TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女 作:こばみご
魔法庁の休憩室。そこは専ら戦闘を終えた魔法少女たちが仮眠をとるのに使われており、今回もそうであった。魔法少女の4人は、ミコトの尋問の後、そこで休息を取ることにしたのだ。既に数時間が経過し、空も白む頃。各々が仮眠から目覚め、活動の準備を始めている。
しかしソファに寝転がったキョウコは、あまり休めているようには見えなかった。喉に小骨の引っかかったような表情で、天井を見つめている。心中に生じた違和感が、思考を巡らせているのだ。
「意味わかんないっス。自分で誘拐しておきながら、心配だなんて」
「情が移ったんだろう。あの人はそういう人だ」
あの時のミコトは、確かにそういった顔をしていた。そうなる原因を作ったのは自分だというのに。分からないでもないが、納得はいかない。そんなキョウコのつぶやきに、サツキは訳知り顔でそう答える。まるで親しい仲のような物言いだ。
いや、実際にそうか。そういえばと、キョウコは思い出す。尋問中も、ミコトとサツキはどこか親しげだった。確か、先輩と呼んでいたし。そうなると気になって来るのは、やはり……
「ね。あの白髪とどんな関係なの?学校の先輩?」
「ん……それもあるが、私が魔法少女になったきっかけの人なんだ。昔、襲い来る妖怪から助けてもらってな」
「はー、あれが……」
コーヒーを啜りながら、サツキはその時を思い出しているようだった。今でこそ魔法庁で一番強いとされている彼女だが、かつてはどこにでもいるような少女の一人だったのだ。微笑むサツキを見て、アヤメは何とも言い難いものが胸の内から浮かび上がる。強い頃の彼女しか知らないので、想像がつかなかった。そのせいか、相槌も気のないものになる。
「そう言うな。金銀コンビといえば、当時は結構有名だったろ?」
「え、あれがっスか!?」
「あまり、そうは見えませんでしたが……」
「きっともうすぐ分かるさ」
かつての魔法少女。かつての最強。なるほど、サツキがウキウキになるのも頷ける。彼女は本質的に戦闘狂な部分があった。だが、それならなおさら疑問に思ってしまう。
「でも……なら、どうして悪の組織なんかに」
一瞬、サツキの動きが止まった。口を真一文字に結び、目を細めたあと、手に持ったコーヒーカップを皿へ置く。言葉を探して、そのまま迷子になってしまったかのようだった。頼りになる背中も、今は少し小さく見える。
「そう……だな……変わらないものなんて、無いということかも」
窓の外で朝日が昇る。逆光のせいで、キョウコからはその表情はうかがい知れない。ただ、悲しい声色をしていることは分かった。だからか、少しだけ納得できた気がする。きっと、何かが──
「……来た」
「え?……!」
その時、窓の向こうで、大きな魔力が迸った。すべて焼き尽くすような赤色。この場にいる誰もが、その持ち主に心当たりがある。間違いない、不知火アカネだ。
ミコトを取り返しに来たのだろうが、あまりにもあからさますぎる。囮であることは明らかだった。しかし、放置することもできない。2対2でとはいえ、キョウコとヒトミが負けるほどの実力者なのだから。サツキは立ち上がり、3人へと向き直る。
「行ってくる。アヤメもついてきてくれ」
「私らは」
「サキちゃんも来ているかもしれない。中を探した方が会える可能性が高いはずだ」
「……了解っス」
サツキとアヤメはそのまま、窓を開けて飛び出していく。キョウコとヒトミの2人も変身し、部屋の外へと駆け出した。
相手がすでに中にいるかどうか、どこからどう来るのか、それは分からない。おそらく隠密使いが来るだろう、ならやみくもに探すのはむしろ悪手だ。そう考えたヒトミはキョウコに掛け合う。
「手分けしましょう。私は局長のいる尋問室の方に行きますから、キョウコちゃんは勾留部屋の方に」
「はいっス!」
尋問をしている局長の方か、ミコトを入れておく部屋か。相手もこちらの情報は掴んでいるかもしれない、ならばどちらかで待ち伏せをしておくのが一番出会える可能性が高いだろう。ヒトミの提案は理にかなっているように感じた。キョウコはそのまま、地下2階にある拘留部屋へと走り出す。
「……」
