深い森の中を、一人で歩いている。
木々の隙間から差し込む薄い月明かりが、足元をぼんやりと照らしていた。
ふと、上を見上げていると、そこにネコが浮かんでいた。
「ネコちゃん……?」
ハルが声をかけると、ネコの首に真っ赤な紐が絡みついているのが見えた。
その紐はゆっくりと締まり、ネコの小さな体を吊り上げていく。
「やめて……!」
ハルは叫びながら駆け寄ろうとした。
しかし、遅かった。
赤い紐が一瞬で強く締まり、ネコの体が勢いよく落ちてきた。
「ネコちゃん!!」
ハルは必死に両手を伸ばして受け止めようとしたが、
ネコの体はハルの腕をすり抜け、地面に落ちる直前で首が強く吊られた。
ぐしゃっ、という嫌な音が響いた。
「いやああああああっ!!」
ハルは絶望の叫びを上げ、膝をついた。
ネコの体が、赤い紐に吊るされたまま、
ゆっくりと風に揺れている。
「ネコちゃん……! やめて……お願い……!」
ハルは地面を這うようにして近づき、
震える手でネコの冷たくなった足に触れた。
その瞬間——
ハルは目を覚ました。
「……っ、はあ……はあ……!」
ベッドの上に体を起こすと、全身に大量の寝汗をかいていた。
パジャマが肌に張りつき、息が荒い。
すると、ベッドの横から小さな鼻息が聞こえた。
「くぅん……」
愛犬のチャコだった。心配そうに鼻先を寄せ、茶色の毛並みがハルの右手に触れる。
「大丈夫……大丈夫だよ、チャコ……」
言い聞かせる言葉は、自分自身への呪文のようだった。胸に当てた手のひらに、早鐘を打つ心臓の鼓動が響く。あの夢の中で触れた、ネコの命が消えた時の冷たさが、まだ掌に残っている。
ハルはふらつく足取りでベッドを抜け出し、洗面所へ向かった。
パチリ、と点けた蛍光灯の白い光が、辺りを照らし出す。
鏡の中にいたのは、金髪を乱し、充血した瞳で自分を睨む一人の女。
そして、左腕のない自分。
「……ユイ」
その名前を零した瞬間、記憶が押し寄せた。
あの忌まわしい山。震えていた自分。そんな自分を、何もかもを犠牲にして守り抜き、外の世界へと連れ出してくれた勇敢なユイ。
あの温かかった手の感触。
――そして、最後に見た、赤い紐に吊るされたユイの姿。
ユイはあの日、自らの首を括った。
しかし、その遺体は見つかっていない。公式には「行方不明」という記号で片付けられたまま、ハルの心に棘となって刺さり続けている。
(私は……ユイを救えなかった。守れなかった。だから、今度は私が誰かを守る番だって……決めたのに)
脳裏に、夢の中のネコの姿が重なる。
同じ悲劇が、また繰り返されるのではないか。左腕を失い、心に穴を抱えた自分に、果たして誰かを守る資格も力もあるのか。
沸き上がるのは、無力感。
そして、何もできない己への、煮えくり返るような怒り。
「っ……!」
ハルは唯一残された右拳を固く握りしめた。
迷いを、恐怖を、過去の残像を打ち消すように、鏡の中の自分へ向かって拳を叩きつける。
ガシャァァァン!!
鋭い破砕音が洗面所に響き渡った。
バランスを崩し、倒れ込むように洗面台へ手をつく。砕け散った鏡の破片には、歪んだ自分の顔が無数に映り込んでいた。
右の拳から、赤い血が滲み出す。白い陶器のボウルに、ポタリ、ポタリと鮮血が滴る。
ハルは荒い息を吐きながら、割れた鏡の中の自分を、射貫くような眼差しで見つめた。
「……守るよ」
その声は小さかったが、冷徹なまでの決意を孕んでいた。
「今度こそ……絶対に」
血に濡れた拳を強く握り直し、ハルは夜の先を見据えた。
○○○○○○○
翌朝、ネコは鉛のように重い体を引きずるようにして登校した。
一歩踏み出すごとに節々が軋み、筋肉痛が悲鳴を上げる。鏡で見なくともわかる。頬に残ったあざは、まだ痛々しく色を変えて居座っていた。
教室の扉に手をかけようとしたその時、背後から鋭い声が飛んだ。
「ノラ、ちょっと職員室に来なさい」
体育科主任の太い声だった。ネコの心臓が、嫌な音を立てて跳ねる。
胸に広がるざわつきを抑え込みながら、彼女はただ黙ってその背中に従うしかなかった。
職員室の重苦しい空気の中、主任はパイプ椅子に座るなり、机を叩かんばかりの勢いで身を乗り出した。
「昨日は何をしていたんだ!」
いきなりの怒声に、ネコの肩がびくりと震える。
「昼過ぎまで近所の子供たちと遊んで、挙句の果てに堂々とレストランでサボっていただろう! しかも夜には学校に忍び込んで、校舎の中を全力で走り回っていたという報告もあるぞ! 一体何を考えているんだ」
ネコの顔から、みるみる血の気が引いていく。
(……全部、ユイがやったことなのに)
叫び出したかった。私じゃない、私の中にいたユイが勝手にやったことなんだ、と。けれど、「幽霊に憑依されていました」などという言葉が大人の耳に届くはずもない。
「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……」
