TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女   作:こばみご

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いきなり長くなった……自分でも驚き。
前話をちょっぴり修正しました。えげつないミスをしてしまい申し訳ない。
3つ思いついても必ず1つ忘れるのが私です。なんとまあ……


悪の敵

「よし、しばらくは大丈夫だろう」

 

 少し前まで私たちがいた場所。電気をつけても若干暗いような、そんな薄暗い研究所に、私たちは帰って来た。逃げてきたとも言う。

 荷物は本拠地の方に持って行ってしまったので、ほとんど機器がない。ただ広いだけの部屋みたいになってしまっている。こんなことなら、何かを残していけばよかったかも。

 

「結局、1週間そこらで戻ってきましたね」

 

 マリさんは目を細めながら、この研究所で過ごしたことを思い出しているようだった。私の何倍も多くの時間を過ごしたマリさんにとっては、きっと多くの出来事があったんだろう。薄く笑って、その後真逆に口元が傾いていた。

 

 何か言おうと口を開いたその時、ぐう、というまぬけな音が私のお腹から鳴る。確かにお昼ご飯は食べていないけれど、今鳴らなくても。タイミングを考えない身体だ。傷も少しずつ治ってきている様子のボスが口を開いた。

 

「ふむ。私が何か作ろうか」

「嫌です」

「ボスは傷を治しておいてくれ」

「そうか……」

 

 ボスが料理を作ろうとして、一瞬で2人に止められる。嫌ですって言ったな今。もしかして不味いのかな。マリさんが即答するくらいだから、相当なんだろうか。

 しょんぼりとしたボスは、そのまま座り込んでしまった。言われた通りに、傷を治すことにしたみたい。静かな火が傷口を燃やし、少しずつ怪我が治っていっている。ヒールができるのは凄い。

 

 電気や水道は普通に使える。マリさんが棚にあったカップ麺を見つけてくれたので、その間にお湯を沸かしておこう。幸いにして、やかんは残っていたし。水をなみなみついでコンロに置く。ボタンを押せば下のバーナーから火がぼうと吹き出して、やかんを温め始めた。

 

 ここに来てからは、マリさんかミコトさんの料理を食べていたけれど。それよりも前はこうやってお湯を沸かして、うどんやらカップ麺やらを一人で食べていた。改めて、私以外に人がいることを新鮮に感じる。お泊り会みたいだ。こんな状況じゃなければ、素直に楽しめるんだけれど……

 

「で、所長はいつ取り戻しに行くんですか」

「君はミコトのことになるとムキになるな」

「当たり前です」

 

 マリさんはこの研究所に逃げ込んでからも、どこかピリピリしている。ミコトさんが魔法少女の子たちに連れ去られてしまったので、安否が心配なんだろう。私だって気になる。ミコトさんのことを「先輩」と呼んだ人のこととか、ミコトさんの魔法のこととか。……野次馬根性かもしれない。

 

「と言っても、あそこも警備が厳重だろう。探すのに手間取るとマズい」

「探知の魔法みたいなのってないんですか?」

「魔法少女が持ってますね」

「んげぇ」

 

 マリさんが言うには、気配を察知することが出来る魔法少女がいるそう。隠密の術も効果が薄いんだとか。それはちょっと、難しいかもしれない。こちら側が欲しい魔法だというのに、相手がそんな厄介なものを持っているとなると難易度がとても高くなってしまう。

 

 出会わないことを祈りながら探すしかないことに……やかんが、私の嘆きを代弁するみたいに叫んだ。取り合えず、皆の分にお湯を入れていく。

 

「そういえば。君の魔法、一体何なんだ?ユキネが言うには凄まじいらしいが」

「あ、そうですね。分かる範囲なんですけど……」

 

 そういえばまだ説明していなかった。ので、アカネさんとユキネさんに私の魔法のことを説明する。魔法を含み、魔力があれば大体何でも複製を作れること。ただし、自分が知っている必要があること。クオリティは自分の理解度によること。

 

 逃げたあと少し試してみたけれど、例えば後輩さん(仮称)の魔法を複製しようとしても、全くと言っていいほど再現は出来なかった。同じように、キョウコちゃんのゲイボルグだって、記憶の中のものよりも劣っていたし。魔法発動の条件は、間違っていないはず。

 

「……なんか、とんでもないな」

「変な格好なのに、魔法は強いんですね。変な格好なのに」

「何度も言わないでくださいよ!!いじめですか?いじめなんですか!?」

 

 そろそろ悲しくなってきたのでやめていただきたい。そもそも魔法少女なんて大なり小なり変な格好だし。そして!はしたなさで言っても!アカネさんのチャイナドレスの方が!えっちだと思うんですけど!!

