Re:あなたのそばで   作:KY

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久しぶり


その一

 目が覚めたら水の中にいることにまずツッコミたい。体は動くし何故か息苦しさも感じない。周りを見て見ると紫や赤などの毒々しい配色された機械的なものがありますね。とりあえずここから出ましょうか。

 

 体に力を入れて拳をガラスに当てます。そのまま関節を固定し、力をガラスに流すとガラスは砕け自由への扉が開きました。

 

 さっそく出ましょ…ヴォロロロロロ…ゲッホ!ゲホ!はい…ゲロリましたね。肺に入ってた不思議水のせいですねこれは。便利かと思いましたがこれはダメですね。あと少し血の味がするのもマイナスです。

 

さて、今わたしは裸族の仲間なので服を探しましょう。ん?なんか胸が重くて揺れているような…

 

 

私に素晴らしい双丘が出来てるはずがないのですが。

 

普通に女性になってますね。意味が分かりません。

 

そもそも、私に意識がある事もよく分かりません。

 

 意味が分かりませんが、次は服を探しましょう。幸運なことに寒くはないですが服は着た方が良いでしょう。おっ服が入ってそうなとこ発見。オープン…

 

「ここにいる人たちはこんなスーツで過ごしてたの?人類進化しすぎじゃない?」

 

 手首のボタンを押すとプシュと音を立てて中の空気が抜けて体にフィットする。こんな服なのに機能性は抜群にいいんのなんなの?何かと、ここの施設?は人類の技術力を超えているような気がするし。というか、私が這い出てきた場所も意味わかんない機械だらけでしたし。

 

 さらに付け加えるなら、この施設に人がいた痕跡がほとんどない。いくら技術が発達していたとしても、施設に人がいた痕跡というものがあるはずなのですが。全自動の施設でしょうか。全自動で私に何をしていたというのか。

 

うろうろ歩いていると開けた場所に出ました。

 

…なーんか見たことありますねここ。

 

 くっそ不味い水が満ちている場所ですか。嫌な予感しかしません。いやいやながら、装置を起動させ、この不思議水に沈んでいたものを取り出します。

 

「はい。予想はできてましたが、当たってほしくはありませんでしたね」

 

 目の前には磔にされた黒いロボットが現れました。外見はロボットですが、中身は全く違うことで有名な決戦兵器ですね。

 

「汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオン。感動する場面なのに、まったくうれしくありません」

 

 よく見ると、所々に傷つけられたネルフのマークがありました。どうやら本部ではなく支部のようです。おそらく無人のネルフ支部なので、本部で何かあった時のバックアップなのかもしれません。

 

 まぁ、そこにエヴァを隠し持っている時点で明らかにそれ以上の秘密がありそうですが。エヴァの姿についてはアニメや劇中に出ていない機体ですね。確か、無号機と呼ばれていたような気がします。

 

 何と言えばいいのでしょう…顔を覆うタイプの仮面や兜をかぶってる感じでしょうか。顔面に金属の装飾有りますし。

 

 十字架とは中々キッツイです。特にこの世界だと。角は二本で後ろに伸び肩パッドは付いてます。後は中身がまともだったらいいのですが。

 

正直、目をそらしていたのですが触れておきましょう。私の声があの素晴らしい声なんですよね。不思議水、またの名をLCLに映る私の顔を見て溜息を吐きます。

 

「私は何人目の綾波レイなのでしょうか」

 

 綾波レイ。エヴァンゲリオンという物語を語る上で切っては離せない存在。設定がアニメや劇場版で異なりますが変わらない点は彼女は人間ではないことです。

 

 人工的に作られた肉体に神の魂が入り込んだ存在、もしくは、定期的にメンテナンスをしなければATフィールドを保つことが出来ない存在か

 

私が外に出れていること、魂が人間の者であることから後者の存在だと思います。

 

「あれ壊したのはまずいですね」

 

 ある程度はメンテナンス無しでも行動できると思いますが、最終的には形を保てなくなります。普通に嫌なので、どうにかしたいと思います。

 

 この無人の施設でエレベーターに乗るという恐怖体験をすました後、データバンクを見つけたのでここの施設やよく分からないエヴァ、私についての情報を求めたわけです。

 