ネコは奥歯を噛み締め、床を見つめて謝り続けた。弁明の余地がないことが、何よりも苦しかった。
「あとこれだ…ノラ!お前トイレで大泣きしてたらしいな?一体どうしたんだ…普段のお前の態度からは想像もつかないことの連続で先生は頭が痛いぞ」
「…すみません」
主任は苛立たしげに溜め息をつき、説教のトーンを落とした。
「体育祭が近いというのに、そんな態度ではクラスに迷惑がかかる。代表としての自覚を持ちなさい。いいな」
「はい……申し訳ありません……」
ーーすると
「失礼します。先生、その件については私からもお話しさせてください」
ネコがひたすら謝罪を繰り返していたその時、背後から凛とした声が響いた。驚いて振り返ると、そこにはいつの間にかハルが立っていた。彼女はネコの隣に並び、迷いのない動作で主任に向かって頭を下げた。
「ハル……先輩…」
ネコが声を漏らすと、ハルは一瞬だけ、安心させるようにネコの目を見つめた。
しかし、主任の怒りは収まらない。
「ハル、お前がしゃしゃり出る場面じゃないぞ。いいかノラ、体育祭の代表という自覚があるなら、こんな無責任な行動は許されない。お前は本当に責任感というものが――」
「先生」
ハルが静かに、しかし断固とした口調で言葉を遮った。
「彼女は、そんな風に言われるような子じゃありません。普段の練習だって、誰よりも一生懸命に取り組んでいるのを私は近くで見ています。昨日のことは……確かに誤解を招く行動だったかもしれませんが、彼女には彼女なりの、どうしても外せない事情があったんです」
ハルはネコの細い肩を抱き寄せるようにして、主任を真っ直ぐに見据えた。
「ネコは、いつも一生懸命に自分の役目を果たそうとしています。後輩の頑張りを、無責任という言葉一つで片付けないでください。彼女は、本当に立派にやっています。それは先輩である私が、誰よりも分かっていますから」
言い切ったハルは、そのままネコに合わせるように、もう一度深く頭を下げた。
「お騒がせして申し訳ありませんでした。今後は私がしっかりと彼女を支えます。…そして先生や周囲の方々にご心配をおかけしたのは事実です。私が見ていなかったのが原因です。本当に申し訳ありません」
毅然としながらも、後輩を信じ切ったハルの言葉と態度に、主任は毒気を抜かれたように口を閉ざした。普段から真面目なハルがここまで必死に庇うのであれば、と、主任は小さく溜め息をついた。
「……ふん。お前がそこまで言うなら、今回はハルに免じて不問にする。だが、二度目はないぞ。ノラ、先輩の顔に泥を塗るような真似はするな」
主任が背を向けて去っていく。重苦しい空気がようやく霧散した。
職員室を出ると、ハルはそっとネコの肩から手を離し、優しく微笑んだ。
「怖かったよね。……もう大丈夫だよ、ネコちゃん」
自分を信じて、真っ向から守ってくれた先輩の言葉。ネコは鼻の奥が熱くなるのを感じながら、小さく、何度も頷いた。
○◆
職員室から出た後、ハルはネコの横に並んで歩きながら、静かに言った。
「昨日のネコちゃんの様子がおかしかったのは認めるよ。でも、責任感がないなんて……酷いよね」
そう言って、ハルは優しくネコの乱れた髪を指先で整えてくれた。その穏やかな仕草に、ネコの強張っていた胸が少しだけ温かくなる。
だが、ネコはすぐにハルへ向かって深く頭を下げた。昨夜、心配して病院へ連れて行ってくれたハルを突き飛ばし、逃げ出してしまった不義理が、心に重くのしかかっていたからだ。
「ハル先輩!ごめんなさい!……ごめんなさい……私……私……病院は無理で……でも、でもハルさんに酷いことして……コトモ先輩にも……ごめんなさい……!」
溢れ出した涙と一緒に、謝罪の言葉が止まらなくなる。そんなネコを、ハルは困ったように、けれどどこまでも優しく見つめて宥めた。
「怒ってないって。……ほら、もう鼻水出てるよ?」
冗談めかして笑い、ハルは自分のハンカチを取り出した。
「私が悪いんです……」
消え入りそうな声でネコが言いかける。しかし、ハルは素早く人差し指をネコの唇に当てた。
「言わせないよ。何かあれば全部自分のせいにする。ネコちゃんの悪い癖」
その指の温もりと、自分を見透かすような優しい響き。ネコは唇に触れる感触に鼓動を速めながらも、意を決した。この人には、本当のことを話さなければ。
「あの……実は昨日、変な子に――」
その瞬間。
ハルの背後の空間が、音もなく歪んだ。
現れたのは、白い影。
そして顔のない怪異――「コトワリ様」。
その異形の手には、巨大な赤いハサミが握られ、ネコの喉元を貫くかのように鋭く向けられた。
ネコは恐怖で心臓が止まりそうになった。コトワリ様はハルに悟らせぬよう、巨大な刃をゆっくりと動かし、食い入るようにネコを睨みつけている。
……その沈黙の威嚇に、ネコの声が震えた。
「ユ……ユ…」
ハルが不思議そうに首を傾げる。
「ユ?」
(言えない。言ったら殺される――!)
