結束バンド 全アルバム簡易レビュー 2023-2030 作:ぱらいそ
1st「瞬間」
Vocal, Guitar:喜多郁代
Guitar:後藤ひとり
Bass Guitar:山田リョウ
Drums:伊地知虹夏
結束バンド1stアルバム。22年高校時代に結成されたガールズバンドで、下北沢を拠点にライブ活動をしていたところ10代限定のライブフェス「未確認ライオット」に出場したことでスカウトを受けプロデビュー、配信シングル数曲と1stミニアルバム「HELLO」を経て今作に辿り着いた。
ロックバンドの作詞作曲といえば普通はボーカル(フロントマン)が全部やるワンマンバンドか、作詞:ボーカル、作曲:ギターの分業体制のどちらかが大多数だが、このバンドはギターの後藤が作詞、ベースの山田が作曲とやや変則的な構成。基本的に解散までこの体制を貫くことになるが、結果的にこの体制で全曲作ったアルバムは今作が最初で最後となった。
基本的には下北系のストレートなロックで全曲通した硬派な作風で、ガールズバンドと聞いて連想するようなアイドルっぽさやキラキラ感は皆無。バンドの要である後藤ひとりの世界観はこの時点で既に完成しており、歌詞カードを見ると内省的(かつこの頃は自虐的)な後藤ワールドが炸裂している。
ただ、今作は「ギターと孤独と蒼い惑星」「あのバンド」など当時のバンドにとってライブの定番だった代表曲を詰め込んでいるようなんだけど、後年の作品に比べると(初期衝動という魅力はあれど)キャッチーさに欠ける所があり、個人的にはリアルタイムで今作を聴いても注目しようとか次も聴いてみようとかは思わなかっただろうなと思う。
2nd「レポート」
Vocal, Guitar:喜多郁代
Guitar:後藤ひとり
Bass Guitar:山田リョウ
Drums:伊地知虹夏
結束バンド2ndアルバム。前作以降の配信シングル2曲、及び1stミニアルバム「HELLO」から「グルーミーグッドバイ」を収録。発売1週間前に「今、僕、アンダーグラウンドから」が先行配信された。
前作と今作には高校時代のストック曲を分散して収録したと言われており、今作のタイトルはその中でも歌詞に重きを置いた楽曲が中心になっていることが由来だそうだが、パッと聴いた感じは前作と地続きのストレートな邦ロックで、そこまで歌詞にウェイトが寄っている感じはしない。
今作のトピックは「カラカラ」で山田が単独作詞・ボーカルに挑戦していること。以降アルバムには喜多以外のメンバーがボーカルを取った楽曲が必ず1曲以上は収録されていくことになる。いずれもアルバム全体とはやや毛色の違う楽曲に仕上がっていて良いアクセントになっているため、ここでこの判断をとったのは結構な名采配だったと思う。
また、今作はメンバーが全員10代で制作された最後の作品となった(次回作制作中に伊地知が20代に突入)。それを意識したのか今作には、前作にはなかった青春の終わりや人生の岐路に立たされる時に思いを馳せる…みたいな作風の歌詞がぽつぽつと見られる。特に子供でも大人でもない(制作当時)高校生の今を全力で謳歌する「忘れてやらない」や、卒業が迫り生活が大きく変わっていく様子を描いたラストの「各駅停車」は象徴的だ。