BrokenWorld~黒鉄の装着者~   作:半笑いの妖精

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第六話:収納機能

 

 それから数日。

 俺はひたすら、町外れの中型ビルとその周辺を往復し続けた。

 朝、起きる。

 三階の仮眠室で水と保存食を腹に入れ、スーツの状態を確認し、短剣を生成して外へ出る。

 周辺のモンスターを狩る。使えそうな物資を漁る。拠点へ戻る。休む。

 それを、飽きるほど繰り返した。

 単調といえば単調だ。

 だが、この世界じゃその単調さそのものが生存に直結する。

 油断しない。

 調子に乗らない。

 遠出はしすぎない。

 見たことのないモンスターや、明らかに危険な気配には近寄らない。

 クラウド・エンペラーを見て以来、その意識はより強くなった。

 今の俺は、確かに強い。少なくとも、最初の頃の俺とは比べものにならない。

 だが、それでもまだこの辺りでそこそこやれる程度だ。

 空を支配するSランクの化け物を思い出せば、そんな現実は嫌でも胸に刻まれる。

 だからこそ、足元を固める。

 仮拠点は、少しずつ形になっていった。

 三階の仮眠室には、回収してきた毛布やシーツを重ね、簡易ベッドも一つマシなものへ交換した。

 棚には缶詰、レトルト、袋麺、菓子類、飲料水が並び、床に直置きしなくて済むようになった。

 別室から持ってきたロッカーには、工具や軍手、ガムテープ、ロープ、ライター、予備の衣類を詰め込んである。

 窓には板材を打ち付ける代わりに、今ある机や棚を利用して内側から死角を作った。

 扉前のバリケードも、最初の雑な置き方よりずっとマシになり、何かが来ればすぐ分かる程度には強化できた。

 さらには二階の一室を物資保管室代わりに使い始め、一階のエントランス周辺からは危険物や目立つ障害物もある程度片付けた。

 まだまだまともな拠点とは言えない。だが、少なくともただの廃ビルではなくなっていた。

 拠点へ帰ってきた時、そこに積み上がった物資を見るだけで少し安心する。

 それが、思っていたより大きかった。

 

 ……しかし。

 

 問題がひとつだけ、ずっと付きまとっていた。

 

「運ぶのめんどくせぇ……!」

 

 仮拠点の三階へ、水入り段ボールを抱えて運び込みながら思わず悪態が漏れる。

 そう。

 結局これだ。

 何をするにも物資の運搬がネックになる。

 飲料水も食料も、工具も衣類も、全部一度に持てる量には限界がある。

 少し遠くまで足を伸ばして良い物資を見つけても、持ち帰れるのは一部だけ。残りは泣く泣く諦めるか、何度も往復するしかない。

 しかもビル整備が本格化すれば、問題はもっと大きくなる。

 板材、金属棚、土嚢代わりの資材、道具箱、建材――そうした“かさばる物”をどう運ぶかが避けて通れない。

 そのたびに眺める同じ文字列。

 

【収納機能:2500P】

 

 これだけを目標にポイントと物資を集め続けた。

 

 もう何度目か分からない機能増設画面を開く。

 そして、表示された数字を見て小さく息を吐く。 

 

「……ようやくだ」

 

 ポイント残高:2507

 

 ギリギリだ。

 だが、届いた。

 毎日のようにニードルマンやゴブリン、スライム、時々ヒルクライムやエッジ・ラットを狩り続け、無茶はせずに積み重ねた結果、ようやく目標の数字へ辿り着いたのだ。

 高揚が胸の奥でじわじわと膨らんでいく。

 オーガ戦みたいな、一発逆転の高揚じゃない。

 もっと地味で、もっと重い、積み重ねた末に手が届く喜び。

 これでようやく、次の段階に進める。

 躊躇う理由はない。

 

「取得」

 

 そう念じた瞬間、バイザー上の文字列が明滅し、無機質な電子音声が流れた。

 

『機能【収納機能】がアンロックされました。スーツに内部収納領域が追加されます。現在の最大収納容量は1000kgです』

 