 

「とにかく!私も行きますからね、ミコトさんの救出!」

「それはまあ、助かるよ」

「で、捕まってる場所の心当たりなんかはないんですか?」

「…………。ないことはない」

 

 傷を治しきったボスは、その言葉を聞いて少しの間考えた後にそう言った。あまり言いたくないことだったのか、苦い顔を隠そうともしていない。何か、危険があるのかもしれない。

 

 どこからともなく端末を取り出して操作をする。しばらくすれば、空中に魔法庁の建物を描いたホログラムが出現した。おお、作戦の説明っぽい。特別感がある。

 

 けれど、ちょうどカップ麺が出来上がってしまった。タイマーの鳴る中、私たちは蓋を開け、中の麺をかき混ぜる。おお……庶民っぽい……

 

「魔法庁の建物は地上3階、地下2階の計5階建て……とされている」

「されている?……まさか、ここと同じか?」

「そういうことだ。あの建物には地下3階がある。この研究所と同じように、エレベーターで特定のコマンドを入力することで行ける仕組みだ」

 

 アカネさんが操作すると、魔法庁のホログラムの地下2階の下に、もう1階層が追加された。地下3階のことは秘密にされていて、なんなら出入りするような人でも知らないんだそう。そんなことを知っているボスは一体何なんだと思うけれど、それはともかく。

 

「そこに……そこにミコトさんがいるんですか?」

「可能性は高い。後ろ暗いことをするにはもってこいの場所だしな」

「……後ろ暗い?いや、魔法庁って、そんなことするんですか?」

「するさ。アイツはする。反吐が出るようなことも平気でな」

 

 険しい表情で、ボスは吐き捨てた。いつも凛としていて、それでいて軽いような、ともすれば趣味で悪の組織をやっているんじゃないかなんて感じさせるような振る舞いをするこの人が、こんな顔をするだなんて。びっくりして、つい固まってしまう。

 

「私がこの組織を立ち上げたのは、別に征服がしたいからじゃないんだ」

「それはまあ、なんとなく分かってます」

「私は……とある人物を殺すためだけにサルバシオンを立ち上げた」

 

 君にも、教えておいた方が良いかもしれないな。そう言ってボスは話し始める。その瞳は暗くて、それでもグルグルと強い感情が渦巻いているような色を放っていた。

 

 悲しみや後悔、そんなものが見え隠れする中。その中でもいっとう強く感じたのは、怒り。真っ赤な感情が、これでもかというくらい燃え盛っているような、そんな気がした。

 

 一体どうしてと言おうとするけれど、口が開くだけで音にはならない。それでもボスは察したのか、自嘲するような笑みを浮かべてこう言った。

 

「ただの復讐さ」

 

 

 


 

 

 

「貴方の作った怪物のおかげで、こちらの被害は甚大ですよ」

「悪いとは思ってるよ」

 

 魔法庁の2階にある取調室。それっぽいブラインドの着いた部屋の中で、俺は4人の魔法少女を前にしていた。つまるところ、尋問されている途中というわけ。4人もいらなくない?圧が凄いんだけど。まあ、捕まったのが俺一人で良かったと考えれば……ごめん、やっぱ怖いわ。

 

 サツキとの勝負に普通に負けて捕まってしまった訳だが。サツキはやはり、めちゃくちゃ強かった。それはもう。単純な剣術だけでももう勝てないんじゃないか。サボっていたツケがこんな形で現れるだなんて。

 

 まあ、いい話もある。強化した怪物はいい仕事をしてくれたということだ。15人いる魔法少女のうち、10人は全治3週間ぐらいに追い込めたらしい。思っていたよりも成果が出たので、自分でもビックリ。生々しくて少し申し訳なくなってきた。

 

 そしてこの場にいない1人も、うちの幹部が相打ちに持っていったとか。意地を見せてくれた幹部に感謝だ。名前は……覚えていないけど……

 

「残りの3人も放置すれば危険です。どこに逃げたのか教えていただきたい」

「いやあ……言わんでしょ。そもそも、そこの琥珀に見てもらえばいいことじゃないか」

 

 ニヒルな感じでそう言ってみる。……キョウコちゃんから睨まれた。うっす、すんませんっす。

 しかし実際、読心はこういった時に無類の強さを発揮すると思う。居心地が悪い。丸裸とまではいかないだろうけど、やっぱりちょっとな。

 

