BrokenWorld~黒鉄の装着者~ 作:半笑いの妖精
爆煙の向こうで、赤い光が揺れている。
消えていない。
まだ、終わっていない。
「……は、ッ……は……」
荒い呼吸を無理矢理整えながら、壁際の床へ手をつく。
腕に力を込めた瞬間、全身へ激痛が走った。思わず膝が折れかける。
重い。
体が、鉛みたいに重い。
スーツの補助がまだ生きているから動けているだけだ。
中身の俺は、もうとっくに限界を超えている。
だが、それは向こうも同じらしい。
爆煙がゆっくりと薄れていく。
その奥に立っていたオーガ・メイジは、もはや立っているというより“倒れ損ねている”だけの姿だった。
片腕は肩から消失。
胸から脇腹にかけては大きく抉れ、赤銅色の肉体はところどころ黒く焼け焦げている。
杖は失い、石板も半ば砕け、残った片手で辛うじて何かを支えるように前へ突き出していた。
それでも、赤い双眸だけは消えていない。
執念。
憎悪。
あるいは、最後の最後まで狩る側であろうとする獣の意地。
オーガ・メイジが、残った腕を持ち上げる。
「……ッ!」
来る。
そう思った瞬間、体が先に動いた。
いや、動いたというより、倒れ込むように前へ出た。
綺麗な踏み込みじゃない。構えもへったくれもない。ただ、ここで一歩遅れたら終わるという本能だけが、ボロボロの体を無理矢理引っ張った。
オーガ・メイジの指先に、赤黒い火花が散る。
石板は砕け、杖もない。だが、まだ魔術を捻り出すつもりらしい。
その前に──終わらせる。
右手に、短剣。
握った感触は、今までで一番心許なかった。
エネルギーも少ない。出力も落ちている。刃の輪郭すら僅かに不安定だ。
それでも十分だ。
届けばいい。
刺さればいい。
「……っ、ぉらぁぁぁぁッ!!」
叫びながら、最後の数歩を詰める。
オーガ・メイジが何かを放った。
火花か、光弾か、あるいは不完全な魔術の残滓か。赤黒い閃きが頬を掠め、肩口の装甲を焦がした。
だが、止まらない。
目の前。
オーガ・メイジの喉元が見える。
裂けた牙の間から漏れる血の臭いが、熱気の向こうに届く。
そのまま全体重を乗せて、短剣を突き込んだ。
ぐしゃり、と嫌な手応え。
喉を貫き、そのまま首の奥まで深く沈む。
オーガ・メイジの目が見開かれた。
「……が、ァ……」
くぐもった声。
残った腕が俺を掴もうと伸びる。だが遅い。
短剣を捻る。
さらに踏み込み、もう片方の手で奴の顔面を押し、力任せに斜めへ引き裂いた。
肉が裂け、骨が軋み、赤黒い血が飛び散る。
オーガ・メイジの巨体が大きく揺れた。
それでも、まだ倒れない。
しぶとい。
どこまでいっても、化け物だ。
「……まだかよ……!」
息も絶え絶えに吐き捨てながら、短剣を手放す。
もう一度生成する余裕はない。だから代わりに、拳を握った。
スーツの補助も、もはや瀕死。
それでも残った力を全部絞り出して、至近距離から奴の顔面へ叩き込む。
一発。
ぐらつく。
二発。
角の根元が軋む。
三発。
頭部が後ろへ仰け反る。
四発目。
砕けた。
何が、とはっきり分かる感触があった。
骨か、頭蓋か、あるいはその両方か。
オーガ・メイジの体から、ふっと力が抜ける。
赤い双眸から光が失われ、巨体が前のめりに崩れ落ちた。
直後、その体が下から順に光の粒子へと変わり始める。
「……は……はは……」
勝った。
その事実を理解した瞬間、膝から力が抜けた。
オーガ・メイジの体は、崩れた砂像みたいに粒子となって散っていく。
肩。
胴。
角。
砕けた石板。
全部が光へ変わり、宙へ舞い、そしてその一部が俺の体へ吸い込まれてくる。
『討伐ポイントを入手しました』
聞き慣れた無機質な声。