 次の瞬間、全身を走る青いラインが明滅した。

 だが、これまでのように外見が大きく変化するわけではない。重量が急激に増す感覚もない。

 代わりに、妙な感覚があった。

 自分の体のすぐそばに、見えない“空間”がひとつ増えたような感覚。

 腕の延長でも、背中の荷物でもない。もっと曖昧で、それでいて確かに存在する空白が、自分と一体化したような感触だった。

 

「やっとだ…!」

 

 思わず呟く。

 バイザーには新たな項目が追加されている。

 

【収納機能】

・現在収納重量:0/1000kg

 

 試しに、足元に置いてあった水のペットボトルへ手を伸ばす。

 収納、と念じる。

 すると、ペットボトルが一瞬だけ青白い光に包まれ、ふっと消えた。

 

「おお…!」

 

 思わず声が漏れる。

 消えた。

 いや、消えたんじゃない。収納されたのだ。

 取り出そうと念じる。

 次の瞬間、目の前の空間に光が集まり、さっきのペットボトルが何事もなかったように現れた。

 

「ヤベェな……」

 

 半ば放心しながら、もう一度しまう。

 取り出す。

 しまう。

 取り出す。

 そのたびに、ちゃんと同じ物が出てくる。

 しかも感覚的に分かる。

 今、収納の中に何が入っているか。どれがどこにあるか。

 意識を向ければ一覧のように理解、把握できる。

 

「便利すぎるだろ……!」

 

 思わず笑いが漏れた。

 これだ。

 これが欲しかった。

 いや、想像以上だ。

 バッグやリュックとは比較にもならない。

 両手が空く。重さも感じない。しかも最大1トン。どう考えても世界が変わる。

 興奮のまま、仮眠室の中にある物で試していく。

 飲料水の箱。

 缶詰の入った段ボール。

 毛布。工具箱。予備の短い鉄パイプ。

 バイザーの表示が増えていく。

 

【収納重量:42kg/1000kg】

 

【収納重量:71kg/1000kg】

 

【収納重量:103kg/1000kg】

 

 まだまだ余裕だ。

 

「これなら……!」

 

 じっとしていられなくなり、すぐさま整備へ取り掛かった。

 まずは一階。

 散乱していた机や椅子、割れた棚、邪魔なパーテーションの残骸を、片っ端から収納していく。

 ガラス片そのものまでは面倒だが、大物が消えるだけで通路の見通しが一気に良くなる。

 今まではどかす場所が必要だった。

 だが今は違う。邪魔なら収納。必要になったら後で取り出す。それで済む。

 倒れたロッカーを収納。

 ひしゃげた金属棚を収納。

 使えそうな作業台はそのまま残し、不要な端材はまとめて収納。

 二階も同じだ。

 邪魔な障害物を減らし、使えそうなロッカーや棚は保管。

 部屋ごとに物資置き場、工具置き場、予備資材置き場と役割を決めていく。

 三階では仮眠室周辺を優先的に整える。

 廊下の不要物を減らし、逃走経路を確保。

 空き部屋をひとつ空けて“収納から取り出す一時置き場”代わりにする。

 別の部屋には寝具や布類をまとめる。

 作業を進めるごとに、このビルがただの廃墟から少しずつ拠点へと変わっていく。

 それが、妙に楽しかった。

 モンスターを倒してポイントを稼ぐ時とは違う満足感。

 壊れた世界の中で、自分の手で安心して住める場所を作っている実感。

 

「……悪くないな」

 

 夕方、一階から三階までを軽く見回してそう漏らす。

 もちろん、まだ全然足りない。

 窓の補強も必要だし、出入口の防備も足りない。簡易トイレ代わりの物や、調理周りを安定させる設備も要る。照明の代わりになる物も欲しい。

 そして何より、ちゃんとした整備には工具と建材が必要だ。

 釘。

 ハンマー。

 バール。

 ノコギリ。

 ドライバー。

 脚立。

 板材。

 金網。

 結束バンド。

 ブルーシート。

 セメントや土嚢代わりになる物もあれば助かる。

 そう考えた時、頭に浮かぶ場所はひとつしかなかった。

 