極限の恐怖と混乱に陥ったネコは、脳内の思考がショートした。
咄嗟に両手を頭上に突き上げ、見たこともないような奇妙なポーズを取る。
「ゆ、柚の葉!」
「…………え?」
ハルは一瞬で表情を固め、彫刻のように動かなくなった。
「……柚の葉?」
静寂が廊下に流れる。自分の口から飛び出した意味不明な言葉と、あまりに滑稽なポーズ。猛烈な恥ずかしさが恐怖を上回り、ネコの顔は耳の先まで真っ赤に染まった。
「うああああああん!」
ネコはそのまま、全力疾走で廊下の彼方へと逃げ出した。
ハルは、嵐のように去っていったネコの背中を、呆然と見送りながら呟いた。
「……ゆずのは? 柚子の葉っぱが……どうしたんだろ」
ハルの背後では、コトワリ様がゆらりと、影の中へと溶けて消えていった。
そして逃げ出した矢先、トイレの狭い個室。ネコは一人、便座に座り込んで膝を抱えていた。
(……なんでコトワリ様は、あんなに執拗に邪魔をするんだろう?)
ハル先輩に会わせないようにするだけじゃない。名前を出そうとしただけで、あの苛烈なまでの威嚇。
まるでハル先輩とユイの間に、決して越えさせてはならない境界線を引いているかのようだった。
「ユイの話ぐらい……させてくれてもいいと思うんだけどね……」
ぽつりと、独り言が漏れた。
その瞬間、個室の空気が氷点下まで叩き落とされた。
背後に、音もなく「白」が沸き立つ。
気がつき、ネコは振り返るとコトワリ様がネコを見下ろしていた。巨大な赤いハサミが、ネコの細い首の真横で**「チャキ……」**と不吉な音を立てて開く。
「ひっ……!」
悲鳴を上げる暇もなかった。ハサミが凄まじい勢いで閉じられ、ネコの髪を数本巻き込んだまま背後の壁に深々と突き立てられた。
ガンッ!
鈍い衝撃音が個室に響き渡る。
ネコは恐怖で全身を硬直させ、声も出せない。
コトワリ様は獣のような唸り声を上げ、壁からハサミを引き抜くと、今度は怒りに任せて横一閃に刃を振るった。
ガガガッ!
言葉のない意志が、鋭い音と共に刻みつけられる。
壁には深い傷が走り、ネコは壁に背中を押しつけ、涙を溜めてガタガタと震えるしかなかった。
その時、トイレの入り口から激しい足音が飛び込んできた。
「ネコちゃん!」
ハルだった。
心配で追いかけており、個室の前まで駆け寄ったハルは、そこにいたコトワリ様を、射貫くような鋭い眼差しで睨みつけた。
「やめなさい!」
コトワリ様はハルへ向き直り、威嚇するように巨大なハサミを構え、低く唸る。
だが、ハルは一歩も引かなかった。それどころか、普段の彼女からは想像もつかないような、芯の太い怒声を叩きつける。
「ネコちゃんを脅すんじゃない! 私は貴方を呼んだ覚えはないよ!」
その声には、自らの影にさえ妥協を許さない強い拒絶の力が宿っていた。
そんなハルにコトワリ様は一瞬だけたじろいだ。
顔のない頭部でじっとハルを見つめていたが、やがて不満げな唸りを残し、霧が晴れるようにゆっくりとその姿を消していった。
静寂が戻ると同時、ハルは迷わず個室のドアをこじ開けた。
「ネコちゃん……大丈夫?」
ハルは震えるネコを心配する。
ネコの方は頷くだけで、とにかく声が出ない。
ハルはネコを抱きしめたまま、深く、重い息を吐いた。
「……ごめんね、ネコちゃん。コトワリ様があなたを怖がらせてしまった」
ハルはネコの細い肩に手を置いたまま、真剣な眼差しで静かに頭を下げた。「本当に、ごめんなさい」と繰り返すその声には、心からの謝罪が滲んでいた。
ネコは慌てて首を振る。「い、いいんです……」と声を絞り出すのが精一杯だった。
あとハルの胸が当たってて思考がとにかく鈍る。
ハルは顔を上げると、周囲に刻まれた惨状に視線を落とし、低く呟いた。
「これは酷い。後でコトワリ様にはキツく言っておくよ。……でも、ちょっとおかしいんだ」
ハルは眉を寄せ、拭いきれない違和感に唇を噛んだ。
「コトワリ様は、私の意思を無視して人に危害を加えないはずなんだけど……今のは少し、様子が違っていた」
ネコは心臓が口から飛び出しそうなのを必死に堪え、震える声で答えた。
「大丈夫です……本当に、気にしないでください」
そのとき、トイレの外から慌ただしい足音が響いてきた。
「どうした!? さっきから物音がするぞ!」
体育教師の声だ。ハルは瞬時に表情を切り替えると、ネコの肩を優しく押し、彼女を個室の奥へと隠した。そして、自分だけが何食わぬ顔でトイレの外へ出る。
