BrokenWorld~黒鉄の装着者~   作:半笑いの妖精

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第四十八話:鬼と狐

 

 静寂の均衡を破ったのは、大嶽鬼だった。

 あの巨体が一歩踏み出しただけで、大広間の空気が鈍く軋む。

 床板が悲鳴を上げ、柱の根元がミシリと鳴る。

 

 門前に立つ最後の関門。

 

 それに相応しい、理不尽なまでの質量だった。

 対する傾城九尾の鮮血乙女(ナインテイル・ブラッディ・リリー)は、その隣で優雅に尾を揺らしているだけ。

 だがそちらの方が厄介だ。

 目を合わせれば危うい。

 声を聞けば危うい。

 あの可憐な容姿そのものが、既に毒だった。

 どちらから崩す。

 考えるより先に、バイザーへ演算が走る。

 

【戦況予測】

【同時対処:危険】

【優先排除候補:傾城九尾の鮮血乙女】

【理由:精神干渉・呪術・戦況支配】

 

「同感だな」

 

 低く返す。

 鬼の方は純粋物理。

 その質量が理外な──とはいえ、そのシンプルな暴力が一番分かりやすくヤバいのだが──だけなので、まだやりようはある。

 しかし九尾がいる状態では、その対処すら困難になる。

 まず落とすのは、そっちだ。

 

 

 大嶽鬼が腕を振るう。

 ただそれだけの動作なのに、吹き荒れる暴風が壁みたいな圧を持ち、体勢を崩される。

 正面で受けるのは論外。

 回避一択だ。

 だが、ただ横へ逃げるだけでは九尾の術へ晒される。

 そこでネメシス・ムーンへ指示する。

 

「右腕、対衝撃分散装備。移動装備に短距離加速!」

 

【対象:大嶽鬼】

【適装:超質量近接対応・回避偏重】

 

 兵装が変わる。

 右腕外装は万一の時に衝撃を流す分散外殻。

 脚部は床を砕きながらでも軌道を変えるための瞬発重視。

 背部にはほんの一瞬だけ体をずらすための短噴射ユニット。

 鬼の拳が落ちる。

 加速。

 落石みたいな拳を避ける。

 だが、余波が重い。

 肩口と脇腹の外装が、拳が床を砕く衝撃だけで軋んだ。

 

【左脇腹装甲:軽損傷】

 

 そのまま床を滑るように鬼の懐へ潜る。

 巨体には死角が多い。

 そこへ左腕の術式破断砲を向ける。

 狙いは鬼ではない。

 その向こう。

 九尾。

 撃つ。

 青白い光線が、鬼の脇を抜けて傾城九尾の鮮血乙女へ走る。

 が、当然、通らない。

 九尾が袖を軽く揺らしただけで、赤い狐火が三つ浮かび上がり、光線の軌道へ重なる。

 ぶつかった瞬間、光線がぐにゃりと歪み、床板を削りながら逸れていく。

 

「空間歪曲……!?」

 

 吐き捨てた直後、耳元で笑い声がした。

 

「■■■♪」

 

 距離はある。

 なのに声だけが、耳元で囁かれたみたいに近い。

 

【精神干渉:上昇】

【魅了耐性補助:出力増加】

 

 視界の端が滲む。

 九尾の姿が、一瞬だけ“守るべき対象”へ変わりそうになる。

 

「……違う!」

 

 歯を食いしばり、頭を振る。

 頭部周辺の精神防護ユニットが光り、干渉を相殺し魅了を散らす。

 その隙を、大嶽鬼は逃さない。

 害虫を踏み潰すかのような、苛烈なストンピング。

 避ける。

 間に合わない。

 右腕の分散外殻を支えに受け止める。

 激突。

 重いなんて物じゃない。

 瞬く間もなく超過重のエラーが吐かれる。

 演算と同期した思考で、加速兵装を最大出力で噴かして抜け出す。

 受け身を考えていないそれのせいで十メートル以上吹き飛び、柱へ突っ込む。

 無理矢理外殻が剥がされた右腕から肩、背中、腰までダメージを負うが、圧死するより万倍マシだった。

 

【右腕外装:中損傷】

【肩部フレーム:負荷大】

【総耐久:低下】

 

「ぐぅ……ッ!」

 

 息が詰まる。

 だが止まることは許されない。

 柱を蹴って反発し、次の追撃の前に位置を変える。

 九尾の尾が三本、今度は上と左右へ広がり狐火を灯す。

 足元の床へ、陰陽の紋が走る。

 

 何かが来る──!

