禪院全「全ては僕の為に」 作:羂索ハードモード
はーい、じゃあ撮りますよー。ハイ、チーズ!
——パシャ!
んー、バッチリっすね! 後でエアドロで送るんでー!
——ちっっっがーう!!!!
鬱蒼と木々が立ち並ぶ森の奥深くから、空気をビリビリと震わせるような特大の咆哮が轟き渡った。
あまりにも意味不明な大音声に、対峙していた四人の動きがピタリと止まる。
「何だ今の。東堂か?」
薙刀を肩に担いでいた禪院真希が、思わず眉をひそめて軽く引いたような顔をした。
一方で京都校の面々はその咆哮の主に心当たりがありすぎるのか、禪院真依が「でしょうね」と心底嫌そうに深いため息を吐き、加茂憲紀も忌々しげに顔をしかめていた。
「……オマエら、あの筋肉バカを制御できなかったんだろ」
真希が京都校の連携のほころびを突くように鼻で笑った。
「団体戦のルールだと、アイツの術式で的確に立ち回られりゃ、あっという間に特級呪霊に辿り着いてカタがつくからな。キーパーソンが一人で勝手に遊んでくれてるなら、こっちとしちゃ大助かりだぜ」
東堂葵の第二術式『
しかし、東堂は作戦会議をブッチし、事前の宣言通り虎杖へと突貫していった。その事実を察した真希の言葉は二人の痛いところを正確に突いていた。
「大方、
「………………」
淡々とした口調で京都校の現状を推理してみせる禪院恵の言葉に、図星を突かれた憲紀は沈黙で応える。
東堂がいない以上、消去法で考えれば手堅い連携作戦を取らざるを得ない。そして、先ほどメカ丸が随伴していたことからも、その推測はほぼ確信に近いものだった。
(……お見通しってわけね、恵のくせに)
真依は内心で小さく舌打ちをした。かつてはただの可愛い年下の親戚だった少年が、今や冷静に盤面を読み解く厄介な敵として立ち塞がっている。
「こっちも似たような事しつつ、潰せそうなら潰してく。って訳だ」
真希が薙刀を構え直し、獰猛な笑みを深めた。
天与呪縛によって極限まで引き上げられた身体能力から放たれる、特級呪霊にすら肉薄する圧倒的なプレッシャーが、真依と憲紀に重くのしかかる。
「ここで二人にゃ、大人しく脱落してもらうぜ」
その宣戦布告と同時に、憲紀と真依の視線が一瞬だけ交錯した。アイコンタクト。
真希は実力至上主義に塗り替わった修羅の家系・禪院家において当主である全、その懐刀たる甚爾に次ぐ第三位の実力者に数えられる存在だ。
ただの一級術師という枠には到底収まらない理不尽な暴力を前にして、二人まとめてここに留まれば間違いなく全滅する。
(どっちか残して特級に向かわせるなら……当然、加茂先輩よね)
真依の脳内で、冷徹な算盤が弾かれた。
「加茂先輩! 行って!!」
真依は叫ぶと同時、ダッと恵たちとは反対方向へ向かって全速力で駆け出した。
憲紀もまた一切の躊躇いなく己の体内に呪力を巡らせる。
「
血温と脈拍を急激に引き上げ、身体能力を爆発的にブーストさせた憲紀が、真依とは別の方角の木立めがけて全力で逃走を開始した。
「チッ、逃がすかよ!」
真希が最も厄介な戦力である憲紀を追おうと地を蹴った、その瞬間。
パーンッ! という銃声とともに放たれた呪力弾を、真希は首を僅かに傾げるだけで容易く躱す。
「こっちよ、お姉ちゃん! 自慢のゴリラパワーで私を捕まえてみなさいよ!!」
逃げていたはずの真依が振り返りざまにリボルバーを構え、真希へ向けて発砲したのだ。だが、彼女の狙いは真希を仕留めることではない。
姉を挑発し、完全に自分へとヘイトを向けさせて姉妹対決へと持ち込むことだ。
そして、リボルバーの銃口から呪力の残滓が漏れるのと同時に、真依は己に付与された
——スゥッ。
真依の姿がまるで景色に溶け込むようにして完全に透明化し、その気配すらも森の静寂の中へと掻き消えたのだ。
「……!」
姿を消した直後。
ヒュオンッ!! と空気を切り裂く鋭い風切り音が鳴り、真依が先ほどまで立っていた空間を真希の放った薙刀の薙ぎ払いが紙一重で通り抜けた。
峰打ちとはいえ、当たれば骨の一本や二本は簡単に砕けるであろうその暴力的な一撃の風圧に、透明化した真依は背筋を凍らせながらヒヤリと息を呑んだ。
「っち、そっちの糸目は任せたぞ、恵!」
真希は逃げた憲紀には目もくれず、姿も気配も完全に断った真依を追うべく、天与呪縛の野生の勘だけを頼りに透明な敵へと猛然と襲い掛かっていった。
「はぁ!?」
残された恵は心底呆れたような、そして理不尽に対する抗議の声を上げた。
「普通、オマエが加茂さんの担当だろうが……!」
悪態をつきながらも、恵は足元の影を操り、憲紀が逃げた方角へと『影渡り』で素早く追跡を開始する。
真希と憲紀はともに一級呪術師の格を持ち、対する恵は準一級、真依は三級だ。
東京校のトップ戦力の片割れである真希が格下の真依を追ってどうするのか。相性の問題や姉妹の因縁があるとはいえ、どう考えても役割分担が逆だろうと内心で激しくツッコミを入れながらも彼は木々の間を高速で縫うように駆け抜けていった。
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——禪院真依は生得術式を持ちながらそれを
