結束バンド 全アルバム簡易レビュー 2023-2030   作:ぱらいそ

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5th「発見」、6th「release」

5th「発見」

 

Vocal, Guitar:喜多郁代

Guitar, Programming:後藤ひとり

Bass Guitar, Chorus, Keyboards, Programming, Violin, Other Instruments:山田リョウ

Drums, Percussion:伊地知虹夏

 

結束バンド5thアルバム。前作以降の配信シングル3曲を収録。クリムトの夜とのコラボシングル「空を照らした」「僕と僕と僕」の2曲はともに未収録。クリムトサイドでもアルバム未収録のままスルーされ続けているので現在でもこの2曲は未CD化のまま放置されている

 

どうやらバンド結成当初の望みが完全に叶ってしまったことで次の目標を見失っていたらしく、「発見」というアルバムタイトルとは裏腹に、作風は悩みまくり探しまくりのどん詰まり状態。ミスチルの「深海」やアジカンの「ファンクラブ」など、売れたバンドにはヒットの反動で暗い作風に向かう反抗期みたいなのがよくあるが、このバンドにおいては今作がそれにあたるようだ。

 

ただ今作はそれらの作品のようにポップな作風から重たいバンドサウンドに移行するのではなく、より難解な音楽性に進むことでその苦悩を表現。特に1曲目の「発見」に顕著だが、緻密を通り越して不気味にすら思えるほどにサウンドが作り込まれており、初期の若さ全開で衝動的なロックサウンドの面影は皆無

 

クレジットを見る限りサポートメンバーは一切入れてないようだし、一応(ボーカルは例外として)全曲で4人とも本来の担当楽器をちゃんと演奏しているのでバンドとしての矜持は保たれているが、曲によってはギターがなかったりドラムが打ち込みだった方が良さそうなのもあって、なんだか「バンド」であろうと気負いすぎてるようでままならない…

 

実際次作を最後にバンドは解散してしまう訳だし、恐らくメンバーの心はこの頃には既にバラバラでバンドとしては本当にギリギリだったのかもしれない。そう思うとベースの山田が歌う「惑う星」なんかはモロにバラバラになっていくバンドを受け入れて次へ進もうとしてるような曲に思えてくるし、皆この辺で薄々潮時だとは感じてたんだろうなと思う。

 

6th「release」

 

Vocal, Acoustic & Electric Guitar, 6-String Bass Guitar:喜多郁代

Electric & Acoustic Guitar, Programming, Bass Guitar:後藤ひとり

Bass Guitar, Chorus, Synthesizer, Keyboards, Programming, Electric Guitar, Other Instruments:山田リョウ

Drums, Percussion, Programming:伊地知虹夏

 

結束バンド6thアルバム。前作以降の配信シングル2曲を収録。DL/ST配信ではカットされているが、CDでは本編終了後に隠しトラックとして4人全員ボーカルのアコギ弾き語り曲(タイトル不明)が収録されている

 

今作制作中にドラムの伊地知が脱退を申し入れ、制作と並行して話し合いを続けた結果、「誰か一人でも抜けたらそれはもう結束バンドではない」という共通認識から解散が決定。今作を引っさげたライブツアーの最終日になって正式に解散が発表された。

 

解散が決まって吹っ切れたのか、前作の難解さが嘘のように開放的で爽やかな作風へ方向転換した。頑なに固定していたそれぞれの担当楽器も今作ではあっさり交換し合い、「スーパーノヴァ」ではとうとう楽器編成から変更(喜多がボーカル、後藤がベース、山田がキーボード、伊地知がドラム打ち込み)している。先行シングルの「星座になれたら」は高校時代に制作されて温存されていた曲らしいが、思いっきりシティポップ風のアレンジが施されて原点回帰感はまるでない

 

そんな風にアレンジやメロディは開放的で自由になった一方、歌詞はそこまでポジティブじゃない。後藤は伊地知の脱退に最後まで反対していたとされており、脱退及び解散が覆らないのが相当ショックだったのか今作では淋しさや哀しみを滲ませた前作までとは別のベクトルで暗い歌詞が並ぶ。これまでもちょこちょこ作詞してた他の3人が2曲ずつ歌詞を書いてきたことで全編暗い歌詞になる事態は回避しているが、別にこれらの曲も暗くない訳ではなく結果的に今作は開放的だけどもの哀しいという珍しい手触りの作品になった。

 

個人的には最後の最後に完全に別のバンドになってしまった感じがして今一つ馴染めない(結局一番印象的だったのもストック曲の「星座になれたら」だったりする)ところだが、終わりに向かっていく美学というか、そういう感傷と美しさが同居している作品には間違いなく、ラストアルバムとしては綺麗にまとまったなと思う。

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