TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女   作:こばみご

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評価感想ここすき誤字報告ありがとうございます。マジ感謝。
全く書き溜めができない。ちくしょう。


砂で作った城みたいに

 幹部会。定期的に開催されるそれは、いつもは俺含め6人の幹部とボスでやっているが、最近一人退治されてしまったので今回は5人だ。外はやっぱり怖い。

 肝心の会議の内容は、しかし別に大したものでもない。政府への嫌がらせ行為の話をするのが基本だが(なんて陰湿なんだ)、最近は大人しくしているので各々研鑽しといてね、みたいな話になる。なんとまあ中身がない。今回は流石に違ったが。

 

「はぁ〜……」

 

 とにかく。そんな面倒くさい集会を終えて研究室に戻ってきた俺は、ふらふらとした足取りで椅子の方へと向かい、背もたれによりかかる。もう寝たい。というか、寝ろと言われた。そんなにひどい顔だったのだろうか。首を逸らして唸っていれば、サキがおずおずと近づいてくる。ここ最近は薄着だったのに、珍しく制服姿だ。

 

「……ミコトさん?大丈夫ですか?」

「大丈夫ではない。そうだ、マッサージしてくれないか」

「え!?えっちなマッサージを!?」

「普通の奴ね」

 

 サキが手をワキワキしながら聞いてきたので、一応否定しておく。今の疲れた状態だとえっちな方をされても抵抗できないかもしれないし。…………やっぱりマッサージはいいかな……

 

「やっと俺の仕事が終わったからな、疲れが一気に来て……」

 

 そう、怪物の生成作業がようやっと終わったのだ。ノルマ達成まで長い道のりだった。ずっとこねこねこねこねしていると精神がおかしくなってくるのが自分でも分かるので、ここらで終えることが出来て本当に良かった。……手の中にまだ感触が残っている気がする。

 

 だが、これで残るは魔法庁を襲撃するのみだ。作戦の説明もされたので、俺の役目は終わったと言っていい。当日の仕事はマリと一緒に後方支援するだけだし。

 

 作戦の内容はシンプルで、怪物を一気に彼女らにぶつけ、上位の魔法少女は幹部総出で叩くというもの。作戦……?

 ともかく、俺の出る幕なんてのはなし。あとは実力派の皆さんに頑張ってもらおう。陰ながら応援しているぞ。

 ……イレギュラーが起こって俺も出ないといけない、なんてことは無いよな?大丈夫だよな?

 

「30体、大変そうでしたね……」

「全部個性を出さないといけなかったのが本当に面倒だったよ」

 

 いちいち他の怪物との差別化をしなければいけなかったのが本当につらかった。結局、インプットの時間とアウトプットの時間が同じくらいになってしまって絶望したのは記憶に新しい。こんなに熱意を込めて作るもんでもないだろ。

 

「ま、もうすぐでお前の監禁生活も終わるさ。そうすれば後は友人の世話にでもなればいい」

「……うーん……まず勝てるんですか?キョウコちゃんとか、凄い強いですし」

「勝てなきゃ困る。まあ殺しはしないよ、目的はあくまで魔法庁だし」

 

 負けはすなわち組織の死を意味するだろう。ボスが死ぬのは考えにくいが、無いわけではないのだ。それくらい魔法少女、特に上位3人は強い。だからこそ、こんなに準備したわけだしな。

 

 俺達の第一目的は占領だ。なので、魔法少女たちを倒すのはあくまで第二目的という事になる。つまり追っ払えさえできればいいという事だ。とはいえ、彼女らも抵抗しないわけがないので、激しい戦闘になることは必至。だが第一目標を果たしてしまえば、この町を実質支配したようなもんだろう……多分。

 

 そしてそれが叶えば、サキを手元に置いておく必要もなくなる。

 

「……ほら、サンちゃん達はどうすればいいんですか」

「そういやそうじゃん……どうにかうまいことしてくれ。見つからないようにな」

 

 正直なところは処分したいのだが、そんなこと言ったら全力で駄々をこねられそうだし。最悪けしかけてくるだろう。それはもう悪の組織じゃん。

 

 まあ、あれらも割と利口だ、上手いこと共存してくれることを祈ろう。倫理的問題はもう無視である。今更だし。

 