 

 直後、床板の下から黒い影が噴き出した。

 式神だ。

 紙と影と血を混ぜたような異形の獣が、足首へ噛み付くように飛び出してくる。

 斬る。

 だが一体ではない。二体、三体と連続する。

 その上から鬼が来る。

 真正面から。

 拳ではなく、今度は掌。

 

「ネメシス・ムーン! 対群体兵装、高機動装備!」

 

【要求受理】

【複合適装:更新】

 

 左腕の砲が散弾寄りへ変わる。

 肩部には小型迎撃子。

 脚部へは拘束を引き剥がすための振動補助。

 式神を吹き飛ばしながら、鬼の掌を紙一重で抜ける。

 だが、その回避先へ待っていたのは九尾の呪術だった。

 赤い札。

 いつの間にか、宙に何十枚も浮いている。

 見た瞬間に嫌な予感しかしない。

 

「■■■■■……」

 

 九尾の声と同時に、札が一斉に発火した。

 怨嗟を燃料に燃えているような、呪いの赤黒い炎。

 爆ぜる。

 広間の空気ごと巻き込むような連鎖。

 回避する。

 だが全部は無理だ。

 三発、四発と外装へ直撃し、胸と太腿、背中に焼けたような損傷が刻まれる。

 

【胸部外装:中損傷】

【背部外装:軽中損傷】

【呪術残留:微量検知】

 

「づぅッ……!」

 

 熱い。

 だが普通の熱とは違う。

 炙られた箇所へ、黒い染みみたいな違和感が残る。

 傷を負わせるだけでなく、痕を刻む呪術だ。

 

「厄介が過ぎるだろ……!!」

 

 大嶽鬼がまた来る。

 九尾はその背後で笑う。

 拳と呪と魅了が、息を吐く間もなく連続で、あるいは同時に押し寄せてきた。

 

 

 一進一退の攻防。

 何度目かの交錯の後、ようやく見えてきた。

 九尾は確かに厄介だ。

 だが完全無欠ではない。

 魅了も呪術も神通力も、全部を同時に最大出力で振るっているわけじゃない。

 当たり前だ。

 そんなことができるなら、とっくに俺は死んでいる。

 つまり九尾にも選択がある。

 魅了を濃くする時。

 呪術を重ねる時。

 神通力で直接捻じ曲げる時。

 防御へ寄る時。

 その切り替えの間に、ほんの僅かな隙、溜めが入る。

 

 突くならそこだ。

 

 問題はその僅かな隙へ届くまでに鬼がいることだった。

 大嶽鬼は愚直なようでいて、九尾の守り方をちゃんと理解している。

 俺が九尾へ寄ろうとする軌道に必ず割り込んでくる。

 

 まずはそれを崩す。

 

「兵器召喚、超小型」

 

【近接自律兵器:15000P】

【囮ユニット:5000P】

【索敵補助端末:10000P】

 

 青い光が広間の上空と床際へ走り、小型の自律兵器がいくつも展開される。

 刃を持つ近接兵。

 小さな浮遊端末。

 敵味方識別だけに特化した薄い観測板。

 目的は火力や決定打ではない。

 選択肢を増やし、思考のリソースを割かせること。

 九尾から見た脅威を一つから複数へ増やすこと。

 鬼が守るべき相手へ向かう攻撃軸を、複数に見せること。

 

「行け」

 

