Re:あなたのそばで 作:KY
さて、主人公の登場です。私が行くまでもなかったですね。胸に空洞が開いたままなのは少し、見栄えが悪いですね。コアで埋めましょうか。使徒と人の中間とはよく言ったものです。
彼の言葉もゲンドウ君を止めることはなく、エヴァ第13号機に乗り込んでいく。
「ガフの扉の向こうはマイナス宇宙…私たちには手出しができないわね。残念ながら、ヴィレレには補完計画を止める術はない…万事休すね」
「ミサトさん…僕がエヴァ初号機に乗ります」
「綾波が消えた帰り道、加持さんに教えてもらった土のにおいがしたんだ。ミサトさんが背負っている物半分引き受けるよ」
「そのためには、碇ゲンドウと戦うことになるわよ」
一度目を閉じ考えをめぐらす碇シンジ。そして瞳を開く。
「僕は僕の落とし前を付けたい」
ミサトさんからDSSチョーカーを渡され、それを首に着ける」
「ちょっとやめてよ!!冗談じゃない…まさかエヴァに乗せるつもりじゃないでしょうね…」
横からそんな彼らを非難する声が響く。ミドリだ。
「こんなことになるんじゃないかって思ってた…。艦長!この状況なら無条件発砲許可でしたよね」
銃を構えながら、恨みがこもった目でシンジを射抜く。おや、割と覚悟が決まっていますねミドリさん。まぁ、それもろうですか。家族を奪われた仇、髪色が変わった原因そのすべての元凶が目の前にいるのですから。
だから、と言って傷つけるわけにもいけないんですよねぇ。シンジ君はこの世界を終わらせるために必要な存在ですから。
「疫病神!あんたが起こしたニアサーのせいで私たちの人生めちゃくちゃよ!あんたら親子だけは絶対に許さない!」
銃声が響く。
しかし、私のATフィールドによってはじかれる
「邪魔しないで!」
「いいえ。命は全部拾えと言ったのは貴方でしょう」
「うるさい!お前も同じでしょ!」
「うっ…まぁ、そうですね。人外が人を説得するのもおかしい話です」
銃弾が数度、打ち込まれる。ATフィールドは張らない。腹部に銃弾を受けるが特に支障はない。
「あんたがアンタらが私たちの人生をめちゃくちゃにしたんだ!なのになんで…!守られているのよ…!!」
「彼は子供です。大人になりかけですがね。貴方が言うニアサーの現実も受け入れ、償う決意をもうしている」
「だからってエヴァに乗せる気!?」
「エヴァで起こしたことエヴァで解決する事に矛盾はありません。ただ…」
「それを気持ちが許すかは別として」
もう一方から銃弾が飛び、ATフィールドが火花を散らす。
「碇シンジはエヴァには乗りません!シンジさんはエヴァに乗ってみんなを不幸にして自分自身も不幸になったんや!だからもうエヴァには乗らんのです!」
シンジはレイよりも前に立って言う。
「いえ、サクラさん。僕をエヴァに乗せて下さい」
それはとてもやさしい声だった。懇願するような認めてもらいたいような…私の前に立つこの少年はもう人の気持ちを理解しようとすることができるようになった。だからこそ、ATフィールドの後ろに居ることはない。
私もお役目御免ですかね。
「無茶言わんといて碇さん!怪我したらもう乗らんで済みます。痛いですけどエヴァに乗るよりはマシですから我慢してください!」
銃声が響く。ATフィールドは張れない。故に身体で受け止める。
「うっ…レイ!」
「あら、すみません艦長。貫通して当たったみたいですね」
「ミサトさん、綾波!」
大丈夫ですよこれくらい。人の身は脆いですが、思っているよりもしぶとい事を学びましたからね。
「いいんですよ。14年前にシンジ君が初号機に乗っていなかったら、そこでは物語は終わっていました。そうですよね。艦長」
「そうね…シンジ君がとった行動の責任は全て私にあります。現在も碇シンジは私葛城ミサトの管理下にあり、これからの彼の行動の責任も私が負うということです!」
「私は今のシンジ君に全てを託してみたい」
「そうや!碇さんは恩人や!せやけど、うちらのおとーさんもニアサーで消えてしまったんやぞ!碇さんは恩人で仇なんや!」
一発の銃弾が看板を叩く。
「もういい!もういいよサクラ…明日を生きる事だけを考えよう」
「もうぅ…!なんやなのぉ!」
ヴンダーの光の翼が止まる。
「メンゴ!準備に手間取ちゃった。さぁ、いこう!わんこ君!」
エヴァ8号機ですか。この機体も大分グレーですよね。オーバーラッピング仕様でマイナス宇宙でも行動可能な機体とは
「弾はすぐに溶けます。今、応急処置してますから」
