いつかの明日ココでまた   作:綾小路ぽん太

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魔法少女 ホロウィッチ 第3巻 

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君とキミたちとたった1つの願い

 

 

 

 

 

「かなたん……! 良かった! 目が覚めて……!」

 

 

地面に倒れていたのか目を覚ますとあずちゃんの姿が目に入ぐ、苦しいってあずちゃん! 

 

 

「ほんっとに心配したんだよ!? 目が覚めたらかなたん倒れてるし、このまま起きなかったらどうしようって……!」

 

 

抱きしめる力が強くなりより密着すると、あずちゃんの身体が震えてるのが分かる。たくさん心配させたし泣かせちゃったね……。

 

 

起き上がりながら辺りを見渡す。僕の変身も解けて元の姿に戻っててコラプサー……? でいいか、分かりにくいし。の姿はなくどうやら無事に終わったみたい。でも僕が地面に落ちた辺りや羽根が落ちちゃった場所も戦いがあったなんて思えない程綺麗なままだった……()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

いや、今はそれより……だよね。

 

 

「あずちゃん……ごめんね? いきなりだったし、何も言ってなかったからびっくりさせちゃたよね?」

 

 

「本当だよ! 謝ったってもう絶対離さないんだから……!」

 

 

「……うん、僕も何度だって謝るし許して貰っても離さないよ」

 

 

手を伸ばしても繋ぐ相手が居なきゃ、とどかない。だからこうして手を取り合って助け合うのが大切なんだって……大事にしなきゃね。

 

 

あずちゃんの手を取り目線をしっかり合わせる。さっきまでの戦いが嘘でまるで怖い夢を見ていたかのように思ったかもしれない。嫌な思いや危ない目に合わせちゃったのかもしれない。

 

 

僕は一緒にいる、ここにいるよと君に伝えたいんだ。

 

 

「かなたんのそういうところほんとずるいよ……!」

 

 

「あずちゃんになら見せたいって思ったんだ……」

 

 

大切な友達で仲間で離れたくない大事な……

 

 

その時、勢いよく僕の頭の上に腕を置かれもたれかかるかのような重みにおもわ、ず? いや重くない? 寧ろ柔ら、かい!? ちょちっちょちょーお!? 当たってるって!? 

 

 

「はいはい、ごちそうさまでした! 沙花叉置いていつまでもいちゃいちゃしないでもろてー」

 

 

まるでいたずらが成功した子供のようなにんまりとした笑顔にいつもならこ、こいつぅ……!? と怒るとこなんだけど……戦いの後いつも通りの姿にひどく安心する。決しておっぱ、や違うって! 

 

 

「いちゃいちゃはしてないって!? ねぇかなたん!?」

 

 

あずちゃんがやや顔を赤らめて沙花叉に言いながら、僕にも目線で伝えてくる。全くあずちゃんも沙花叉も分かってないな〜!! 

 

 

「あずちゃんはウチの社員で僕の女だから社長権限で問題なし!」

 

 

「かなたん!?」

 

 

「ちょっとー? ここにも可愛い可愛い大事な社員が居るんですけどー?」

 

 

そう言いながら、沙花叉が僕に覆い被さるようにより倒れてくるもんだから、いっつも口ではなんだかんだ言いながらも僕も大概甘いんだけど……それはそれ! これはこれ! 

 

 

「社長に乗りながら言ってんじゃないよ!」

 

 

「またまた〜! 嬉しいくせに……」

 

 

そう言いつつ退かない沙花叉に顔を見上げようとすると、あずちゃんにも頬を両手で抑えられた。なんでさ。

 

 

「沙花叉だって心配したんだからね……かなた先輩が守ってくれた時どんな気持ちだったか分かんないしょ?」

 

 

「分かんないって、おめぇなぁ?」

 

 

「あの時沙花叉が守りたかった先輩が、先輩たちの輝きが、なくなっちゃたって思ったんだから……!」

 

 

沙花叉……? それって!? 

 

 

「思い、出したの? ホロウィッチの事……?」

 

 

「あったり前じゃないっすか! ……っても沙花叉にもよく分かってないんすけどね? ねぇ、アエル? その辺どうなん?」

 

 

沙花叉がそう言うと、何処からかアエルの声が聞こえる。

見ようとしたんだけど前はあずちゃん、後ろは沙花叉で今挟まれちゃっててぇ〜!! ごめんねぇアエル! 

