いつかの明日ココでまた   作:綾小路ぽん太

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想いとキセキと約束

 

 

かなた先輩が魔法少女みたいな格好に変身して遠くに飛んで行った後、沙花叉とあずき先輩そしてアエルっていう変なのと一緒に巻き込まれないよう離れる事にした。

 

 

「かなたん大丈夫かな……?」

 

 

「天使って言ってたけど、そんな素ぶり全く見せないもんだからてっきり設定だけかと思いましたよね!」

 

 

「さかまた設定って……」

 

 

あずき先輩がかなた先輩が飛んで行った方を見ながら話す。だっていっつもゴリラゴリラゴリラ! ってとこしか見せないじゃん! あと壁。

 

 

「かなたなら大丈夫だよ! ホロウィッチだもん!」

 

 

「まず、そのホロウィッチってのがねぇ……」

 

 

ここまで移動しながら聞いたけど、ホロキャスがなんやかんやしたら妖精の国ができて、そこに巻き込まれる人が居るから助けて欲しい! って頼んだのがかなた先輩だった? みたいな? 

 

 

あれ? でもさ……? と、思いポケットからさっきのボトルを取り出す。

 

 

「あ!? それは……!?」

 

 

「やっぱさっきかなた先輩が持ってたのと似てるなぁって思ったんだよねー」

 

 

「さかまたも? あずきもそうだと思ったんだよね……。ねぇ、アエルまだ説明してない事、あるよね?」

 

 

あずき先輩こっわ!? 圧が尋常じゃないって! 

 

 

「い、いやないよ! かなた以外にもルーナやみこ、マリンにシオンも戦ってるなんてそんな!」

 

 

「「いや、言ってるじゃん!」」

 

 

ホロウィッチってかなた先輩以外もやってたのかー、ってシ オ ン先輩も!!!?? ええ〜!! そんな魔法少女姿絶対見たいし撮りたいし常に家に置いときたいし、ふふん! って自慢げに魔法使うとこなんて動画でいや、生で見たいから沙花叉だってなりたっ!? 

 

 

「……ねぇ、アエル? 沙花叉もホロウィッチだったの……?」

 

 

そう言うとアエルは観念したかのようにうなづく。まぁ、ボトルがあるし他の人も変身してるならきっと沙花叉もそうだよねぇ……。でもこのボトルにそんな大事な事も全然知らないんだよなぁ。

 

 

「あれ? でもだったらさかまたは何でそのホロウィッチのこと知らないの?」

 

 

「そこなんすよねー。全っ然これっぽっちも知らないしー」

 

 

「クロヱは前の戦いの時みんなを守る為、ホロを限界以上に絞り出して戦ってくれたんだ……だからホロウィッチの事を忘れちゃったんだよ」

 

 

それでかー……いや沙花叉も死にたくないし、痛いのヤだしで逃げられたんなら逃げたと思うよ? でも、シオン先輩やおまけでかなた先輩とかが居たから戦ったんだろうしなぁ……。

 

 

「かなたんとさかまたがそんな大変な事に巻き込まれてたなんて……あずきちっとも知らなかったよ……」

 

 

「沙花叉も忘れちゃってた訳ですし。まぁ、それは置いといて。これからどうします?」

 

 

「お、置いといていいのかなぁ? えーと、アエル? 他のホロウィッチのみんなに連絡はしてくれたんだよね?」

 

 

「うん! すぐ来るって言ってたからもうすぐだと思っ!?」

 

 

 

タカ! クジャク! コンドル! タ〜ジャ〜ド〜ル!! 

 

 

 

突然の耳をつんざくような不快な音に両手で耳を塞ぐ。音の方を向くと空が燃えているかのように赤く、そこだけ切り取って別世界にでも繋がったんじゃないかと思えるような巨大になった悪魔の姿が遠くに見えた。

 

 

「ちょ!? あれホントにかなた先輩だけで大丈夫!? なんか見るからにやばそうなんだけど!?」

 

 

「ク、クロヱ……ッ!? め、目がまわるぅ……!」

 

 

思わずアエルを両手で捕まえ振り回す。あんなの相手に戦えってブラックすぎんでしょ、ホロウィッチ! やめてて良かったわーまじで! 