 自律兵器が散る。

 大嶽鬼が当然、それらもまとめて潰そうと腕を振るう。

 だが全部は捌けない。

 二機三機と九尾の近くへ滑り込む。

 九尾の尾が広がる。

 狐火が増える。

 防御と排除の意識が、自分以外にも分かれた。

 今だ。

 脚を踏み込む。

 ヘビースーツの脚部出力を一段上げる。

 真正面ではなく、鬼の足下へ。

 大嶽鬼の膝裏。

 そこへ換装した右腕の破城兵装を叩き込む。

 

「ッォォォ!!」

 

 鬼が吠えた。

 この戦闘が始まって初の明確な苦鳴。

 質量で立つ奴は、質量ゆえに関節が弱点になる。

 もちろんそんな質量を支える場所は、そう簡単には折れない。

 だがここまでの戦いで、何度も薄く傷は入れていた。

 

 そこへ、更に左腕にも破城兵装を展開し、追撃。

 

 割れたッ!!!

 

 膝関節の一部が砕け、大嶽鬼の体勢が初めて大きく沈む。

 明確な隙。

 

「今!」

 

 九尾へ飛ぶ。

 尾が迎えに来る。

 赤い残光を引く九本の尾が、鞭のようにしなる。

 一本、二本、三本。

 それぞれに呪力が乗っている。

 避ける。

 紙一重。

 だが一本が肩を掠める。

 装甲が裂けるだけでなく、胸の奥へ嫌な甘さが入り込んでくる。

 

「■■■?」

 

 囁き。

 魅了だ。

 危ない。

 足が止まりかける。

 だがバイザーが強制的に警告を重ねる。

 

【精神干渉:大】

【外情報強制遮断】

 

「だ、まれぇぇぇ!!」

 

 奮起を叫び、左腕の術式破断砲を九尾へ撃つ。

 当たらない。

 九尾はその細い体を信じられないほど滑らかに捻り、術を避けた。

 だが、避けたことで足が止まる。

 そこへ待機させていた攻撃支援機へ念じる。

 高空からの高熱穿孔弾。

 不意を突いたそれすらも九尾は防いだ。

 だがしかしその一瞬、意識が分散する。

 

 空、俺、もしかしたら他にも──

 

 背後で、大嶽鬼が体勢を立て直しかけているのが見えた。

 時間がない。

 ネメシス・ムーンへ叫ぶ。

 

「こいつを殺す近接特化を寄越せ!!」

 

【対象:傾城九尾の鮮血乙女】

【要請:近接殺傷特化】

 

 右腕の破城兵装が消える。

 代わりに現れたのは、細く、静かな、月光みたいな刃。

 陰陽の術式を乱すノイズが、刃の根元で脈打つ。

 九尾の防壁を切り裂くための兵装。

 

「■■──ッ!」

 

 踏み込み。

 九尾が目を見開く。

 初めて、はっきりと驚いた。

 尾で受けようとする。

 だが切れる。

 一本。

 二本。

 三本。

 赤い尾が、宙で裂ける。

 そのまま胴へ届く──寸前。

 大嶽鬼の拳が横から来た。

 傷は治っていない。不安定な体勢で、何とか腕だけ伸ばしたような一撃。

 

「チッ!」

 

 刃から衝撃分散外殻へ変更し受ける。

 力が乗り切らない一撃だが、やはり質量の差が違いすぎるせいで受け切れない。

 衝撃が全身を吹き飛ばす。

 広間の柱へ背中から叩きつけられ、床へ転がる。

 

【背部外装:重損傷】

【総耐久:危険域接近】

 

 口の中に血の味が広がる。

 しかし、それだけだ。

 

「……いける」

 

 低く笑う。

 ようやく、倒せるビジョンが見えてきた。

 

 