 

 

「クロヱはあの時確かにホロの力を全部使っちゃったんだけど『シャチ』のホロは荒波に、どんな逆境にも負けない力が、このメダルと合わさって少しだけ復活したんだと思う」

 

 

「あーそれで変身はできなかったけど、武器だけ出たってことね」

 

 

ホロが復活……? 武器だけ出たってまさか!? 

 

 

「沙花叉戦ったの!? しかも、変身もしないでって? あんた何やってん!?」

 

 

「ちょ!?」

 

 

そのタイミングであずちゃんが小悪魔的な笑顔を浮かべながら手を離し、僕の肩を持つと身体をぐるんと回される。僕の頭を支えにしてた沙花叉も前のめりになり僕の大きな胸に飛び込むように倒れてくる。

 

 

「あずちゃんいきなりな……にを? ……沙花叉」

 

 

「もぉー! あずき先輩もいじわるだなぁホント!」

 

 

沙花叉と目が合うと涙を流し泣いているのが目に入り、色んな想いが浮かび名前を呼ぶ事しかできなかった。

見られたくなかったのか沙花叉は僕の大きな胸に顔を隠すように埋める。……僕の心臓が飛び跳ねるようにドキドキしてたから気づかなかったけど、沙花叉の身体も震えてた……。

 

 

心配させてごめんね? 1人で戦わせないって誓ったのに守れなくてごめんね。

きっとあの時みたいな無茶もしちゃったんだよね……あずちゃんとアエルを守る為に。

 

 

沙花叉が今日も、いやずっと守ってくれてたから僕も含めてみんな無事だったんだよ。

 

 

「かなたんはほんと女泣かせの悪い子だねぇ? ほら、頑張った可愛い可愛い社員には何て言うんだっけ?」

 

 

「あずちゃん……」

 

 

あずちゃんが沙花叉にハンカチを渡しながら僕に訊ねる。ほんっといい子達しかいないなぁウチの会社! 

沙花叉の頭を優しく撫で、暖かさが、想いがとどくように伝える。

 

 

「沙花叉……ありがとうね。沙花叉が守って助けてくれたから僕の、僕たちの大事な場所に、帰って、これたよ……!」

 

 

あの時伝えたかった、伝えなきゃいけなかった言葉が涙とともに溢れる。

沙花叉も顔をあげ目を見開き止まりそうだった涙が流れるのを見て優しく抱きしめる。

 

 

「ずっと、いつも沙花叉が、そばにいてくれるから、守りたいと思ってるから飛び出しちゃうんだ……心配させて、ごめん」

 

 

「……〜ッホントですよ!! 沙花叉が、失くしたくない、離れたくない、忘れたくない! でも! 何よりも守りたかった……! そんな守れたはずの、先輩の、かなた先輩のあんな姿見ちゃったら!」

 

 

「うん……うん……!」

 

 

「目が覚めたら倒れてるし目覚さないし、起きたら起きたで放置されるし! どんだけ周りが見えてないんすか!」

 

 

「うっ……! 色々迷惑かけちゃっててごめん!」

 

 

沙花叉の正論が今日1番のダメージかもしんない……! 

 

 

「普通こういう時だって包まれて癒されるはずなのに生暖かい壁だし、まじふざけんなよ!」

 

 

「おめぇだよ!」

 

 

こいつぅ……! 

 

 

思わず涙も引っ込み沙花叉とお互いにぐぬぬ! と取っ組みあってるとどちらから共なく吹き出し、笑いが込み上げてくる。

 

 

「真面目な空気だったのになーんでここでふざけるかなおめぇわよ!」

 

 

「いつまでも寄り添ってやるのだけが優しさじゃないって教えてやったんすよ!」

 

 

「さっきまであんなにしおらしくかなた先輩がーって泣いてたくせに!」

 

 

「やっぱサイコパス入ってんじゃないっすか!? 人の心ってもんがない!」

 

 

徐々に声が強くなっていく僕ら2人。でも決して口喧嘩してるってわけじゃないって言っとくね。

 

 

だって、僕も沙花叉も笑いながら、何なら僕はまた少し泣いてる。こんなくだらない喧嘩ができる日常に戻ってこれたんだって心が安堵したから。

 

 

「今度はあずきとアエルが蚊帳の外にされちゃったね?」

 

 

「かなクロの間には流石に割り込めない、かなぁ」

 

 

「ちょっと妬いちゃうね」

 

 

そんな会話が聞こえたもんだから思わず沙花叉に指差し、揃ってにんまりと笑いながら。

 