「貴女の心中はあまりにも読みにくいんです。すりガラス越しに文字を読んでいるような感じで。まあ、心の声が大きければ読めるでしょうが」

「はあ。触れても?」

「同様にです」

 

 顔に湿布を貼った城内ヒトミがそう言う。なんだか肩透かしだ。うーん、こっちが思っているよりも、以外と扱いづらい魔法なのかも。いや、仲間の居場所がバレるようなことにならなくて済むし、助かったんだけれどもさ。

 

「……これでは答え合わせができませんね」

「答え合わせ?」

「こちらの話です」

「ははあ」

 

 何のだろう。何か確認したいことでもあったのか。

 しかし、なんだって俺の心は読みにくいのか。魔法を無効化するお守りはサキに渡してしまったし、そもそも捕まった時に持ち物は奪われてしまった。つまり心当たりがない。ボスがなんかしたのだろうか。

 

「多分、魔法の効果でしょうね」

「ほーん、魔法」

「……先輩の魔法ですよ」

「えっ俺!?」

 

 俺の魔法……いやあ、でもなあ。全然ピンとこない。過去の記憶は少しずつ整ってきているけれど、まだぼやけていて断片的だ。魔法少女……魔法少女なあ。

 

 ……やはり、俺の記憶は操作されてたのだろうか。しかも多分ボスに。彼女の魔法なら、それは出来るけれども……だとしても、一体どうしてそんなことを。もしかして、実は極悪人だったりするのだろうか。信じたくはないけど、あの人が俺を騙していたなんてことも──

 

『はあ……君な、一応女の子なんだから風呂には入りなさい』

 

『ほら、洗濯物を出すんだ。その白衣も。……まだ使える?駄目だ、ほら、さっさと脱ぐ!』

 

『え。ピラフじゃなくてチャーハンのつもりだったんだが……』

 

 ……いや、そんなことなさそうだな。あまりにも似合ってないし。これ以外にも説教臭いことは多々言われたが、どれも俺の身を案じての事だったし。これじゃ子供を叱るお母さんだよ。俺はあんたの娘じゃないよ。

 

 いやしかし、俺もサキに同じようなことを言っていたような。なるほど……言ってしまうものなのかと、1人で勝手に納得した。サツキは訝しんだ。

 

 

 ……そういえば、サキは?あの子は逃げ切れただろうか。魔法庁は捕まえられてないようだし、ひとまずは安心だけど。願わくばそのままどこか遠くへ逃げて、俺たちのことを忘れてしまえばいい。これ以上関わったって良いことは無いだろうし、危険なことに巻き込みたく無いのだ。

 

「サキさんなら、アヤメちゃんが下水道で会ったそうです」

「え゛」

 

 思い切りエンカウントしてるってことじゃねえか。なんで捕まってないんだ。というか、ほぼ最速で逃がしたのにもかかわらずかち合ったってことは、下水道に裏口があること普通にバレてるってことだよな。俺とボスがはっちゃけながら作った避難経路、無駄だったか?

 

「はあ、マジ面倒だったよ。覚醒した挙句とんでもない魔法使ってくるんだもん。あー、腹痛……」

「え、えェ……その後は……?」

「私が合流しましたが、不知火アカネが建物を爆破させました」

「で、みんなと一緒に逃げてっちゃった」

「…………」

 

 あ、あいつ……逃げろって言ったのに戦ったのか。危険だってのに、馬鹿なのか。馬鹿だったな……ちゃっかり覚醒もしてやがるし。いきなり魔法を使える子は多くない、やはり才能はあったようだ。でもなあ……

 

 しかしということは、サキの変態性がバレてしまったのではないか。魔法少女の衣装は、当人の思い描くものに左右される。ニチアサを見てそれに憧れた子は、スタンダードな感じになったりするのだ。つまりサキだと、エロ同人レベルの際どい衣装になってしまう可能性があった。もう俺、誤魔化しきれないかもしれない。

 

「巻き込んでおいて、今更っスか」

「それは…………そう、だな」

「あの子は……戦いも知らない純粋な子だったんス。それを歪めたのはアンタたちっスよ」

「…………………ああ」

 

 俺をみるキョウコちゃんの目は、まるで親の仇を見るようなものだった。それも仕方がない、サキを誘拐することになったのは、元はと言えば俺が原因なのだから。その罰はいくらでも受ける。