キョウコが見えなくなった後もしばらく、ヒトミは彼女の走って行った方向を見つめていた。そして背を向け、尋問室の方向へと行き──しかし通り越す。一瞥もしなかった。そこにいないことを分かっていたのだ。そして階段の方へと、彼女は歩みを進めた。
「ふっふっふ……侵入成功ですよ!」
ボスが外で時間を稼いでくれている間に、私たちは開いていた窓からよじりよじりとよじ登り、魔法庁の中へと侵入した。ほえー、お役所の中ってこんな風になってるんですね。受付くらいしかイメージが無かったので、ちょっと新鮮に映ったり。社会科見学に来たみたいな気分だ。
「ほら、浮かれない。素早くいきますよ」
マリさんに咎められながら、私たちは隠密の術を使って庁内を進んでいく。途中に慌ただしく走る職員の人とすれ違ったけれど、その人は全く気付いていない様子で私たちの横を通り過ぎて行った。マリさんの術はすごい。
気配を薄めるっていう仕組みらしいけれど……もしかすると、全裸で徘徊するようなことしても気づかれなかったりするのかな。……いや、違うんです、マリさん。そんな目をしないで。
そこまで大きな建物というわけでもないので、目標のエレベーターはすぐに見つかった。ボスが言うには、ここで特定のコマンドを入力すると、ミコトさんがいる可能性の高い地下3階へと行けるらしい。
「……でも、結局どうボタンを押せば?」
「サキちゃんの魔法でできませんか?入力内容の複製、とか」
「う、うーん……駄目ですね、流石に」
私の魔法はあくまでも私の記憶を元に発動するようで、機械の記録を参照できたりはしないみたい。というか、出来たら無法すぎると思う。まだ見ぬ誰かの魔法を間に使えば可能かもしれないけど。
マリさんは刑事ドラマで見るような指紋を採る粉をボタンに吹きかけたけど、特に痕跡は見つからないようだった。どうやら、いちいち拭き取っているらしい。用心深いね。
めんどくさそうな顔をしたマリさんは、少し考えたのちに、これまたそれっぽいピッキングツールを懐から取り出した。そのまま慣れた手つきで、ボタンの下にある蓋にかかった鍵を弄り始める。
「な、何か随分様になってますね」
「そりゃあ、昔よくやってましたし」
「……よく、やってたんですか」
「あはは……まあ、そうですね。スリに空き巣に置き引き……」
「犯罪!!!」
そんな反社みたいなことを。いや、今も反社ですけど。マリさんは一体どんな人生を歩んできたんだ。気になるような、怖いような……
そんなマリさんはあっという間にピッキングを成功させ、蓋を開いた。そこにあったのは、エレベーターの管理用操作盤。これを使えば、手動で好きな階にエレベーターを動かせるみたい。マリさんがそこのボタンを押せば、ゆっくりと下に動き出す。
30秒ほどすると、ガタンという大きな揺れと一緒に動きが止まった。どうやら着いたみたいだ。扉を開ければ、そこには薄暗い廊下が広がっていた。ちゃんとB3と書かれているので、目的の地下3階なことは間違いない。
エレベーターから出て、人の気配のない廊下を進む。左右にある扉を開けては閉めて、開けては閉めて……部屋の中はベッドとトイレと机くらいしか無い。多分、牢屋なんだろう。
部屋の開け閉めをいくらか繰り返すと、鍵のかかった部屋にあたった。もしかすると、この中にいるのかもしれない。マリさんにピッキングをしてもらい、扉を開く。すると……
「(再会を喜んでいる)」
「……え、テンちゃん。サンちゃんも……何でこんな所に?」
「まあ、魔法庁の誰かが持って来たんじゃないですか?」
「……なんでえ?」
「さあ……」
その中にいたのは、何故かミコトさんに作ってもらった怪物が2匹の、テンちゃんとサンちゃんがいた。本拠地に置いてきぼりにしてしまったのでもしかしたらと思っていたけど……無事でよかった。
……いや、なんでこんな所に。自力で来るわけがないし、マリさんの言うとおり誰かが連れてきたんだろうけど……理由がさっぱりわからない。私と同類でもなければこの2匹を持ち帰るだなんてことはしないだろう。……つまりそういうことなんだろうか。
しかし。部屋の中を見渡してみるけれど、あと1匹──スラちゃんの姿だけは無かった。彼女だけ置いていかれたなんてことは無いはず。どうせ持って帰るなら全員持ってくだろうし。
「テンちゃん、スラちゃんは?」
「(壁を指さす)」
「……隣?」
テンちゃんに聞けば、触手で壁の方を指さした。隣の部屋にいるって言いたいんだろう。しかし何で1匹だけ。性別で分けたとか?