 

「あずちゃん!」 「アエル!」

 

 

「聞いてよ! 沙花叉が僕のこと胸が小さいサイコパスゴリラって!」

「かなた先輩が沙花叉のこと海じゃなくて自分に溺れるシャチって!」

 

 

「「ああぁん!? おめ今何つった!?」」

 

 

「もー2人とも仲良すぎない? あずきもかな建の仲間なんだから入れてよね?」

 

 

「ボクはえっと、どうしよう!?」

 

 

「アエルはそうだなぁ……」

 

 

社員はまだルーナにラミィとかころさんとかも誘ってみたいから、置いといて……はっ! 業務委託先とかならホロウィッチのみんなにお願いできるしありじゃないこれ!? 

 

 

「インターンならどうです? やっすい給料(5円チョコ)になるかもだけど」

 

 

「それってホロックスの事なんじゃ……ござるさんも大丈夫なのかな?」

 

 

ウチは給料しっかり出すホワイトだから!!! うん、来月末くらいまでには……

 

 

「まぁ、まずは何よりー! 疲れたからご飯食べにいきましょうよー!」

 

 

と言いながら沙花叉が僕とあずちゃんに飛びついて3人で抱き合うような体制になる。そういえば元々はご飯食べに行くって話だったんだよね……色々あったから忘れそうになってたけど。

 

 

「そうだった! あずきさっき調べたお店予約しちゃってたんだった!?」

 

 

「えー!? ちなみに何時に取ってくれたのあずちゃん!?」

 

 

そういえば調べとくって言ってたし、何なら予約もしてくれてあずちゃんは仕事が早いなぁ……! 時間も何処に行くかも聞いてないから財布的にもめちゃくちゃ心配なんだけど!? 

 

 

「えっと、あと30分しかないです。ユルチテ……」

 

 

「あ〜も〜! 今日朝から時間に振り回されてばっかじゃないっすか! スケジュール組んだやつ出てこーい!」

 

 

おめぇそのとおりに動いた試しがねぇだろ! しょうがないけど……! 

 

 

「あずちゃん! 沙花叉! 急ぐよ!」

 

 

2人の手を取って走り出す。もちろん転けないようにゆっくりとね! 

 

 

「え〜! もう沙花叉疲れたんですけどー! あっ、かなた先輩! 変身して飛んでったらよくないっすか!?」

 

 

思わぬ一声に足を止めてかんがえる。え? あっ、それは……あれ? ありじゃない? 戦ってたからギリギリになっちゃったし、2人とも知ってるしで問題ないんじゃ……? 

 

 

「いや、かなたん流石にダメじゃない? ねぇ? アエルも……あれ? アエル? 大丈夫?」

 

 

「うぅ〜ん、いいんじゃ〜ないかなぁ〜」

 

 

僕らの後ろを眠たげな表情で飛ぶアエルの姿が見えた。

もしかして僕と別れた後も魔法を使って2人を助けてくれてたのかな? そうとう疲れてるみたいだし……。

 

 

「アエルー? 大丈夫?」 「疲れちゃったのかな?」

 

 

「魔法を使うと疲れちゃうみたいで、僕もかなり変身してたからなぁ……」

 

 

「あ、もうダメ……ZZZ」

 

 

あずちゃんがふらふら〜と飛ぶアエルを抱き上げ優しく微笑む。う、羨ま……! 

 

 

「あずきも足治して貰ったから、今度はあずきの番だね? お店に着くまで休んでてね?」

 

 

「こればっかりはかなり助けられたしわがまま言えないっすね〜」

 

 

「その話もすっごい気になるんだけど……!」

 

 

「歩きながらにしないと間に合わないかもだし……行こうか? ちなみにそのお店、Cous Coussierっていうんだけどね? 今アイドルフェアやってるみたいで」

 

 

「え〜!? 良いじゃないっすか! 一曲歌ったら美味しいご飯出してくれたり、料金安くしてくれたりとか〜あっ奢りだったからそれはいっか」

 

 

「うぉい!? ってそうだった、奢るって言っちゃったんだった……!」

 

 

そんな事を離しながらゆっくりと、でもしっかりと時間に間に合うように僕らは進む。

 

 

そこで今日あった出来事のお互いが知らない事を面白おかしく話すのかもしれない。戦った事や感じた事について思わず驚いたりして聴き入っちゃうのかもしれない。もちろん、あの子個人の想いについては秘密だよ? こればっかりはあずちゃんと沙花叉でも教えられない。約束があるから。

 

 

約束……久しぶりにココに連絡してみようかな……? 