「じゃあ、その。えっと……」

「……なんか気持ちが悪いな。いつもみたいにえっちな事言ってりゃいいものを」

「私をなんだと思ってるんですか!?」

「エロガキ」

 

 不満げに口をとんがらせてみせるサキだが、やはりどうにも元気がない。いつもなら既に意味の分からん事を宣っているだろうに。えっちな生物の処遇を心配していたわけではないのか。なんだか、雨に濡れる捨て犬と同じような雰囲気を纏っている。既視感があるような。

 

 

「帰るのが嫌か」

「……はい。家では1人ですし」

 

 そう聞くと、サキはばつが悪そうに目を逸らしながら言った。監禁生活なんてそんなにいいもんでもないと思うんだがな。趣味であろうエロを抜いて考えれば特に。意外と居心地が良かったのだろうか。だとしてもこんな変な組織にいつまでもついていこうとするんじゃない。

 

 ……まあ、俺らの方針のせいか。やはり、脅すなりしておいた方がむしろ後が楽だったのかも。失敗である。ボスは3度目で、俺は2度目だった。学ばないな。

 

「キョーコちゃんでも家に呼びゃいいだろ?」

「気まずいです」

「まあそうか」

 

 チャンスはあったのに、なんでかついていかなかったわけだしな。愛がどうとか言って。結局何だったんだよアレ。

 

 しかしなるほど、意外と気にしていたらしい。あの娘はショックを受けども普通に許してくれそうだが……コイツは割と勢いで行動して後悔するタイプなのかもしれない。エロ関係以外では繊細なのか。そんな面倒な。

 

「酷いことをしたと思います。いっそ、嫌ってくれていたらいいんですけれど」

「そう言うな、あの娘はそんな子じゃないんだろ?」

「だからって、私なんかに構わなくてもいいのに」

 

 しょげながらネガティブなことを言う。だ、誰だお前。こんな子知らないぞ俺。小さくなったように見えるサキは、そのまま俯いていた。

 

 ……意外と自己評価が低いのか。なんとなく腑に落ちた。境遇が良いとはお世辞にも言えないし、歪んでしまうのも仕方のない事なのかもしれない。

 

 でも、だ。

 

「そういうことを言うもんじゃない」

「あうっ」

「大丈夫だよ、お前なら仲直りできるさ。というか全部俺らのせいにすればいい」

 

 二人がどれくらい仲が良かったのかは知らないが、俺と比べればいくらでも取り返しがつく。うじうじするのも分かるが、勇気を出してほしい。

 

 頭に手を置いて乱雑に撫でてやる。驚いたようだが、抵抗はなかった。こうしてみるとやっぱり犬みたいだな、なんて思ったり。

 

「コレがナデポってやつですか!?」

「……ポなのか?」

「いや、その……恥ずかしいです……」

 

 顔を赤くして手をもにょもにょと動かしながらつぶやくサキ。嫌というわけではないらしい。なんだかかわいく見えてきたな。ずっとこんな感じでいてくれるといいんだが。

 

「その年で同人サイトのアカウント持ってるやつが何を言うんだ」

「あれは、姉のアカウントを勝手に使ってるんです」

「えェ~~……」

 

 およそ正気ではない事実を知ってしまった。ノートパソコンにIDとパスワードの書かれた付箋が貼ってあったらしい。セキュリティ意識低いな……あんま聞きたくなかったよ、そんなこと。お前もお前で平然と使ってるんじゃない。

 

 というか、姉いたのかよ。誘拐した時の報告書にそんなことは書いてなかったけど……まあ、面白い話ではないだろうな。聞くのはよした方が良いか。

 

「……でも、ありがとうございます。少し楽になりました」

「まあ、ならいいけど」

 

 しばらくそうしていれば、満足したのか、サキが手からするりと離れた。表情もいくらか柔らかくなっている。

 

 けれど完全に吹っ切れたわけではない様子。彼女は小骨が引っ掛かったような顔で、視線を宙に泳がせていた。なんだ、まだなにかあるのか。少しの間逡巡したのち、もう一度こちらの方を見つめてくる。

 

「……ミコトさん。もう一つだけいいですか?」

「どうした、改まって」

 

 何かを決意したかのような表情をして、サキは口を開いた。ともすれば、帰りたくないと駄々をこねた時よりも真剣なまなざしで。

 

「私、ずっと聞きたいことがあったんですけど──」

 