禪院家の術式取引を利用する術師の八割がたは自らの生得術式を中心、あるいは補助に据えて第二の術式を選ぶ。
己の魂に生まれつき刻まれた術式を手放すというのは、術師にとって己のアイデンティティを捨てるに等しい行為だからだ。
ではなぜ彼女が元々の生得術式であった『構築術式』をあっさりと捨てたのか。
理由は単純明快——とんでもなく燃費が悪いからである。
幼き日に当主・禪院全の主導で荒療治を受けて双子の呪縛から解き放たれた真依は、平均よりやや多めの呪力を宿すようになった。
それでもなお、無から物質を創り出す『構築』という術式の呪力消費量は異常であり、実戦で運用できるような代物とは到底言い難かったのだ。
そもそも、彼女は別に呪術師になどなりたい訳ではなかった。
やる気と才能さえあれば女であっても『灯』や『炳』にすら昇格できる完全実力主義へと変貌した今の禪院家においても、呪術師という血塗られた修羅の道をあえて選ぶ女はそう多くはない。
真依もまた、他の禪院家の女たちの大半がそうするように、裏方の女中として働き、やがて適当な時期に他家への嫁入りをするというごく普通の「禪院の女」としての人生でもさして文句などなかったのだ。
……だが、父親である禪院扇は強欲だった。
特級呪具『釈魂刀』による荒療治の結果、姉の真希が当主の懐刀たる甚爾と同じ完全なる天与呪縛のフィジカルギフテッドとして覚醒したことで、扇はすっかり気を良くしてしまったのだ。
パッとしない術師という評価から一転、最強の鉾を生み出した父親として地位を確立した彼は、自らの遺伝子の優秀さをより明確なものにするため、もう一人の娘である真依に対しても「姉と同じくらい優秀な術師であること」を求めたのである。
そうして父親から日々小言を言われ、それに乗っかった当主の全からも「せっかくだし才能の無駄遣いはやめようよ」とせっつかれ。
『泥臭い近接戦闘だけは絶対にイヤ!』
そこだけはどうしても譲れないと頑なに言い張り、遠隔で戦える術式やら武器やらをリストから探して文句を垂れていた真依が嫌々ながら術師としての己を見つめ直した結果、見出された彼女の才能は
『なら……スナイパー、やってみよっか?』
あの日の、全の胡散臭くも楽しげな三日月の笑みが手に取るように思い出せる。
そうして彼女が構築術式と引き換えに据えた術式の一つは、いつからか全も他人を驚かせるのに使い出したような、
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——真依の足は腐葉土の積もる森の地面を踏みしめても一切の音を立てない。
姿はおろか呪力の気配、呼吸音、匂いに至るまで、彼女の存在を示すあらゆる情報が世界から完全に切り取られている。
この隠形の術式自体は全も似たような類似品をいくつか持っている程度の、言ってしまえばごく平凡なステルス術式にすぎない。
それがなぜ、天与呪縛の超感覚を持つ真希や甚爾ですら発見が困難となる『スーパーステルス能力』へと昇華されているのか。
その脅威の性能は、ひとえに彼女がアドバイス通りに課したギチギチの
(……思い出すだけでも馬鹿バカしい縛りよね、ホント)
透明化したまま息を潜めて森を走り抜けながら、真依は内心で毒づいた。
術式発動中——すなわち消えている間は、
『盗み聞きをしてはいけない』
『盗み見てはいけない』
『何かを持ち出してはいけない』
『攻撃してはいけない』
『仕掛けを施してはいけない』
『印や合図などの情報を残してはいけない』
……などなど、考えつく限りのメリットを潰す縛りが課される。
そこに至るまでの道で見かけた重要な情報の殆ども、縛りによるペナルティにて覚えたそばから記憶からポロポロと飛んでいくという致命的な欠陥があり。
極めつけは『術式を解いて何かをする前に、その対象に必ず声をかけて自身の存在を知らせなくてはならない』という隠れてきた意味を投げ捨てるようなものまである。
諜報にも使えず、奇襲攻撃にも使えない。
発動中に何も得られない、何もできない。
本当にただ、誰にも見つからずに姿を消したまま移動するくらいしかできないのだ。
『誰がそんな馬鹿げた縛り考えたのよ』
真依自身も全からこの術式と縛りの提案を聞かされた時、思わず素で口に出してそう言い捨ててしまったほどだ。
その言葉を聞いた瞬間、隣にいた父親の扇が「と、当主様に向かってなんという口の利き方を……!!」と顔面を真っ青にして震え上がっていたのをよく覚えている。
全本人は「あはは! 確かにそうだね!」とおかしそうに笑っていたが。
——だが、その
この縛りはいかなる強者であろうと探知困難な、世界で屈指の完璧に近い
スナイパーとして最も重要な「絶対に発見されない狙撃ポイントへの移動」と「確実な離脱」を保証する、最強の生存スキル。
(さて、と……距離は十分に稼いだけど)
真依は木立の陰に身を隠し、背後——真希が追ってきているであろう方角を遠目に慎重に見据えた。
術式によって道中の細かな記憶は飛んでいるが、術式発動前からの記憶で自分が「姉から逃げて時間を稼ぐ」というミッションの途中であることは覚えているし、真希の位置も把握できる。