 結果から言うと私が欲しい情報はありました。ただ、その情報がちょっと洒落にならないものだったんですよね。

 

「ほんとに意味が分かりません。知ってる人が見たらドン引きですよ」

 

 では、情報を整理しましょう。まずは、私のことです。簡単に言えば綾波レイ型の欠点を補った改良型です。定期的なメンテナンスを無くし、より第三の少年と接触する期間を延ばすことが可能とありました。メンテナンスが不要というのは朗報です。元々、好意を刷り込んでいるくせにこういうところだけは頭が頭が回りますよね。シンジ君に喪失の苦しみでも味合わせたいのでしょうか。

 

 問題はどうやってメンテナンスを不要にしたのか。答えはATフィールドを自分で発生できるようにすることです。人間は微弱ですが自分の体を保つためにATフィールドを発生させています。しかし、それは認識されないレベルであり、使徒が使用するものほど強いものではありません。

 

 そもそも、綾波シリーズは特殊な個体ではない限りネルフで調整をしなければいけない存在です。まぁまぁ終わっていますが、そこは置いときます。要は、自分でATフィールドを展開できないのです。厳密に言えば、ATフィールドの発生に制限があるといわけですね。

 

じゃ、どうすればいいのか。ネルフのお偉いさんや科学者は考えました。

 

自分でATフィールド発生させればええやん!!と

 

そこで、なんで使徒擬きにしちゃおうと思ったんんですかね。

 

 ようは、私に使徒の断片を埋め込んだわけですね。使徒の肉体は残っている場合もありますので、入手自体は容易でしょう。適合するかは別ですが。当たり前ですが実験は中止。自動でダミープラントで生成された私に使徒の断片を移植し続け、失敗したら廃棄という結果になったというわけです。

 

使徒の肉片を複製できてる時点で可笑しいですね?

 

「成功作の私ですが、まったく嬉しくありません。絶対ろくでもないことに使われる」

 

 使徒との交配なんて、よくそんなことに許可が出ましたね。アニメ版のセカンドインパクトと同じ状況ですよこれ。まぁ、親と子という違いはありますが。後、ロンギヌスの槍もないですね。

 

 

 意図的にインパクトを起こそうしたのか、それともそれに準ずるインパクトのために用意されたのか。そこらへんはわかりません。わかっていることは、私は使徒とのハーフであり、生命の実を持ちうる存在です。綾波レイ型のクローンでもあるので、欠片ではありますが知識の実も持っているはずですが、とりあえず、インパクトが起きる傾向はないです。

 

これエヴァ乗った瞬間に覚醒しますね。終わりです。

 

「きっと、私は何かのきっかけに過ぎないのでしょう。そうでなければ、あのエヴァの存在がわかりません」

 

このエヴァンゲリオンも存在がおかしいです。こんなのスパロボのラスボス枠だと思います。

 

 あのエヴァは、私と同じく使徒から製造されたエヴァンゲリオンでした。簡単に説明すると使徒をつなぎ合わせたキメラのようなエヴァンゲリオンです。

 

…まぁ、素直な感想を言うならば何をしてやがってんですかと言いたいですね。

 

 ただでさえ、エヴァンゲリオンという兵器はよく分かっていないものであるのに、さらによくわからない使徒を使用するとか馬鹿なんですかね?それで一回失敗してるのですが。

 

 ただでさえ、生命の実を持つ使徒を複数て…。科学者は頭わるわるでしょうか。良く分からない人に説明しますと、無限にエネルギーを発生させる機関を複数積んでいる見た目は普通サイズの機体です。もうこれダメでしょう。

 

「まぁ、私を運用する時の機体ですよね。普通のエヴァなんて乗れたものじゃない」

 

即インパクトですね。ついでにこのエヴァンゲリオン誰が乗るんですか?私ですね。

 

「後、使われている使徒が問題ありすぎです」

 

 使用された使徒の識別番号から私が今いる時代は、第10の使徒が殲滅された後であることがわかりました。正直言って、最悪です。娯楽はないし、どこまで行っても浄化された大地と海が広がるばかりです。第三村などの生活区域はありますが、部外者である私は入ることができないでしょう。