 

 でもその……純粋か?多分元から結構歪んでたと思うんだけど。学校でも変なこと考えてたんじゃないかなあいつ。キョウコちゃん、以外と盲目なのか。それとも、サキの猫被りが上手かったのか。

 

 対して、彼女以外の3人はなんとも微妙な顔をしている。もしかして、彼女らは察しているのかも。……こ、これマジでどうすればいいんだ。もうなんか「俺がアイツの脳みそ弄りました」って嘘言った方が丸く収まる気がしてきた。

 

 

 

「まあ、今はその辺りにしておきましょうよ」

「あ、局長」

「お疲れ様です」

「貴方たちの方がそうじゃない?」

 

 そんな風に悩んでいると、取調室の入り口から、大人の女性が入って来た。煤の着いた服を着て、少し疲れた様子。確か、ここのトップである局長だ。4人の背筋が伸びているあたり、それなりに尊敬されているみたい。うちのボスとは大違いだな

 

 俺も写真では見たことがあるが、こうして実物を見ると……迫力というよりかは、どこか懐かしさを覚える。やっぱり、過去に会ったことがあったりするのだろうか。

 

「首尾はどうですか?」

「駄目ね、痕跡はないわ。どこに行ったかはさっぱり」

 

 どうやら、局長の方はボスたちの捜索をしていたらしい。拠点爆破によってうまい具合に手がかりを無くすことが出来たのか、まだ足取りは追えていないようだった。……というか、俺の前で言っていいのかそれ。

 

「あとは私がやっておくわ。みんな寝てもいないでしょう?急ぐ気持ちもわかるけれど、休息はとってほしい」

「でも」

「この子を取り返しに襲撃が来る可能性も十分ある。サキちゃんも来るかもしれない。そんな時に全力が出せなくては良くないわよ」

「……分かったっス」

 

 渋々といった感じで従うキョウコちゃん。局長には頭が上がらないみたいだ。でも実際に、ボスたち近いうちに俺を助けにやってくるだろうし。……来てくれるよな?来てくれなかったらへこむ。

 

 サツキも少し考えるようなしぐさを見せた後、局長に任せることにしたようだ。俺を一瞥したのちに席を立つ。

 

「では、お言葉に甘えて。ミコト先輩、また後ほど」

 

 そう言って、4人はぞろぞろと取調室を後にしていく。狭かった……

 そして残されたのは俺と局長の2人のみ。なんとも気まずい。俺から話すことなんぞ特にないわけだし。

 

「あーっと……」

「さ、貴女も少し休んで。隈が出来てるわよ」

「え、はあ」

 

 尋問の続きをするのかと思ったけれど、どうやらそういうわけではないらしい。俺も休息を取るように言われ、そのまま連れ出される。いや、一応敵なんだけどな。お宅の魔法少女を10人くらいボコしたのだってほぼ俺だし。

 

 手錠をかけられたまま歩き、エレベーターに乗る。局長が1階と地下2階と閉ボタンを同時に押せば、エレベーターは身震いをして動きだす。変なコマンドだな。……ん?変なコマンド?

 

「貴女が初めてここにきた時も、そうやって落ち着かない感じだったわね」

「……そう、ですか。すいません、記憶がないもので」

「アカネに記憶を操作されたって聞いてるわ。あの子もどうしてそんなことを……」

 

 憂うような表情を見せた局長。彼女はどうやら、ボスと親しかったようだ。

 でも、俺も知りたいんだよな、動機。俺が魔法少女だと仮定すると(したくないけど)、ボスはその時の記憶を消したかったんだと考えられるが……高校の頃に一体何があったんだ、俺。

 

『ミコト』

 

 さっき聞こえた、誰かの声。あれがそうなのだろうか。名前も顔も思い出せないその人が、俺の記憶に深くかかわっているのは間違いない。どうしても、気になる。

 

 

 到着音が鳴り、エレベーターが止まる。ドアが開くと、薄暗い廊下の左右に、ナンバープレートの着いた部屋が並んでいた。

 

 いくらか進んだ後、局長は一つの部屋の前に立ち、部屋の扉を開く。部屋の中は小綺麗で、牢屋という感じではない。ただ、それよりも驚いたのは、見知った顔(?)がいたことだ。

 

「あれ……おま、なんでここに」

「私が保護したの。もう二匹も別室にいるわ」

「は、はあ……」

 

 そこにいたのはスライム。そう、スラちゃんである。あの後どうなったのかと思っていたが、どうやら無事のようだ。何で無事なんだ。拠点は爆発したんだぞ。

 

 まあ、生きているのなら良かった……良かったか?そもそも、何で保護しようだなんて思ったんだよ。意味が分からず、局長の方を見る。うっとりした顔をしていた。

 

「この子、すごいわね……♡貴女が作ったんでしょ?」

「…………え、はあ、まあ。そっすね……」

 

 頬を赤らめながら局長がそう言った。うわ、まさかサキと同類じゃないだろうな。勘弁してくれ。本当に勘弁してくれ。変態は1人で十分なんだよ、2人も3人も出すんじゃない!