真依は木陰に立ち止まると術式を一時解除し、音もなくリボルバーを構え、縛りの条件を満たすためにスッと息を吸い込んだ。
「チッ……そこか!!」
「——ここよお姉ちゃ……ってなんでもう気付いてんのよッ!!」
『術式を解いた直後、必ず目標に自身の存在を示す』という縛りを満たすための声より先に、気配を察知した真希が弾丸のような速度で地を蹴って突っ込んでくる。
その暴威が届くよりも早く、真依は再び隠形の術式を起動してその姿と気配を完全に森の中へと掻き消した。
そして、死に物狂いで全速力でその場から逃走する。
ドガァァンッ!!
数瞬遅れて彼女が立っていた場所に真希が到達し、薙刀の石突きで地面をクレーターのように叩き割った音が背後から響く。
(あっっっぶな……!)
真依は心臓をバクバク言わせながら木々の間を縫ってひたすらに走る。
攻撃もできない、罠も張れない。ただ現れては挑発し、消えて逃げるヒット&アウェイ。ほとんど命懸けの鬼ごっこだ。
しかし。
真依の背筋を、ヒヤリと冷たい汗が伝う。
術式を起動し、完全に姿も気配も匂いすら消しているはずなのに。
背後を振り返ると、真希が時折立ち止まっては空の匂いを嗅ぐように周囲を見渡し、そして——ざっくりとだが、真依が逃げている方向の近くへと向かって、ズンズンと確実に走り寄ってくるのだ。
(なんでよ……。音も匂いも呪力も、完全に消してるはずなのに……!)
いくら天与呪縛の超感覚といえど、このガチガチの縛りで強化されたステルスを見破れるはずがない。
それなのに、あのゴリラはまるで目に見えない糸を辿るように、真依の逃走経路をじわじわと詰めてきている。
呪術的には、釈魂刀によって完全に絶ち切ったはずの『双子の縁』によるものか。あるいは、ただ純粋に長年一緒に育ってきた姉としての『野生の勘』なのか。
(……理不尽すぎるわよ、ホントに)
真依は内心で悪態をつきながら、再び少し離れた岩陰から姿を現す準備をする。
姉の足を止め、加茂先輩が特級呪霊に辿り着くまでの時間を稼ぐ。それが、今の自分にできる唯一にして最大の役割なのだから。
「こっちよ! ゴリラっ! ああああああ!!?」
「んだとゴラァッ!!」
再び森に響く真依の挑発の声。
そして、それを追って木々を薙ぎ倒しながら迫り来る真希の怒号。
二人の姉妹による奇妙な鬼ごっこは、森の奥深くでなおも続いていた。
***
「やっば! さっそく命乞いしてんじゃん、ウケる」
鬱蒼とした森の中、落ち葉の積もる獣道に響き渡ったのは枷場菜々子の明るくも容赦のない爆笑だった。
彼女の視線の先では、新田新が最近染め直したばかりの金髪を汚して地面に額をこすりつけるように見事なまでの土下座をキメていたのである。
「た、助けてください! 戦闘とか全くダメな後方支援型なんで! 命だけはお見逃しを……ッ!!」
涙目でガタガタと震えながら地面に這いつくばる新田。
彼がこれほどまでにプライドをかなぐり捨てて平身低頭している理由は、眼の前に立つ相手が絶対にエンカウントしてはならない最悪のバケモノの一人だったからだ。
「ええっと……」
新田の前で白い制服を着た、一見ひ弱そうな少年——乙骨憂太は、頬を掻きながら困ったような苦笑いを浮かべていた。
遭遇した瞬間、相手がスライディング土下座をかましてきたのだ。いくら「殺さない程度の残虐呪術ファイト」と言われていても、完全に戦意を喪失している相手をタコ殴りにするほど憂太は好戦的な性格ではなかった。
「真依先輩に言われた通り、ちゃんと練習しておいてよかったね」
新田の隣で枷場美々子が這いつくばる新田の背中をポンポンと労うように叩く。その光景は、呪術戦というよりはカツアゲの現場にしか見えない。
「降参するなら、別に何もしないよ。怪我がないならそのまま大人しくしててくれれば……」
憂太が安心させるように優しく声をかけた、その時だった。
『——だぁれぇ? その女ァ……』
背後から、鼓膜を引っ掻くようなドス黒い声が響いた。
憂太の肩越しにぬらりと姿を現したのは、『無為転変』によって十七歳相当のダイナマイトボディへ膨らんで彼に近づく女を見境なく威嚇する特級過呪怨霊・祈本里香であった。
彼女の巨大で豊満な胸が憂太の背中にむぎゅっと押し付けられると同時に、その美しくも怨念に満ちた瞳が、菜々子と美々子を鋭く睨みつける。
『憂太に色目使ってる?』
「いやいやいや! まったく使ってないから! 里香ちゃん落ち着いて!」
憂太が慌てて否定するが、里香の嫉妬の炎は収まらない。
新田はともかく、金髪ギャルでイマドキの女子高生である菜々子と大人しそうな黒髪の美々子という「正反対の需要を満たす属性持ち」の二人が並んでいるのだ。
嫉妬深い里香にとって、自分以外の魅力ある雌が憂太の視界に入ること自体が許しがたいことであった。
「うわっ、デカ……色んな意味で」
里香の圧倒的なプロポーションと、ドス黒い特級の呪力プレッシャーを前にして菜々子は思わず本音を漏らした。
威嚇するように牙を剥く里香に対し、菜々子はしかし、怯えるどころかポケットからスッと自身のスマートフォンを取り出した。
——パシャ!