「ホームセンター、行くしかないか」

 

 町の中心寄りにある大型ホームセンター。

 今まで食料や生活用品を優先していたせいで後回しにしていたが、拠点整備を本格化するなら避けて通れない。

 収納機能も手に入った今なら、以前とは比べものにならない量を持ち帰れる。

 翌朝、俺は必要最低限の食料と水を仮眠室へ残し、身軽な状態でホームセンターへ向かった。

 道中の敵は、もはや足止めにもならなかった。

 曲がり角で出くわしたニードルマン。

 細い腕を槍のように突き出してきたそれを横へいなし、頭部を短剣で割る。

 駐車場跡に群れていたゴブリン。

 棍棒や石を手に喚きながら突っ込んできたが、遠距離からエネルギー弾で数を減らし、残りを接近戦で沈める。

 排水溝の陰に溜まっていたスライム。

 粘つく体を這わせて包み込もうとするが、距離を取って撃ち抜けば終わりだ。

 ニードルマン。

 ゴブリン。

 スライム。

 遭遇するたび、片っ端から処理する。

 最初の頃は恐怖の対象だったモンスターも、今や稼ぎと足止めの域に入っていた。

 もちろん油断はしない。だが、確かな成長を実感する。

 そうして辿り着いたホームセンターは、建物自体はほぼ無傷だった。

 外壁も、看板も、駐車場も、大きな崩落はない。

 ガラスが割れている箇所はあるが、デパートほど凄惨な様子ではなかった。

 

「……意外と──

 

 ──無事か?

 

 そう呟きかけ、止める。

 

 足が止まる。

 違和感。

 いや、違和感なんて生ぬるい。

 目の前にあるホームセンターは、確かに建物としてはそのままなのに、内部の様子が明らかにおかしい。

 入口の向こう。

 割れたガラス越しに見えるはずの、商品棚や案内板や売り場の明るい見通しが──ない。

 代わりに広がっていたのは、暗い、深い、異様な空間だった。

 

「……なんだ、これ」

 

 喉の奥から声が漏れる。

 建物の外観はホームセンターのまま。

 だが、内部だけが別物になっている。

 本来なら見えるはずの入口付近の売り場はなく、そこには黒ずんだ岩肌のような壁が続いていた。

 天井も妙に高い。いや、高いどころじゃない。外から見た建物の高さと、内部の空間規模が噛み合っていない。

 床も、コンクリートやタイルではなく、湿った土と石が混ざったような質感に変わっている。

 さらに奥には、青白い光を放つ結晶のようなものまで見えた。

 冷たい空気が、入口の外まで流れ出してくる。

 土臭さと、濡れた石の匂い。

 それはもう、店の中の空気じゃない。

 

「……嘘だろ」

 

 思わず一歩、後ずさる。

 理解はできない。

 だが、直感は告げていた。

 ここはもう、ホームセンターじゃない。

 ホームセンターの姿をした何か。

 中身だけが、まるごと異質な空間へ塗り替えられている。

 デパートやビルみたいに、モンスターに荒らされたとか、壊されたとか、そういう話じゃない。

 空間そのものが変質しているようだ。まるで──

 

「──ダンジョン」

 

 そう呟いた瞬間、背筋を冷たいものが這い上がった。

 

 漫画やゲームで良くある設定。モンスターの生産場だったり魔王の居城だったりするそれ。

 

 まだ、それだと確定した訳じゃない。しかし直感がそうであると確信させる。

 

 ホームセンターだった建物の中身を喰い潰し、別の理で満たしたナニカ。

 

 風が止む。

 暗い入口の向こうから、湿った空気がこちらへ流れてくる。

 その奥は暗視があるはずなのに妙に暗く、見通せない。

 

 今ならまだ引き返せる。こんな不気味な、内部が不明瞭な場所に行くなんて馬鹿のする事だと。理性はそう言っているが…本能、そしてオタク的な知識が叫ぶ。

 