だが今は、それすら遠かった。
勝利の実感より先に襲ってきたのは、限界だった。
バイザーの警告表示が一斉に赤く染まる。
耐久値が、ついに底を突いたのだと理解するより早く、スーツ全体が不穏な音を立て始める。
『耐久値が限界に達しました。強制解除を実行します』
「……ッ、待て……!」
抗議の声を上げても意味はない。
青いラインが次々と消えていく。
胸部。肩。腕。脚。
全身を覆っていた黒い機械装甲が、光の粒子となって剥がれ落ちるように消えていった。
支えが、なくなる。
「……ぅぁ」
自分でも情けない声が漏れた。
ついさっきまで耐えていた痛みが、一気に現実味を持って押し寄せてくる。
スーツ越しだから誤魔化せていたダメージが、生身の体へまとめて突き刺さる。
焼けるような痛み。
殴られたような鈍痛。
裂けるような痛み。
息をするだけで胸が軋み、立っていることすらできない。
膝をつく。
続いて手も床へ落ちる。
そこにいたのは、もう化け物じみたスーツの装着者じゃない。
血と煤と汗にまみれた、ボロボロの男だけだった。
服はところどころ焦げ、破れ、肌には火傷と打撲と裂傷が混ざっている。
腕は震え、指先には力が入らない。呼吸は浅く、視界の端が暗く滲む。
「……勝っ、た……んだよな……」
掠れた声で呟く。
返事をするものはいない。
ただ、広間の中央にはもうオーガ・メイジの姿はなく、薄く光る粒子だけが漂っていた。
巨大な両開きの扉。
明るいのに光源のない広間。
散乱した戦闘の痕跡。
その真ん中で、満身創痍の俺だけが這いつくばっている。
どうにか勝った。
本当に、ギリギリで。
少しでも何かが噛み合っていなければ、今ここで粒子になっていたのは俺の方だっただろう。
笑いたいのか、泣きたいのか、自分でも分からない。
ただ、全身の力が抜けていく。
限界だ。
その事実をようやく受け入れながら、俺は冷たい床へ額がつく寸前で、必死に意識だけは手放すまいと歯を食いしばった。
どれくらいそうしていたのか、自分でも分からない。
荒れた呼吸のまま床へ突っ伏し、焼けるような痛みと全身の倦怠感に耐えながら、ただひたすら息が落ち着くのを待つ。
広間の中は妙に静かだった。
さっきまで命のやり取りをしていた場所とは思えないほどの静寂。
薄く発光する空間の中に、自分の荒い呼吸音だけがやけに大きく響いていた。
「……っ、は……ふぅ……」
肺が軋む。
胸が痛む。
腕も脚も、ちょっと動かすだけで悲鳴を上げる。
けれど、少しずつだ。少しずつだが、息は整ってきていた。
スーツが解除された今の俺は、最悪の状態と言っていい。
ここで新手でも来たら普通に死ぬ。
だからこそ、最低限動けるところまでは回復しなければならなかった。
何度か深呼吸を繰り返し、どうにか上体を起こす。
汗と血と煤でぐしゃぐしゃになった服が肌に張り付き、不快感がひどい。だが文句を言う元気もない。
「……よし」
小さく呟く。
まだまともに戦える状態じゃない。
それでも、歩くくらいなら何とかなる。
そして、ここまで来た以上は確認しなければならないことがあった。
報酬だ。
これだけのボス部屋。これだけの死闘。
オタク的な感覚で言えば、何も無しで終わるはずがない。むしろここからが本番まである。
壁に手をつきながら立ち上がり、広間の奥へ視線を向ける。
「……ん?」
そこで、違和感に気づいた。
さっきまで何もなかったはずの奥の壁際。
そこに、ひとつ扉がある。
見覚えがない。
戦闘前、この部屋へ入った時には絶対になかったはずだ。少なくとも、俺の意識には引っ掛からなかった。
それが今は、最初からそこにありましたみたいな顔で静かに佇んでいる。
