ホモ、現代ファンタジー世界にTS転生したので異性愛者です   作:稲光結音

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06ホモ、今日から通常授業

 お風呂でパパとの触れ合いを楽しみ、ボクは大満足。

 夕食は男料理のチャーハンだ。

 食べている間にママが職場から帰ってきた。ママも茨城騎士団所属の探索者。

 ボクの職業決定が楽しみで仕方なくて、仕事が手に着かないと休みを取ったパパの代わりに副団長としてその職務をこなしてきたみたい。

 ちなみにママも魔導司書なんてジョブは知らなかったみたいだし、EXランクだと話したら驚いていた。

 そんな一幕もありながら、ボクは自分の部屋で魔導天書を開く。掲載されているスキルツリーについて、もうちょっと詳しくならないといけない。なにせスキルツリーの醍醐味というのは、どういう風に成長させていくかを楽しむものだからだ。

 それが護身に繋がるともなれば楽しむだけじゃなく慎重さも求められるが。

 さて、具体的に見ていくとページは大きく五つに分かれている。通常魔法、召喚魔法、行動習熟、自己強化、その他である。

 通常魔法。これは炎を出したり傷を癒したりと言った、いわゆる一般的に魔法でイメージされるものだ。初めてのスキルが書いてあった銀のページもここにあり、第二章となる次のスキルはナイフ生成レベル2と剣生成レベル1が次の段階だ。須藤くんは剣使いだしナイフじゃなくて剣を作ってあげたい気持ちもあるんだよね。

 続いて召喚魔法。これは人や動物なんかを異世界から呼び出す魔法のようである。ここのページ数も結構ある。状況に応じて防御特化や警戒特化なんかの召喚を行えたら強いと思う。

 行動習熟は、例えば剣の技術なんかを身に着けたりできるみたい。剣と魔法の二刀流とか夢があるよね。男はみんな二刀流が好きだから……それは偏見か。他にも与謝野くんがやってたみたいな斥候技能なんかもある。

 自己強化。いわゆるパッシブスキル。筋力を上げたり走力を上げたり。魔力の回復量増加もあるからここを取っておくと他のスキルを取っておくのに有利だろう。ただしツリー的にはちょっと先にあるのですぐは取れない。

 その他。ツリーから独立した特殊なスキルが多いのが特徴で、他のスキルに当てはまらないもの。例えばアイテムボックスのスキルなんかもここに入っている。

 大体こんな感じ。で、今覚えられるようになってるのはヒール、回復魔法だ。パワー、バフ魔法。身体強化レベル1の自己強化スキル。

 感覚的にはこの三つのうち、どれか一つを覚えたらそれ以外はまたしばらくはスライム狩りをしないと覚えられないだろうなという感じである。

 それとも、さらに魔力を本に注いでもっと新しいスキルの第一章が解放されるのを待つか。

 召喚魔法なんかはまだ一個も解禁されてないしね。与謝野くんの負担を減らすためにアイテムボックスも欲しいけど、自分の有用さを上げ過ぎると茨城騎士団の名前があっても悪い大人に狙われそう。というか便利すぎるスキルだからね、おそらく必要魔力も相当なものだろう。

 さて、ここで一つ問題がある。というか今日まさにその問題に直面した。将来性が高すぎて困るのだ。

 いやこれは自慢じゃなくてね。早くスキルが欲しい! ってなって本に魔力を注ぎすぎると自分でやれる事がないのだ、ナイフ生成を一回するだけの魔力も勿体無い、みたいな感じ。

 そうすると何が困るか。自衛ができない。だから、どう魔導天書に注ぐ分の魔力を考えながら自分で使う分もどう配分するかも重要になってくる。

 これはあれだね。早くもっと上級のダンジョンに行って稼げる魔力を増やさないと。でもその為にはも自衛も考えなきゃで……うーん。

 一回転生したから人生経験豊富なはずのボクも、さすがにこんなファンタジー慣れしてるわけもなく。小さなのーみそをこねこねしながら眠りについた。

 

 

 朝、両親と共に食事を取って身だしなみを整える。うん、今日もボクは可愛いね。

 庭で飼ってる金色のドラゴン、マルフにも声をかけながら学校へ出発。

 

「おはよー!」

 

 到着したクラスで元気に挨拶をすると、皆がボクに注目する。

 

「お、来た来た!」

「レア職だけじゃなくてEXランクなんだって!?」

「その力で第二層のスライム倒してあの茨城騎士団にスカウトされたって!? すげーな!」

「俺も第二層行ってみたけど普通に勝てなかった! やっぱ違うな!」

「歴史に名を残すんじゃないか!? 今のうちにサインとか貰った方がいい感じ!?」

 

 え、なんでもう噂になってるんだろう。そう思っていると白部くんが頭を片手で抱えていた。

 

「須藤が全部バラしてた。俺が学校に来た時にはもう……」

 

 な、なるほど~。そう来たかあ。

 

「なんか駄目だったっぽいな? いやあ悪い悪い。茨城騎士団にスカウトされたのが嬉しくてさあ。そのままどうやって二層のスライムを倒したのか、とかそういう話になっちゃって」