強烈なフラッシュの光が森の中に弾け、電子音が響いた。
「……っ!」
憂太の目つきが、一瞬にして特級呪術師のそれへと切り替わった。
カメラを向けられたという行為に対してではない。相手が呪力を用いて何らかのアクションを起こしたことを警戒し、ギロッと鋭い視線を菜々子へ向ける。
「あ、そんな怖い顔しないでください先輩」
菜々子はヒラヒラとスマホを振りながら、悪びれる様子もなくケラケラと笑った。
「私らだって特級呪術師相手に本気で喧嘩売るほどバカじゃないんで。……ほら、私のスマホ、呪霊とかもばっちり写ルンですよ?」
そう言って、菜々子は撮ったばかりのスマホの画面を憂太たち二人の方へとくるりと向けて見せた。
そこにはフラッシュの光に驚いて少し目を見開いている憂太と、その背中から肩越しに顔を出して威嚇している里香の『ツーショット写真』が鮮明に写し出されていたのだ。
通常、呪霊などはカメラやビデオといった電子機器にはまともに写らない。
だが菜々子のスマホには里香の姿がハッキリと、しかも絶妙なアングルで収められていた。
『——あ』
その画面を見た瞬間、里香の威嚇の唸り声がピタリと止まった。
彼女は憂太の肩から顔を乗り出し、食い入るようにその写真を見つめる。
『……憂太と、里香が……一緒に、写ってる……!』
里香の瞳が嫉妬に溢れた怨念の濁りから一転、キラキラと乙女のような純粋な輝きを帯び始めた。
……そう、里香が呪いとなってからかれこれ八年。彼女はずっと憂太の側にいたが、「二人が一緒にいる写真」など残せるはずもなかったのだ。
『すごい、すごいっ! ねえ憂太、里香たち一緒に写真に写ってるよ!』
「えっ? あ、うん……そうだね、すごいね……」
里香が完全に毒気を抜かれ、キャッキャと喜んでいる様子を見て、憂太は毒気を抜かれたように警戒を解いてしまった。
その隙を逃さず、菜々子は営業スマイル全開でスマホを構え直した。
「せっかくの交流会ですし、もっと撮りましょうか? けっこー画質いいんで、記念になりますよー!」
『ほんとぉ!?』
里香のテンションが、一気にMAXへと跳ね上がった。
『憂太、憂太! 撮ってもらお! もっと近くで! くっついて!』
「ええっ、ちょ、里香ちゃん! 今は他校と試合中で……!」
『やだ! 撮るのーっ!!』
巨大なダイナマイトボディの里香に力いっぱいに抱きつかれ、首を絞められそうになりながら、憂太は「わ、わかった、わかったから!」と折れるしかなかった。
「はーい、じゃあ撮りますよー。ハイ、チーズ!」
——パシャ!
