【WEB版】極めて健全な美少女レベルアップ   作:佐伯凪

67 / 67
第67話 アイドルダイバーの幼馴染

 天ヶ崎さんと氷見さんが危ない状況に陥っていて、さらに今から由良ちゃんとそういう行為をしようとしているのに、俺の頭の中は妙に冴えていた。冷蔵庫の一番上の箱を開けて、中に入っているものを取り出す。女の子から貰ったものを、他の女の子に渡すのは少しだけ罪悪感があるけれど、今はそうも言っていられない状況だ。

 ついでに先ほど飲み損ねたので、お茶を一口。思考とは裏腹に体は緊張しているらしく、カラカラに乾いていた口の中に潤いとカテキンの渋みが広がった。火照った体の中に冷たい液体が流れる。焼け石に水。すぐに体が熱を取り戻す。

 口に飴を放りキッチンから部屋に戻ると、一糸まとわぬ姿の由良ちゃんがベッドに座っていた。

 俺がお茶を飲んでいる間に電気を消したのだろう。薄暗い部屋の中では由良ちゃんの姿はあまりよく見えない。垂れ流されたテレビが白い映像を映し出すたびに、その光に照らされた由良ちゃんの身体が微かに見える。

 

「……『罪と、罰』」

 

 どこか虚ろな瞳で、由良ちゃんが唐突につぶやいた。

 

「由良ちゃんは罪なんて犯してないよ。罰を受ける必要もない」

 

「……『饗宴』」

 

「……由良ちゃん?」

 

「『硝子戸の、中』、『虚子君へ』、『列車』」

 

 訳の分からない言葉の羅列。ショックで壊れてしまったのかと不安になる。

 手で前を隠すこともせず、惜しげも無くその白い身体をさらしながら、まるで思い出すように言葉を綴る。

 由良ちゃんがこちらに顔を向けて、クスリと微笑んだ。

 

「ふふ、そういう事だったんだね。『一夜』、『伝説の時代』、『雀』そして、『鼠坂』。思い出した。達哉くんって、結構ロマンチストだったんだね」

 

「何の事? 大丈夫?」

 

「うん、大丈夫だよ。意識も、記憶も、はっきりしてる。覚えていないのは達哉くんの方だよ」

 

 良く分からない事を言いながら由良ちゃんは立ち上がり、一歩こっちに近づいた。

 

「ねえ、いつまでそこに立ってるの? 私、風邪ひいちゃうよ?」

 

 形の良い胸を見せつけるかの様に、由良ちゃんが両手を広げる。

 

「あ、ごめん」

 

 俺が由良ちゃんに近づくと、手をグイと引かれた。由良ちゃん共々ベッドに倒れ込む。俺を押し倒すような形になった由良ちゃんが、上から俺を見下ろしてくる。白い髪がさらさらと砂時計の様に流れた。美しすぎて、まるで人間ではない、別の生き物の様だ。

 

「ねぇ、達哉くん。ちゃんと伝えておくね? 私ね、『死んでもいいわ』」

 

「……俺は由良ちゃんに生きていて欲しい」

 

「もー。そうじゃないんだけどなぁ」

 

 俺の回答が不満だったのか、由良ちゃんが可愛らしく唇を尖らせた。

 

「由良ちゃん。これ、付けておくね」

 

 俺は由良ちゃんの髪の毛に、不死鳥の半綿羽を輪ゴムで括り付ける。白に赤橙色が映える。

 

「これは?」

 

「不死鳥の半綿羽。由良ちゃんは死なせない」

 

「わ、すごいレアアイテムだね。ふふふ、これで思いっきり、ヤれるね?」

 

 妖艶に、にやりと笑う。チロリと出された赤い舌。美しい白蛇に、飲み込まれそうだ。

 

「覚悟してね? 私、達哉くんが壊れても、止まれないかも」

 

「由良ちゃんが先に壊れちゃうよ。だからこれをあげる」

 

「何を……んぷ」

 

 由良ちゃんの口を、俺の口で塞ぐ。甘い甘い飴を、口移しで食べさせる。

 

「んぁっ……達哉くんって、こういうのが好きなんだね。……あれ? 身体が……熱い?」

 

「世界中の樹液で出来た飴。多分これで、少しはもつよね? 白銀桃もあるから、後で食べよう」

 

「ふふふ、準備万端だ」

 

「ゴムは用意してないんだけど……」

 

