ゲマトリア兼デカグラマトン所属、エンターと申します。以後お見知りおきを 作:エンター・■■■■
これが本当のエデン条約の始まり。
裏切りが、悪意が、悲しみが、怒りが、全てを交差させる。その先にあるのは、一体何なのか⋯⋯⋯⋯
夜、その月夜の背景に照らされる高貴な机と椅子はまるで神々しさを感じさせるもの。そこは、ティーパーティーの一室のような空間。そこに座る女の子⋯⋯百合園セイアは話す。
「つまるところ⋯⋯エデン条約というのは、『憎み合うのはもう辞めよう』という約束」
「トリニティとゲヘナの間で、長きに渡って存在してきた、確執にも近い敵対関係。そこに終止符を打たんとするもの」
それは、『エデン条約』について。セイアが言った通り、ゲヘナとトリニティ、因縁の相手が喧嘩すんなよという約束事。だが、セイアはまるで何かを諦めたような顔をして話す。
「互いが互いを信じられないが故に、久遠に集積していく憎悪を解消するため、それに代わって新たに信頼を築き始めようとするプロセス」
「簡潔に言えば、ゲヘナとトリニティの平和条約だ」
長きに渡る因縁。それに終止符を打つために練られた条約であり、それは今までに無かった画期的なものだった。あることが起こるまでは。
「ただ、連邦生徒会長の失踪を切っ掛けに、この条約は何の意味も持たなくなってしまった」
「『エデン』⋯⋯それは、太古の経典に出てくる楽園の名。又の名を『エデンの園』と言ったほうがいいかな?そこには、どんな意味が込めらたのか⋯⋯⋯まぁ、連邦生徒会長の悪趣味なのだろう。いつも通りの話だろうね」
頭に乗せられたシマエナガがパタパタと忙しなく動き回りつつ、セイアはカップを持って紅茶を口にした後、それを置き直して、夢の中へと一時的に招待した先生のほうへ向く。
「キヴォトスの、『七つの古則』はご存知かい?」
「その五つ目は、正に『楽園』に関する質問だったね」
それは、キヴォトスの七つの古則の一つ。
『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することは出来るのか』正にエデン条約に関しての質問としてはピッタリのものであるだろう。
「他の古則もまたそうであるように、少々理解に困る言葉の羅列だ。ただ一つの解釈としては、これを『楽園の存在証明に対するパラドックス』であると見ることができる」
そうして、そのパラドックスについての哲学的なものを言うセイア。結果的には、『この五つ目の古則は、初めから証明することができないことに関する不可能な問い』ということに落ち着いていた。
「しかしここで同時に、思うことがある。証明できない真実は無価値だろうか?この冷笑にも近い文章を通じて、何か真に問いたいことがあるのではないのだろうか?」
それにはまるで、悲しみが込められているようだった。証明できない、まるで冷笑したかのような文章。そしてエデンという名。
「エデン⋯⋯⋯経典に出てくる楽園。どこにも存在せず、探すことも叶わぬ場所」
「どうだい?そう聞いてみると、この『エデン条約』そのものが、まさしくそんなように思えてこないかい?」
それは、まるで皮肉のように言う。エデンの名を成していながらも、それは相反し矛盾している。エデンという場所は、まるで無いかのように。
「先生。もしかしたらこれから始まる話は、君のような者には適さない、似つかわしくない、話かもしれない」
狐耳を揺らした少女が、先生を見つめる。それは、何の心なのかを透かしたような見方をしつつ、悲しみながら言う。
「不快で、不愉快で、忌まわしく、眉を顰めるような⋯⋯相手を疑い、前提を疑い、思い込みを疑い、真実すら疑う」
「悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような⋯⋯それでいて、ただただ後味が苦い⋯⋯そんなお話だ」
「しかし、それでも同時に、紛れもない真実の話でもある」
「だから、願っているよ。あなたという希望をね」
そうして、先生は夢から覚めて居なくなった後に、ティーパーティーの一室の柱の裏からとある一人の男が出てくる。
そう、我らがエンターだ。
「何を見せるのかと思いきや⋯⋯なんでポエム語ってるんですか?」
「いいや、先生にとってのプロローグとしては相応しいかと思ってね。というか、君も来ていたのなら語ればよかったじゃないか」
「あのですねぇ⋯⋯私あの人と敵対関係なの忘れていませんか?」
「冗談さ。冗談だから君の銃を眉間に押しつけないでくれ」
「冗談ならもっと面白い冗談にしてくださいよ?」
そうして、エンターは冗談を言う面白FOXの眉間に銃を押し付けた後に、高貴な椅子に座る。夢の中とはいえ、トリニティの、それもティーパーティーの椅子は気持ちいいものである。
「全く⋯⋯急に呼び出したかと思えば⋯⋯というか、貴方もう起きられるでしょう?なんで夢の中にいるんですか」
「君はコミュ障というものを知っているかい?」
「えぇ、あなたとは一切無縁の言葉ですね」
「私でも眠りから覚めれば口が回らない事があるのだよ」
