TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女   作:こばみご

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評価感想ここすき誤字報告ありがとうございます。とんでもねえ高評価もありがとうございます。マジ感謝。
ランキングにも乗っていました。ありがたい限りです。こんなもんランキングに乗せるんじゃない。


サウナみてえな温度差

 

炉端(ろばた)町、魔法庁の支分部局。その一室で、2人の少女が向かい合っていた。

 

 彼女たちは魔法少女。町に現れる怪異の討伐を行う専門職で、いわゆる正義の味方と呼ばれる者たちだ。しかし今、彼女らの顔は険しいものとなっていた。机の上に乗せられた報告書が、その原因であった。

 

 そこには細々と文字の書かれたA4紙が数枚と、複数の写真が置かれている。写っているのは、何者かが八雲サキを連れ去る瞬間だ。相手の術により素顔や体形は判別できないが、一瞬で連れ去ったのを考えると、中々の手練れであることが伺える。

 

「簡潔に言う、君の友人は誘拐された可能性が高い」

「そ、そんな……」

 

 その言葉に、学生服を着た少女、眞下(ましも)キョウコは絶望の表情を浮かべる。サキとキョウコは学校で親しい仲だったのだ、そんな友人が何者かに連れ去られたとなれば、顔をこわばらせるほかないだろう。もう片方、硬い表情でそう言った少女の瞳にも、焦りの色が見えた。

 

 八雲サキは魔法少女候補として、魔法庁の監視を受けていた。折を見て勧誘しようとしていたところに、今回の誘拐沙汰が起きたのだ。それが報告書に書かれている内容だった。

 

「それも、おそらくサルバシオンの奴らにだ」

「あいつらがっスか!?そういう輩ではない気が……」

 

 サルバシオン。約5年前から活動を始めた、この町の支配を企む悪の組織。妖怪に次ぐ新たな脅威、怪物達を従え町を破壊するテロリストだ。……はっきり言うとあまり強くはない。脅威になりうるのは幹部クラスからだろう。

 

 主に建物などの物的被害をもたらす面倒な連中。そのくせ尻尾を掴ませることもなく、今の今まで町の機能を好き勝手破壊して来た、陰湿な嫌がらせを繰り返す非常に面倒な集団と言える。しかし人的被害はほとんど出ておらず、それ故に対処を後回しにされてきた。だが。

 

「八雲サキの誘拐から、怪物による襲撃がぱったりと消えた。関係がないわけがない」

「でも、なんでサキなんスか?あの子はまだ魔法少女じゃ……」

「だからだ。恐らく奴らは、未覚醒の魔法少女が目的。……堕天させる気だろう」

「……そんな」

 

 スーツ姿の少女、斬谷(きりたに)サツキが言う。正でも負でもない状態の魔力は、どちらにも傾き得るものだ。妖怪の影響を受ければ、負の魔力を扱う魔法少女が生まれる。それを堕天と呼んでいた。

 

 この町で今最も強い魔法少女であるサツキは、そういった奴と何度か対峙したことがあった。彼女らの大半は、妖怪やそれに準ずる者に誑かされてそうなっている。そうでない者も、魔法庁に敵対してくるのがほとんどだ。

 

 だからこそ、素質のある少女たちを監視している。にもかかわらず今回のことが起こってしまった。最悪の想定が、サツキの頭に浮かぶ。

 

「次に会った時、彼女は敵である可能性が高い。……辛いだろうが、覚悟をしておいて欲しい」

「……私は……」

 

 敵。自分に向かってくる、ということだ。傷つけあうという事だ。友人同士で。

 

 何故か。人の認識を変えてしまうような魔法も、この世には存在するのだ。キョウコは少し想像して、やめた。酷く恐ろしいものに思えたから。

 

「すまない、私らの失態だというのに」

「いえ、そんなことないっスよ……でも、少しだけ……考えさせて欲しいっス」

 

 八雲サキは死んだことになっている。これはサルバシオンへの警戒度を引き上げ、重い腰の本部を動かすために局長が打った策ということだった。正直なところ、キョウコはこの策を良く思っていない。当たり前だ、嘘でも友人が死んだとは言わないでほしいものだろう。

 

 しかし、サキを救うためには力がいることも事実だった。特に今回は人手がいる、増やせるのなら惜しむべきではない。

 

「サキ……」

 

 苦い現実を咀嚼しながら、キョウコはしばらく座っていた。膝の上に乗せた拳の、きしむ音が聞こえた。

 

 

 


 

「いやー、今日のえっちも良かったです!75点!」

「微妙ってことじゃねえか?それ」

 

 実は、うちの研究所は地下にある。といってもこれも結構テンプレだし、予想はついたかもしれないが。行き方はとある雑居ビルのエレベーターで特定のコマンドを押すだけ。無駄にカッコいい。

 

 しかし地下にあるということは、つまり地下にあるということなのである。日の光の届かない場所なせいで、時間の感覚がおかしくなるのだ。もちろん時計は設置してあるのだが、確認を忘れて作業に熱中してしまうことも多い。気づいたら夜だったなんてこともある。

 

 要するに、何時間働いたか忘れたということだ。一応うちはそこらの会社と同じ8時間労働なので、やりすぎるとボスに怒られるのだ。最近、悪とは何かについて真面目に考え始めている。

 

「あれ、まだ作業してたんですか?そろそろ終わりにしないとマリさんが来ちゃいますよ」

「ちょっと待ってくれ、もう少しなんだよ」

 

 そして現在、すでに寝間着になったサキが若干の呆れ顔と共に作業部屋にやって来ていた。ついさっきも同じようなことを言いに来たが、そんなに気になるのか。まあ、粘土をこねるみたいな要領で怪物が出来ていく過程は面白いのかもしれない。

 

「それ、テンちゃんに慰めてもらいに行ったときも同じこと言ってましたよ」

「あー、そうだったっけ…………待て、名前つけてんの?」

「そりゃあ、つけますよ。触手(テンタクル)だからテンちゃんです!」

 

 そういうもんなのか?そんなペットみたいな感覚なのか?……でも、きっとバター犬にだって名前を付けるはずだし、そういうもんなのかもしれない。人類の業は深い。総人類の罪過をポイントにしてみたら、多分人口の100倍は行くだろう。……なんで俺が賢者タイムにならなければならない??