菜々子のスマホの画面に収められたのは、キュルルンと満面の笑みで憂太の頬に自分の頬をすり寄せ、胸をぴったりと押し付けている里香と、完全にタジタジになって引き攣った笑いを浮かべている憂太の姿だった。
「んー、バッチリっすね! 後でエアドロで送るんでー!」
彼女はスマホの画面を見つめながら、軽いノリで指先をスイスイと動かし始めた。
写真編集アプリを開き、ペンツールを選択する。
——被写体操作。
それが夏油傑に拾われた双子の少女、枷場菜々子の生得術式であった。
愛用のスマートフォンを媒介とし、撮影した被写体に対して、写真の画面上で加えた『
例えば写真の人物の首に赤いペンで線を引き、血の絵でも書き込めば現実の相手の首も切断されてしまう。
条件はあるが、怪我を負った直後に無傷の写真の状態を
もっとも、それは相手が一切の呪力による抵抗をしなかった場合の話であり、特級である憂太や里香にそのようなダメージを通すことは到底不可能である。
——だがこの術式には、微力ながら「精神作用」をもたらす効果も含まれていた。
菜々子は画面の中にピンク色のペンで大きなハートマークをいくつも描き込んでいく。
さらに、デコるようにして『らぶらぶ♡ちゅっちゅ♡』というふざけた文字を書き殴る。
そして『編集完了』ボタンを、ネイルの映える指先でターンッ! とタップした。
——術式発動。
「……ん?」
その瞬間、憂太は呪力の守りに何かが弾かれる感覚とともに、背中に張り付いている里香の様子がおかしくなったことに気がついた。
先ほどまではただ写真に写ってはしゃいでいただけの彼女の呪力が、突如としてピンク色に発光するような、異様に甘ったるく熱を帯びた波長へと変質したのだ。
『んっ……憂太ぁ……♡』
「えっ」
里香の瞳に、文字通り巨大なハートマークが浮かび上がった。
そして、彼女の靭やかな腕が憂太の首に絡みつき、そのままの勢いで——ドサリッ! と、憂太の身体を力任せに腐葉土の上へと押し倒したのである。
「り、里香ちゃん!? ちょ、ちょっと待って!?」
特級怨霊の圧倒的な膂力でマウントを取られ、憂太は為す術もなく地面に仰向けに組み伏せられた。
その胸元に、里香のダイナマイトボディがむぎゅぅぅぅっと密着し、逃げ場を完全に奪う。
『憂太、憂太ぁ……だぁいすきっ……ちゅーして、いっぱいちゅーしてぇ……♡』
「わぁぁっ!! だめ、今は交流会中で、みんな見てるし……力強っ!! ちょ、里香ちゃん服! 服めくらないで!!」
精神作用をもたらす被写体操作。
本来であれば、特級である里香にはかけらも効くはずがない微弱な術式だ。事実、憂太には一切効いていない。
——しかし、術式がもたらす
その噛み合いによって術式の効果が効いたのか……あるいは単に彼女が術式に乗じて欲望を解放しただけなのかは誰にも分からない。
だが結果として、東京校最大戦力である乙骨憂太は森のど真ん中で自らの呪いに押し倒され、全年齢向けでは決してお見せできないR指定ギリギリの展開へと持ち込まれたことで実質的な行動不能状態に陥ってしまったのである。
「エアドロ送っといたんでー!!」
その情熱的なラブシーンをスマホで見届けた菜々子は、ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべて踵を返した。
「ほら、美々子! 新くん! 行くよ!!」
「……うん、いこ」
「…………えっ、これええんですか? 後で怒られません??」
土下座したままだった新田の襟首を美々子が掴んで引っ張り起こし、三人は全速力でその場から撤退を開始した。
「いいのいいの! 特級相手に私ら大金星じゃんね!!」
菜々子の高笑いが森に響き渡る。
彼らは一滴の血も流すことなく、東京校の最強戦力の一つを見事に足止めしつつ無傷での生還を果たしたのだ。
「り、里香ちゃん! 落ち着いて! 待って、首! キスマークはダメだってばぁぁぁぁっ!!」
秋の森にこだまする、憂太の悲鳴にも似た声。
姉妹校交流会は、想定外すぎる方向へと波乱の展開を見せ始めていた。
***
一方、鬱蒼とした森の別区画でも、激しい呪力と術式の応酬が繰り広げられていた。
「いっけぇっ! スターライト☆アロォォォッ!!」
上空を飛び回る西宮桃が、空中で光の弓を引き絞るように可憐なポーズを決めた。