「……いかにも、だな」
思わず苦笑が漏れる。
ボスを倒したら奥に報酬部屋。
分かりやすすぎる。だが、だからこそ疑う余地もない。
重い足を引きずるようにして、その扉へ向かう。
近づくにつれ、それは両開きの大扉ほど大仰なものではなく、人ひとりが通れる程度の小ぶりな扉だと分かった。
材質は分からない。
木でも金属でも石でもないような、光沢を持った滑らかな白灰色。
取っ手らしきものはない。
試しに手を伸ばすと、触れる前に音もなく横へ滑るように開いた。
「便利かよ……」
ぼそりと漏らし、中へ入る。
部屋は小さかった。
広間が闘技場なら、こちらは祭壇の間に近い。
四角い空間の中央。
何もないはずのそこに、拳ほどの大きさの宝石球が宙に浮かんでいた。
息を呑む。
それは、ただ綺麗という言葉では足りない代物だった。
透明感のある結晶球。
だが単なる水晶ではない。内部には青、緑、赤、紫――様々な色の光がゆっくり渦巻き、まるで小さな銀河か、凝縮された星空みたいに煌めいている。
表面には傷一つなく、宙に静かに浮かぶその姿には、妙な神聖さすらあった。
見た瞬間に分かった。
「……これが、ダンジョンコアか」
状況的に、それ以外あり得ない。
ボス部屋のさらに奥。
戦闘後に現れた小部屋。
そして中央に浮かぶ明らかな特別枠の宝石球。
誰がどう見ても、これが
少しだけ躊躇う。
触れて大丈夫か。
罠じゃないか。
あるいは吸収方法が別にあるのか。
そうした考えが一瞬頭をよぎったが、結局は首を振る。
ここまで来て、目の前にある報酬を前に立ち尽くしても仕方がない。
何より、こういうのは大体触れたらイベント開始と相場が決まっている。
「……よし」
小さく息を吐き、ゆっくりと手を伸ばす。
指先が宝石球へ触れた、その瞬間。
ひやりとした感触があった。
だが、それは一瞬だけだ。
次の瞬間、ダンジョンコアは触れた場所から光の粒子へと変わり始めた。
「……っ!?」
反射的に手を引こうとする。
だが、もう遅い。
宝石球は崩れるのではなく、溶けるように粒子へ変わっていく。
青白い光の粒が、指先から手の甲、腕へと流れ込み、そのまま自分の体へ吸い込まれるように消えていく。
熱くはない。
痛くもない。
けれど、尋常じゃない量の何かが体の中へ入ってくるのが分かった。
骨の奥。
血の流れ。
神経。
脳髄。
全身の深部へ、光そのものを流し込まれているような感覚。
「ぅ、ぐ……!」
思わず膝をつく。
拒絶反応ではない。
むしろ逆だ。体の側が、それを受け入れていく。
ダンジョンコアはみるみるうちに粒子へ変わり、俺の中へ吸い込まれていった。
宙に浮かんでいた拳大の宝石球は、最後には小さな光の欠片ひとつを残すことなく消え失せる。
そして、全てが吸収された瞬間。
脳裏に、あの無機質な声が響いた。
『迷宮核の吸収を確認しました。能力が強化されます。新カテゴリ【追加兵装】が追加されました。50000Pが残高に追加されました』
「…………は?」
間抜けな声が漏れる。
一瞬、内容が理解できなかった。
迷宮核の吸収。
能力強化。
新カテゴリ【追加兵装】そして──
「ご、五万……?」
思わず呟く。
50000P。
桁がおかしい。
いや、オーガ・メイジの3500Pですら最高記録だったのに、そのさらに十倍以上が一気に増えたことになる。
頭がおかしくなりそうだった。
だが、驚愕している暇もないらしい。
脳裏に次々と新しい情報が流れ込んでくる。
強化外装の根幹が、迷宮核の吸収によってひとつ上の段階へ進もうとしているのが分かった。
今までの装甲、武器生成、エネルギー弾、収納機能、地図作成──それらに加えて、新たなカテゴリ【追加兵装】がツリーのように展開されていく。
