TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女 作:こばみご
でも体調不良で遅れました。超陳謝。
魔法少女。今まで見た誰とも違う4人目の人が、部屋の前に立っていた。ローブのようなものを羽織っていてわかりにくいけれど、中々に露出の高い格好をしている。えっちポイントが高い。
なんてことを言っている場合じゃない。ひっじょ~に不味い状況だ。これじゃ逃げるに逃げられないし、あと誤解されてしまう。えっちな生物がいて、ほぼ裸で髪まで濡らしてる人がいたなら、それはもう事後だ。……じゃあ誤解ではないか。……なおさら悪い!
部屋の中を見回してミコトさんとスラちゃんを視界に収めたその人は、逡巡の後に引きつった顔で後退り、私を見つめてきた。
「……貴女がこの惨状を?」
「いやあの、違うんです。本当に。信じてください本当なんです!」
しどろもどろで答える私のことを、魔法少女の人は半目で見つめていた。どう考えても信じてもらえていない。違うんですゥ……
うう、このままだと私がミコトさんをえっちな目に遭わせたことになってしまう。……あまり否定が出来ない。スラちゃんを作るように頼んだのは私だし、前科もあるし、そうしたいと思っていないわけでもない。でもその、とにかく違うんです。
「しかし、それは貴女の使い魔なのでしょう?」
「えっ、使い……まあ、うーん。でも違くてぇ……」
「そも、呑気に叫んでいたことといい、敵地でやることではないと思いますが」
「はいぃ……」
はい、ごもっともです……すみませんでした……いや、どうして初対面の人に詰められているんだろう。というか、叫んでいたのは私じゃなくてマリさんなのに。
当の本人は未だにグロッキー状態。ミコトさんとスラちゃんが交互にぺちぺち頬を叩いているが、起きる気配もなし。相当に堪えたみたいだ。やっぱり長く一緒にいた分、ショックも大きいのか。
そんな私たちを見た魔法少女の人は、呆れたようにため息をついた。なんですかそれは!数だけならこっちが有利なんですよ!
「ふむ……しかし、半分が戦えない状態でしょう。まずそんな大人数で来るべきではない」
「いや、スラちゃん達はそっちがここまで連れて来たんじゃないですか」
「え?」
「え?」
私たちは見つめ合う。……なんだか、認識に齟齬があるみたい。どうやらあちらは、私がスラちゃんを持ち込んだと思っている様子。あのですね、流石に私でも時と場合は考えるんですよ。こんな時にえっちなんてことはしません。なのでミコトさん、怪訝な顔をしないでくれませんか?
「貴方が連れてきたわけではないのですか?」
「まあ、はい。そもそもこの子たち、こういう場面ではあまり役に立ちませんし」
「貴女ではないのなら……」
スラちゃんが両手(?)を上げて抗議する。でも本当のことだし……まあ、スラちゃんはいけるかもしれない。足音は出ないし、死角に張り付くなんてことも……あれ、意外と適正高いか。
しかしこれはつまり、魔法少女の人も誰がスラちゃん達を持ち込んだのか知らないということになるのだろうか。じゃあ一体誰が……そういえば、ボスは「アイツ」って言ってたっけ。それって一体……魔法少女の人は考え込んでいる様子。心当たりがあるのだろうか。
「局長だよ」
「……」
「ほれ。
すると、ミコトさんが口を挟む。そしてそのままの流れで、自分の手を魔法少女の人の前に出した。みれるって何ですか?チラリズムの話?
くだらない事を考える私をよそに、逡巡の後断りを入れて、魔法少女の人はミコトさんの手を触った。ぽうと魔力が溢れているあたり、魔法を使っているみたい。
しばらくの間そうしていた彼女はだんだんと険しい顔になっていき、なんなら顔も赤くしていた。こんな……だとかそんなところまで……だとか呟いているし。それを見たミコトさんは、微妙な顔して目を逸らしている。……ど、どういう事なんだろう。何か高度なプレイをしていたりするんだろうか。
「んんっ!……色々、よく分かりました。貴女が度し難い変態だということも」
「え」
「ここ1ヶ月の、サキが来てから今までの
「え!!?!?!?」
どうしてそんなことを!!?え、心を読むことができる?ほえー、それはすごい魔法ですね。便利そう。……でもどうしてそんなことを!!?普通に今日の出来事だけ見せるのじゃダメだったんですか!?あんなことやそんなことをしてる私の痴態の数々を見られたってことですよね!?