 

 ニアサードインパクトが発生した後なら、無視できないものがあるんですよね。そうです。この大地や建物が赤く染まっている原因、L結界があることです。

 

 L結界というのは簡単に言うと、人が生きていけない穢れ無き世界にするための機構ですね。人間はおろか、建物でさえも侵食していき、赤いコアと同じようにしてしまいます。それを除去することはできますが、それもまた未知の機械であるので、難しいところがあります。

 

 私に関しては、人間ではありませんのでL結界は効きません。それはそれで、人間ではないことの証なので複雑な気分です。まぁ、私は使徒の断片が入っている時点でお察しですが。

 

「まぁ、何とかなるでしょう。これはそういう物語ですし」 

 

結末を知っているというのは気が楽でいいですね。

 

 

 では、探索を続けましょう。またしても、無人のエレベーターに乗り、地上と思われる場所に出ることができました。エレベーターの扉が開くと草原が広がっていました。どうやら、ニアサードインパクトは発生していないみたいです。ふと、独特な駆動音が耳に入り、後ろを振り向きました。

 

ドン引きしました。

 

「…うわー…」

  

 そうです。めっちゃ刺さってるのです。封印柱というのは使徒やエヴァを文字通り封印する為に用いられるものです。ロンギヌスやカシウスより大きく力は劣りますが、量産可能なのでよくネルフやヴィレで使われてました。それが、数えるのが億劫になるほど刺さってるんですよね。

 

「どんだけ封印したいんですか?というか、ここまでするなら実験しないで欲しいです。」

 

 

 おそらくは、封印柱の力でなんとか力を弱めて、綾波レイに組み込むみたいな計画だったのでしょう。ほんとに終わってますねゼーレとかいう黒幕は。というより、あれL結界を防いでますね。よく見れば遠くの方にエヴァンゲリオンインフィニティがうろついてます。

 

「シンジ君の罪はそのままですか。まぁ、そうしなければ原罪を背負って人類滅亡ですけど」

 

 あのエヴァがいるとこまで戻ってきました。別にやることもないんで、このエヴァの構造とか、コンセプトとかを調べてみましょう。

 

「なるほど?リリスの契約を履行するのはいいが、神殺しを諦めたくはない。そこで、裏死海文書にないエヴァンゲリオンを製造したは良いものの、それはサタンと呼ぶべきもの。そして、そのエヴァンゲリオンは人が神を下し、その御体を使用した。神殺しと悪魔の意味を持たせた。…この説明の記憶消したいのですが」

 

 だって、この説明の通りなら、ゼーレは神を製造したということですよ?しかも、元々存在していた神を殺して手に入れた肉体を使用して。

 

 アダムスとかはまだ人間が利用できる範囲です。あれらは神が人間に与えたものですし、アナザーインパクトのためには必須です。

 

にしても、神そのものを製造とは。しかも、神を殺すためだけに。頭おかしいです。

 

 とは言っても、人造の神様を造れようがエヴァであることに変わりはない。パイロットがいなければ動かないんですよねこのポンコツ。ゼーレお得意の自立制御とか全くできなかったあたり、相当ですよね。

 

しかも、このエヴァ…あり得ない副産物が付いてきたんですよ。だから、自爆させて廃棄にならなかったと。

 

「なんと言いましょうか。人類補完計画の完成形ですねこれ」

 

 永遠不変の肉体とでもいいましょうか。それを造ってしまった。とは言っても、誰もこの完璧な肉体になれる訳ではない。永遠不変なのはあくまでもエヴァであって、パイロットではありません。どうにかしてパイロットも永遠不変のものにしなければなりません。

 

 そのための、エヴァのシンクロシステムなのですが、神のコピーであるならまだしも、その直属の子孫とのシンクロなんて、精神崩壊しない方がおかしいです。

 

 このまま廃棄するのにはあまりにもったいなさすぎるため、代わりの効く綾波シリーズでパイロットを製造しようという感じですか。相変わらずの闇ですねゼーレは。

 

「まぁ、このエヴァに乗ることなんてほとんどないでしょう。第一、封印されているという説明でしたし」

 

