TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女 作:こばみご
視点変更が多くて申し訳ない。小説書くのって難しいね……
俺と
そんなサツキは今や、この町で最も強い魔法少女だ。向かってくるものをすべて斬り伏せる、
サツキの左手は刀に添えられていた。気分次第で即抜刀、俺が真っ二つ。……まず自分の身を案じた方がいいか?一挙手一投足が怖く感じた。後ろめたいことはするもんではないな。
「髪、伸ばしたんですね」
「ああ、まあ。切る暇がないんだよ」
「短い方が邪魔にならなくていい、なんて言っていたのに」
久々の再会でまず言う事がそれなのか。確かに昔はもっと短かったけれど、それ多分女っぽくなるのに抵抗があったのを適当に誤魔化した時の言い様だったと思う。
まあ、邪魔なのは全くその通りだ。ヘアピンとヘアゴムがないと鬱陶しいことこの上ない。……今この話する必要ないよな。
「何も全員で来なくても良かったんじゃないか?」
「おいたが過ぎましたから。それに全員ではないですよ、局長は留守番です」
「おいた、ね」
魔法少女の適性がある子供を狙うのは、何も俺達が初めてじゃない。それこそ悪辣な使い方をする悪の組織が、俺らより先に何個も現れてはその子達を誑かし、利用してきたわけだ。手っ取り早い即戦力だし。だからだろう、魔法庁はそれを恐れている。故に監視をつけるし、放っておかずにぱっぱと覚醒させるのだ。どっちもどっちな気もするが、それはまあ、置いておこう。
禁忌とも呼べるそれをした(とされている)俺たちを真っ先に潰しに来たのもそういうことだろうな。それが俺たちが動くより少しだけ早かった。それだけの話なんだろう。
「キョウコが言うには、サキちゃんを洗脳したとか」
「してないです」
けど本当にしてないんだ、信じてくれ。誑かしたかと言われると微妙な所だが、別に精神支配とかはしていない。そんなことできるならもっと上手くやってるんだよ。サツキは顎に手を当てて、少し考えこむ仕草をする。してないんです。本当なんです。
「まあ、ないでしょう。見た限りでは正気だったそうですし」
「そうだよ、正気だよ。……正気……うん、正気だ」
「?」
サキはエロが絡みさえしなければ基本的に正気だ。エロが話題に上がることが多いから分かりにくいだけで。言い淀んだ俺を、サツキが訝しげに見つめてくる。左手で刀の頭を撫でた後、柄に手を添え、一つ息をついた。
そろそろ前口上も終わる。そしてそうすれば、避けえない戦闘が始まることになるだろう。手加減は無い、コイツはあくまで魔法少女として来ているのだから。
で、俺は後輩に敗北を喫することになるわけだ。怪物は使っても多分無駄なので、他の所で暴れさせている。そちらの方が仕事をしてくれるだろうし。ともかく、俺の手札はサキの魔力ぐらいなもので。同じ刀の形にすれば、彼女の得物を逸らすぐらいは出来るか。
と言っても、魔法少女との身体能力格差では厳しい。せいぜいが1分だな。負け戦が過ぎる。
「最後に一つだけ。戻ってきてはくれませんか?」
「道場にか?今更帰ってもな」
「道場だけじゃありません。魔法庁にもですよ」
「…………俺別に、勤めた覚えないんだけど」
サツキはいきなり、全く記憶にないことを言いだす。魔法庁に戻る?俺が?行ったことないのに?別世界の話とかしているのだろうか。それとも単純にスカウトの話?
「こちらも最近忙しいですし。……それに、私はもう一度戦いたいんです。かつての双璧の一人、
……
…………
………………
「…………俺が……魔法少女……???」
意味不明な事を言われて、俺は思わず硬直してしまった。本当に何を言っているんだ。俺が……魔法……いやあ……ないだろう。ないない。同姓同名の別人と勘違いしてるんじゃないか??