 

 

……いやでもなぁかなた先輩1人で戦ってるの沙花叉達の為だしなぁ……はぁーっ。アエルをあずき先輩に放り投げボトルを取り出し前に出る。確かこうだったよね? 

 

 

「ホロウィッチボトル! インフューズ!」

 

 

掴んだボトルは何も変わらずただ大声を出しただけに終わった。うわはっず!! 

 

 

「さかまた……」「クロヱ……」

 

 

「いや違うって! ちょい沙花叉も変身したいなーとか、元ヒーローが復活してーとかよくあるじゃん!? ねぇえ!?」

 

 

2人の微笑ましいような優しい表情がどことなく心にくる! アエルなんか泣いちゃってるしさぁ!? こういうのは沙花叉じゃなくてラプラスとかこんこよだって! 

 

 

視線から逃げるようにしゃがむと下に何か光る物が落ちてるのを見つけた。拾ってみると銀色のメダル? だった。あ、シャチだ。

 

 

「さかまた前! 前!」

 

 

「へ? きゃあああああ──ーっ!??」

 

 

顔を上げると全身黒タイツの上にボロ切れを纏ったのっぺらぼうみたいなやつがうじゃうじゃそこら中に居た。急にホラーになるのやめろっていつも言ってんだろ! 

 

 

「何、何、何!? こいつらどっから来たの!?」

 

 

「分かんないけど逃げるよ! さかまた、アエル!」

 

 

「らじゃー!! とその前、にぃ!」

 

 

目の前のやつの足をひっかけ転ばせてから走る。ふざけんなよマジでー……帰れ! 

 

 

再び逃げながら走り回っているとどうやら広場の周りから集まってきてるみたいで、駐車場や駅の方に繋がる道にも続々と集まってきているようで結局建物の中に隠れる事にしたんだけど、今も近くを歩き回る音が聞こえるし……やーちょっとこれやばいかもね。

 

 

 

「ねぇ、他の先輩達まだ来ないだけどホントに連絡した!?」

 

 

「ちゃんとしたよ! でももしかしたら外にもアレが溢れててここまで辿り着けてないのかも……」

 

 

だよねぇ……ここにもかなり居るんだから広場の外にもそれなりの数がでてそうだもん。あずき先輩も疲れからかさっき転けかけてたけど大丈夫だったかな? 

 

 

「あずき先輩大丈夫っすか?」

 

 

「そろそろ限界かも……痛っ」

 

 

「あずき先輩!?」 「あずき!?」

 

 

「ごめん。足やっちゃったかも……」

 

 

座り込んだあずき先輩の足首がやや赤く腫れているのが見えた。こうなったら覚悟決めるしかないかー……。

 

 

「あずき先輩。沙花叉が今からアイツら引き連れてここから出るんで、そしたらドア閉めちゃって下さい」

 

 

「さかまた!? でも、ホロウィッチにはなれないんだよ!? それにかなたんにお願いされたのはあずきなのに……!」

 

 

「そうだよクロヱ! 僕が治療の魔法を使えるからそれで足を治したらッ!?」

 

 

見つかったのかドアが揺れ、今にも壊れそうにミシミシと音をたて始める。せめてあずき先輩だけでも逃がそうと思ったのになー……。せめて、バットくらい欲しいけどないもんはない! 

 

 

「アエル、あずき先輩の足しっかり治しといてよー? ……任せたからね」

 

 

ほんと、人生ってそういうとこあるよねー。大変な事が起こって大事なもの全部奪われて壊されて無かった事にされるみたいなこと。

 

 

こっちはそれなりでもがんばって喰らいついて、必死に溺れそうになってもがいてるってのに諦めろって言ってんのかって事ばっかり! 