…本当に封印されているのかは分からないですが。

 

 エヴァには乗らないと言ったものの暇ですね。特に何をするというわけでもないので。今がどのような時間軸なのかさえわかりません。ヴィレが結束したのか。加持リョウジは生きているのか。何もわかりません。

 

「まぁ、私は特に物語には関係ありませんから、適当に過ごしましょうか」

 

この世界は主人公が何とかするでしょう。

 

なんて、よーし寝るかなんて思っていたら上で轟音が響きました。爆発音ですねこれ。

 

「平和なんてなかった。というか、どっちですかね?」

 

 この轟音を鳴らしたのがネルフであるのなら、まだ大丈夫です。碇ゲンドウがエヴァとか私を利用しようと考えるので命はあります。ですが、ヴィレの場合はお祈りですね。危険分子として殺されるか、良くてDSSチョーカープラス爆薬たっぷりの独房で飼い殺しです。

 

「ネルフもネルフでろくでもないですし」

 

というか、私にDSSチョーカーつけたら、首吹っ飛びません?

 

 DSSチョーカーとはエヴァパイロットが暴走し、覚醒状態へと移行した場合に強制的に覚醒を阻止することを目的した代物です。簡単に言えば、パイロットの命で人類の生存権が守れるので使わない手はないよねって話です。

 

 また、このDSSチョーカーは使徒にも反応するのですが、私にとってそれが問題ですね。嫌ですよ。即首輪付けられて、バーンなんて。折角、自意識を獲得したのですから、もう少しこう…。優しさとかそういいうものをですね?

 

「まぁ、DSSチョーカーを付けてくれるだけでも、十分優しいのですけど」

 

基本銃殺だと思うんですよ。こんな危険分子。でも、ヴィレのトップはそういうのに弱いので頑張りたいですね命乞い。

 

「というか、ここにL結界の除去装置的なのあるのですから、ヴィレが来ないわけないですよね」

 

 そうこうしているうちにエレベーターがここまで降りてきました。取り敢えず、隠れますか。操作盤の下に潜り込んで、膝を抱えてすみっこぐらしをしましょう。

 

 エレベーターの扉があくと同時に、武装した人たちが流れ込んで来ました。全員アサルトライフルのような武装していますね。殺意がすごいです。色々な指示を飛ばしているのが聞こえますが、やっぱりこのエヴァについての報告が一番多く飛び交っています。

 

 にしても、極秘中の極秘であるべきエヴァや私をよく見つけましたね。そういうのを見つけるのが得意な人がヴィレにはいたと思ういますが。そもそも、赤い大地の中で草原は目立ちますし、あんなに封印柱が刺さっているに目立たないわけないですね。

 

「そこにいるのは誰だ!!出てこい!さもなくは撃つ!!」

 

あっ。見つかりましたね。まぁ、こんな人数不利でのかくれんぼなんてくそげーですよ。

 

 取り敢えずは操作盤下から出ましょうかね。顔見た瞬間、眉間を撃ち抜かれそうな気がしますが恐れず、声のした方へ視線を向けましょう。

 

 視界に飛び込んできたのは複数の銃口が私に向けられている光景でした。殺意がすごい。ふと、腕を見ると青いスカーフが巻いてあります。やっぱりヴィレでしたか。

 

取り敢えずは無言を貫きましょうか。喋った瞬間鉛玉が飛んできそうです。

 

「突入部隊より、司令部へ。綾波シリーズの個体を発見しました。敵対行動は見られず」

 

『了解。直ちに拘束及び身柄を本部の調査班へ回せ』

 

「了解。おい。両手を頭の後ろに組んで、膝立ちになれ」

 

 どうやら、拘束されて調査されるみたいですね。まぁ、こんな怪しい人物を調査しないわけがない。適当に従っておきますか。DSSチョーカーが反応したら反応したでどうにかしましょう。

 

そういう訳で、私は拘束され、簀巻きのような状態でドナドナされました。あーっとこれだけは言っとかないと。

 

「あのエヴァを調べるなら目覚めないように気を付けて下さいね」

 

「口を開くな!」

 