言われた通りに、隣の部屋の方を見に行く。同じように鍵がかかっているのはそうだけど、扉に耳を近づけてみると、なんだかくぐもったような声が聞こえてくる。………………
瞬間、私の灰色の脳細胞が活性化しだした。この階にいるとされるミコトさんに、何故か1匹だけ別室にいるスラちゃん。ま、まさか……?ピッキングしてもらった後、恐る恐る扉を開けた。
「おっ♡んっ♡んぶっ♡」
「あ、え、わ」
「ん゛ッ、~~~~ッ♡」
「オワーーーーッ!!!」
衣装に液体がかかった。な、なんてえっちな……
なんと、なななんと、スラちゃんがミコトさんとえっちなことをしていた。ど、え、ど、どうして?あんなに微妙な目で私たちのことを見つめていたのに!心を改めたんですか!?もしかしてミコトさんも“良さ”が理解ったんですか!?
まあそんなことは無いと思う。だって、場所が場所だし。流石の私だって敵地でおっ始めるだなんてことは……あ、どうしよう。背徳的でとても興奮する。今から混ざってもいいですか?
「は?なん、なんで。そんな……所長、嘘ですよね……?」
「マリさん落ち着いてください!とりあえずひっぺがして話を……ちょ、スラちゃん止まって!」
さっきまであんなに頼りになったマリさんは、へたり込んでへっぽこと化してしまった。まあ、確かに衝撃ですけども。絶望の表情でミコトさんの方を見るマリさん。こんな状態をどこかで見たことがあるような、ないような。
とにかく、止まらないスラちゃんをどうにか説得する。どうやら彼女は「ミコトさんにえっちなことをしないとテンちゃんを殺す」という旨の脅しをかけられていたらしい。誰がなんのためにそんなことを……?
「み、ミコトさん!ミコトさん大丈夫ですか!?いや、大丈夫ではないと思いますけど!」
「う……うう。サキ……?」
びくんびくん痙攣しているミコトさんに必死に呼びかければ、いくらか正気に戻ったのか、私の名前を呼んでくれた。その瞬間に、胸のあたりがじわりと暖かくなる。時間にして1日程度しか経っていないのに、随分久しぶりに会ったみたいだ。
「安心してください、みんなで助けに来ましたよ」
「……ありがとう……」
「うぇ、えへへ」
酷い顔をしたミコトさんが、そのまま私のことを抱きしめてきた。んへへ、いやあそんな。助けに来るのなんて当然の事じゃないですか。まあ今日私なんもしてないですけど。
「しょ、所長」
「マリ……2人が来てくれなかったら、
「私ィーーー!!?」
「うわうるさっ」
いきなりマリさんは叫んで、そのまま死んでしまった。のは嘘だけど、後ろに倒れたまま動かない。……あ、思い出した。私が脳破壊された時もこんな感じだったような気がする。程度は違うけれども。
でも確かに、ミコトさんの一人称が変わってしまっている。そんなバカな。私からしても違和感が凄まじい。そんな個性をドブに捨てるほどの快楽を叩きこまれてしまったのか。まさかコレが……姉のコレクションにあった「男の人を性転換させてメス堕ち三穴触手姦」……!?いやでも、ミコトさんは女の人か。*1
「うう……こ、この世の終わりだ……」
「マリ……私は大丈夫だから……んっ」
「う゛ッッ!!!」
「あの、マリさん。本当に戻ってきてください、お願いですから。マリさん?マリさん!!」
白衣以外の服が溶けてしまっている(逆になんで白衣は無事なんだろう)ミコトさんは、それでもマリさんを安心させるためにそう言ったのかもしれない。逆効果だったけれど。今はミコトさんよりも、何故かマリさんの方が激しくびくんびくんしていた。2人のあられもない姿を見てみたいというアホみたいな欲望がこんな時に叶って、凄く複雑な気分。いや、えっちですけど……なんというか……
って、今はそれどころじゃない。でもどうしよう。スラちゃん達がいるだなんて思っていなかったし……マリさんは脳みそが破壊されてポンコツになってしまった。こんな状況では逃げ切れるかが分からない。意味不明な方向性から危機が迫っていた。
とにかく、ボスとユキネさんに、ミコトさんを見つけたことを連絡して……どうやってここを出ようかと考えていた、そんな時のこと。
「見つけましたよ。やはり、ここにいたんですね」
「げぇ!魔法少女!!」
魔女の格好をした人が、部屋の入口に現れる。どう考えても魔法少女に違いない。でも今だけは来てほしくなかった。何故ならこんな惨状だから。どうしよう、本当に。ミコトさんもマリさんもダメダメな今、どうしろって言うんですか!?
今更ながら、これ本当にジャンルコメディなのか不安になってきました。かろうじてバトルか……?
バトル描写の量、どれくらいがいいですか?
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がっつりでいい
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それなりがいい
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最低限がいい
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そんなことより俺と性癖バトルだ!!!