「先生、ご心配をおかけしました。私が少し物音を立ててしまって……」
廊下からは、ハルが穏やかな声で先生をなだめ、巧みにその場をやり過ごす気配が伝わってきた。
ネコは暗い個室の中でそっと息を潜めた。緊張で指先が冷たくなっている。ふと、コトワリ様が激しくハサミを叩きつけた壁に視線を落とした。
そこには、刃先で深く抉られた不吉な三文字が刻まれていた。
イ ウ ナ
「…………っ」
ネコが息を呑み、その文字を凝視した瞬間だった。
抉られた傷跡がまるでビデオを逆再生するように、砕け散った破片が吸い寄せられ、壁の表面が滑らかに修復されていく。
やがて、文字は完全に消え去った。
壁は何事もなかったかのように元の平坦な姿に戻り、そこにあった恐怖の証拠は霧散した。
ネコは背筋を冷たい汗が伝うのを感じ、自分を縛り付ける目に見えない力に、小さく体を震わせることしかできなかった。
○◆
ネコはハルがハンドサインで「今出て」の合図を見て、トイレを抜け出し、這うような足取りで教室に戻った。
自分の席に倒れ込むように座ると、糸が切れたように全身から力が抜けた。周囲のざわめきが、まるで水底で聞いているかのように遠く、こもって聞こえる。
机に突っ伏したまま、ネコは暗い思考の渦に沈んでいった。
(……これではっきりした)
コトワリ様は、ハルさんとユイを絶対に会わせたくないのだ。
単に邪魔をするのではない。ユイの名前を出すことすら許さず、話題そのものを物理的に封じようとするあの執拗さは、もはや「保護」という言葉を超えた、異常なまでの固執だった。
(でも……ユイはあんなに優しい子だったのに……。コトワリ様は怖いけど、ハル先輩の味方だって言ってたよね……?)
記憶の中にある、自分と遊んだ時のユイの温かな笑顔。それとは正反対に、冷酷な金属音を立ててハサミを突きつけてくる白い怪異。その両面を知っているネコには、どうしてもこの二つの存在が結びつかなかった。
(ハル先輩に聞きたい……。ユイのこと、コトワリ様のこと、全部……)
けれど、ユイの名を呼ぶよりも先に、あの巨大な刃が飛んでくる。ハルさんに相談すること自体が、今の自分にとっては命がけの賭けになってしまった。
ネコは机の硬い感触に額を押しつけ、重苦しいため息を漏らした。その時、静まり返っていた教室のスピーカーが、耳障りなノイズと共に震えた。
『全校生徒はただちに体育館に集合してください。緊急集会を行います。繰り返します――』
「え、急に何?」
「体育祭の話かな?」
一斉に騒ぎ出すクラスメイトたち。椅子の引ける音や足音が騒がしく響く中、ネコはゆっくりと顔を上げた。
(……今は、これ以上考えるのも無理かも)
思考を放棄するように、ネコはぼんやりとした目でスピーカーを眺めた後、重い体を引きずるようにして立ち上がった。
押し流されるように教室を出て、体育館へと向かう。
体育館には数百人の生徒たちの熱気がこもり、どこか落ち着かない空気が漂っていた。整然と並ぶ体育座りの列の最前列で、体育主任がマイクを握り、吐き捨てるように声を張り上げた。
「昨日、一人の生徒が授業をサボり、身勝手な行動をしていたという報告があった!」
マイクのハウリングが天井に反響する。
「昼間から近所の子供たちと遊び、挙句の果てにはレストランで食事をしていたらしい。それだけではない。学校に忍び込み、校舎内を全力で走り回るという、およそ正気とは思えぬ行動まで確認されている。体育祭を控え、全校一丸となるべき時にこの体たらくは何事か! 全員、今一度自分の生活態度を見直しなさい!」
名前こそ伏せられていたが、それは紛れもなく、昨日ユイに体を明け渡していたネコのことだった。
ネコは膝を抱える腕に力を込め、顔を深く伏せた。周囲の「誰だよそれ」「やばくね?」という囁きが、鋭い針のように肌を刺す。
(……やっぱり、私のことだ…………)
胸の奥が、泥を流し込まれたように重く沈んでいく。
主任の長い説教がようやく終わり、マイクは校長へと引き継がれた。
「さて、暗い話はここまでにして、今日は素晴らしい報告がある。地元警察の方から、ぜひ感謝状を贈りたいという生徒がいるそうだ」
校長は穏やかな、誇らしげな笑みを浮かべて本名を呼んだ。
「――桜山ネコさん。前へ」
その名前がスピーカーを通して大音量で流れた瞬間、ネコの肩がビクッと跳ね上がった。
次の瞬間、彼女の顔はこれ以上ないほど不快そうに、苦虫を噛み潰したような表情に歪んだ。
(……っ、その名前で呼ばないで……!)