 

 

でもさ、楽して助かる命はないっていうしがんばってワンチャンあるかもって思ったらさ──ーっ! 

 

 

「さかまた! やだ待ってぇ──ーっ!!!」「クロヱー!!!」

 

 

 

「やっぱ、がんばっちゃうんだよなぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

駆け出すと同時にドアが破れのっぺらぼう達が倒れ込み雪崩れ込むように部屋に入ってくる。

 

 

変身もできない、武器もない。それがどうした!! こちとらホロックスのインターンで、かな建の副社長って立派な肩書きがあるんだから! こんな荒波くらい乗り越えなきゃ風向きも、世界も変えられない!!! 

 

 

思わず胸が熱く、熱く? あっつ!? 踏みとどまると、胸ポケットから光が溢れボトルとさっき拾ったメダルが飛び出す。光は強くなり、のっぺらぼう達も足を止め警戒するかのように見守る。目ないのに。

 

 

光が一際輝くとメダルが2本の剣に変わり、強かった光は徐々に弱く、けれど暖かな光をボトルに灯しながら沙花叉の元にゆっくりと落ちてきた。

 

 

「アレって……!? クロヱのオルカスロットエッジ!? ホロはなくなっちゃったはずなのにどうして!?」

 

 

アエルが驚いてるのを聞きながら手に取る。……うん、手に持ち馴染むけど分かる。

 

 

多分しばらくしたらメダルに戻っちゃう一時的なキセキなんだろうなってのが、ボトルの光が教えてくれる……あの時込めた『ホロ』と共に!! 

 

 

「荒波をゆく奔放の牙! 沙花叉クロヱ! ……なんってね!」

 

 

 

 

「やぁああぁああっー!」

 

 

両手にエッジを構え姿勢を低く重心を下げて地面を駆ける。すれ違いざまにのっぺらぼう達の足を切り、体が崩れたところで胸を、頭を手当たり次第に切っていく! 

 

 

「まだまだぁぁぁーっ!?」

 

 

オルカスロットエッジの持ち手のスイッチを押す! 

 

 

「クロヱ!? 生身じゃ危険すぎるよ!」

 

 

「アエルあれって何なの!? さかまたは何を!?」

 

 

「大丈夫だって! あずき先輩! ギャンブルは理屈じゃないってところ見せてやりますよ!」

 

 

スロットが回りまるで決まっているかのように数字がそろう! 

 

 

  7 7 7

 

 

「ほらね?」

 

 

のっぺらぼう達の足元に渦が現れ、1人また1人と吸い込む度に大きくなる。

 

やがて、部屋中ののっぺらぼう全てを飲み込み大きなシャチの形になった水に対して、オルカスロットエッジで宙を切るように振るう! 

 

 

シャッティングエンド!!! 

 

 

シャチの中で大きく爆発するも気にすることなくシャチは宙を舞う。やがて爆発が収まるとシャチの身体の部分が徐々にメダルになっていき、ファンファーレが響き渡るとスロットの当たり演出みたいにメダルの山が崩れていく! 最っ高に激アツじゃん! 

 

 

メダルの山に飛び込み手当たり次第にかき集め、それでもなお余りあるメダルに目を輝かせるとふと視線を感じ横を向く。

 

 

「「…………」」

 

 

涙目のあずき先輩とジト目のアエルを目にして思い出す。

 

 

「や!? 違うんすよ、これだけあったら沙花叉もまだ戦えるからかなた先輩の手助けになるなーって! うん、ホントですって! しんじて!」

 

 

「おい、さかまた」

 

 

「さ、さぁー! 足も無事治ったようだし、メダルも持ったし早いとこ行きましょー!」

 

 

入り口の方に向かい外を警戒しながら建物を出る。クリアリングもよし! 

