Re:あなたのそばで   作:KY

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お待たせしました。


その八

今日もまた、新しい日々が始まりました。ケンスケのところにシンジ君が帰ってきました。どうやら、綾波レイ(仮称)は上手くシンジ君のATフィールドを突破したみたいですね。アスカは横からネチネチ言ってますが、あそこから立ち直れる方がすごいです。

 

ダブリス…いえ、今は渚カヲルでしたね。彼が言ったように縁がシンジ君をつなぎとめた。友達や仲間っていいですね。リリンがなぜ繁栄したのがよくわかります。

 

「とは言いつつ、今日も今日とて便利屋出張店です。今日はどんな要件ですか」

 

「おっ!お前さんがケンスケの助手か!今日はよろしく頼むわ」

 

「鈴原トウジさんですね。これは…医療機器ですか」

 

「トウジでええ。そうや、古い機器なんやが、どうにも調子が悪くての」

 

「…このタイプの医療機器は初めてです」

 

恐らくは、全自動で外科手術や縫合を可能にする機器…。古いと言ってもハイテク機器ですねぇ。しかし、このタイプの医療機器はネルフ支部やヴィレにも置いてなかったですね。これは少し手間取りそうですね。

 

「どうや?直せそうか?」

 

「何とも言えませんね。直せはしますが、私以外がと言うと難しいかもしれません」

 

「…もしかして、今までも、わしらでも直せる方法で修理しとったんか?」

 

「勿論です。私に依存されても困るので。あくまでも私は手を貸すだけですよ。私はATフィールドという便利なものは使いますけどね」

 

「お前さん…そこまで考えとるんやな」

 

「トウジ達の方が考えてると思いますよ。今日一日をどう生きるかを。この村はいいですね。人が知恵を振り絞って、勤勉に働いて、生きている」

 

時代が時代なら、祝福を与えていたかもしれませんねぇ。まぁ、きっと彼等は必要ないと言うのだろうけど。

 

「そりゃそうや。この村で一生懸命じゃない奴なんておらん!いつか死ぬときまで繰り返していくだけや」

 

「勤勉ですね。…ふむ。ちょっと、こちらに。ここの配電盤を…」

 

ATフィールドを使い、配電盤を点検する。一部にショートしている部分を見つけた。ここからは手作業になりますね。

 

「ほう。器用なやっちゃな。助かるわ」

 

「ずるをしたんですけどね」

 

「でも、お前さんはわしらの方法で直すんやろ」

 

「そうでなければ意味がないですからね。はんだごて取ってください」

 

「ほい。にしても、シンジなぁ…元気になったようで良かったわ」

 

「まだ様子見が必要ですけどね。受け答えができて、動けるようになったのは良いことです」

 

はんだごてに苦戦しながらも、返答をする。難しいですね。ケンスケは素早くできていたんですが。

 

「そうさなぁ。…なぁ…シンジはよう頑張った。もうエヴァになんか乗らんでもここで生きていけばいいと思うねん。どうや?」

 

 どうでしょうねぇ。間違いなく彼は頑張りました。彼がエヴァに乗らなかったら、第三村は存在していないでしょう。ですが、彼が奪ってしまった物も確かにあるのです。

 

「それは彼次第でしょう。彼に罪の意識があれば、それを償う意識があればもしかすると」

 

「それとこれは別やろ。罪を償うのにエヴァに乗る必要はないんちゃう?」

 

「トウジの言う事も一理あります。けれど。ニアサーはエヴァによって起こされた。それを償うのは人の身だけじゃ辛いでしょう」

 

「シンジにそういうもんは背負わせたくないんやけどなぁ」

 

「その気持ちが彼に伝わってるのなら、問題ないと思います」

 

「そうかぁ?」

 

「そうです。だって」

 

私はバイザー越しにトウジを見る。

 

「友達とはそういうものでしょう」

 

「…お前さんの言う通りやな」

 

「ここに来てからの学びです」

 

 いいですよね、友情。私たちにも、そういうものがあれば良かったのですけどね。さて、後は封印柱の確認ですね。

 

 ここには第三村の防衛装置となる相補性L結界除去装置があります。これは世界がコア化してしまっているなかで、コア化を防ぐ機構です。無号機が保管されていた場所にもあったやつですね。

 

これが機能停止した時、第三村は終わります。コア化が進行し、全ての生命は一つに統合されてしまうでしょう。

 

「はい。外側からの封印柱のデータです」

 

「ありがとう。助かったよ」

 

ケンスケから預かっていた録画機器を渡す。

 

「いえいえ、L結界の外側には私が行きますよ」

 

「それでもさ。僕らは防護服があっても短時間しか活動できない。それに徘徊もいる中では尚更だ」

 

「徘徊…本当に徘徊しているだけでしたね」

 

「何もしてこない事はいいことだろう。…今はね」

 

「まぁ…そうですね」

 

「…ダメもとで聞くんだけど、あれの正体を知ってるのかい?」

 

「もちろん。…聞きますか?」

 