 

 

僕がホロライブのアイドルの他にかな建の社長、ホロウィッチの魔法少女。トリプルフェイスやってるって言ったらどんな顔して驚くかな? 

きっと『オメーそんな器用じゃねぇんだから三つもまとめて出来るわけねーだろ! 一つずつ大事にしとけ!』とか言うんじゃないかな? 

 

 

ホロウィッチの事はまだ話せないし、まずはかな建の社長として! 僕の大切な友達で仲間で味方の2人について話したいな……。

 

 

「大事だから全部伝えたいんだ……」

 

 

「かなたん?」「かなた先輩?」

 

 

「ああ、ごめんごめん! 今いく! そういえばさ? 僕が倒れてた時周りに誰かいなかった? こー全体的に赤くて左手に盾がついてる人」

 

 

「あずきは見てないけど……さかまたは?」

 

 

「いや〜? 沙花叉があずき先輩起こしてかなた先輩のとこに行った時には周りに誰も居なかったっすよ?」

 

 

「そっかー……お礼言いそびれちゃったなぁ」

 

 

「お礼って?」 「きっとお礼参りの事っすよあずき先輩」

 

 

「んな訳ねぇだろ、ぼけなしゅ!」

 

 

2人にも話したいな。僕が出会って助けてくれたヒーローについて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつかの明日ここでまた……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呑気なモンだな……」

 

 

かなり離れたビルの上、離れていくかな建の3人を見つめる影が一つ。

その人物は派手な赤いズボン、白いシャツを羽織り、右腕が怪物のような赤い腕、派手な金髪を編み込みカールさせている男。

 

 

その男は右手に握り込んだ黒いウォッチ、アナザーオーズウォッチを握り締め破壊する。

手に残った破片を燃やすと懐から赤いウォッチを取り出し、上に投げようとしたその手を止める。まるで大切に扱うように。

 

 

「自分の命より他人を優先する馬鹿ってのは何処にでもいるモンだな……映司」

 

 

その男、アンクは手にした赤いウォッチ()()()()()()()()()()()()()()()()()()を眺めある日の事を思い出す。

 

 

自分を最高最善の魔王とか言うやつに出会ったあの日のことを

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーダとの戦いが終わったあの日からしばらく経った後、クスクシエに戻った俺は何かをするわけでもなく、ただ積んであるメダルと同じようにそこにあるだけだった。

 

 

伊達がこようと後藤がこようと、泉兄妹がこようとどうでもよかった。

 

 

「ごめんくださーい……! へぇーアイドルフェアなんてあるんだ……!」

 

 

だから、今入ってきた馬鹿そうなやつにも一瞬だけ目をむけるもそれだけだったはずだった。そいつが話しかけてくるまでは。

 

 

「ねぇ? あんたアンクって言うんだよね?」

 

 

名前を呼ばれそいつを見るも見覚えはなく、知らない顔。誰だコイツは……? 

 

 

「あんたに頼みがあってさ。オーズと、映司さんと一緒に戦ったあんたに」

 

 

その言葉に思わず左手で胸ぐらを掴みグリード状態に戻した右手を構える。

 

 

「お前……何モンだ?」

 

 

そいつは臆する事もなくあっけらかんとした表情で

 

 

「俺? 俺は常磐ソウゴ。最高最善の王様になる男だよ」

 

 

と、懐からオーズに似たような物を取り出しながら俺に言った。

 

 

そいつの話を聞くとこうだ。そいつが持っていた物、ウォッチとやらにはライダーの力が、歴史そのものが宿った集大成……のような物らしい。

そのオーズのウォッチが存在するということは、オーズの歴史に関わる物つまりオーズの力だけじゃなくグリードやコアメダルも無くなり継承される……と? 

 

 

だが俺はここに居る。映司やグリード達の事もゴーダとの戦いの事だって覚えている。

 

 

「あ、それは俺が全平成ライダーの力を集めてまた世界を20に分けたからなんだー」

 

 

「マジメに聞いてやったのが失敗だったか……」

 

 

「ごめんごめん。で、問題はこれなんだけど……」

 

 

右手に炎を灯しぶつけてやろうとすると、そいつは赤いウォッチを取り出しオーズウォッチの横に並べた。それは赤いオーズ、俺のコアメダルで変身できるタジャドルコンボのようにしか見えなかった。

 

 

「タジャドルのウォッチ……? ふざけんな!! さっきから!? ぐっ、何だァ……!?」

 

 

思わず投げつけてやろうと手に取るとウォッチが光り、赤に虹色がところどころ追加された色となり、ゴーダとの戦いで現れた力、タジャドルコンボエタニティーに似ている物に変わっていた。

 

 

タジャドルコンボ! エ〜タ〜ニティ〜! 