「まあ言っちゃったものは仕方ないよね! 気にしなくていいよ! ボクは男だから細かい事は気にしないんだ!」

「お、おう!」

 

 須藤くんはなんか納得いかないな、という声色をしていた。まだボクが男だと分かっていないらしい。

 

「最初の授業は……国語かあ! ボク、国語と数学は得意なんだよ!」

 

 前世の経験が使えるからね。

 

「俺、算数は駄目なんだ……なんかコツとかある?」

 

 そんな情けない声を出す須藤くんに、ボクは人差し指を顎に当てながら答えた。

 

「須藤くんはゲームとかやる方だったりするかな」

「え? ああ。するよ。好きだ」

「チュートリアルってちゃんと聞く方?」

「いや……?」

 

 話が分からない、という様子を見せるが、二つの話は繋がってる。

 

「それが駄目。数学なんてのは基礎をちゃんと聞けば次の段階に繋がるんだ。須藤くんはチュートリアルを飛ばすから操作方法が分からないだけ」

「な、なるほど」

「それだけ分かってれば後はパズルゲームみたいなものだよ数学なんて」

 

 本当かなあ、という顔をして首を傾げる須藤くんにボクは笑顔を向ける。

 

「そもそも集中できないのかな? だったら頑張ったらボクがご褒美あげる!」

「お、何くれるんだ?」

「イイコト教えてあげる!」

 

 ごくりと唾を飲む彼は震える声で問いかけてくる。

 

「い、イイコトって?」

「んー、女体の神秘!」

 

 むせる須藤くんに、ボクの頭をはたく白部くん。

 

「馬鹿やめろ。また茨城小学校の惨劇を繰り返す気か」

「えへへ~」

 

 あれは楽しかったなあ。精通したばっかりの男の子達がこぞってボクを求めてきた。

 

「あの……俺も出来たら知りたいな。女体について」

「俺も!」

「俺も俺も!」

 

 ボクはにっこにこだ。

 

「いいよー。ボク男だからさ、体育の時は着替えも男子側でするんだ! その時にちょっとサービスしちゃおうかな」

「うおおおおお!!!」

 

 歓声を上げる男達。しかし女子はそれを冷ややかな目で見ていた。

 

「何あれ。気持ち悪」

「ちょっと可愛いからって男に媚びて。変態じゃん」

 

 聞こえるように陰口を叩く女の子に、ボクは近づいた。

 

「な、なによ」

「それじゃキミ達には……男らしさについて教えてあげる」

 

 壁際に座っていた子にさらに顔を近づけて、壁ドン。

 

「あっ顔がいい……守谷さんだめ……」

 

 密着して、腰を打ち付ける。えっちごっこだ。

 

「不潔ですよ! 守谷さん!」

 

 渡辺さんが盾士ランクBの筋力でボクを引き離す。

 そしてそのまま白部くんに引き渡された。

 

「ちゃんと見張っててください!」

「悪い」

 

 そう言って頭がまた叩かれる。

 しかしボクはくすくすと笑う。

 

「そーやってボクの保護者面してさ。本当はキミが一番ボクに溺れてるクセに。

 なんたって……」

 

 そう言って、ひっそりと白部くんにだけ聞こえるように声をかけた。

 

「ボクでドーテー卒業したんだから」

 

 顔を真っ赤にする彼に、ボクは身体を離す。

 

「あはっ、それじゃそろそろ授業が始まるからボクは席につくね! それじゃ男子の皆! 今日の三時間目の体育を楽しみにしててね!」

 

 そうして国語の授業が始まるが、皆そわそわしてしまっている。これがボクのせいだと思うとゾクゾクしてくるね。

 彼らにしてみれば長い一時間目、二時間目が終わり……

 

 ――三時間目。

 体育の授業の前の着替え。教室は女子が使うので男子は多目的教室に移動して体操服に着替える。

 そこで、ボクはルールを発表する。

 

「えー、今から着替えをします。授業に遅れない範囲で、そしてボクには直接触れない。これが守れるなら、ボクは喜んでキミ達のオカズになります」

「つまり、見抜きさせてやるからさっさと抜けという事だ」

 

 白部くんが補足する。ふふ、流石にこの状況には慣れてるね。

 そうしてボクは体操服に着替える、以上に服を脱ぎ……

 

「ルールを破ったら二度とシてあげないからね!」

 

 全裸で皆に注意をすると、聞いているのかいないのか、それぞれが性欲を発散し始める。白部くんも例外ではない。

 

「あはっ青臭ぁー」

 

 最高だ。性欲むんむんの中学生がボクをギラついた目で見て、結果として強いオス臭が鼻腔をくすぐる。

 

「ボク、男だって言ってるのに。キミ達ホモなんじゃないのー?」

 

 適当言ってます。ホモはボクです。

 

「くそっ、好き勝手言いやがって!」

「でも最高だ! これが女体……!」

「俺達の女神……」

 

 これから一年一緒にやっていくクラスの男子と仲良くなれたね。よかったよかった。

 こうしてボク達は青春の一ページを刻んだのだ。

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