 殴られました。まぁ、忠告は聞いておいた方がいいですよ。人ならまだしも人外の言葉なんですから。

 

 

「艦長。物資の回収とネルフ支部の鎮圧が終わったわ。しかも、思わぬお土産付きでね」

 

 金髪の女性は作戦の終了を報告する。その顔は作戦が無事に終わったことや大きな収穫があったことで、いつもより明るいものだった。

 

「そうみたいね。現時刻を持って作戦終了とする。各員は第二種警戒態勢へ移行。回収したものは直ちに調査班へ回して。私と副艦長も同行する」

 

 そう艦長と呼ばれる女性は言い放ち、座椅子へ腰を下ろす。金髪の女性と異なり、彼女はどこか複雑な表情をしていた。

 

「思いがけない拾いものをしたものね」

 

 副艦長、赤木リツコはモニターに映る少女を見て呟いた。モニターに映る顔は前の組織に所属していた時に何度も顔を合わせた。だけど、あの子ではない。同じく場所で生まれ、同じ用途で使用されるはずであるが、あの少年にお熱だったあの子ではない。絶対に違うのだ。

 

「彼女はネルフなのかしら?」

 

 艦長、葛城ミサトは問いかける。現在、彼女はネルフに反旗を翻し、ヴィレという組織でネルフ殲滅を目的として行動している。

 

「愚問ね。ただ、初期ロットであることは間違いないわ。少なくとも、受け答えはできるみたいよ」

 

「そう。なぜ今更、初期ロットを」

 

「さぁ?私たちの元上司の考えは分からないもの」

 

「…少なくとも、人類にとって良いものではない。そこは変わらないわ」

 

「…えぇ。そうね」

 

 少しの間、静かな時間が流れたが、緊急の報告及び警戒を示すアラートが鳴り響いて、艦内は慌ただしい様子を見せる。

 

「どうしたの!?」

 

『未確認のエヴァンゲリオンが動き出しました!』

 

「なんですって!?」

 

「そんな、まさか!自立制御!?いや、あのエヴァに限ってはありえないわ!?」

 

騒然とするミサト達に冷静でどこか機械的な声が響いた。

 

『だから言ったでしょう。目覚めないように気を付けてくださいと』

 

綾波シリーズの一人とされる彼女は監視カメラを向いている。それがどこか、ミサト達の知る綾波レイとは異なるものを持っていることを直感した。

 

あぁ、この子、人間じゃないと。

 

 

何よりの証拠が、先ほどまで彼女を取り囲んでいた特殊隊員が地面に伏せているのだから。

 

『さて、どうしますか』

 

綾波レイのようなものは問いかける。

 

『あれ止めるなら止めますよ。私はどうでもいいので』

 

綾波レイにはなかった、青い瞳を携えて。

 

 さて、面倒なことになりましたね。あの謎のエヴァンゲリオンが勝手に動いていることについてですが、簡単に言えば私を探してますね。めちゃくちゃ共鳴みたいなのしてます。というわけで、あれを止めるために色々行動しようとしてるわけですが…。

 

「そんなことを許すわけないですよね」

 

 エヴァンゲリオンに人生や家族をめちゃくちゃにされた人が多いヴィレの職員。全力で止めに来ます。敵ではないので適当に無力化しておきましょう。人外パワーで何とか出来てしまうあたりやべーですね。とりあえず、監視しているであろう上官の人たちに言葉は伝えたので、さっさとあのエヴァを止めましょうかね。

 

「あれ、下手したら何もかもを終わらせますよね。シナリオとか関係なしに」

 

綾波レイのようなものは急ぎ足謎のエヴァンゲリオンの元へ向かっていく。

 

 

 金属がぶつかり合う音が辺りに響く。一際大きな音が響くと二つの影が赤い大地に落ちる。二つの影はそれぞれ、赤とピンクの装甲を持ち、手に武装が握られている。その2機の視線の先には黒い機体がいた。十字架をその顔に貼りつけていてもその佇まいは決して罪を受け持った者ではない。

 

 その黒い機体はただ歩みを進めている。2機の攻撃に対して、対応はするが自ら攻勢に移ることはない。何かを探すように黒い機体は歩みを進める。その歩みを止められる者はこの場にはいなかった。