攻撃兵装。
防御兵装。
補助兵装。
近接兵装。
見たこともない文字列が次々と並び、意識だけで把握できる範囲を超えそうになる。
「……っ、ちょ、待て待て待て……」
額を押さえ、荒い呼吸のまま必死に情報を整理する。
強すぎる。
いや、まだ何がどこまでできるかは分からない。だが少なくとも、この迷宮核の吸収で得たものが、今までの強化の比ではないことだけは確実だった。
50000P。
新カテゴリ【追加兵装】。
能力の強化。
これ全部、たった一つのダンジョンコアの報酬だというのか。
数秒、いや数十秒かもしれない。
その場で呆然としながら情報の洪水に耐え、ようやく少しだけ落ち着きを取り戻す。
そして、震える指先でバイザーの代わりに脳内表示を呼び出す。
スーツは今、強制解除中で使えない。
それでも、能力そのものへのアクセスは失われていなかった。
表示された残高を見て、乾いた笑いが漏れる。
「……マジで、世界変わるぞこれ」
50000P。
その数字は、今まで必死に積み上げてきた単位をあまりにも軽々と踏み越えていた。
痛みも疲労も消えてはいない。
むしろ、生身の体は今にも倒れそうなほどボロボロだ。
それでも。
胸の奥では、どうしようもなく高揚している自分がいた。
死ぬほど痛い思いをして。
本当に紙一重で生き残って。
その果てに手に入れたのがこれだ。
なら、安い……とは流石に言えない。
だが、払った代償に見合うだけの見返りがあることだけは間違いなかった。
小部屋の中央で、ゆっくりと息を吐く。
ダンジョンコアはもうない。
その力は、今、確かに俺の中へある。
そして、新しく増えたカテゴリ名が脳裏で静かに明滅していた。
【追加兵装】
その文字列は、まるで次の進化を誘うように、不気味なほど魅力的に輝いていた。
新たに手に入れた力について考えていると足元へふいに幾何学的な光が走った。
「……っ?」
反射的に身構える。
だが、次の瞬間にはすでに遅かった。
床へ描かれた魔方陣が一気に輝きを増し、視界を真っ白な閃光が塗り潰す。
浮遊感とも落下感ともつかない感覚が一瞬だけ全身を包み込み──気が付いた時には、俺は別の場所に立っていた。
「……は?」
呆けた声が漏れる。
周囲を見回す。
割れたガラス。
変質したホームセンターの入口。
外から流れ込む夜気。
見覚えのある景色。
そこは、迷宮へ足を踏み入れた時とほとんど同じ場所だった。
「……転送、かよ」
どうやらボス撃破後の帰還機能か何かだったらしい。
思わず、長い息が漏れる。
このボロボロの状態で、あの入り組んだ迷宮の道を地図頼りにまた引き返す羽目にならなくて、本当に良かった。
もしそうなっていたら、帰る前に途中で力尽きていてもおかしくない。
地図作成機能があっても、生身で今の状態じゃ話にならない。
「……助かった……」
掠れた声でそう呟き、壁へ手をつく。
だが、安心しきるのはまだ早い。
ここはまだ、拠点じゃない。
しかも今の俺は、スーツも使えず、体も限界寸前。そこらのゴブリンやニードルマンに遭遇しただけでも、最悪死ぬ可能性がある。
気を抜いた瞬間、本当に終わる。
「帰るまでが……ってやつだな……」
誰に聞かせるでもなく呟き、痛む体に鞭を打って歩き出す。
慎重に。
とにかく慎重に。
音を立てない。
明るい場所へ不用意に出ない。
開けた通りは避け、建物の影と影を繋ぐように移動する。
スーツがあれば正面突破できた雑魚ですら、今の俺にとっては致命傷になり得る。
だから戦わない。見つからない。やり過ごす。
道中、何度も物音に足を止めた。
遠くから聞こえる甲高い鳴き声。