 

 

「今んとこ居ないみたいだから出るなら今のうちっすよー! 早く早くー!」

 

 

そう言うとあずき先輩は困ったような、くしゃっとした笑顔で

 

 

「無事に帰ったらかなたんと沙花叉。2人ともお説教だからね」

 

 

「かっこ良かったし凄かったけど、クロヱが危なかったのは事実だからそうだね」

 

 

ぽえぽえぽえ〜? 沙花叉何のことか全然分かんないけど、考えないようにしとこう……! 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

建物を出て裏でに回るとまだ少し残って居たのかのっぺらぼう達が集まってきた。よーし、またいっちょやったりますかぁ……! 

 

 

オルカスロットエッジを構え歩きだそうとすると、うっ、と思わず鼻を抑えてしまいそうな臭いが辺りにする事に気づいた。さっきは余裕がなくて気が付かなかったけどもしかしてこいつら? うげーっ。

 

 

「あんたらちゃんと風呂入ってんの? ちょー臭いんで風呂くらいちゃんと入って欲しいですけど!」

 

 

「さかまたが言うんだ……でも、確かに何か焦げてる……!? 違う、さかまた空! かなたんが!!?」

 

 

空? あずき先輩が言う方を向くと、まるで空から星が落ちてくるかのようにいくつもの火が、中でもとびきり大きな炎をかなた先輩が、背中で受け止めやがて弾かれたかのように地面に落とされるのを見た。見てしまった。

 

 

「かなた先輩──ーっっ!!!」

 

 

「クロヱまだ炎がきてるよっ!?」

 

 

心で無理かもって思った時、あんなに暖かったボトルの光が徐々に小さくなっていくのを感じた。オルカスロットエッジもメダルに戻り思わず座り込む。こんなの敵うわけないじゃん……。

 

 

「さかまた──ーっ!!!」「クロヱ! あずき!」

 

 

迫る炎を前に、2人を抱きしめこの小さな光を絶やさぬよう目を閉じて祈ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライダーは助け合い、だったか」

 

タジャドルコンボ! エ〜タ〜ニティ〜!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

「あああああああ──ーッ!!?」

 

 

沙花叉……あずちゃん……アエルゥ……! 炎に巻き込まれた3人の名前をうわごとのように呟く、返事は帰ってこないのに。

 

 

たまらず溢れた涙で視界も滲む、炎の勢いは止まるどころか高く高くまるで天に登るかのように。

 

 

「……変身が…………」

 

 

ホロウィッチボトルにヒビが入り変身が維持できなくなったのか、元の姿に戻る。

 

 

ごめん。ルーナ、みこ先輩、マリン、シオン先輩、ラグ。

僕、もう戦えなくなっちゃったよ……。

 

 

痛む身体を、心を、未来を、考えないように歩く。せめて、ここで終わるならみんなと思い出の中で……? 

 

 

「何、これ……? こんなに近づいても熱くない……?」

 

 

炎に近づき思わず手を伸ばす。炎は僕の手を焼くことなく、まるで包み込むような暖かな光で傷を、心を、ボトルに入っていたヒビまで元通り傷一つない状態に戻してくれる。理解できないまま辺りを見回すと、信じたくなかった悲劇なんてまるでなかったかのような光景に再び涙が溢れる。

 

 

 

「あずちゃん……! 沙花叉……! アエル……! みんな、無事で、ほんとうに良かった……!」

 

 

 

みんなも傷一つなく、しっかり呼吸をしているのを確認しようやく冷静になって考えることができた。でもどうやって……? 

 

 

すると炎の壁がゆっくりと消えていき奥から、あのコラプサーとどこか似た姿だけど、よりかっこよくヒーローみたいになった姿の人? が暖かな光を、炎を、左腕に付いている盾に纏わせながら歩いてくる。

 

 

「もしかしてあなたが3人を助けてくれたんですか!?」

 

 

そういうと盾の人はうなづいてくれる。

 

 

「ありがとうございます! 3人は僕の大事な仲間で友達で……! あれ、今更だけどアエルも人で数えていいんだっけ!? 色々あって訳分かんなくなっちゃったけど、本っっっ当にありがとうございます!」

 

 