 

 

「コイツは……?」

 

 

手に握ったウォッチを見ながら常磐に訊ねる。脈を打つようなタイミングで炎が溢れる……見知らぬ物のはずなのに、投げ捨てようとして手を離せない。としか言えない不思議な感覚だった。

 

 

「これなら……! 何かいける気がする! ね、やっぱり俺の事手伝ってよ?」

 

 

俺はその言葉を聞き返事を返した。

 

 

「断る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「断ったはずだったんだがなァ……」

 

 

「思わず手を伸ばして助けたくなるくらい良い子達だったからじゃない?」

 

 

横を見るといつの間にか常磐が立っており、俺が見ていた方と同じ箇所を見ていた。手を伸ばしたくなった……か。

 

 

「あの時聞いてたか分かんないからもう一度言うけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。オーズの歴史はここに集まっているのに、俺が映司さんから貰った時既にウォッチは2つに別れていたんだ」

 

 

常磐はオーズのウォッチを取り出し眺めながら話す。

 

 

「つまりオーズの歴史はそこから2つに分岐したと思うんだ。古代の王が復活し現代のオーズが、映司さんが殺されてしまった世界と、映司さんが今もあんたと会えるいつかの明日を探してる世界の2つに」

 

 

ウォッチを握る手に、心に火が灯るのを感じる。

 

 

「で、世界と時間を元に戻そうとする修正力が再び歴史を書き換える為に、アナザーオーズウォッチがいくつも世界中にばら撒かれた。あんたにはそれを壊すのを手伝って欲しいんだ」

 

 

「……そのままなら世界は分岐したままでもアイツが、映司が生きて居られるんじゃないのか?」

 

 

例え2度と会えないとしても。

 

 

「それなら良かったんだけどね? 世界が1つになる時、死んでいる人物と生きている人物それらが同一人物だったらどうなると思う? 崩壊しちゃうんだ。矛盾を抱えた世界は長くは続かない。だから俺は世界を20に分けたんだ」

 

 

伸ばした腕を掴む事ができなくても。

 

 

「歴史を修正する為にばら撒かれたアナザーオーズウォッチが厄介でねぇ……未来のコアメダルだったっけ? 異なる時間軸の力を修正に当ててくれたせいで修正力はなくただ崩壊を早めるだけの存在になっちゃったんだ」

 

 

「極め付けが同じライダーの力じゃないと破壊出来ない、だったな」

 

 

さっき破壊したウォッチを思い出す。

 

 

「そ。だからあんたにも手伝って欲しいってわけ。はいコレ」

 

 

そう言いながら常磐はアイスを差し出す。

思わず受け取ってしまったアイスの袋を破り、飄々としたヤツの口に突っ込む。

 

 

「ん!? 美味しい! けどいいの? 俺が貰っちゃって?」

 

 

俺が今日のアイスを貰うのはアイツからだけだ。お前じゃない。それに貰った分の仕事はしてやった。あとは知るか。

 

 

「今日は先払いでセルをたんまり貰ったからなァ」

 

 

 

 

世界は違ってもあいつが生きてる明日がまだあるなら、俺にもやる理由がある。俺はグリードだ! 底なしの欲望を抱えた怪物。だったらあいつが生きてる世界をいつかの明日を守る為になんて言わない! 

 

 

お前が掴む手が俺じゃなくても、俺が掴む手は……映司お前だけだ! それが果たせなきゃ俺の欲望は満たされない! 

 

 

 

 

 

 

「いつかの明日ここでまた……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会おうって約束を夢見る為に!」

 

「会おうって願いを叶える為に!」

 

 

 





火野映司は手を伸ばして立ち上がらせてくれる優しい人だった。

天音かなたは手を取り寄り添ってくれる誠実な人だった。

ただあなたが笑顔で過ごせる明日が欲しかった。

ただあなたが笑顔で居られる場所があるだけでよかった。

苦しい。寂しい。悲しい。いっぱい思う事はあるけれど

会いたい・・・それがたった1つの願い
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