コンクリートを引っ掻くような不快な音。
街灯の残骸の陰を、ぬるりと横切っていく影。
そのたびに息を殺し、身を潜める。
崩れた塀の陰。
放置された軽トラックの下。
雑居ビルの壊れた自動販売機の裏。
そうした狭く汚い場所へ体を押し込み、気配が遠ざかるのをじっと待つ。
待っている間、嫌でも体のダメージを思い知らされた。
呼吸のたびに胸が痛む。
左腕は特にひどく、ちょっと角度を変えただけで痺れるような痛みが走る。
脚も重い。何度か膝が笑い、そのたびに壁へ手をついてどうにか転倒を防いだ。
それでも、止まれない。
クラウド・エンペラーを見たあの日、思い知った。
この世界では、強い奴も弱った奴も、等しく“隙を見せた方が死ぬ”。
だから這ってでも帰る。
そうして身を潜め、息を殺し、細心の注意を払いながら町外れのビルを目指した。
気が付けば、日はとっくに沈んでいた。
月が頭上で青白く輝き、夜の静けさが街全体を覆っている。
時計なんて見られる状態じゃないが、感覚的にはかなり遅い。
月が頂点近くまで上っていることを考えれば、深夜と言っていい時間帯だろう。
ようやく、見慣れた中型ビルの輪郭が視界へ入る。
「……着い、た……」
その一言に、どっと力が抜けそうになる。
だが最後まで気を抜かず、敷地内へ滑り込む。入口を抜け、一階を通り、階段を上る。
三階への道のりすら、今は果てしなく長く感じた。
手すりへ体重を預けながら一段ずつ上がり、どうにか仮眠室の前へ辿り着く。
簡易バリケード代わりの棚を、震える手で少しずつずらし、隙間を作って中へ滑り込んだ。
扉を閉めた瞬間、ようやく肺の奥から深い息が漏れる。
「……っ、はぁ……ぁ……」
帰ってこられた。
本当に、それだけだった。
ダンジョンから帰還し、夜の街を抜け、誰にも見つからず、どうにか拠点まで生きて戻れた。
その事実だけで十分だった。
収納機能で物資を管理しているせいで、今の仮眠室にはろくな物がない。
床に積みっぱなしの段ボールやら棚やらも、大半は必要な時だけ取り出す方式になっている。
生活感という意味では、むしろ前より薄いかもしれない。
だが、ひとつだけそのまま残してある物があった。
ソファベッド。
いつだったか、周辺の建物を漁っている最中に見つけた少し古びた品だ。
見た目はくたびれているが、仮眠室に元からあった簡易ベッドよりはよほどマシで、それ以来ここでの寝床になっていた。
その姿が今はやけにありがたく見えた。
「……もう、無理だ……」
掠れた声で漏らし、そこへ向かう。
服も体も汚れきっている。
本当なら傷の確認をして、水を飲んで、せめて最低限の処置くらいしたい。
だが、そこまで意識が持たない。
いつかと同じように、ほとんど倒れ込むようにしてソファベッドへ身を投げ出す。
衝撃で全身に痛みが走ったが、それすらもう遠い。
柔らかい。
いや、普段ならそこまで柔らかくもないのだろう。だが今の俺には、雲の上かと思うくらい心地よかった。
そこでようやく、張り詰めていたものが切れる。
拠点に戻った。
扉も閉めた。
今夜は、とりあえずここで死なない。
その安心感が、最後の意識をさらっていく。
薄れゆく視界の中、脳裏では【追加兵装】の文字と、50000Pという馬鹿みたいな数字がかすかに明滅していた。
だが、それを考えるのはもう無理だ。
今はただ、眠る。
そう思った次の瞬間には、俺の意識は闇の中へ沈んでいた。
今話獲得機能:無し
迷宮核獲得により取得可能な機能等級範囲がが1から2
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裏ステータス:2→3