ぺいんっと光の弦を離すと、指先から放たれた極彩色の光が無数の☆型の矢となって分裂し、地上にいる東京校の生徒たちめがけて流星群のように降り注ぐ。
可愛らしい掛け声とは裏腹に、その一つ一つがコンクリートを砕くほどの威力を秘めた恐るべき弾幕攻撃である。
「
地上で迎え撃つ狗巻棘が鳴響を全開にして即座に巨大な文字の塊を具現化させた。
『凸』と『凹』の立体的な文字がテトリスのブロックのようにカチリと噛み合わさり、堅牢な文字のバリケードを形成する。
ドガガガガッ!! と星の矢が文字の盾に激突して激しい爆発と土煙を巻き起こすが、分厚い文字の壁はなんとかその猛攻を凌ぎ切った。
「チッ……! ちょこまかと飛び回りやがって!」
凸凹ブロックの裏に隠れつつ、釘崎野薔薇が忌々しげに舌打ちをした。彼女は隙を見て金槌を振るい釘を飛ばすが、桃は箒の機動力を活かしてはるか上空から攻撃を仕掛けてきているのだ。
野薔薇の第二術式である『念動』の有効範囲から完全に外れており、物理的に飛んでいくだけの釘は風の抵抗と重力で威力を失いあっさりと箒で叩き落されてしまっていた。
「もうっ、パンダ先輩、なんとかなんないの!?」
野薔薇が横で一緒にバリケードの陰に縮こまっている巨大な毛むくじゃらに向かって怒鳴る。
「殴る蹴るしかできん俺に空飛んでる相手をどうにかしろって!? 無茶言うな!!」
パンダがふわふわの腕で頭を守るように抱えながら抗議した。
彼は接近戦においては中々の強さを誇るが、遠距離攻撃の手段を持たない。空を飛ぶ敵に対しては文字通り「手も足も出ない」のだ。
「あとの事考えると、西宮先輩はここで落としとくべきだと思ったけど……」
棘が息を切らしながら、額の汗を拭った。
「思ったより、手強いね……」
桃の飛行能力と上から降り注ぐ『星光操術』による弾幕。
現在、彼女を撃ち落とせる有効な射程距離を持つのは文字の弾丸を撃ち出せる棘だけだ。
……だが、声を具現化する『凝声呪法』の遠距離連射は第二術式の『鳴響』によるブーストがあるとはいえ呪力消費が激しく、何より術式の発動器官である喉への負担が大きすぎる。
このまま防戦と牽制を続けていればジリ貧になるのは目に見えていた。
「クソッ、降りてきなさいよ魔女っ娘! 地上に引きずり下ろしてボコボコにしてやるのに……!」
「野薔薇、気持ちは分かるけど口に出すと余計降りてこないからな」
(うーん、一旦引いて憂太あたりと合流すべきかな……?)
野薔薇の負け惜しみにパンダが冷静なツッコミを入れ、棘が戦術の転換を考え始めた、まさにその時だった。
——ズドバァァンッ!!!!
森の死角、真横の茂みの中から高密度の呪力砲が音もなく射出された。
「ぐおっ!?」
不意打ちの一撃は、反応する間もなくパンダの右肩を容赦なく貫き、その巨体を後方の木へと激しく叩きつけた。
「パ、パンダ先輩っ!?」
野薔薇が悲鳴を上げて振り返る。
パンダの右肩から胸にかけての毛皮が黒く焦げ、綿のような中身が露出し、その場にドサリと崩れ落ちた。
棘もハッとして呪力砲が飛んできた方角へと向き直り、即座に呪力を練り上げようとした。
〘——呪骸だ、死にはしないサ〙
木々の奥からズシン、ズシンと重い金属音を響かせて現れたのは、右腕の砲口からうっすらと硝煙を上げる無骨なロボット——究極メカ丸であった。
その内蔵スピーカーから操作者である京都校二年生、与幸吉の冷徹な声が響き渡る。
〘しばらく動けんがナ。……残り二人も、ここで脱落してもらウ〙
「ロ、ロボがいる……!?」
呪術戦においてあまりにも異物すぎる機械の姿に野薔薇は目を剥いた。
だが驚いている暇はない。彼女は即座にポーチから五寸釘を空中に浮び上がらせ、金槌を振りかぶった。
「フザけんな、ポンコツがッ!」
カンッ!! と鋭い音とともに射出された釘が、メカ丸の装甲を貫かんと一直線に飛翔する。
しかし。
「——させません」
メカ丸のさらに斜め後ろから、青い髪をなびかせたスーツ姿の少女——三輪霞が目にも止まらぬ速さで踏み込んできた。
彼女は腰に差した刀の鯉口を切り、姿勢を低くして抜刀の構えを取る。
「シン・陰流 簡易領域——」
三輪の足元に半径二メートルほどの円が展開され——野薔薇が念動で射出した五寸釘が領域の範囲内に侵入した、その瞬間。
「抜刀!!」
シャァンッ!!