 

 

 

 

「待った」

 

 しかし、その続きが語られることはなかった。俺が遮ったのだ。

 なぜか。視界の端のパソコンが、一つの通知を映したからだった。

 一手遅れた。それが最初に思ったことだった。そしてその次は……

 

「サキ」

「……?どうかしたんですか?」

「研究室から出て20歩先の右の壁に隠し扉がある。そこから逃げろ」

「えっ。急に、どうして」

 

「魔法少女が来た。ここにいたら巻き込まれる」

 

 ここへのまともな入り口はエレベーターのみ。使用されれば通知が来る。破壊されても同様に。今回は後者だった。こんな開戦前夜の状況で起こったなら、魔法少女の仕業でしかありえない。事実、カメラには彼女らの姿が映っている。見た限りでは10人程だが、それならもう全員で来ていると考えた方が良い。見えないところにもいるはずだ。おそらく総力戦、激しい戦闘になる。

 

 だから、下水道に続く非常通路。それが今最も安全にコイツを逃がすことができる可能性が高い場所だ。

 

 どうせ感知しているボスにも一応連絡しておく。彼らに少し早い初陣をさせるとも。事態が事態だ、独断専行しても許してくれるさ。

 

「いいか、ほとぼりが冷めるまではなるだけ捕まるな」

「待ってください」

「保護してもらったらすっとぼけて誤魔化すんだ」

「待って」

 

 琥珀の読心だけが懸念点だな。上手いこと回避できればいいが、それも難しいか。虎の子を持たせておこう。サキの手に、ポケットから出した御守りを握らせる。一回だけ魔法の効果を弱めてくれる、一応俺の最高傑作。

 

「コイツを渡しとく。俺らのことはいい、自分の保身を考え──」

「ミコトさん!」

 

 半ば叫ぶように、サキが俺を呼ぶ。ああもう、せっかくマシな顔になってたのに、また戻っちまったじゃないか。どうもうまくいかない。

 

 

「大丈夫、ですよね?」

「…………ああ。大丈夫だよ。だからほれ」

 

 とん、と、背中を押してやる。サキは二度ほどこちらを振り返り、たっぷり5秒ほど悩んだ後、重い足で研究室を後にした。はよ逃げろ。

 

 思わず大きくため息をついた。最近、運が悪いように感じる。変な奴を拾うわ魔法少女にかち合うわ、攻めるつもりが逆に攻められるわ。悪の組織も楽ではないとはいえ、ここまで上手くいかないものか。

 

 

「うわ」

 

 サキが見えなくなるとほぼ同時。ズズ、という音と共に、目の前の天井が割れた。綺麗に、真っ二つに。マジで勘弁してほしい、1分経ってるかどうかってくらいだぞ。破片が地面に激突した衝撃で砂埃が舞う中、頭を抱えてうずくまる。

 

 一つの音が聞こえた。俺にとっては懐かしい、何度も聞いたことのある音。鯉口を締める音だ。そう、天井は刀で斬られた。ただの一振りに。

 

 煙の中から、影が浮かび上がっていく。数は一つ。出来れば弱めの魔法少女であってほしいが、そんなことはありえない。こんな芸当ができるのは、彼女しかありえないからだ。精一杯の苦い顔で出迎える。

 

()()()()()()()()、先輩」

「……随分活躍してるみたいじゃないか、サツキ」

 

 この町にいる15人のうち、最も強い魔法少女。コードネームは(くろがね)斬谷(きりたに)サツキが、その姿を現した。やっぱり運が悪い。厄払いとかしてもらった方が良いのかもしれない。

 




〇眞下キョウコ
・16歳
・緑髪
・明るい

 私の友人。入学式の日、通学路の角で激突しそうだったのを避けたところ、キョウコちゃんは勢い余って電柱に激突してしまった。それを介抱したのが始まり。
 そんな彼女は魔法少女だった。たまに授業を抜けては、しばらくしてから息を切らして帰って来ることがあったけれど、あれはきっと妖怪退治をしていたのだろう。クラスの人に変な子だと思われていないかが心配。
 私にないものを持っていることが、時々どうしても羨ましい。

バトル描写の量、どれくらいがいいですか?

  • がっつりでいい
  • それなりがいい
  • 最低限がいい
  • そんなことより俺と性癖バトルだ!!!
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