「そ、そう...でもここも危ないわよ。もしかしたら猛獣が出てくるかも」

 

ルクシャナは努めて笑顔(であろう)で話し続ける

 

「うん。だからこそここは危ないよ。だってここは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジン』の縄b...」

 

そこで少年の言葉は途絶えた。理由は簡単。マッダーフが精霊魔法『ライトニング』で少年を気絶させたからだ

 

「ちょっとマッダーフ、何しているのよ!!折角、穏便に済ませようとしたのに!!」

 

「ふん、このガキには家が無いんだろう?だったら少々危害を加えようが大丈夫だ。殺さなかっただけマシに思え」

 

ルクシャナが激昂するが、マッダーフは何処吹く風。さっさと精霊魔法で木の枝を操り、少年をこの場から退出させた。

 

「だからって...!!」

 

「この方が合理的だろ。なあ?隊長殿」

 

マッダーフがアリィーに同意を求めるが当の彼は思考の海に沈んでいた。

 

「アリィー、どうしたのよ。考え込んじゃって」

 

「...いや、『ジン』とは一体なんの事かと思ってな」

 

「どうせ、蛮人の名前か何かだろう。深く考えるな。もう寝ようぜ」

 

マッダーフはそう言うとさっさとテントの中に入っていった。

 

「アリィー、私達も寝ましょう」

 

「...ああ」

 

アリィーは腑に落ち無い顔でルクシャナと共にテントの中に入った

 

そう、疑念が残っているのだ

 

「(蛮人の住処で『縄張り』なんて言葉使うか?)」

 

☆☆☆

 

それは突然起こった

 

「ん....?」

 

ルクシャナがテントの中で目を覚ます。外が突然昼のように白に染まったからだ。最初は点滅するように白と黒に切り替わるが、やがて白に呑まれ、次いで『蒼』が混じる

 

「何なのよもう...」

 

ルクシャナが眠気眼で外に這い出て、中でグースカと寝ている男たちを見て「こんな時にウチの男共は...」と愚痴る。寝ている途中で叩き起こされた事により不機嫌MAXであった。

 

視界は再びテントから夜の闇に切り替わる..筈だったが、今は『光』によりそれを忘れさせた。

 

ルクシャナの手を痺れさせた『光』達が月に向かって乱舞し、それに呼応するように周りの木々から他の光が現れる

 

それから逃げるように森の動物達が飛び出してくる。小さなリスから大きなシカなどが嘶き、逃げ惑う。

 

アリィー達もようやく異変に気付き、外に這い出る。だが、それにすらルクシャナは気付かずこの光景に目を奪われていた

 

森の動物達が逃げ惑う中で熊などもいたが、ひときわ目についたのはこの森の主であったろう体長5メイルほどのワイバーン。そいつでさえも飛ぶことを忘れたかのように地を駆けて、逃げ去っていく

 

光達は乱舞したあと、アリィー達が来た方向に...マッダーフが少年を退出させた方角に濁流のように吸い込まれていった

 

そして、何もいなくなった。辺りには何の音も聞こえない。流れている川の音でさえも、今は聞こえなかった。

 

ピリピリと肌を焦がす静寂。生物を無意識に接近させない術式が組み込まれているテントに入れば良かったのだが、その考えに至らないほど空気が張り詰めていた

 

何秒?何分?何時間?分からない分からない。なんなんだこれは?何が起きている?

 

様々な思考が入り混じり、かき混ぜ、混濁し、泥沼にはまっていく

 

歴戦の戦士であるアリィーとマッダーフにはわかる。これは恐怖の幕開けだと。

 

先日、砂漠の悪魔と対峙した時に似ている。だが、恐怖の度合いで言えばこちらの方が遥かに上だ。

 

悲鳴をあげそうになるのを必死にこらえ、周囲に忙しなく目を配らせるアリィー達。この辺の動きは流石歴戦の戦士と言ったところであろう

 

だが...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドスゥン!!!

 

「ひっ...!!」

 

今度こそルクシャナから悲鳴が上がった。森の静寂を打ち破る重々しい、そして、威厳のある足音。威圧感はやはり砂漠の悪魔とはまた違う感じであった。向こうはただの恐怖であったが、こちらはそれとは違う

 

やがて、その足音はゆっくりと近付いているのがアリィー達には分かった。

 

逃げなければ。ただ、足が動かない。言うことを聞かない。その場に鎖か何かで繋がれているのかと錯覚するほどだ。

 

「(動けよ...!!どうしたんだよ...!!)」

 

「(早く早く...動いてよ!!)」

 

無情にも、硬直しきった足は動かず。

 

 

 

 

奴が、やってきた

 

バキバキと枯木を踏み潰し、『光』達を従わせ、ゆっくりと歩み寄ってくるそいつはまさしく、生態系の王者。威風堂々としたその歩みは敵がいない事を思わせ、自分こそが王者だという事をアピールしているようだった

 

蒼の鱗や甲殻は二つの月光を乱反射して怪しく輝き、白い体毛からは蒼雷がバチバチと爆ぜて、既に巨大な存在感を更に爆発的に高めている

 

体に纏わり付いているのはさっきの無数の光。『王』に付き従う『家臣』のように離れない。

 

アリィー達はそいつの前で『我々は高等な生物エルフだ』と考えるのを止めた。この化物の前でそんな事を考えるのは愚の極まり...いや、愚極まりない。

 

自分達をただの『下等』に突き落とす。目の前の暴力的な存在が...

 

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォン!!!!!!!」

 

月下に、蒼雷を轟かせた

 

瞬間、アリィー達は『生』にしがみつくため走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らにとって幸運だったのは何も考えずに走り出した方向にたまたま目標(サイト)がいたことくらいだろうか

 

エルフ、無双の狩人、元素の兄弟、迅竜、そしてサイト達。それぞれの目的が重なり、絡み合って、これを運命と呼ぶのか?それとも始祖ブリミルの導きとでも言うのか?それは分からないが、今分かっていることはただ一つ。

 

 

次の舞台がド・オルニエールという事だけだ

 

 

 

 




元素の兄弟死亡を期待されてたかもしれませんが、今回は見送らせていただきました。てかダミアンの得意魔法がわからない...アニメでは火を使ってたので今回はそうしました

ではまた次回お会いしましょう。感想などドシドシ募集中です
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