TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女   作:こばみご

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ちみちみ頑張っていきますので、どうかよろしくお願いします。


魔法少女耐久力がなければ死んでいた

 ピピピピッ、ピピピピッ──

 

「──うぇ」

 

 やかましい音が耳元で鳴ったことで、俺の意識は覚醒した。そして真っ先に感じるのは憤り。人類は自分でアラームを設定するのに、いざ時間になると少なからず鬱陶しいと思うのだ。傍から見れば滑稽だろう。乱暴にスマホをタップして黙らせる。

 

 季節は11月、だんだんと肌寒くなってくる頃合いだ。ベッドの魔力は増すばかりで、掛け布団を剥ぐ気が全く起きない。多分魔法少女のせいだ。睡眠の重要性を教えるために布団を心地よくする魔法でも使ったのだろう、結構なことである。しばらく顔をうずめていると再び意識がまどろんできたが、それも束の間、マリがやって来て引きずり出されてしまった。寒い。

 

「おはようございます所長。ぐっすり眠ってましたね」

「おはようマリ。あんまり疲れが取れた感じはしないけどな」

「まあ、元々の睡眠事情が良くないですからね。今日だけたくさん寝た所で早々変わりませんよ」

 

 引きずられながら鏡を見れば、死んだ目の下に隈が出来ている自分の姿が映った。寝る前と変わってなくね?

 まあ確かに、ここ最近は3時間ぐらいしか寝れていなかったし、マリの言うとおりなんだろうか。

 

 …………いや、半分くらいは違うと思う。あの忌々しい小娘を誘……保……誘拐してから3日経ったが、身体に不調が出たのはアレが来てからだった。なんというかこう……オブラートに包んで言うなら、疲れるのだ。あと怖い。

 

 怪物の強化も十二分に見込めそうなので悪い事ばかりではないのだが、それをはるかに上回る面倒ごとがあるので、やっぱり辛いものがある。なんで俺だけ仕事が倍以上になってるんですか?

 

『……というわけなんです』

『なん、え?すまない、もう一度言ってくれないか?』

『エロいことしてくれるなら協力する、と言われまして』

『……???』

 

 サキがエロありを所望したその後、俺は一応ボスに顛末を報告したのだ。彼女は大層困惑していた。そりゃあそうでしょうよ。悪の組織のボスなのに倫理観がしっかりしているので、狂人の戯言に弱いのだ。向いてないのでは?

 

「ちょっ……と、考えさせてくれ……」という言葉の後、結局サキ本人とお話。素面で言っていることに若干引きながら、ボスは渋々了承してくれた。サキは楽しそうだった。やっぱり悪いものに引かれるお年頃なのだろうか。

 

 まあ、ここまではいい。いやよくないのだが、こんな所で躓いては話が進まない。ウキウキのサキをよそに、俺は嫌々ながらえっちなことをして魔力を吸い取ってくる怪物を作ることにしたのだ。最初はやっぱり触手型ということらしいので(何がやっぱりなんだろうか)、それっぽいのをひょひょいと作ろうとした。しかし……

 

『後ろから羽交い絞めにされるような形で!』

『うん……』

 

『もうちょっと質感をぬらぬらした感じにですね』

『はい……』

 

『やっぱり、塗りたくられる液体には媚薬が含まれているべきだと思うんです』

『そう……』

 

『身を捩っても逃げられない程度に力強く捕まえるようにもしてくださいね。……いやでも、あえて拘束を緩めることによって振りほどく余地を作るのも良いですね……どっちがいいと思います?』

『さあ……』

 

 こんな感じなのだ。

 

 こんな感じなのだ。

 

 こっちが真面目にコネコネ怪物を作っているその横でやかましい会話や注文を繰り返して来るのだ。これがまあ精神を削られるわけで。完成したと思っても駄目出しされるしな。しかもなぜか距離が近い。君、自分の立場分かってるか?

 

 おかげでこっちはストレスから頭痛と胃痛が凄いことになってしまった。狂いに狂った末自分で怪物の具合を確かめようとしたところでマリによる全力のストップがかかり、ベッドに叩き込まれた次第である。この子が居なければワンチャン死んでいたかもしれない。まこと優秀な部下である。

 

「で、完成した触手の調子は?どうせもう使ってるだろ?」

「ええ、流石に少し躊躇っていましたが。不具合もありません、一定量の魔力を摂取するという目的は果たされています。……まあ、少し問題はありますが」

「問題……」

 

 ベッドにぶち込まれる直前には一応完成していたため、もう一回サキに試してもらった方が早いなと考えた俺は、マリに諸々を任せておいたのだ。どうやら、俺が寝ている間もちょくちょく監視していてくれたらしい。……なんて拷問?よく見れば、若干目が死んでいる。申し訳ない気持ちになった。今月の給料は多めに貰えるようボスに掛け合っておこう……

 

 しかし、特におかしな挙動をしていないなら、何が問題なのか。そう思っていれば、彼女は端末を渡してきた。吸い取った魔力量を計測するものだ。見てみると──目標の約3倍の量が表示されていた。

 

 一旦画面から目を逸らして、もう一度見る。目を凝らしてよく見てみたりもした。数値は変わらなかった。どころか現在進行形で増えていた。ぞわっとした。おかしな挙動をしているのはサキの方だった。喜べねえよ。

 

「……今何時?」

「9時30分です」

「いつから使ってた?」

「丁度日をまたいだ頃から」

「…………ずっと?」

「…………ずっとですね」

 