 そこからの戦いは消耗戦だった。

 大嶽鬼は膝を壊されてもなお暴れる。

 九尾は尾を削られても魅了と呪術を止めない。

 こちらもじわじわとダメージが蓄積していく。

 右腕は痺れ、背中は重く、脚も動かしづらい。

 それでも手は見えた。

 大嶽鬼は膝の損傷を庇う。

 それによって重心が偏り、次の一撃が読みやすくなる。

 九尾は尾を削られて以降、明らかに防御の比率が増えた。

 そこへ召喚した兵器群に突かせる。

 近接自律兵器を鬼の足下へ。

 攻撃支援機に偽装させた囮ユニットを九尾の左右へ。

 本命の攻撃支援機は高高度へ。

 防御支援機には自分の回避先を守らせる。

 戦場全体を細かく裂き、二体が互いを守り切れない形へ崩していく。

 そしてついに、その時が来た。

 九尾が、鬼を庇おうとした。

 大嶽鬼の膝裏へ多重砲撃が刺さり、巨体が傾ぐ。

 そこへ自分が真正面から踏み込むと見て、九尾が鬼の死角へ術式を重ねようと前へ出た。

 

 前へ、出た。

 

 それが最悪手であるとも知らずに。

 

「ネメシス・ムーン!」

 

【適装要請:対大型殺傷火力特化仕様】

 

 兵装が変わる。

 左腕の術式破断砲。

 右腕の破城斬刃。

 背部の出力を束ねる環状ユニット。

 全てが超火力を吐き出す装置へと変化し、収束する。

 

「まとめて落ちろ!」

 

 撃つ。

 左腕の術式破断砲が、まず九尾の術式構築そのものを崩した。

 赤い札も狐火も、構築途中の陰陽陣ごと捻じ切られる。

 その直後、背部環状ユニットが開き、右腕の破城斬刃へ過剰なまでの出力を流し込む。

 踏み込み。

 加速。

 狙うのは二体の中心線。

 九尾と大嶽鬼。

 庇うために重なった、たった一瞬の線。

 

「ッ!!」

 

 横薙ぎ。

 爆ぜた。

 音より先に、光が広間を裂く。

 破城斬刃はただ斬るのではなく、接触した対象の質量構造そのものを崩しながら走った。

 九尾の防壁。

 尾。

 和装。

 鬼の膝。

 胴。

 全部を、まとめて切り裂く。

 大嶽鬼の巨体が一拍遅れて崩れた。

 膝から。

 胴へ。

 そして上半身へ。

 九尾は、その裂断を避けきれないと悟った瞬間に最後の魅了と呪を重ねようとした。

 だが遅い。

 術式破断砲で乱された陰陽の流れは戻らず、残った尾ごと胴を断たれ、その可憐な上半身が宙でずれた。

 沈黙。

 ほんの一瞬だけ、広間が凍りついたように止まる。

 次の瞬間、二体同時に崩壊が始まった。

 大嶽鬼は山のような巨体を支えきれず、床板と柱を巻き込みながら砕けていく。

 九尾は赤い尾の残光を散らしながら、血ではなく紅い光の粒となってほどけていく。

 

『討伐ポイントを入手しました』

『討伐ポイントを入手しました』

 

 大広間に残ったのは、巻き起こった粉塵と静寂だけだった。

 

 

 すぐには動けなかった。

 兵装を維持したまま、数秒、あるいは十数秒、その場で立ち尽くす。

 呼吸が荒い。

 視界の端が脈打つ。

 背中が熱い。

 右腕の感覚が鈍い。

 膝も軋む。

 ようやく、ゆっくりと息を吐いた。

 

「……勝て、た…か…」

 

 言葉にして、やっと実感が追いつく。

 A-級二体。

 精神干渉と呪術と神通力の九尾。

 超質量暴力の大嶽鬼。

 最後の関門に相応しい、というにはやりすぎなくらいの敵だった。

 それを、どうにか越えた。

 だが、体の方はもう限界に近い。

 バイザーへ視線を向ける。

 

【総耐久:危険域】

【右腕機能:低下】

【背部外装:重損傷】

【生体疲労:極大】

【戦闘継続:非推奨】

 