 

「どうなってんのよ!こいつのATフィールドは!?硬すぎでしょ!?さっきから一撃も有効な攻撃与えられていないんですけど!?」

 

「しかも、ATフィールドが強いだけじゃなくて本体の身体能力もどうかしてる…!AA弾を手刀で切るって五右衛門か!」

 

 そう愚痴を言い合いながら、黒い機体と接敵するのはヴィレに所属しているエヴァンゲリオン2機とそのパイロット。

 

エヴァンゲリオン改2号機と式波・アスカ・ラングレー。

 

エヴァンゲリオン8号機と真希波・マリ・イラストリアス。

 

「あっいいこと思いついた」

 

「…何よ」

 

 アスカは長年の経験からろくなことじゃないとわかっていたが、一応聞いてやることにした。

 

「姫は上から私は下から攻める。多分、二人で中和しないとあのATフィールドは破れない」

 

まるで、あの時の使徒見たいだにゃー。

 

「…裏コードは?」

 

「ダメ。もし、あのエヴァに敵認定されたら、即お陀仏よん?」

 

「ちっ!あーもうめんどくさい‼宇宙から帰ってきたばっかりなんですけど!?」

 

「オフ中だったのに、未知のエヴァンゲリオンが見つかったんだから仕方ないニャー」

 

 二人は騒ぎながらも、作戦を進めていく。エヴァ2号機は残骸を伝い、高所へ。8号機は謎のエヴァンゲリオンの正面に構える。

 

「カウント」

 

「3…2…」

 

『待ってください』

 

「は?」

 

「ニャッ!?」

 

 

 カウントダウンが終わる前に、誰かの声が響いた。二人にとってどこかで聞いたことのあるような声だった。だからこそ、警戒した。

 

「綾波型…初期ロットか」

 

「何故ここに?」

 

 2人のカメラアイは自分たちの背後から歩いてくる綾波レイと思わしき存在を映していた。そこで、謎のエヴァンゲリオンが動きを見せる。

 

「っ姫!」

 

 2人は防御態勢に入るがそれを謎のエヴァンゲリオンは無視。かの機体が向かう先は綾波レイの元だった。綾波レイの下に跪いて、彼女を手に乗せる。そのまま、立ち上がり、アスカとマリの二人と向き合う。

 

「とまぁ、このように私を探して彷徨っていたみたいです。私ごと拘束すればこのエヴァンゲリオンも機能停止しますよ」

 

『『信じられるか!!』』

 

「ですよねー」

 

まぁまぁとなだめながらも、少女は首元のDSSチョーカーを見せる。

 

『…で?あんたはどうしたいわけ?』

 

 赤い少女は警戒したまま謎の少女に尋ねる。DSSチョーカーを付けていたとしても自力で独房を抜け出し、その間にDSSチョーカーを起動させられていない。そんな存在を警戒しない方がおかしい。

 

「どうもしませんよ。この機体をどう使おうが私は知りません。私自身、なんらかのバグのような存在なので」

 

 肩をすくめてそんなことを言う彼女は記憶にある少女とは似ても似つかない。正直に言って自分達だけでは、判断がつかない。自分の言い分では強制停止信号プラグを打ち込むのかが良いと思っているが。

 

『ミサト。こう言っているけどどうする?』

 

『正直言って、放置できないし、かと言って手を出すのも悪手だと思うニャー』

 

『…現時刻を持って、対象のエヴァンゲリオン及びパイロットを隔離。こちらの指示に従わなければ…分かっているわね?』

 

「ええ。馬鹿な真似はしませんよ。ほら、お前も暫くは眠りなさいな」

 

 少女がそういった瞬間、無号機は活動を停止する。馬鹿げた出力をしていたATフィールドも今はどこにもない。

 

『…ほんとにこれでいいのかしらね。』

 

『神殺しの力…それだけでは足りないこともあり得るもの』

 

『何を殺すというのかしらね』

 

そんな会話をよそに少女は機能停止したエヴァの手の中でため息をつく。

 

「…全く、早々に死にそうになるなんてついてませんねぇ」

 

何処までも彼女はこの場所では異質だった。

 

 

 

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