目にも止まらぬ神速の居合い斬り。
三輪の領域内に侵入した野薔薇の釘はすべてが自動反射の刃によって迎撃され、火花を散らして空中に弾き落とされた。
「チッ……!」
野薔薇が忌々しげに舌打ちをする。
上空には桃、正面にはメカ丸と防御を固めた三輪。
完璧なまでのフォーメーションで、東京校の三人は完全に包囲されてしまったのだ。
「いちち……一気にピンチだな、こりゃ……」
絶体絶命の空気が流れる中。
先ほど肩を撃ち抜かれて倒れたはずのパンダが、ボリボリと頭を掻きながらのっそりと立ち上がった。
撃ち抜かれた肩の穴からは血の一滴も流れておらず、ただ中の綿が少し焦げて見えているだけだ。
〘……ホウ〙
カメラ越しにその光景を見ていた幸吉が、感心したような声を漏らした。
〘流石は夜蛾学長の最高傑作、禪院家の「
「————え゙っ」
「…………は???」
その言葉を聞いた瞬間、野薔薇の顔からスッと血の気が引いて口元が引き攣り、パンダの動きもピタリと止まってその丸い目が細められた。
幸吉にとって、その言葉は最大限の称賛のつもりだった。
禪院家の誇る『惱无』を代表とした狂気の生体兵器。その基盤となる「一つの呪骸に複数の
全に肉体を救ってもらった幸吉は、禪院家の技術力の源流とも言えるこの存在を一種の畏敬の念を持って評価していたのだ。
——だが。
言われたパンダ本人からしてみれば、それは最大級の地雷を踏み抜く暴言であった。
「ぱ、パンダ先輩……アンタ、まさか……あんなおぞましいバケモノの仲間なの……!?」
野薔薇がドン引きした顔でパンダからジリジリと距離を取る。
いつも一緒にふざけ合っている気のいい先輩が、あの悪趣味極まりないキメラと同じ原理で動いている存在だと言われ、本能的な拒否感が滲んでしまったのだ。
「誰があのバケモンの仲間か! おお? 傷付いちゃうぞ? 傷ついちゃおっかな——!!」
野薔薇のそのリアクションにパンダの堪忍袋の緒がブチッと音を立てて切れ、怒髪天を突く勢いで地団駄を踏んだ。
「まさみち謹製のフワフワキュートな俺を、あのおぞましいバケモンたちと一緒にするのやめてくれる!?」
パンダは野薔薇とメカ丸に向かって、涙声で本気の激ギレをした。
「真に……ッ、真に心外! そもそも、技術提供もしてないのに、あの胡散臭い禪院家当主が勝手に真似しただけだかんな!!」
「呪骸」とは、内側に呪いを宿し自立可能な無生物の総称。
人工的な呪骸には心臓となる「核」が存在し、そこに術者が燃料となる呪力をそそぎ込むことで稼働する。
パンダは傀儡呪術学の第一人者たる夜蛾正道の最高傑作。
三つの相性の良い魂の情報を一つの核に宿らせ、互いに補完し合うことで自立した呪力を生み出す感情を持つ人工呪骸。
パンダは、パンダじゃない!!
「モフモフが足んねぇンだよ!! 愛がねぇ!!」
禪院全はそれを応用し、呪詛師の魂と肉体を魂を弄ぶおぞましい術式によって強引に嵌合させることであの惱无のような兵器を製作している。
そして便宜上呪骸と呼ばれているが……嵌合魂魄呪骸の
パンダは天を仰ぎ、上空でモニタリングしているであろうカメラ役の烏に向かって、怒りの拳を突き上げた。
「おい聞いてっか禪院全!! 特許侵害で訴えるぞコノヤロー!!」
パンダの魂からの叫びが、森にこだました。
もちろん、呪術界に呪骸の特許などという概念はない。
だが、夜蛾が愛情込めて作った奇跡の命を倫理観ゼロの肉塊兵器と同列に語られたことは、パンダのプライドを酷く傷つけたのだ。
「え、えっと……?」
突然マジギレし始めたパンダに、三輪が戸惑ってメカ丸の顔をチラリと見る。
バチバチにやりあっていた桃と棘も思わず戦いの手を止めてしまっており、メカ丸の向こう側にいる幸吉も「……地雷を踏んだか?」と困惑しているようだった。
「コイツは、俺がぶっ飛ばす……パクリ野郎の手先どもに、
パンダが両手を構え、ゴキゴキと指の関節を鳴らす。
右肩から綿をこぼしながらも、その巨体から放たれるプレッシャーは先ほどとは比べ物にならないほどに跳ね上がっていた。
「来いよ、ご同類!! スクラップにしてやらあ!!」
魂を宿した機械と、魂を宿したぬいぐるみ。
造られた者同士の熱きバトルが始まる——誰もがそう思った、その時だった。
『……訂正させてもらおウ』
メカ丸の無機質なスピーカーから、幸吉の極めて冷静なマジレスの声が響いた。
『この呪骸……メカ丸は完全自立型じゃなイ』
「…………え?」
パンダがポカンと口を開ける。
『これはあくまで傀儡操術で遠隔操作しているだけの呪骸ダ。自動戦闘こそできるが、呪力の充填から何からすべて俺の術式に依存していル。お前や惱无ほど複雑な構造はしていなイ』
幸吉の言葉は、パンダの「同じ造られた命同士」という熱いシンパシーを、見事なまでに根元からバッサリと切り捨てた。
「…………あっ、そうなんだ」
スン……と、振り上げていた拳を力なく下ろし、完全に肩透かしを食らったような顔で固まっていたパンダ。
遠隔操作の呪骸。それはつまり、この機械の奥には安全な場所からコントローラーを握っている生身の
「…………」
数秒間の沈黙。
パンダの丸い黒目が、ジッとメカ丸のカメラアイを見つめ返す——そして。
「……いや、なおさらムカつく!!!!」
パンダの全身から、先ほどとは比べ物にならないほどのドス黒く暑苦しい怒りの呪力が大爆発した。
「安全圏に引きこもってる人間サマが! 呪骸の苦悩も知らないくせに、まさみちの愛情で造られた俺をマッドどもが作った愛のない肉塊と同列に語りやがって!! 万死に値するわ!!!」
パンダの怒りは有頂天。
相手が自分と同じように魂を宿し己の存在意義に悩む哀れな同類であったならば、呪骸の命である核の破壊だけは勘弁してやる心積もりであったのだ。
だが、ただの術者が遠隔で操っているだけの鉄くずであれば話は別だ。一切の手加減も、同情も必要ない。
『……なんだ、その呪力の高まりハ』
メカ丸越しに幸吉が警戒の声を上げる中、パンダの身体に異変が起きた。
——メキッ、ゴリィッ!!