 ……絶倫って女性にも使える言葉なんだろうか。そんなことを考えた。頭の痛みがぶり返してきたぞ……

 

 流石に止めよう。ずっとは駄目だよずっとは。ずっと真夜中じゃだめだよ。丁度サキにあてがった部屋に近づいてきたので、半ば駆け足で扉の前に行く。くぐもった声が聞こえてきた。開けたくねェ~……

 

 いや、覚悟を決めろ玉垣(たまがき)ミコト。誠に不本意ながらこの状況は自分が招いたことになるので、自分で収めねばならない。深呼吸を一つして、どうせノックしても聞こえないだろうし無遠慮にドアを開けた。

 

「あっ♡ミコトさっ♡おはようございますぅっ♡」

「こらハート喘ぎをするな。r18になっちゃうだろうが」

「ごめんなしゃ、イっ、~~~~ッ♡」

「コラーーーーッ!!」

 

 白衣に液体がかかった。このやろう。

 

 

 

 

「俺が言うのはアレかもだけどさ、ほどほどにしようよ」

「しゅみましぇん……」

 

 とりあえず触手生物を片付けた後、マリに新しい白衣をもってきてもらう間、正座するサキにお説教をする。いろいろ言いたいが、ぶっ通しはどう考えても危ないに決まっている。干からびられても困るのだ。トラウマなるわ。

 

「媚薬入り粘液で水分は補給できますよ?」

「舐めてんのか?」

 

 それエナジードリンク飲んで水分補給したって言ってるようなものだろ。どう考えても逆効果だよ。なんでそんな常識では?みたいな顔をするんだよ。そんなわけないだろ。エロ同人で義務教育を終えたのか?なんなら途中だろうが。

 

 触手がいた部屋の一角はびちゃびちゃで、これは掃除が大変だろう。しかしそんな中でも、手前に置かれた制服は丁寧にたたまれていた。なんかムカついてくるな。なんとなく何をしたのか想像できるのがまたイラっとくる。クソデカいため息が出た。

 

「はァ~~……体の方は大丈夫か?」

「はい!腰に全く力が入らないですけど大丈夫です!」

「大丈夫じゃねえな」

「あ、あと脳みそも馬鹿になった気がします……」

「それは元々だろ」

 

 タオル一枚の彼女は、よく見ると腰がガガガガ痙攣していた。生まれたての小鹿……より酷い気がする。どちらかと言えばコンクリートを固める機械のよう。本当に大丈夫だろうか。魔法少女は頑丈だが、この子はまだ覚醒前だ。壊れても困るし、もう一回検査した方が良いな。あとは……

 

「まったく……以後は制限つけるからな、毎日今日みたいなレベルで姦淫にふけられても困るし。えっちは1日1時間だ」

「そ、そんなあ!!流石に短いですよ!あんなに気持ちいいのに!」

「だからってやりすぎだろどう考えても!自重しろ!」

「します!しますからせめて2……いえ、3時間にしてください!」

 

 普通妥協して減ってくもんだろ、なんで増えてんだよ。こちらに縋りついてくるサキからは今までで一番の必死さを感じた。もっと他の場面でそうなってほしいんだけど。

 

 うるうると上目遣いで見つめてくる彼女。コレが他の事ならばまあしょうがないかな、なんて思ったりするのだが、いかんせん内容が酷いので首を縦に振る気が起きない。しかし承諾しなければ一生駄々をこねられる気がする。げんなりしてきた。

 

 …………今回採った魔力があれば、怪物の強化は大きく進むだろう。元の目標量は怪物一体分なので、これならばいきなり三体作ることが出来る計算になる。こういったのは早ければ早いほどいいだろうし、そう考えればサキの働き(?)はとても大きな利益を俺たちにもたらしてくれたことになる。で、労働には報酬が支払われるべきで……

 

「……2時間ね」

「ええ~っ」

「ええ~っじゃない。超えるようなことがあったらこっから出てってもらうからな……」

「勝手に保護してきたくせに!?」

 

 それはまあ全くその通りなのだが、それにしたってイレギュラーすぎるだろう。俺結構後悔してるもん。普通の子は家に返してとか友人に会いたいとか言うと思うのだが、そういった事は今まで言われたことがない。その代わりか、口を開けばだいたいエロ関係のことを宣っている。なんでだよ。

 

 ……今ならまだ間に合うんじゃないか?別の子を保護して、サキを元居た場所に戻した方が良い気がしてきた。でもこんなのが魔法少女側に立った時のことを考えると、それも恐ろしいことのように感じる。なまじ才能があるしな……

 

「今失礼なこと考えませんでした?」

「割とね。まあ今回は俺も悪……悪かったし、このあたりにしておこう。風呂に入って汚れを落として来ると良い」

「はあい」

 

 返事をしたのち、ペタペタと音を鳴らしながらサキは部屋を後にした。素直なものだ、俺やマリの言う事は大体聞いてくれる(エロは除く)。誘拐しているというのに、ここまで従順なのはおかしいと思うんだが……

 

 もしかすると、エロにバカほどうるさいのにも何か理由があるのだろうか。薄っすらと考えていた彼女の歪さが、だんだん浮き彫りになっていくのを感じた。

 

「あ、使ってみていくつか改善点を思いついたんですけど」

「はよ風呂入れ」

 

 

 数時間後、彼女の手によってネットの海に浮かぶ官能小説みたいな感想文と、おびただしい数の改善案が書かれた報告書が提出された。頭痛が加速した。

 

 




これr17.9タグがいるのでは?作者は訝しんだ
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