ネコと言う名前に彼女は激しいコンプレックスを抱いていた。
普段は「ノラ」というあだ名でやり過ごしているが、こうした公式の場で本名を突きつけられることは、彼女にとって公開処刑にも等しい苦痛だった。
「え、!? 本名ネコっていうの!」
「マジか、可愛い名前じゃん」
周囲の言葉が耳に突き刺さる。ネコは屈辱で真っ赤になりながら、ふらふらと幽霊のような足取りで体育館の中央、壇上の前へと進み出た。
「昨日、近所のご老人がバッグをひったくられる事件があった。その犯人を鮮やかに捕らえ、被害を未然に防いだのが、この桜山さんだ。警察の方からも、市民の鏡であると大変な感謝をされている」
制服姿の警察官が歩み寄り、金縁の立派な感謝状を差し出した。
「本当にありがとう、桜山ネコ君。君の勇気ある行動により、大切な品が無事に戻ったよ」
再び繰り返される「ネコ」という響きに、彼女は感謝状を受け取りながらも、内心では激しい葛藤に身を焼かれていた。
(それやったのユイなんだよなぁ…)
昨日の記憶が断片的に蘇る。ユイが自分の体を使い、超人的な動きで屋根を跳ね、風を切って犯人を追い詰めていたあの光景。
けれど、真実を口にすれば、今度は警察から精神科へ連行されるだろう。
ネコは引き攣ったぎこちない笑顔を浮かべ、震える手で感謝状を握りしめた。
「……ありがとうございます」
割れんばかりの拍手が体育館を包み込む。
体育館に大きな拍手が響き渡る中、ネコは校長の前で感謝状を受け取り、
ぎこちなく頭を下げていた。
その様子を、2年生の列からハルがじっと見つめていた。
ハルは少し首を傾げ、金髪が肩の上で柔らかく揺れた。
「……おかしい」
隣にいたコトモが、ハルの呟きに反応して小声で聞いた。
「どうしたの、ハル?」
ハルは視線をネコから離さず、静かに言った。
「ネコはポテンシャルは高いけど、臆病な子だよ。咄嗟に動けないタイプのはずなのに……あの事件、よく一人で犯人を捕まえられたよね」
コトモもネコの方を見て、目を細めた。
「確かに……なんかおかしいよね」
コトモは、普段から柔らかい印象を持つ少女だが、この短期間でのネコの代わりように違和感を感じている。
ハルは特に疑っており、ネコの態度から見ても変だった。
ネコの実力を疑っているわけではなく、彼女の優しくて臆病な性格が、乱暴な犯罪者に立ち向かえた事実と結び付かなかったのだ。
「ノラの様子、最近ちょっと変だと思うんだよね。昨日もトイレで急に泣き出したり、急に走り回ったり……」
二人は同時に心配そうな目でネコを見つめた。
ハルは眉を寄せ、コトモもいつもの軽い笑顔を消して、真剣な表情になっていた。
校舎の裏手、昼間でも薄暗いその場所で、ユイは手持ち無沙汰にネコを待っていた。
「ハル……ハルに会えたら、何から話そうかな」
ユイは壁に背中を預け、まだ見ぬ再会の瞬間を思い描いては、胸を弾ませていた。
「元気だった?」なんて、当たり前すぎるかな。それとも「ちょっと背が伸びた?」とか。学校のこと、これからのこと、積もる話は山ほどある。想像の中で笑うハルの姿を思い浮かべるだけで、ユイの心はワクワクと浮き立っていた。
けれど、不意に、思考の隙間から「あの夜」の記憶が這い出してきた。
「…………っ」
妄想は一瞬で霧散し、心臓を冷たい手が握りつぶしたような感覚に陥る。
山の神に蝕まれ、自分の意志とは無関係に操られていたとはいえ、あの時、自分は間違いなくハルを殺そうとした。
親友を追い詰め、命を奪おうとした。
おかしくなった自分を、ハルは助けようとしてくれた。
…正気に戻してくれた。
そして、その代償はあまりに重く、残酷だった。
ハルの左腕。
自分を守るために失われ、二度と戻ることのない彼女の体の一部。鏡を見るたび、着替えるたび、ハルは一生その欠落と向き合って生きていかなければならない。自分が残した、癒えることのない傷跡。
(私のせいで……。私のせいで、ハルは……!)