僕が混乱しながら盾の人に思いつくままに話すと、盾の人は怪物の方を指差しまずはあっちだと言わんばかりに顎で指し示す。

 

 

そうだった!? まだ戦いの最中だった! ボトルを取り出し構えると盾の人も隣に立ち怪物の方を一緒に見る。

 

 

「手伝ってくれるんですか!? ……なら! あの中に人が捕まってるんだけど、助ける為にはホロウィッチの力じゃないとだめなんです! 周りの羽をお願いできますか!?」

 

 

盾の人に伝えるとうなづきながら右手を前にし、静かにどこか舞うように構える。よし、僕も! 

 

 

ボトルを左手に構え右手を怪物にいや、あの人に届くように伸ばし、握る! 

 

 

 

 

ホロウィッチボトル! インフューズ!!! 

 

 

「諦めない! 何度だって!」

 

 

『天使』の『ホロ』魔法少女かなた!!! 

 

 

 

 

 

 

拳を握るとガーディアンアームに炎が灯る。いつもなら青い炎が出るんだけど、手元を見ると炎は赤く、時々朱が混じっているのか主張するように弾ける。……頼もしいね。

 

 

『アアアアアアアアアアアア────ーッ!!?』

 

 

 

「行くよ!」

 

 

翼をめいいっぱい拡げ、高く高く舞い上がる。

盾の人も少し後ろを飛びながら炎を飛ばして羽根を落としてくれてる。

 

 

あれだけ飛んでいた羽が一つも近づくことなく炎にぶつかり消えていく……凄い! これなら安心して! あっ……

 

 

「そうだよ……いつもはホロウィッチのみんなが居るから、僕が無茶しても手を掴んでくれるからできたんだよね」

 

 

1人で何もかもやろうとして危うく全部失くすところだった。

 

 

ありがとう名前も分からない盾の人。あなたがくれた希望があるからまだ飛べる、信じて、飛べるよ! あの人の元まで! ……全部終わったらあなたの名前を聞いてみたいな。

 

 

「盾の人! 僕、行ってくる!」

 

 

盾の人はうなづくと、盾を開き、メダルをはめ盾を閉じる。そのままベルトの横に付いていた何かを盾に当て、読み込ませるかのようにすると音が流れ声が響く。

 

 

『シャチ! ゴリラ!』

 

 

『ギガスキャン!!! 

 

 

盾から炎が出て、あの人に当たると纏わりつくように火が奔り動きが止まる。……その組み合わせには物申したいけど! 助かるから何にも言えない……! 

 

 

スピードをあげあの人の元まで行くと組んでいた腕の部分がメダルになっており、メダルの山の中で生身の手が出ているのが見えた! なら! 

 

 

「飛び込んで行くしかねぇだろぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……?」

 

 

目を開くと辺りは静かになってメダルの山もなくまるで別の場所に飛ばされたかのような白い空間だった。

 

 

周りを見渡すと空中に映像が現れ、何かの映像が流れ始める。これって……

 

 

「盾の人? 仮面ライダーオーズって言うんだー……でも、何で映像に?」

 

 

映像はいくつも現れ、まるで一つの物語を再生するかのように流れる。

映像が流れて行くうちに黒いもやがかかった部分の動きが人みたいだなと思い周りを見渡すと、まるでそのもや……オーズが中心の話であるかのようにどこの画面にも居た。

 

 

『楽して助かる命がないのは何処も一緒だな! 変身』

『いけますって! ちょっとのお金と明日のパンツさえあれば! 

『人の命よりメダルを優先させるな! でなきゃ……2度と変身しない!』

『彼女達みんな一緒に助けあってる……家族だよ』

『これは欲望を満たす質問なんだろ? 俺の欲望はこれくらいじゃなきゃ満たされない! 