 

「ふふ……そんな凄いものを作った貴方に、ちょっとした取引があるのよ」

「……取引」

 

 何が嬉しいのか、局長は笑みを浮かべたままに続ける。怖くなってきた。

 

「ええ。魔法庁に戻って来てくれない?もっと言えば、私のとこに来て欲しいの」

「はい?」

「貴方がいれば、私はもっと動きやすくなる。このスライムたちを作った手腕も評価してるのよ。もちろん、悪いようにはしないわ。必要なら、貴方のお仲間も入れてあげる。どう?」

 

 急に何を言い出すかと思えば、魔法庁への……いや、局長側への勧誘だった。目の前の女性が、いきなり胡散臭く見えてくる。

 何かを企んでいる、それは間違いない。……エロ展開か?また変なもん作れって言われるんじゃなかろうな。嫌だよ、俺。

 

「……お断りしますよ」

「そう……まあ、記憶がなくとも、いきなりは難しいわよね」

「記憶……う」

 

 知った風な局長の言を聞いて、また頭に痛みがやってくる。先ほどと同じような、頭をかき回されたかのような激痛。平衡感覚が無くなりふらついて倒れるのを、スラちゃんがクッションになって受け止めてくれた。

 

 

 頭に流れる景色の中で、俺()は何かと戦っていた。ただならぬ気配を纏っているそいつは、瞬きをする間に一瞬で距離を詰め、俺に攻撃を浴びせてくる。咄嗟に刀で防ぐが、それも効果はなく。俺の身体から赤いものが吹き出して、力無く倒れてしまった。それを見た何かは薄く笑っている。

 

 

 よくある退魔譚に出てくるような、妖狐のような姿をしたそいつ。耳を、尻尾を生やし、和服を着崩したそいつは──今俺の目の前にいる存在にどこか似ていた。

 

 

「……妖怪?」

「あら、少し思い出した?でも惜しいわね」

 

 笑みを崩さない局長。不気味さが際立つ。自分の表情が強張るのを感じた。今になって、この状況がまずいものだという実感が湧いてくる。

 

 彼女が指を鳴らす。何だ、何をしてくる。警戒して身構えていると……

 

 

 スラちゃんが、俺の後ろから手足を掴んできた。羽交い絞めみたいな格好になる。……え?

 

「賢いわよね、この子。触手の方とは夫婦なのかしら?試しに人質にしたら素直に言うこと聞いてくれたわ」

「え?」

 

 近づいて来た局長が、いつのまにやら右手にピンク色の液体が入った注射器を持っている。そのまま抵抗できない俺の腕に、それを刺しこんだ。

 

 ……あれッ、これもしかしてそういうことなのか?嘘でしょ?そんな流れだったか?……そんな流れだったかもしれない。スラちゃんの腕が胸や股にあてがわれた。ヤバい、本当に。

 

 まずい、視界がぐらぐらして来た。やっぱりそういう薬だったろ、アレ。身体が火照って、息が荒くなるのを感じる。頭の回転まで鈍って来た。

 

「気が変わったら言ってね。じゃあ、ごゆっくり」

「あ、ちょ、待──あっ!?♡」

 

 そのまま局長はそそくさと立ち去ってしまった。ご丁寧に鍵までかけて行ったし。残されたのは俺とスラちゃんの2人のみ。さっさとおっぱじめやがったし。ノリノリだろお前。

 

 こんな、こんなんだめだろ。魔法少女の拠点でこんなことしたらだめだろ。今まで経験したことの無い甘ったるい痺れを感じながら、しかし気づいた。

 

 ……まあでも、そうだよな。悪の敵が正義だとは、限らないよな……

 

 

バトル描写の量、どれくらいがいいですか?

  • がっつりでいい
  • それなりがいい
  • 最低限がいい
  • そんなことより俺と性癖バトルだ!!!
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