 中に入れ、宝があるぞ、と。

 

  ホームセンターの入口を前に、しばらくその場へ立ち尽くしていた──はずだった。

 だが、気づけば一歩、また一歩と足が前へ出ている。

 割れた自動ドアの残骸を踏み越え、冷気の流れ込む暗い内部へと足を踏み入れる。

 その瞬間、背後の外気が遠ざかった気がした。

 

「……いや、待て待て待て」

 

 自分で自分にツッコミを入れながら、ようやく足を止める。

 何をやってるんだ俺は。

 危険だと分かっていた。雑魚しかいない表の世界とは明らかに違う。内部がまるごと異界へ変わった、得体の知れない場所。普通なら慎重になる。もっと警戒する。もっと様子を見る。

 なのに、気づいたら入っていた。

 理由は分かっている。

 

「……あるだろ、これ」

 

 小さく呟く。

 オタク的な直感。

 理屈じゃない。しかし、もう確信していた。

 レア素材。

 特殊装備。

 魔道具。

 あるいはダンジョンならではの重要アイテム。

 いかにも危険そうで、いかにも異質で、いかにも特別な空間。

 そんなものが現れておいて、何の旨味もないなんて、逆にあり得ない。

 もちろん危険だ。

 それは分かっている。分かっているが、それでも胸の奥を掻き立てるものがあった。

 ここには、何かある。

 その確信じみた期待に背中を押されて、俺はすでにダンジョンの領域へ踏み込んでいた。

 中は外から見た以上に異様だった。

 ホームセンターの内装は所々に残っている。

 割れた案内板。商品の名前が書かれていたはずの吊り看板の破片。陳列棚だったものの残骸。

 だが、それらは今や岩壁や鍾乳石じみた突起に呑み込まれ、半ば化石のように埋まっている。

 通路だった場所は歪み、枝分かれし、傾き、まるで最初から天然洞窟だったかのように変質していた。

 床は湿った石と土が混じり、場所によってはぬるりとした苔のようなものが張り付いている。

 天井は高い。

 高すぎる。

 外から見た建物のサイズでは絶対に説明がつかない高さまで、暗い空間が続いている。

 壁や天井のあちこちには、青白い結晶が突き出していた。

 それがぼんやりと光を放ち、完全な暗闇ではない。だが明るいわけでもない。物の輪郭だけを不気味に浮かび上がらせる、半端な光だった。

 

「……マジでダンジョンじゃねぇか」

 

 短剣を生成し、左手にはいつでもエネルギー弾を撃てるよう意識を向けたまま、慎重に進む。

 最初のうちは一本道だった。

 だが、少し進んだところでそれは崩れた。

 右へ折れる細道。

 下へ傾斜する広い通路。

 商品棚の残骸を飲み込むようにして伸びる岩の裂け目。

 さらには、一度進んだ先が半ば円を描くように元の方向へ戻っている場所まである。

 

「……ややこしいな」

 

 舌打ち混じりに呟く。

 少し探索しただけで分かった。

 中はかなり入り組んでいる。

 ただ通路が分岐しているだけじゃない。

 高低差もある。視界の悪い曲がり角も多い。岩壁と残骸が混ざっているせいで、どこが元の売り場でどこからが新しい通路なのかも直感的に分かりづらい。

 十数分歩いただけなのに、すでに入口の方向感覚が怪しくなり始めていた。

 

「…このままだとヤバいか?」

 

 確信を込めて言う。

 いや、迷う。絶対に迷う。

 今はまだ浅い場所だからいい。

 だが、少しでも夢中になって探索したら終わりだ。帰り道が分からなくなって、そのままダンジョンの奥で野垂れ死に。笑えないにも程がある。

 壁に傷を付けながら進む?