「そんなことしたら私が変態だってことがバレちゃうじゃないですか!!!」
「バレバレだっただろ」
「まあ、全容を知っておけば理解が容易ですから……ちなみに、現在はキョウコちゃんだけが気づいていない状況です」
うう……まあ確かに、誘拐されてからは特に隠してなかったけども。むしろ大っぴらに言ってミコトさんたちを引かせていた記憶が……
でも、それにしたってバレるのが早すぎる。魔法少女の人たちとはまだ出会って1日程度しか経っていないのに。一体どうして……?*1
ここまで来ると、逆にどうしてキョウコちゃんだけが気づいていないのだろうという疑問が生まれる。普段の私の偽装が完璧だった……いや、そんなことはないな、さすがに。
ともかく。どうやら、局長と呼ばれる人がスラちゃんたちをここへ運んできたらしい。ミコトさんをえっちな目に遭わせたのもその人……局長ってつまり、局長ってことですよね。
「ここのトップってことですよねそれ。良いんですか?そんなことして」
「良いわけありません。……ですから、早く行ってください。あの人に見つかる前に──」
逃げてください、とでも言おうとしたのだろうけど、しかしそれが言葉が出ることは無かった。彼女が持っていた杖で指した先、部屋の入り口には、既に人の姿があったから。
黒髪で、シャツを着こなした女性。いたずら成功とばかりに薄く笑ったその人は、固まる私を見てピースをしてきた。へ、変な人だ……
「逃げろ、って?ダメよ、それは」
「……局長」
やんちゃした子供を優しく諭すように、局長と呼ばれた人は魔法少女を嗜める。こんな状況なのに、軽さが一切変わらない。不気味さが際立った。杖の先はまだ、彼女の方を向いたまま。
「こんなことまでやっていたんですか、貴女は……!」
「いやねえ、人間相手には3度しかしたことないわよ」
心外だとばかりに口を尖らせる局長。意外とやってるじゃないですか。くう、なんて恐ろしいんだ。涼しい顔して他人を無理やりに犯すだなんて!許されることじゃないですよ!……え、なんですかミコトさんその顔は。
「で。どう、ミコト?協力してくれる気になった?」
魔法少女の睨みもまるで効いていない様子の局長は、そのまま私たちの方へと顔を向ける。期待のこもったまなざしで、こちらを見つめていた。でも。
「いいや、全く。怪我の功名かな、記憶がハッキリしてきてさ」
「あらあら……逆効果だったってわけ?」
今まで聞いたことの無いような、冷たい声でミコトさんが答える。局長の余裕ぶった表情が初めて歪んだ。内容は全く分からないけれど、多分今がチャンス。魔法を使う準備をしておく。ここから逃げないことにはどうしようもないわけだし。
「んー……じゃあ、仕方ない、わよねえ……」
がっかりした様子で、局長は言葉を絞り出した。多分、来る。
そう思いゲイボルグを生成しようとした、その瞬間。その瞬間にはもう、局長は目の前に来ていた。声を出す暇もない。一体どういうからくりなのか、全く見当がつかなかった。
右手、人を殺せるくらいに伸びた爪が振り下ろされる。身体の動かないまま、けれどいやにゆっくりとそれが見えた。そのまま、それが私たちの身体を──
「2度目はない」
「……あ、あれ?」
引き裂くことは無く。気づけば何故か、局長の姿がいなくなっていた。ただ、部屋の入り口が近く見えるだけ。一体何事と周りを見てみれば、後ろに局長がいる。どうやら、私たちと彼女の位置が入れ替わったみたい。
「あら、魔法……本当に戻って」
「スラちゃん、魔力放出。私のを全部ね」
「!」
空振ったことに驚いた様子の局長。それに返事するでもなく、間髪入れずにスラちゃんに命令をするミコトさん。私の知っている様子からはかけ離れた、抜身の刃のような雰囲気を醸し出している。か、顔が良い……
命令されたスラちゃんは、そのまま魔力を束ね始めた。多分、ミコトさんから吸い取ったものだ。眩しく光るそれはどんどん大きくなっていき、そして放たれる。一瞬にして局長は光に飲まれて、そして轟音と共に衝撃が向かってきた。しかしそれも、ミコトさんが出した光る壁によって防がれる。
「う、うええ……」
「さ、逃げようサキ」
「ちょ、待ってください。追いつかない……」
あまりにも威力が高い。私が魔力弾を撃ちだしてもこうはならないだろう。スラちゃんがやったにせよ、ミコトさんの魔力ありきなはず。魔法も使っていたし……この人は、本当に魔法少女だったのか。全くそんな感じしなかったのに。死んだ目で魔力をこねて怪物を作っているような人なのに……よく考えたら、それも高度な技術か。
「どうやって出ようか。来た道で行く?」
「……天井抜いた方が早いのでは?」
「それでいいの……?」
魔法少女の人も、変なものを見る目だった。彼女から見ても凄いみたい。そんな凄い事をしたミコトさんは、しかし未だ自立できていなかった。足腰が震えている。微妙にしまらない……
「痛かったわ。久々に……」
声が聞こえた。部屋の奥の方、魔力を撃ちだした方向、土煙のその奥から。あんなものを食らったのに、まだ生きてるなんて。
風が流れていき、スラちゃんが放ったものよりも濃い魔力が、その方へと集まっていく。煙が晴れたその先には、指先に集まる奔流があった。キュルキュルと鳴る音は、まるで悲鳴のようだ。
「お返し」
局長がこちらを指すと同時、一閃が放たれる。ミコトさんは舌打ちをしてもう一度光の壁を形成して私たちを守ろうとするけれど、質量に負けて吹っ飛ばされてしまった。つまり、抱きしめている私も一緒に吹っ飛ばされたことになる。
「ぴゃあああああ゛っ!」
汚い悲鳴をあげ吹っ飛ばされた私たちは、ドカンドカンと壁を何枚か抜いてからようやくといった感じで止まった。うう、頭がクラクラする。耳鳴りもひどい。でも、あまり痛みはなかった。一体どうしてと思いつつ起き上がると、手に柔らかい餅のような感覚が。まさかおっぱ──
「あ、サンちゃん」
ではなく、サンちゃんだった。どうやら、あの一瞬で部屋から飛び出して私たちのクッションになってくれたらしい。彼はぷるぷる震えながら、触手の一つでサムズアップをし、そしてぐったりしてしまった。どうやら気絶したらしい。そうなってまで私たちのことを守ってくれただなんて……!……冷静に考えると、えっちな生物に守ってもらうってなんだろう。
「う……あれ、私は」
「あっ!やっと起きましたねマリさん!今大変なんですよ!!」
と、吹っ飛ばされた衝撃でか、未だ眠りこけていたマリさんが目を覚ます。彼女はぽけーっとしながら呑気に寝ぼけ目を擦り……そして今の状況を思い出したのか、凄い勢いでこちらを向き、強めの握力で肩を掴んできた。怖い!