「いらないよ、そんなの」

 

 由良ちゃんの手が、足が、俺の身体に絡みつく。白蛇に飲み込まれていく。由良ちゃんの滑らかで吸いつくような肌に、俺の身体が溶けて融合するような、そんな錯覚。

 吐息が熱い。匂いが甘い。淫靡な白蛇の毒に、俺の身体が侵されていく。

 

「達哉くんの経験値も、身体も、未来も、全部私が貰うから」

 

 由良ちゃんの顔が降りてきて、コツリと、おでことおでこがくっついた。あぁ、俺は由良ちゃんに食べられるんだなって、どこか他人事の様に思った。

 なんの躊躇いもなく、由良ちゃんが唇を寄せてくる。

 

「んむ……ちゅぶ……んぁ…………ぁ…………」

 

 深く、熱い口吻。舌が溶け合うように絡む。

 

「ん…………ぷぁ…………あは、もう、やめられないね……。達哉くん、いただきます」

 

 そして、俺と由良ちゃんは――――――




本編 完

カクヨムに番外編置いてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

幼女戦記 〜旗を高く掲げよ〜(作者:猫敷)(原作:幼女戦記)

二者択一。▼ 人生というものは、しばしば「AかBか」という単純な構造に落とし込まれる。▼ 誰かがそう言っていた。選択は慎重に、決断は迅速に――これが人生のコツだと。▼ では、問おう。▼ その二択が、どちらも崖に続いているとしたら?▼ 喜ぶか?▼ 怒るか?▼ 絶望するか?▼ それとも、笑うか?▼ ああ、できることなら笑いながらこう呟いてやりたい。▼ 「このクソ…


総合評価:2111/評価:8.6/連載:125話/更新日時:2026年08月30日(日) 00:06 小説情報

エロゲ転生〜やり込んだ知識でハーレム無双〜(なお特殊性癖)(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル現代/冒険・バトル)

やり込んだエロゲに転生してしまった主人公。▼抜きゲー世界であるが、バトルもあるので、死なない、詰まない様にしながらエロく生きたいと思います。▼なお初っ端から周回用アイテムを回収する模様。▼カクヨムとマルチ投稿▼諸事情により未完▼本当に申し訳ない。▼理由は活動報告にて


総合評価:5182/評価:8.23/未完:130話/更新日時:2026年06月01日(月) 18:00 小説情報

貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る(作者:しば犬部隊)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

死にゲーに転生した主人公(男)が遺伝子的に湿度が高く重い女達に囲われていく話。▼なお、主人公は自分に価値を見出していないので、自分を犠牲にしたりする。▼だが それが逆に重い女の琴線に触れた!▼無自覚にヒロインを沼らせていく、ただ平穏に生きたいだけの男。▼書籍化決定 5月20日 オーバーラップノベルス様より発売! ▼


総合評価:31860/評価:8.9/連載:54話/更新日時:2026年08月25日(火) 12:14 小説情報

家事代行先は闇堕ち寸前魔法少女の家でした~貧乏一人暮らしの俺は生活力を買われて内緒の焦れ甘同棲生活を始めることになる~(作者:水瓶シロン)(オリジナル現代/恋愛)

「ぎゅって、して……?」▼「構ってくれないと闇落ちしちゃうよ……?」▼ 高校入学を機に一人暮らしを始めた『御守望』は、青春を勉強とバイトに費やすような限界貧乏生活を送っていた。▼ 幼くして両親を失っている望が頼れる人は、田舎に住む祖父母くらいだが、なるべく負担は掛けたくない。▼ そのため、睡眠時間を犠牲にして死に物狂いで勉強することによって好成績を維持し、入…


総合評価:4941/評価:8.73/連載:89話/更新日時:2026年07月03日(金) 12:07 小説情報

男女比3:1でも貞操逆転世界なのに「もう少し大きくなったら結婚しよう」でとうとう引き返せなくなった奴(作者:陽波ゆうい)(オリジナルファンタジー/恋愛)

男女比3:1の世界に転生した。▼って、おいこれ、男がチヤホヤされる貞操逆転世界ってやつじゃねーじゃん!?▼野郎が多くなったら、寝取りが増えるだけだろっ。▼だから俺は、女の子にモテることを諦めることにした。▼※カクヨムでも掲載しています。


総合評価:3750/評価:8.03/連載:24話/更新日時:2026年06月01日(月) 22:22 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>