激しい後悔の念が、鋭い刃となってユイの心を切り刻む。ユイは奥歯が砕けんばかりに強く歯を食いしばり、込み上げる自責の念に耐えるように拳を握りしめた。
その時、バタバタと騒がしい足音が近づいてきた。
「ユイ! 待たせてごめん!」
走ってきたのは、息を切らしたネコだった。
ユイは瞬時に表情を作り直す。暗い影を心の奥底へ無理やり押し込み、両手で自分の頬をパンパンとはたいて気合を入れた。
「もー、遅いよネコ! 待ちくたびれて、私、ここでキノコになっちゃうかと思ったんだから」
わざと茶化すような笑みを浮かべてからかうと、ネコは膝に手をついて肩を上下させながら、申し訳なさそうに手を振った。
「ごめん、ごめんってば! 急に集会が開かれちゃって……本当にごめんね、ユイ」
謝り倒すネコの姿を見て、ユイは小さく笑った。
体育祭、最後の練習日。校舎裏で、ネコは少し誇らしげに、そしてどこか決意を秘めた表情で告げた。
「明日が体育祭の本番なんだよ」
「えっ、明日!? もうそんな時期なの?」
ユイは目を丸くして驚いた。幽霊となって時間の感覚が希薄になっていたユイにとって、季節の行事はあまりに足が速い。
ネコは苦笑しながら、これまでの苦労を吐露し始めた。
「そうなの。棒倒しの作戦会議とか、小道具の準備とか、もう目が回るほど忙しくて……。正直に言うとね、ユイに会うまでは、どうやってハル先輩に体裁よく負けるかばっかり考えてたんだ」
「えー、戦う前から諦めてたの?」
「…諦めてるわけじゃないよ…でも、作戦を立てて、相手を調べれば調べるほど実力差がすごくて…勝てる気がしなかった」
ネコは少し肩をすくめたが、すぐに瞳に強い光を宿してユイを見つめた。
「でも、ユイと会ってから勝ち筋が見えたの。……ユイ、お願い。明日の本番、私に憑依して」
ネコの言葉に、ユイは一瞬きょとんとした後、すぐに悪戯っぽく笑って親指を立てた。
「いいよ! 私の超人的な動き、見せつけちゃおうか」
「よし……! 準備はいい?」
ユイの快諾を得て、ネコは気合を注入した。何を思ったのか、彼女は一歩下がると、腰を低く落とし、両手を大きく回してキメ顔を作った。
「変……身っ!!」
ビシッと変身ポーズを決めるネコ。しかし、期待していた「憑依の衝撃」はやってこない。
「…………」
ふと前を見ると、そこには憑依するどころか、三歩くらい後ろに下がって、心底「引いた目」で自分を見つめるユイが立っていた。その目は、まるで変な生物を見るかのような冷ややかさを含んでいる。
「……ちょっと!! 何で引いてんのよ! 早く憑依してよ!」
ネコが顔を真っ赤にして怒鳴ると、ユイはこらえきれずに吹き出した。
「あははは! ごめんごめん、あまりに全力だったから、つい見入っちゃって。ネコ、意外とノリノリなんだもん」
「もう、恥ずかしいんだから笑わないで! 早く!」
「わかった、わかったってば」
ユイもようやくスイッチを切り替える。彼女はネコに向かって駆け出すと、ネコのノリに合わせるように高らかに叫んだ。
「合体!!」
ユイの体が光に溶けるようにしてネコの背中に重なる。
その瞬間、ネコの細い体に爆発的なエネルギーが満ち溢れた。二人の意識が混ざり合い、視界が研ぎ澄まされていく。
「いっくよー、ネコ!」
(うん、ユイ! 明日は絶対、ハル先輩を驚かせてやろうね!)
二人の少女は一つの体で、明日の決戦に向けて不敵な笑みを浮かべた。
そしてユイはネコの体を使い、その場で軽やかにバック転を決めた。着地と同時に流れるような動作でバク宙、さらには側転。
(わわわっ、すごい……! ユイ、動きすぎだってば!)
「あはは、体が軽いよネコ! 準備運動はバッチリだね」
ユイがネコの口を借りて楽しそうに笑ったその時、無情にも夕方の予鈴が響いた。
「やば、授業始まる! 急がなきゃ」
(そうだよ、早く教室戻らないと!)