「えっ……!?」
三輪が息を呑み、野薔薇も目を剥いた。
愛らしく丸みを帯びていたパンダの巨体が、内側から凄まじい音を立てて軋み始めたのだ。
骨格が変形し、筋肉が異常なまでに隆起していく。白と黒の愛らしい毛皮の下で、戦闘に特化した圧倒的な質量の暴力が膨れ上がる。
パンダの内部に存在する三つの核。
バランス重視の『パンダ核』から、短期決戦・パワー特化の核への強制シフト。
野太く、獣のように低い声が森に響き渡る。
顔の模様が凶悪に吊り上がり、腕は丸太の如く太く長く、胸板は鋼鉄の壁のように分厚く変化した。
——パンダ・ゴリラモード!!
雄叫びと共に、パンダの身体は完全なるゴリラのシルエットへと変貌を遂げた。
「ゴ、ゴリラになったぁぁぁ!?」
「えっ、パンダ先輩ですよね!? パンダって言ってましたよね!?」
三輪と野薔薇が同時に素っ頓狂な悲鳴を上げる。ゴリラモードと化したパンダが、自らの分厚い胸板を両手の拳でドラミングするように激しく打ち鳴らした。
その衝撃波だけで周囲の木々の葉が散り、強烈な威圧感が京都校の面々を圧倒する。
「ブッ壊してやるよ、鉄クズ!!」
本家本元の人工呪骸の底意地を見せつけるべく、怒れる毛むくじゃらの魔神が鋼鉄のロボットめがけて猛然と襲いかかった。
菜々子「今回のMVPは私らに決まりっしょ!」グッ
美々子「下克上……!」フンス
新田 「……いいんすかね、これ……後で大変なことになりません??」アセアセ
※挿絵:チャッピー。異形が絡まなきゃ簡単にさくっと十分なものを納品してくれる……ありがたい。
・禪院真依 第二術式『隠形』
すごくシンプルなステルス術式を、天与呪縛の超感覚をも概ね欺くレベルにガチガチの縛りで高めたもの。
盗み聞きをしてはいけない
盗み見てはいけない
何かを持ち出してはいけない
攻撃してはいけない
仕掛けを施してはいけない
印や合図などの情報を残してはいけない
術式を解いて何かをする前に、対象に自身の存在を知らせなくてはならない
などなど。とりあえずその他抜け道になりそうなのもほぼ潰してると思ってもらえばいいかと思われます(予防線)
狙撃ポイントに誰かを配置してその人に接触するのを目的にするなどでスナイプ対象に悟られず移動したりはできるかも。
生得術式として持っていた構築術式は今現在、呪具・呪骸班が持っており、有効活用して……え、第一術式? 実は今回の話でもしれっと使っています。
この章で詳細を明かしはしませんが、後々活かされるかもしれません。
・菜々子の大番狂わせ
原作でもあんまり詳細のわかってない術式、被写体操作。
スマホのカメラで写した写真の状態に対象を上書きすることができる。
漏瑚の炎に焼かれた直後に無傷で現れたのは直前に撮った写真の状態に上書きしたことで受ける前の状態に回帰したということ。
その際、写真に編集を加えておけばそのとおりに改変を加えることができる。
なお、攻撃に使う場合は呪力ガードで防げる模様。
それでもかなり万能なので、多分撮ってから一定期間の写真一枚にしか効果を発揮しないとかあるはず。
・暴走里香ちゃん
乙骨たちが強すぎて邪魔? ならこうやって無力化するのじゃ!
精神作用の方向性が里香の素と合致したため弾かれず通ったか……あるいはそういう効果だと受けた瞬間に察して弾くのをやめて大義名分にしたか。
とにかくもうらぶらぶ♡ちゅっちゅ♡するのに夢中。
里香と憂太は割と呪術的に特殊な状態で、名目上里香が式神、憂太が使役者のような感じで扱われているんですが、その実あらゆる主導権は里香側にあります。
憂太の指示に従うのは里香がそうしたいからにすぎないのです。
なのでこうして暴走すると……ご覧の通り貞操の危機になります。
・ブチギレパンダ
原作と真逆の構図。惱无のプロトタイプ扱いはあんまりだった。
でも全がそう発表しちゃったから業界ではもう常識なんだ、仕方ないんだ。
多分全はモニター越しに笑ってる。まさみちは頭を抱えてる。
パンダはパンダじゃない!!のナレーションすごく好きなんですよね。
西宮桃の第二術式、霧雨魔理沙モデル説は盲点でした
魔女っ子といえばファンシーな遠距離攻撃、星なんてカワイイよね?くらいで考えてたんですが、無意識で寄せてたかもしれません。