 

 というか、そんなに時間がたってたのか。せいぜいが30分くらいだと思っていたのだが、サキがフルでヤっているのは確定なので2時間、そこから寝支度をしたとしてさらに1時間とすると、3時間も経過していることになる。進捗は芳しくないというのに。

 

 別に一つ型を作ってそれをコピーすればいいだけの話なのだが、それじゃあ弱点も一緒になってしまうだろうとはボスの言葉。来週の月曜までにいろいろ考えておいてくれと、3体を納品した時に言われた。金曜日の出来事である。あの人はそういう所があるのだ。まあ、悪の組織の休みは変則的なのでセーフ。……多分?

 

「そういえば、この子たちが動いてる所は見たことないですね。テンちゃんとの違いは一体?」

「うーん、そうだな。これじゃまだ器だけなんだよ。ボスが仕上げをしてくれるんだ」

 

 と、サキが疑問を口にする。毎日毎日コネコネコネコネしているので流石に気になり始めたのか、昨日はこねてるものが一体何なのかを聞いてきた。魔力だよ。君の。エネルギーは質量たりうるらしいから、きっとそういうことだよ。正直俺もそこらへん分かってないよ。何年研究者やってるんだ、俺。

 

 ともかく。俺がやるのは魔力を練って外形を整える部分で、その後ボスが魂を吹き込むことで怪物は完成するのだ。方法としては専用の窯に入れた後に、彼女の出した炎で焼くだけ。一見すると簡単そうだが、一体どんな仕組みなのやら。そういう術なんだとは思うが……

 

「ほへー……なんかパンみたいですね」

「……否定できないな」

 

 形を作って焼く、だけだと本当にパンと変わらない。今までずっと同じようなことをしていたので、もしかしたらパン屋に転職できるんじゃないか?俺。この組織が壊滅した時に生きていたら考えてみよう。

 

 ……パンのことを考えながら怪物を作っていたせいで、何だか丸みを帯びてきてしまった。意外と美味しそうだな……アイデアが降って来たので一心不乱にこねていたわけだが、改めて見てみるとあまりいいものではなかった気がしてきた。

 

「どう思う?コレ」

「え?えーと……弱そう?」

「だよなあ。……作り直すか……」

 

 サキから貰った貴重な魔力なのであまり無駄遣いはしたくないのだが、ある程度時間が経ってしまうと劣化してしまうためこれ以上弄ってる暇はない。かといってこのままボスに出してもサキと同じことを言われそうだ。

 

 鮮度は命、しかして造形にこだわることもまた重要なのだ。なんだか職人じみてきた。俺が着ているのは白衣ではなく調理服だったのかもしれない。

 

「捨てちゃうんですか?なら使ってもいいですか?」

「ええ?何に使うってんだよ」

「テンちゃんが元気ないのであげようかと……」

 

 そんなペットに人間の飯をやるみたいな感じで与えられても困る。アレの養分が魔力なのはそうだが、目の前の存在で十二分に摂取しているはずだ。端末で確認しても、たっぷり食事はとっている。むしろ食べすぎで不調をきたしているんじゃないだろうか。

 

「やっぱり48手を1周したのがダメだったんでしょうか……?」

「生き急ぐんじゃない」

 

 まず人対人でやる体位を触手にやらせようとするんじゃない。それに2時間で全部やったんなら、そりゃあげっそりするだろ。制限をかけたからって、ハイスピードで周回すりゃいいってもんでもない。1日1手でじっくりやればいいものを……

 

「いやでも、する前から乗り気じゃなかった気がします!」

「……自分から積極的に犯されに行くのが理解できないんじゃないか?」

「楽しみに来てるんだからそうなるのは当たり前じゃないですか!」

「そういうとこだよ、そういうとこ」

 

 そういえば、改善案を基に改造するときに触手の知能を上げたんだった。そうしないと全ての案に対応しきれなかったのだ。48手もその一つ。

 

 考える能力が備わってしまったテンちゃんは、おそらく飼い主(?)がどうしてそんなにノリノリなのか理解できていないのだろう。理解できないものは怖いものだ。かわいそうに……

 

「君の悍ましさは理解しているみたいだけどな」

「なんですかぁ!人を化物みたいに!」

「逆なはずなんだけどね」

 

 本当に怖いのは人間なのかもしれませんね。ホラーでもないのにどうしてこの文言が出てくるのだろうか。しかもエロで。ぷんすこ怒るサキを尻目に、この失敗作をどうしようかと考える。可能なら再利用したいのだが、かといってこれといった使い道は……

 

「じゃあ、第二のえっち生物を作るとかどうでしょう。スライムでお願いします」

「いや勝手に決めるんじゃないよ」

「でも、他に使い道ないんでしょう?」

「…………」

 

 いやでもさ、違うじゃん。経費でエロ本買うみたいな感じじゃん。それって駄目じゃん。

 背徳感があっていいと思います、と言われた。よくねえよ。

 

 結局、失敗作をこね直してスライムを作った。彼女は大変満足していた。そして俺はマリに時間外労働がバレて叱られた。泣いていいか?

 

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