しかし、ユイが選んだのは廊下へ走る最短距離ではなかった。彼女は迷わず目の前の校舎の壁に手をかけると、蜘蛛ヒーローのような身軽さで垂直に近い壁を駆け上がり始めた。
「(ちょっとおぉぉ! 何してるの!? 階段使ってよ、階段!)」
(いいじゃん、こっちの方が早いし、誰も見てないって!)
ユイは窓枠を掴んでひょいと教室へと滑り込んだ。幸い、先生が来る直前で、クラスメイトたちも自分の準備に忙しく、窓から入ってきた怪しい人影には気づいていない。
(……はぁ、心臓に悪いよ。もう、勝手なことしないでよね)
「ごめんごめん、つい楽しくなっちゃって」
授業が始まると、ユイはネコの代わりに席に座り、ノートを広げた。
正直、黒板に書かれている数式や歴史の年号なんて、今のユイにはさっぱり理解できない。けれど、鉛筆が紙を走るカリカリという音、遠くから聞こえる吹奏楽部の練習の音、そして教室に漂う独特の埃っぽい匂い。
ユイはそっと目を閉じ、深く息を吸い込んだ。
(ユイ? なんだか心地よさそうだけど、どうしたの?)
ネコの心の声に、ユイは意識の中で穏やかに微笑んだ。
「……学校って、いいよね。この感じ、すごく懐かしい」
(ユイ……)
「本当はさ……ハルと一緒に、こうして学校に通いたかったなぁって、ちょっと思っちゃった」
ネコの口から漏れたのは、ユイの本音だった。一緒に授業を受けて、休み時間に購買へ走って、放課後は夕焼けの中を笑いながら帰る。そんな、当たり前のはずだった未来。
少ししんみりとした空気が流れたが、ネコは努めて明るい声でユイを励ました。
(……何言ってるの。その願い、明日叶うじゃない。体育祭で優勝して、ハル先輩をびっくりさせた後、また一緒にいればいいんだよ!)
その言葉に、ユイはハッとしたように目を見開いた。
「……そうだね。ネコの言う通りだ」
○◆
チャイムが鳴り、休み時間が始まると、教室内には一気に解放的な空気が流れた。ユイは机に肘をつき、ネコの意識に向かって素朴な疑問を投げかけた。
「ねえ、ネコ。さっきハルに勝ちたいって言ってたけど……ハルって、そんなにすごいの?」
(えっ、何を言ってるのユイ。学校中の有名人だよ、ハル先輩は)
「そうなんだ。だって、私の知ってるハルはさ、運動はすごく苦手だったし、体力も全然なくて。ちょっと走っただけですぐ顔を真っ赤にして座り込んじゃうような子だったんだよ」
ユイの言葉に、ネコは心底驚いた。
(……嘘でしょ!? あのハル先輩が運動音痴だったなんて、今の学校の誰も信じないよ。だって今の先輩、超人なんだから!)
「超人……?」
(いい、驚かないで聞いてね。ハル先輩、50メートル走は3秒台で駆け抜けるし、握力は計量器を振り切るくらい、成人男性の何倍もあるって噂だよ。それにシャトルランなんて、最後まで残りすぎて計測不能で中止になったこともあるんだから!)
ネコが語る「現在のハル」のスペックを聞くたびに、ユイはネコの顔を使って、だらだらと冷や汗を流し始めた。
「さ、3秒台……!? それ、もう車とかの速さじゃない……? シャトランが計測不能ってそんなことある?」
(だから言ったでしょ。今のハル先輩は、学校の全運動部のエースが束になっても敵わない、絶対王者なんだよ。だからこそ、ユイの力が必要なの!)