ケンスケに顔を向ける。彼は真剣な顔で頷いた。

 

「教えてくれ。KREDITの実験に役立つかもしれない」

 

「そうですか」

 

「あれは人類の成れの果てです」

 

「…」

 

「人類を新たな生命体に進化させる儀式…人類補完計画によって生まれるものです」

 

「それが中途半端な形で生まれてしまったのがエヴァインフィニティです」

 

「なら、…あれが元人間だというのか」

 

「私はあれをリリンと呼びたくないですね」

 

「ともあれ、あれをどうにかできるのは人の手には余ります」

 

「そうだな…ありがとう。教えてくれて」

 

「いえ。これは知るべき事です」

 

「因みに、君はどうなんだい?」

 

バイザー越しにケンスケを見る。先ほどと違い、好奇心に満ちた顔をしている。

 

「好奇心は猫をも殺しますよ?」

 

「嫌だな。いつまでも探究心を忘れないのが生きる力さ」

 

「減らない口ですね。いいですよ。私について話しましょう」

 

「まず、私は綾波シリーズの個体です。ですが、肉体は使徒の肉体が混じっています。なので、人でもなく、使徒でもない。そのため、L結界も効きませんし、ATフィールドを自由に使うこともできます」

 

「それは、君のことだろうけど少し違うだろう?」

 

「…鋭いですねぇ…そうですねぇ…私を表すなら、運命の敗北者ですかね」

 

「随分と詞的な表現だ」

 

「文字通りなんですけどね」

 

他にどう表現すればいいのでしょうか。私には分かりません。

 

「まぁ、君が何者であっても、僕らは受け入れるよ」

 

「ありがたいですね。もしかしたら、こんな世界になった元凶かもしれないんですよ?」

 

「ははっ。そうだとしても君は君だろう?」

 

「ありがとうございます。そう言ってくれて」

 

「お礼なら、次の仕事も手伝ってくれないかい?」

 

「もちろんです」

 

ありがたいものです。私を私だと言ってもらえるのは、やはり嬉しいものです。

 

 今日はヴンダーがピックアップに来る日です。…のはずですが、気づいたら、ヴンダー艦内に拘束されてたんですよね。挨拶をする間もなく、拘束具付けられて運び出されました。私は荷物ではないのですが。

 

「拘束具のままここまで来ましたが、説明はありますか?」

 

聞こえているかも分からない声を出す。リツコさん辺りは聞いていると思うのですが。バイザーに映像が浮かびました。…これは…

 

 

「エントリープラグ?」

 

「正解よ」

 

リツコさんの声が聞こえる。バイザーに映る景色は機械や配線が多くあるが、エントリープラグ内と似ていた。拘束が外され、手足が自由になる。

 

「そこは外部式主砲対爆隔離管理室…作戦終了までそこいてもらいます」

 

「ほんとに無号機を外付けの砲台にしたんですね」

 

ドン引きです。

 

「ベストを尽くしたわ」

 

「そうですか。それで…私は砲手ですね」

 

「理解が早くて助かるわ。艦長の砲撃許可がおりた際には…頼むわ」

 

「…大雑把ですねぇ。貴女らしくもない」

 

「悪いわね。時間が惜しいのよ。ぶっつけ本番でやって頂戴」

 

「また、出ていっても知りませんよ」

 

「その時は管理室もろともなくなるわ。大丈夫よ」

 

「天使の扱いが粗いですねぇ」

 

まぁ、それぐらいの距離感がいいのかもしれません。人と天使の関係というものは。

 

「しばらくは、ここに固定ですかね」

 

「そうなるわ。栄養等は適宜補給できるようにするわ」

 

しばらくは、シンジ君達の様子を見ることはできなさそうですね。…システム越しに盗聴でもしましょうか。できそうですし。

 

 

場所は変わって、ヴンダー管制室。そこではヴィレのクルーがそれぞれ食事をとっていた。

 

「…式波少尉を回収するのはいいですよ。でも何であの疫病神も一緒何ですか!?」

 

「ネルフに利用されるよりましだろう」

 

「エヴァ搭乗画策時には無条件発泡許可が出てます。今度は安心じゃないですか」

 

「そんなの言うだけ番長でしょう。艦長の結局、トリガーを引けなかった…今やその信用ナッシングなんですけど!」

 

 

「相手は子供です。躊躇も理解します」

 

「その子供のせいで私の家族皆殺しなんだけど!」

 

「ニアサーは結果だ。彼の意思じゃない。艦長も贖罪に心身を尽くしている」

 

「そうさな。加持が後を託した人物だ。ワシは艦長を何処までも信じるさ」

 

「みんな身内に甘すぎ。清めればいいと思っている…そんなわけないでしょ…!」

 

北上はポツリとこぼす。ニアサーのせいで家族を皆殺しにされた恨みは強い。例えそれが子供だとしても、罪は罪だ。そう考えるのが彼女だった。贖罪も個人の自己満足にすぎないとそう考えるのだろう。

 