 反応の声も出ない。

 

 当然だ。

 

 ここまでの戦い全部を考えれば、よく立っている方だろう。

 そして、ここでようやく理性が告げる。

 このまま挑んでも死にに行くだけだ。

 門は目の前だ。

 その先にダンジョンボスがいるのだろう。

 だがこの状態で踏み込めば、勝負にすらならないだろう。

 幸い、この広間は広い。

 そして今のところ、他のモンスターの気配も薄い。

 最後の関門を抜けた影響か、少なくともここ一帯は一時的に静まっている。

 

「……ここをキャンプ地とする」

 

 迷宮の最深部手前。

 安全なんて担保できる筈もない。

 しかしこの場所以上に休むに適す場所が見つかるとは思えない。

 だから今持てる全てで安全を作る。

 

「兵器召喚」

 

 値段を見ること無く、超小型から大型まで片っ端から購入していく。

 

 青い光が、広間の各所へ連続して灯る。

 偵察ドローン。

 近接自律兵器。

 囮ユニット。

 小型浮遊砲台。

 防護重盾機。

 戦術管制ユニット。

 走行砲台。

 汎用変形機兵。

 中型多脚砲戦車。

 中型高速飛行砲艇。

 そして大型カテゴリの移動砲台まで。

 昼に出していた量の、十倍以上。

 文字通り、片っ端から。

 広間の入り口。

 左右の回廊。

 天井梁。

 柱の陰。

 門前の空間。

 全てへ兵器を敷き詰めるように配置していく。

 偵察は外周。

 防護重盾機はシールドライン。

 浮遊砲台は交差火線。

 中型は各通路の蓋。

 大型移動砲台は門前中央と広間背後へ。

 戦術管制ユニットを複数起動し、相互にバックアップを取らせる。

 ネメシス・ムーンとも連携させ、万一の侵入時は即座に最適装備を選んで迎撃へ移るよう設定。

 その上で、有機性建材を大盤振る舞いする。

 広間の一角。

 柱と壁を背にできる場所へ、黒緑の建材を一気に展開。

 今度はやや低く、厚く、入口を絞った防壁型の簡易要塞。

 床も補強。

 外側には防護重盾機を二重配置。

 上空には飛行砲艇。

 内側には浄水生成機、食料生成機、簡易寝具。

 これが今の自分が作れる最大限の安息所だ。

 

 広間を見回す。

 兵器の青い灯。

 広がる火線。

 重盾機の壁。

 大型砲台の砲口。

 有機性建材の厚い殻。

 ここまでやれば、そう簡単には抜かれない。

 抜くにしても、それなりの大物が必要になる。

 そしてその時は、その時だ。

 今は休む。

 回復する。

 そして万全で、門の先へ進む。

 それが最善だった。 

 

 

 安息所の内側へ入る。

 外装を最低限の維持状態へ落とし、有機循環強化と生体回復機能を最大寄りで回す。

 ネメシス・ムーンは待機。

 兵器群には警戒を命令し、警報設定も、前より一段強くしておく。

 食料を生成し、少しだけ腹へ入れる。

 水を飲む。

 息を吐く。

 そこでようやく、自分がどれだけ擦り減っていたかを思い知った。

 全身が重い。

 だが同時に、ここで休めば戻る感覚もある。

 一晩しっかり休む事ができれば、かなり違うはずだ。

 

 門の先にボスがいる事は疑いようもない。

 

 ここまでの流れを考えれば、最後の最後に生半可なものが出てくるはずがない。

 

 だからこそ、今は万全を期せるようにしっかりと休息を取ることが重要だろう。

 

 安息所の壁越しに、外の兵器群の駆動音が聞こえる。

 低く、規則的で、頼もしい音。

 それを聞きながら、俺は簡易寝具へ体を沈めた。

 次に目を覚ました時は、門の向こうにいる存在を殺し、更なる力を得る為に。

 




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