「所長!サキちゃん所長は!?」
「落ち着いてください、ここに、ここにいますから」
「所長ァ!」
「いたたたた痛い痛い痛い」
およそまともじゃなかったので、下に転がっていたミコトさんを生贄にすることで狙いを逸らす。マリさんは変な音が鳴るくらいの力でミコトさんを抱きしめ、さっきの惨状が夢じゃなかったことを嘆いていた。いつもは頼りになるお姉さんって感じなのに、ミコトさんが絡むとなんだか残念になる人だ。あと虫。
周囲を見渡してみれば、テンちゃんとスラちゃんもいる。案の定いちゃいちゃしているけれど、まあ脅されていたのだから仕方ない。でもここでおっ始めないでくださいね。とにかく、全員無事で……
いや、魔法少女の人のがいない。敵というには局長と言い争っていたし、逃がそうとしてくれたし……どこにも見当たらないので、心配になってしまう。さっさと退避してくれていたならいいんですけれど。
「~~~!」
その時、どこからかくぐもった声が聞こえた。近い、もしかして瓦礫の下とか?隙間に入っていたりしたら大変だ、早く見つけないと。そう思い、地面の方を──
「…………」
……ところで、サンちゃんはお腹の中に触手を収納している。そうした方が見た目がいいとミコトさんに言われたので、私が頑張ってそうしたのだ。なので、触手を除けばお腹の中は空洞。人が1人は余裕で入る。中に入って触手にいぢめてもらうプレイも可能なのだ。すごいえっちだ。そう、すごいえっち……
「~~~!!~~っ♡」
気絶しているサンちゃんのお腹がもぞもぞと動いていた。そこから片腕と杖だけが外に出ていて、必死にもがいている。……その。なんというか。つまり、魔法少女の人が咥えこまれていたということになる。
……
…………
………………
「うわーーーーっ!サンちゃん!!こら!!ぺってしなさい!!ぺって!!」
「ひゃ、どうしたんですかサキちゃん……え、うわ、遂にやったんですか?」
「違います!ほんとに!!違います!!!」
多分、受け止められた時に勢い余って中に入ってしまったんだと思う。そうはならないと思うけど、なってしまっているわけだし。いやでも……どうしてこうなるの!?
出ている腕を引っ張ってみるが、全くと言っていいほど抜けない。もしかすると、中で触手が絡まっているのかも。ならばとバシバシひっ叩いても、サンちゃんは目覚める様子がなかった。そりゃあ、みんなを叩きつけられる衝撃から守ってくれたけれども、それとこれとは話が別ですよ!!さっさと起きて解放してください!お願いですから!
「うーん……どうしようもないんじゃないですかね、これじゃ」
「諦めないでくださいよぉ!そういう組織だって見られても良いんですか!?」
「……いいんじゃないかな、もう。頑張った方だよ」
悟ったような表情のミコトさんが、魔力弾で天井に穴をあけた。そしてそのまま、マリさんに抱かれて脱出していく。放心する私をサンちゃんごと担いで、テンちゃんとスラちゃんがそれに続いた。どうやら、魔法少女の人ごと逃げるつもりみたい。そ、そんな……お願いですから、諦めないでください。私が、私が悪かったですから……うう、私はいったいどこで間違えてしまったんだろう。*2
ひっくり返したイソギンチャクのようなすんごい体勢で爆走する中、テンちゃんが器用に私の肩を叩いた。励まそうとしてくれているみたい。でもね、もうダメなんです。サルバシオンは悪の組織なんです。それもエロ同人の。ボスが知ったら多分、いや絶対殺される。かつて処刑台に連れて行かれる人々は、こんな気持ちだったのだろうか。そんなことを思った。
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