『違う。お前のメダルじゃない……アイツのだ!』

『どんなに遠くても届く俺の腕! 力……! もっと……もっと!』

 

 

僕が映像に釘付けになっていると、ひとつの映像が黒くなっているのを見つけた。

 

 

「ちょ! 今良いとこだっ……たのに!?」

 

 

ひとつ見つけるとまたひとつ、ふたつ、みっつと徐々に黒い映像が増え、やがて全ての映像が止まり、まるでそこに確かにあった物語を黒く塗り潰したかのように見えて身体が震える。

 

 

黒い映像から目をそらし後ろを向くと子供が座って居て心臓が飛び跳ねる。びっっっっっくりしたぁ!! ほんっとやめてよ、そういうの! 

 

 

その子は僕にも目をくれず、床に落ちているメダルを集めているようだった。

 

 

「君がユメオチしちゃったあの人……なんだね?」

 

 

僕の声がとどいていないのかメダルを集めながら呟く声が聞こえる。

 

 

「いつかのあした、オーズがアンクにあえたときのためにぼくがメダルをあつめてあげるんだ」

 

 

「ほかのこはつぎのライダーのおはなしばっかりだし、べつのこはライダーなんていつまでもみてないってきらいになっちゃったみたい」

 

 

「ぼくだけがおいてかれる……」

 

 

「明日やっと続きが見られるんだって! え、なんのって? オーズ! オーズだよ! いつかの明日がようやく見られるんだって!」

 

 

「懐かしい……? 覚えてない……?」

 

 

「私だけなの? ずっと待ってるのは……」

 

 

小さかった少年のような姿から髪や背が伸び高校生くらいの姿になりながら話すその子に、想いに触れ思わず涙が溢れそうになる。

 

 

「オーズが、本当にずっと大好きだったんだね……」

 

 

「そうだよ……だから! 尊厳を! 友情を! 願いを壊されて! あんな、1人で勝手に終わる悲しい最後なんて見たくなかった……! そんないつかの明日なら来て欲しくなかった!!」

 

 

今少し見ただけの僕でも惹かれた物語に、子供から大人になるまでずっと1人で抱え込んできた彼女に何も言えなかった。

 

 

「あなたには分かんないよ……ずっとキラキラ輝く場所で光続けてる……アンタなんかに!」

 

 

オーズ! 

 

 

懐から何かを取り出しその上に付いているボタンを押すと音声が流れる。まさかあれがアエルが言ってた……!? 

 

 

「だから、今度こそ、あたしが……ぼくが! オーズとアンクがいられるあしたをつくるんだー!!!」

 

 

その子の姿が再び大人から子供へ、自分の殻に籠るかのように、変わっていく。確かに僕にはその気持ちは分からないかもしれない……だけど! 

 

 

「君のおかげで! 僕もオーズに出会えた!!」

 

 

「え……?」

 

 

幼い頃の僕でも絶対にこう言う! 

 

 

「君に教えて貰ったから! 僕だけじゃきっとない出会いだった! だから! ありがとう!」

 

 

「く、くちだけならだれだって!?」

 

 

「過去も! 性格も個性も立場もきっと違う! ……そんな僕らだけど、オーズと君が繋いでくれた今があるから話せると思うんだ」

 

 

「ああっ……! あああああ!!」

 

 

握っていたウォッチのような物を手放し床に落とす。ゆっくり近づきながらそっと手を取り離さないように握る。

 

 

「ようやく君の手を掴めたね……話をしようよ。ゆっくりでいいからさ」

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと……大好きだったんだ。例え忘れられても理解されなくても」

 

「うん。聞かせて?」

 

「夢はオーズになるんだ! ってくらい憧れてたし惹かれてたんだ」

 

「憧れちゃったら仕方ないよ。それだけ追いかけたい、追いつきたいって思っちゃったら僕だって身体が動いちゃうもん」

 

「最終話の終わる時だってほんとは辛かった……。でも、いつかの明日があるから耐えられたんだよ……」

 

「お話が終わっちゃう時はいい終わりなら嬉しくもあるけど、どこか寂しい気持ちもあるよね」

 

「ずっと夜が明けないみたいに苦しいんだ」

 