大体、ほとんどの魔法少女は高校生からなってるもんだ。サツキと会ったのもそのあたりだが、当時の俺なんて適当に学校に行っては適当に授業を受けているような記憶しか──
『ミコト』
その時、誰かに呼ばれた気がした。サツキじゃない、他の誰でもない誰かに。知らない声のはずなのに、ひどく懐かしく感じた。ずきり、と頭が痛む。……なんだよ、急に。
「やはり、不知火アカネに記憶を消されているのか……ミコト先輩。■■■先輩だって、こんなことは望んでいないはずです!」
「っ……誰、だって?」
「なるほど、核はあの人か。……惨いことをする」
サツキがボスと誰かの名前を呼んだけれど、その誰かの時だけ、まるで未知の言語を聞いた時のように聞き取れない。音は確かに聞こえたのに、耳に水が入った時のようにぼやけてしまい、それを言葉として認識できなかった。消されたって、一体。
頭痛が加速する。サツキが俺の肩に手を置くが、振り払う余裕はなかった。
「私を助けてくれた時のことも忘れてしまったんですか?」
「それは……不良から、守って」
「違います。貴方が守ってくれたのは、妖怪からですよ」
そんなバカな。アレは確かに人だったろ。流石に化け物呼ばわりは良くないんじゃ……あれ。
必死に記憶を思い出そうとするが、そうするほど靄がかかり、探るたびに遠ざかっていく。かろうじて思い浮かべた景色は歪んでいて、ともすれば本当に妖怪なのではというほどぐんにゃりとしてしまっていた。考え込むほどに、記憶はおかしな形になっていく。まるで粘土みたいだ。
どうなってる?まさか、本当に?
「っ……駄目だ、これ以上は無駄だ。後にしよう」
今考えたって答えが出るとは思えない。そもそもこんな時非常事態なんだから、尚更だろう。痛む頭を振って、思考を切り替えるよう努める。完全に臨戦態勢に入ったサツキに対し、俺も魔力で練った刀を構えた。
「そうですね。なら、魔法庁で続きをしましょうか」
「行きたくないんだけど」
「駄々こねないでくださいッ」
駄々ってなんだ、駄々って。そっちの方がそうだろ。
「む。ここから気配がします」
「本当っスか!?」
ヒトミが魔法によって、目の前の扉の向こうの生物の気配を感じ取る。1つ……いや、2つ。固まっているのか、監視しているのか。
ミコトとサツキを始めとした、魔法少女と悪の組織による一大決戦が繰り広げられている最中。ヒトミはキョウコと共に強化された怪物を撃破しつつ、右へ左へと奔走していた。状況分析、下位の魔法少女への指示、マッピング……そして、八雲サキの捜索。
ヒトミたちはサルバシオンの本拠地に入ってから、無駄に多い小部屋を片っ端から調べ、サキのことを探していた。ヒトミの魔法は生物の思念を読み取ることが出来るため、捜索には最適である。
二手に分かれつつ、そうして部屋への突撃を幾度も繰り返した末、ついに2人は最後の部屋へとたどり着く。T字路の突き当たりで、他の部屋よりか大きい。生物の気配もあり、サキのいる可能性は高かった。だが、もしかすると罠かもしれない。念のためそれぞれが得物を持ち、扉の両側に立った。
ヒトミが、壁に着いた開閉ボタンを押す。一瞬にも関わらず、開いていくのが遅く感じた。部屋の中からの反応はない。魔法で視る限り、動きもないように思えた。壁に張り付いた2人は、恐る恐るといったふうに部屋を覗く。さあ、いったい何が出るのか……
「(イチャイチャしている音)」
「…………」
「…………?」
部屋の中では、スライムが触手にしなだれかかっていた。互いの手足(?)を絡みつかせて、時々撫でるようにうねうねさせている。声という声は出ていないが、2匹の間には確かな関係があるように見えた。ハートマークが飛んでいるような気が……
異質な光景を目にしたヒトミとキョウコは思わず固まってしまう。顔を見合わせ、もう一度部屋の方へと向く。自動ドアが勝手に閉じても、扉を見つめたまましばらく動けなかった。
「(なんだ今の?)」
眉間に手を当てながら、キョウコは困惑した。今の2匹は怪物だ、それは間違いない。それだけならば、彼女は迷いなく魔法を使い怪物たちを攻撃していただろう。だがあの光景を見ると、そうすることは出来なかった。
単純に意味が分からなかったのもあるだろうが、後から考えてみれば、なんとなく見覚えがあったからというのもあるだろう。そう、あんなようなことを両親がたまにしていたような……
「どうやら、イチャイチャしていたようですね、彼らは」
「……マジっスか?」
「マジです」
「えェ~~……」
予想していたことが当たってしまったキョウコは、げんなりした様子で槍を取り落とした。一見冷静に見えるヒトミも正直半信半疑だが、2匹から発せられる思念が人間でいう所の愛であるためにそう結論付けざるを得ない。
怪物も恋愛なんてするのかと一瞬納得しかけたが、「そもそもこんな大変な時に魔法少女の迎撃という仕事をサボって2人でイチャイチャしているのはおかしいだろう」という真っ当な疑問を考え付いてしまった。無駄に思考リソースを割かれている。ちょっとムカついてきた。