『…なら、私はその身内に入ってますか?』

 

「はい?」

 

北上がデスクトップを見るとそこには、小さなウインドウが開いていた。

 

sound only

 

「…てっ敵襲ー!!」

 

『ひどいですねぇ。こんなに人類に貢献している天使は私だけですよ』

 

「そういうなら、こんなバックドアみたいなもの造らないし!」

 

『ここに一人でいても暇なんですよねぇ。話し相手なってくれません?』

 

「壁に向かって喋ってろ!」

 

『冷たいですねぇ。それはそれとして報告です。』

 

「少し自由にし過ぎじゃないですか!?」

 

北上は他のクルーに助けを求めるが首を振るうばかり。北上は身内に甘いという評価を改めた。

 

『さて、報告です。なぜ、私がこのようなことができるかというと、以前この艦を侵食したときに、系統図をパクったからです。指揮系統も強化済みで早々と乗っ取られることはないでしょう』

 

「爆破!爆破許可下さい!!これもう謀反でしょう!?」

 

北上は叫ぶ。

 

『とは言っても、この艦をどうこうできないです。今のように音声を届けることが精一杯です。それと、外部主砲について、ヴンダーの主砲担当に報告が』

 

「…私が担当だけど…」

 

『北上さんでしたか。では、報告を。外部主砲ですがこの砲塔強度だと1発撃つごとに30秒ほどクールタイムが必要です。安全性を度外視するなら、連発可能です』

 

「おっそっ!普通に袋にされて終わりじゃん!」

 

『ですが、そちらの主砲の数倍強いですね命中精度も私がいるので高いですよ』

 

因みに、副砲も撃てます。

 

『…まぁ、最悪、私ごと取り外せるのでそちらは安全だと思いますよ。ATフィールドも強くなってますし』

 

「あんたに命を預けるの嫌なんですけど」

 

『天使に預けるのは祈りだけの方が良いですよ。命は拾える分だけ拾います』

 

「全部拾え!」

 

『無茶言いますねぇ』

 

ぎゃーぎゃーと、続きそうで続かない会話…無駄としか言いようがない会話を聞いてヴィレのクルーは確かにやすらぎを得られていた。どこか、懐かしい気持ちになりながら。

 

いよいよ決戦の日がやってきました。ネルフ本部がセカンドインパクトの爆心地にたどり着いたようです。私はこの外部式主砲対爆隔離管理室に固定ですかね。

 

さて、ここからは第一種戦闘配置です。私も迎撃戦の用意でもしましょうか。

 

『全艦第1種戦闘配置にて発進準備。25分後に発進。各自作業は20分で終わらせて』

 

相変わらず無茶苦茶言いますね。できることはやっておきますか。

 

リンクスタート…シンクロ率安定。

 

外部ユニット接続率92%

 

「システム安定、オールグリーン」

 

「さて、神殺しに付け足された悪魔の力どれほどのものか」

 

まぁ、ろくでもない代物だろうけど。…現にS2機関作動中ですからね。

 

『おーい。そっちは準備終わりましたか』

 

『…勝手に通信してくんなし』

 

辛辣な対応の北上さん。まぁ、仕方ない部分もありますから。

 

『ボッチ同士仲良くしましょうよ』

 

『誰がアンタなんかと!てゆーかボッチじゃねーし』

 

『…一応武器は持っといた方が良いですよ』

 

『なに?盗撮でもしてる?』

 

『いえ、勘です』

 

貴女は彼に対して、憎しみを持っていますからね。それも正当な憎しみを。

 

『…邪魔しないでよ』

 

『…さて…どうでしょうね』

 

『そういうところ、ホント嫌い』

 

『まぁ、悪い結果にはならないでしょう』

 

『…なにそれ、勘』

 

『いえ、預言ということで。天使ですから』

 

場所は変わって、管制室。全員が作戦の執行を待っている。

 

「補機出力安定、主機、臨界点を突破。推力上昇、一千百六十万t」

 

「ジャイロコンパス起動中、操舵及び重力制御、問題無し」

 

「エヴァ両機射出位置に固定完了」

 

「外部主砲接続および主機の出力安定、S2機関は2機起動中」

 

「各砲への動力伝達、エネルギー流入問題なし」

 

「無人艦隊、全て発車位置に固定終了」

 

「ただちに、艦外作業を中断。非戦闘員は退避」

 

「第一種戦闘配置への移行完了しました。」

 

「艦長。全艦発信準備完了。いつでもネルフ本部に殴り込めるわ」

 

ミサトは覚悟を決める。その他クルーも同じ気持ちだ。

 

「了解。艦長より通達。これより本艦はフォースインパクトの不可逆的な阻止のために旧南極爆心地後に在留中のネルフ本部を強襲。儀式のトリガーとなるエヴァ第13号機無力化を目的とした『ヤマト作戦』を決行」

 

 

「これまでのすべてのカオスにケリを付けます」

 

「全艦、発進!」

 

さぁ、ここからです。気張って行きましょうか。

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