 原始的だが手段としてはありだ。だが、この規模の空間でそれをやるのは効率が悪すぎる。分岐のたびに印を付けたところで、入り組み方が複雑すぎるのだ。

 なら、やることはひとつ。

 

「……こういう時こそ、機能増設だろ」

 

 足を止め、バイザー上に機能一覧を呼び出す。

 青白いウィンドウが視界に浮かび、未取得機能のリストが流れていく。

 戦闘系、防御系、視界補助、環境適応、解析補助。相変わらず項目数は膨大だ。

 スクロールしながら、それっぽい機能を探す。

 索敵補助。

 危険察知。

 痕跡解析。

 どれも悪くない。だが、今欲しいのはもっと直接的なやつだ。

 地形把握。

 ルート記録。

 迷宮探索。

 そういう単語を探すように項目を流していくと、ほどなくして目的の文字列が目に入った。

 

【地図作成機能:10P】

・周囲の情報を収集し、地図を作成する。

 

 思わず視線が止まる。

 

「……あった」

 

 言葉と同時に、胸の内で小さくガッツポーズを決める。

 細かい理屈は書いていない。

 だが、機能名と説明だけで十分だ。

 周囲の情報を収集し、地図を作成する。

 まさに今欲しい機能そのものだった。

 迷う理由はない。

 

「取得」

 

 念じた瞬間、電子音声が流れる。

 

『機能【地図作成機能】がアンロックされました。周辺地形情報の収集を開始します』

 

 次の瞬間、バイザーの視界右上に新しいウィンドウが開いた。

 最初は黒い空白。

 だが、自分の立っている位置を中心に、じわじわと線が引かれていく。通路の輪郭。壁の位置。歩いてきた経路。分岐。

 まるでゲームのオートマッピングみたいに、現在地とその周辺だけが少しずつ埋まっていった。

 

「おお……!」

 

 思わず感嘆が漏れる。

 現在地は青い点で表示されている。

 歩けばその軌跡が伸び、通った道が記録される。視界に入った範囲だけではなく、壁や空間の輪郭まである程度補足しているらしい。

 試しにその場で一周してみる。

 するとマップ上の青点もくるりと回り、周囲の地形表示が微妙に更新された。

 便利すぎる。

 

「いや、このスーツマジで便利過ぎだろ…」

 

 もはや何度目かも分からないスーツへの感嘆を小声で呟きながら、改めてダンジョンの奥を見る。

 さっきまで感じていた迷うかもしれないという種類の不安が、一気に薄れた。

 もちろん、危険が消えたわけじゃない。モンスターがいるだろうし、罠みたいなものがある可能性もある。

 だが少なくとも、帰り道を見失って詰む確率は激減した。

 それだけで、探索の自由度がまるで違う。

 

「よし……」

 

 短剣を握り直し、地図ウィンドウへ視線を走らせる。

 入口はまだ近い。

 分岐は三つ。

 奥へ伸びる主通路らしきルートが一本と、左右に逸れる細道が二本。

 まずは浅い所から情報を集めるべきだろう。

 欲張るな。

 調子に乗るな。

 まずは安全確認とマッピングを優先。

 頭の中でそう整理しつつ、俺は青白く光る結晶に照らされた異形の通路へ、一歩ずつ足を進めていった。

 外見はホームセンター。

 中身は完全にダンジョン。

 その不気味さは変わらない。

 だが今、俺の視界にはひとつの武器がある。

 歩いた道を刻み、未知を既知へ変えていく地図。

 それがあるだけで、この得体の知れない異界は攻略可能な場所へ少しだけ近づいた。

 そして、そう思ってしまった時点で、もう駄目だった。

 怖さよりも先に、攻略欲が勝ってしまっている。

 

 その事実を自嘲気味に笑いながら、俺はダンジョンの奥へと進んでいく。

 青い現在地表示が、ゆっくりと未知の黒い領域へ食い込んでいった。

 

 




今話獲得機能:2

機能名:収納機能
消費ポイント:2500P
機能等級:1
機能詳細:スーツに収納機能が追加される。最大収納容量は1t。ポイントを消費することで収納容量を拡張する事が可能。

機能名:地図作成機能
消費ポイント:10P
機能等級:1
機能詳細:周囲の情報を収集し、地図を作成する。
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