まさか、こうやって動きを止めることもサルバシオンの策か。ヒトミは馬鹿げたことを考え付いたが、実際馬鹿げていた。そんなわけがない。ないのだが……
「ッ!」
その時、ヒトミは強烈な殺意を感じ取った。ドアの向こうではない、この通路から。キョウコの方を見れば、構成員の一人が彼女の左腕にナイフを突き立てている所で。咄嗟に杖を出し、すんでのところで攻撃を防ぐ。
「なっ……!」
「チッ」
間一髪だった。キョウコは気づいていなかったし、ヒトミも殺意を読めなければ間に合わなかっただろう。構成員──マリが舌打ちをしながら、ヒトミの反撃を躱す。そのまま間合いの外へ。状況は互いに睨みあう、膠着状態へと移行した。
いきなりの襲撃。しかし、一撃が防げたならばどうとでもなるとヒトミは考える。相手はおそらく、隠密の術を使う諜報員。厄介だが、強さで考えるなら2人で十二分に対処可能なはずだ。
キョウコの方も、彼女には見覚えがある。スーパーの一件にいた奴。サキを担いでまんまと逃げられたのだ、忘れるはずもない。今度は逃がさない。槍を握りしめて、切先をマリへと向け──
「まったく……もっと冷静になりなさい」
もう一人の声が、2人の後ろからした。相手を嗜めるような、軽い調子の声が。
振り返れば、そこには一人の女性が立っている。自分らとそう変わらない格好をした、赤髪の女性が。不知火アカネが、そこにいた。
「すみません、行けると思いました」
軽い調子でマリは口を開く。大して反省をしていないようだ。どう攻めるか、そればかり考えているようだ。
彼女が声を出すまで気づくことができなかった。隠密の術、いやそれにしたっておかしい。まさか、
やはり、罠だったのか。ヒトミの頬を汗がつたう。
「あのクソッたれ研究者はいないんスね」
「あれもあれで忙しいんだ」
「イチャイチャしてまともに働かない怪物を作るのにっスか?」
「?……ああ、サキの要望に応えて作った奴か」
キョウコの悪態に、アカネは一瞬戸惑った後答える。そんな奴いたっけ、といった表情をしていた。薄らと視える思念もそういったものだ。まるで今思い出したかのような。
あれ、罠ではないのか?ヒトミの眉が八の字に歪んだ。
「サキが、あんなよく分らないものを?」
「……ああ……なんて言えばいいのかな……」
「ボス。そこはストレートに言えばいいのでは」
怪訝な顔でキョウコが問いかける。サキがあれを作るように頼んだ。分からない話だ。そもそも、いったい何のためにあんなものを。イチャイチャしているだけなのに。ペットにでもしているのかと考えたが、そういった願望があったようには思えない。加えて、触手に似た形状のタコを見た時に涎を垂らしているのを見たことがある。アレは絶対食欲だ。だから、食われずほっぽられているのはおかしい。キョウコはそう考えていた。
めんどくせえなさっさとしろよ、とばかりにマリに催促をされ、アカネは大きくため息をつく。そして言いたくなさが前面に表れている、すこぶる嫌そうな顔をして、口を開いた。
「落ち着いて聞いてほしいんだが……君の友人は元々変態だったんだ。だから……」
「──は?馬鹿にしてんのか?」
アカネの理解しがたい物言いに、キョウコはその顔を怒りに染めて睨みつける。サキが、変態?だからあの怪物どもを作って、なにかしたなんて宣うのか?ふざけるのも大概にしろ。あまりの侮辱に、キョウコは腹の内が煮え立つのを感じた。
落とした槍を蹴り上げ、そのままアカネに投げつける。アカネは苦い顔でそれをいなした。
「まあ、普通そうなるよなあ……」
「あの、キョウコちゃん」
「ヒトミ先輩は弱い方をお願いっス。私はあっちのクソアマをやります」
「あ、はい」
有無は言わせんとばかりにまくし立てたキョウコに、ヒトミはどうしたものかと逡巡する。
人間は基本的に心中をコントロールすることは出来ない。だからこそ、読心の魔法は刺さるのだ。そしてその魔法によれば、不本意であることがアカネから読み取れる。ヒトミが判断材料の一位に置くほど信頼している自身の魔法は、あまり……いや凄く考えたくないが、とある可能性を指示していた。
「(…………なんだか、嫌な予感がしてきました)」
絶対に面倒くさいことになる。ヒトミはそう感じていた。
ヒトミ「くそっ!戦闘前だってのに変なこと聞かせやがってッ!!」
バトル描写の量、どれくらいがいいですか?
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がっつりでいい
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それなりがいい
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最低限がいい
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そんなことより俺と性癖バトルだ!!!