ユイは冷や汗を拭いながら、呆然とした表情で窓の外を眺めた。
「ハル……本当に成長したね……」
かつての守ってあげなければならなかった泣き虫な親友。その面影が、今の規格外なハルの姿と重なり、ユイは彼女の凄まじい「成長」に、驚きと少しの恐怖、そして誇らしさが混ざり合った複雑な気持ちで、思わず苦笑いを浮かべた。
「ねえ、ハルって……やっぱりモテるの?」
休み時間の中、ユイがネコの口を使って、どこか楽しげに問いかけた。
(モテるなんてレベルじゃないよ。ハル先輩に惚れてるのは男子だけじゃないもん。女子ですら、先輩が廊下を通るだけでため息をつくんだから)
「へえ、やっぱりそうなんだ。じゃあ……付き合ってる人とか、いたりする?」
(いないよ。告白はそれこそ、数えきれないくらい受けまくってるみたいだけど。全部断ってるって噂。みんな『高嶺の花すぎる』って言ってるよ)
ユイは満足げに、ネコの顔でフフッと微笑んだ。それから、少しいたずらっぽく声を潜める。
「じゃあさ……ハルって、いい匂いする?」
(……っ! めっちゃ、いい匂いするよ……。石鹸っていうか、お日様っていうか、なんとも言えない、すごく落ち着く匂い)
ハルの人気ぶりと、変わらない(あるいはそれ以上の)魅力を聞いて、ユイは心底楽しそうに笑った。
「あはは、よかったぁ。ハル、みんなに愛されてるんだね。安心したよ」
ネコは堰を切ったように、ハルがいかに強くて、優しくて、気高いかを熱っぽく語り続けた。それを黙って聞いていたユイが、不意に核心を突くような質問を投げかける。
「ねえ、ネコ。あんた、ハルのこと好きなの?」
(え……。そ、そりゃあ、好きだよ。尊敬してるし、憧れだし……)
「そうじゃなくてさ。……女の子として、恋愛的な意味で、ってこと」
(!? ……そ、それは……その、先輩としてというか、ええっと……)
しどろもどろになり、意識の中で顔を真っ赤にするネコ。そんな彼女をからかうこともなく、ユイは遠くを見つめるような瞳で、静かに言葉を繋いだ。
「私はね、ハルが大好きだよ。友達としても、親友としても。……たとえ、それが恋人とかいう関係だったとしても、きっとそれ以上に、ハルの全部が大好き」
ネコは言葉を失い、沈黙した。ユイの言葉に込められた、あまりにも深く、巨大な「愛」の重さに圧倒されてしまったからだ。
「あはは、なーんてね! ちょっと重かったかな?」
ユイはすぐに茶化すように笑って誤魔化した。そして、ネコの意識にこっそりと悪巧みの相談を持ちかける。
「いいこと教えてあげる。今度ハルに会ったら、耳元でふーって息を吹きかけてみなよ。耳が意外と弱くてすっごい弱点なんだから」
(ええっ!? そんなことできないよぉ!)
「試してみる価値はあるよ。……さ、移動教室だね。行こ、ネコ!」
ユイは軽快な足取りで立ち上がると、騒がしい廊下へと踏み出した。
廊下を歩きながら、ネコはふと思い出したように、胸の内に溜まっていた不満を吐き出した。
(ねえ、ユイ。聞いてよ。コトワリ様って、本当に融通が利かないっていうか……。ハル先輩の前でユイの話題を出そうとすると、信じられないくらいの殺気で邪魔してくるんだよ。さっきだって、トイレの壁に『イウナ』なんて刻んで脅してきて……)
ネコの言葉は、次第に熱を帯びた愚痴へと変わっていく。
(いくら縁切りの神様だか何だか知らないけど、親友の話をさせてくれないなんて酷すぎるよ。神様だったら、もう少し人の気持ちを分かってくれてもいいと思わない?)
ネコの必死の訴えに対し、ユイは何も答えなかった。ネコの体を借りたまま、ただ黙々と階段を上り、廊下を進む。その沈黙は冷たさではなく、どこか重い痛みを耐えているようでもあった。
「……ネコ、ありがとうね」
不意に、ユイがネコの口を使って小さく呟いた。
「私のために、そこまで怒ってくれて。……嬉しいよ」
(ユイ……?)
ネコが戸惑う中、ユイは心の中で、誰にも届かない謝罪を繰り返していた。
(ごめんね、ネコ。……本当に、ごめん)
コトワリ様が冷酷なのは、それが「仕事」だからだ。縁切りの神として、すでに断ち切られたはずの「生者」と「死者」の糸が再び結ばれないよう、冷徹に境界を守っているに過ぎない。
コトワリ様がハルとの接触を阻むのは、それが秩序であり、ハルを想ってのことだとユイは理解していた。
そしてユイは、ネコに対しても大きな後ろめたさを抱えていた。
まだ、一番肝心なことを話していない。
(怖いんだ。全部、本当のことを話しちゃったら……)
ハルが左腕を失ったあの夜のこと。自分が選んだ結末のこと。自分がハルを殺しかけたこと。
そして、今こうしてネコに憑依してまでハルに会おうとしていることが、どれほど許されない「執着」なのか。
(もし全部話して、ネコに拒絶されたら。ハルに会わせてくれるっていう今の約束が、全部なかったことになってしまったら……)
ユイにとってネコが残された最後の希望だった。
ずっと孤独で、一生叶わない願いを叶えてくれるたった一つの光。
これさえ消えてしまうと、ユイは自分を保てなくなってしまうかもしれないと思うと言い出せない。
「……行こう。次の教室、あっちだよね」
ユイはそれ以上語るのをやめ、逃げるように足を早めた。
ハルさんとコトモ先輩の苗字が気になります。
どうしても苗字が必要になるシーンがあれば、完全オリジナルで導入させていただく場合がございます。
ご了承ください。