「そう言う時は泣いたっていいんだよ……それは弱さなんかじゃない」

 

「10年だよ……いつかの明日がきたのが」

 

「10年は長いよね……ホロライブだってまだできてないし」

 

「あんな突然のお別れだなんて思わなかった」

 

「心が追いつかない、よね……それは僕にも分かる」

 

「たくさんの仲間が居るのに、手を取り合う大切さを分かってたはずなのに」

 

「……うん」

 

「つらい事や苦しい悩みなんてちっとも見せないで全部隠しちゃうんだ」

 

「信念がある人ってみんなそうなのかも……ずるい、よね」

 

「1人で、全部背負い込んで、一緒に、叶えたかった願いがあったはずなのに」

 

「……そうだね」

 

「あなたが叶えたかった夢が、折れそうだった、心を、支えてくれてたんだ」

 

「一緒に見たかったよね……」

 

「諦めたく、ない。認めたくない。信じたくない。でも、でも!」

 

「…………」

 

「本当に、笑顔を、勇気をたくさん貰ってたんだ……」

 

「頑固だし、抜けてるところもあるし、カッコいいところばかりじゃなかったかもしれない」

 

「でも、自分の事より他の人の事を優先しちゃうようなお人よしで」

 

「手を取って、助けられなかった事をずっと後悔しちゃうような優しい人で」

 

「誰よりもつよくて憧れた人だったんだ……」

 

「あなたじゃなきゃ、あなた以外じゃこの傷は埋まらないんだよ……」

 

 

 

 

「…………僕にもね? 大事な同期で、友達で、家族みたいなやつが居たんだけど、別れなきゃいけなくなっちゃった時があったんだ」

 

「アンタにも……?」

 

「立ち止まっていたかったけど、進むしか、歩き続ける事しか許されなかったんだ」

 

「え……?」

 

「僕はおまけとか着いて歩くだけのやつとか酷いこともたくさん言われてきたりしてね?」

 

「そんな事があったなんて知らなかった……」

 

「そんな声に負けてたまるか! って無茶ばっかりやってたら身体やメンタルももうボロボロになっちゃってね? あの時は流石に堪えたなぁ……」

 

「…………」

 

 

アイドル活動だけじゃない。このホロウィッチだって、良いことばかりじゃない。

 

 

戦いでみんなが傷ついたり泣いたりするのを見るのは嫌だ。沙花叉との思い出がひとつなくなっちゃたのも嫌だ。ホロキャス界を救う方法だってまだ見つからない。

 

泣いて塞ぎ込んで諦めたくなる事はたくさんある。でも……

 

 

「それでもこの声が、口が、喉が叫ぶんだ……まだ生きていたいって」

 

 

たとえ許されなくても愛されなくても信じられなくても、共に過ごした日々を時間を想いを色褪せる事なく思い出せる居場所が、歌えるステージがあるからここに居たいんだ。

 

 

「それって……?」

 

「あいつに……ココに伝えたくて、いやとどけたかったんだ。あの約束を」

 

「アンタも、なんだ……」

 

「いつかここでまた会おうって約束を……たとえ誰もみてない夢だとしても僕は、僕たちは信じてる!」

 

 

だから! 手を引っ張り肩を並べて君に伝える! 

 

 

「僕は君にも約束する。一緒にいつかの明日を迎えられるように何度だって話そう!」

 

 

「……あたしもまだ話したい事や、聞きたいことがたくさんある!」

 

 

「そうだね! 僕も……そういえばまだ名前も聞いてなかった!」

 

 

「あ〜……あれだけ泣いた後だし恥ずかしいから言わなくてもいい?」

 

 

「え〜!? そりゃないよ!?」

 

 

「冗談だって! あたしはね……の」

 

 

黒く塗り潰された映像に少しずつ色が戻り、まるで夜が明けるかのように周りを照らし、光輝く道を僕たちは歩く。一緒に繋いだ手の暖かさを忘れないように確かめながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

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