「大丈夫よ。少尉」
応急処置を受けているミサトに、プラグスーツに着替えたシンジが近づく。
「碇シンジ君。父親にできることは肩をたたくことか、殺すことだけよ。加持の受け売りだけど」
「ミサトさん。加持リョウジ君にあったよ」
「元気だった?」
「うん」
「そう…良かった」
「凄く良い奴だったよ。ちょっとしか話してないけど僕は好きだよ」
「ありがとう。必ずサポートする。頼むわシンジ君」
「うん。ミサトさん。行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
さて、私も私で動いてみましょうかね。ヴィレのクルーも動き出しました。
「ちょっと」
「おや、何ですか北上さん」
動き出しながら、私の腕を拘束する北上ミドリ
「応急処置…受けてかないの?」
「生憎ともう人の身体じゃなくなったのでね」
「じゃあ思考まで使徒よりになったってこと?」
「いえいえ、私は私…魂までは変えられませんからね」
「そう。良かった」
「…ほう」
「アンタの戯言…嫌いじゃないから」
「それはうれしいですねぇ」
北上さんは銃を私のこめかみに突き付ける
「だから、ここで聞く。アンタは一体何がしたいの?」
視線は綾波レイに集まる。何故、彼女がここにいるのか。
「私は人類の肯定者であり、天使です。人類がどのような選択をするのか、見守り、何だったら、ちょっとその終わり方に便乗したいだけですよ」
青い瞳の綾波レイは言う。
「終わり方?」
「アディショナル・インパクト…そのインパクトによる補完に混ぜてもらおうと思いまして」
「アナザーインパクトではなく…アディショナル・インパクト?」
「そう。碇ゲンドウが最後まで槍を使わなかった理由です」
「やはり、黒き月を取り巻く事象は槍を温存させ、そこに届けるためだったのね」
「そう。たった一つの願いのためにですね」
「そんなのただのエゴじゃん」
「それが我々使徒をも葬り去る人類の力の所以ですよ」
誰もが押し黙る。人類の奇跡や知恵を今ここで発揮しようというのだから。
「私も私で行動しなければならないのですが、そろそろ、開放してくれません?」
「槍は二本とも碇ゲンドウが使い捨てるのよね」
「そうです」
「ならば、シンジ君が補完計画を止める術はない」
「そうなりますねぇ」
「何でそんなに悠長なのよ!?」
「槍なんて造ってしまえばいいのです。私や無号機を建造したのですから楽勝でしょう」
「私達で新たな槍を造れと?」
「そうね。この艦が乗っ取られていたときに見知らぬ槍を形成していた。ならば、ヴンダーを使って新たな槍を造ることも可能なはず…私はリツコの知恵とヴンダーの言霊を信じるわ」
「無茶言うわね。サンプルはさっきの発動データしかないわよ」
「リツコにはそれで十分でしょ」
「…そうね。やってみるわ。要は脊椎結合システムにありそうね」
「悪いわねマヤ。ぶっつけ本番でいくから」
「ノープロブレムです副長先輩。いつもの事ですから」
マヤは笑顔で答える。流石は修羅場を何度もくぐってきた人物だ。
「さて、北上さん」
「なによ」
「私は私で終わりを迎えてきます。後はよろしくです」
「…そう。どんな終わり方するのかは知らないけどうちらの邪魔はしないで」
「もちろん。むしろ助けるかもしれませんよ。天使のご加護とか」
「…もう、うちらには必要ないかもね。それ」
「それでいいのです。それこそが人間なのですから」
そう言って、私は飛び立つ。さぁ、向かうは無号機の所だ
「さて、いつまで封印されているのですか」
強制停止信号プラグを打ち込まれた無号機に向かって呼びかける。
「せいぜい止まっている機関は一機程度でしょうに」
レイはため息をつく。
「では、起きてもらいますよ。無号機。システムオーバーレイ。S2機関最大稼働開始」
ドクンっと心臓の音が響く。停止信号プラグに亀裂が入る。
『…うぉおおおおおおおおおおお!!』
「君の声、初めて聴きましたねぇ」
雄叫びの後、強制停止信号プラグが破壊される。
「S2機関最大数稼働状態を維持。リミッターを解除」
それぞれのS2機関が稼働し互いに贄とトリガーとなる。それが複数。
「お別れです。エヴァ無号機。貴方の持つ神殺しは私がやっておきますので」
無号機は槍へと姿を変える。
「人類に敗北した使徒が作り上げた最後の贈り物…使徒の槍…アポステルの槍とでも言いましょうか」
さて、終わりの時は近いですよ。
どんな結末を迎えるか楽しみですね。
ねぇ…碇シンジ君。