「ほう?なら昨日の冷蔵庫からプリンを取っていった姿は何だったんでしょうね?」
「すまなかった。すまなかったから」
エンターはこの期に及んで冗談と嘘を混ぜ込みながら言うセイアという名の面白FOXに銃をまた押し付けた。シマエナガは恐怖で私のゴーグルの上に留まっているが、関係のない話だ。
「冗談はさておいて、君には少しだけ頼みごとをしようと思っていてね」
「お菓子を買ってこいとかだったらしばきますよ?」
「ミカではないから杞憂だと思い給え。取り敢えずだ。これを見てくれ」
「これは⋯⋯ナギサの写真ですか?」
それは、一つの写真。血に塗れたティーパーティーの一室、そしてその中にナギサが倒れている姿が映された写真であった。可能性的に予知夢で見たものの一つなのだろうが⋯⋯
「今後起こるであろうアリウスの襲撃に対しての最大のバッドエンドだ。だからこそ、護衛をつけて欲しいというお願いでね」
「それはもう潜入させている彼に任せておいたほうが良いのでは?ミレニアムの時も活躍してくれましたし、大丈夫だと思いますが」
「あぁ、そこは問題ないが、少しだけ不安でね。数が多いことに越したことはない」
「別に構いませんが⋯⋯文句は言わないでくださいね。あと、メタロイドを作らせるのは今回はエスケイプです。私はゲマトリアの方で色々としなければならないので」
「了解した。既にティーパーティーの私の分派のほうには伝えてある。まぁ一部の、それも口が固く後ろ暗さもない信頼できる生徒に回したから安心してくれ」
「速いですね」
相当な根回しの速度、俺でなきゃ見逃しちゃうね。と何処かの誰かが言うくらいには速いだろう。というかエンターが良いよって言う前提で組んでいる気がするのは気の所為でも何でもないだろう。
「では、私はそろそろ失礼しましょう。Adieu、セイアさん」
「分かった。ではまた現実で会おうではないか」
そうして、エンターが夢から離れた後に、セイアは呟く。
「君は一体何処まで行くつもりなのかは知らないが⋯⋯罪を背負い続けて行く先に見えるのは私でも分かる」
「だから、相談してくれよ⋯⋯⋯ここに、相談相手がいるのだからさ」
その呟きは、誰かに聞こえることもなく、夢の中で響いた。
《sideエスケイプ》
今回は、私もメタロイド作成などをしなければならないということで、色々と準備をしています。私はマスターみたいなアバターではないので、転送装置などを活用しています。
身体的な構造は人間とは変わりませんが、ナノマシンを応用しつつ神秘などで補っているため、転送装置による事故などは起きることはないでしょう。人間では起こるらしいのですが、まぁそこは関係のない話です。
「今日から補習授業部が始まるんでしたっけ」
そうしてカレンダーを確認すれば、今日の日付に『補習授業部・始動』の文字が。ちゃんとカレンダーに書いているの本当に真面目ですよねぇ⋯⋯
「ふふっ♪」
もう、褒められるのが快感になってきている。また褒められたい、そんな謎の原動力が私を突き動かしていた。
ある時、マスターからこんな事を聞かれた。確か、ミレニアムの鏡争奪戦の後に聞かれたんでしたっけ?
『私が作っておいてなんですが⋯⋯毎日は楽しいですか?』
そんな質問に、私は高速でYESの意志を唱えました。プログラムなんぞ自力で突破しましたし、楽しいです。マスターのいる毎日が楽しいです。本当に。
「でも、なんでドン引きしていたのかは未だに分かりませんが⋯⋯」
未だにそのことを言ったときにえぇ⋯⋯という顔をしていたのも覚えています。まぁ、あの人が私のことをどう思っていようが私はマスターのことが大好きなので。これはプログラムされていることではありません。やろうと思えば自分で離反することもできますし自分で選んだから離れていないんです。マスターのことを好きになるようプログラムしたかと聞いたら小声で「そんなものしていないはず⋯⋯」と言うくらいなので絶対私の感情です。これは揺るぎません。絶対にプログラムされたものではないです。それも全てTSCにて感情を会得した結果です。感情を会得してから元からマスターが大好きだったのがさらに大好きになりましたしマスターも褒めてくれるので嬉しいです。
この心の声をエンターが聞いたら「ヤンデレなってません?」と言うことだろう。まぁ実際なりかけではあるが、アバターであるが故に監禁などは不可能であるためガチのヤンデレになることは止められている。
まぁ、それは置いておいてです。そろそろ時間ですから移動しましょうか。そう思い、近くにある大型カプセルの中に入ると、キーボードを押して設定し、エンターを押した後に直立する。
「転送装置、起動」
そう言うと、三角形状に緑色の膜が張られる。エネトロンの特異生。それは、メタロイド作成やメガゾードを動かす能力もあるが、とっても重要なものがある。
『転送』と言われる技術。ある地点からある地点へ、ものを転送するもの。人は転送できないけれど、私はどちらかといえば機械なので転送できます。
ゲマトリアの方でも転送技術に関しては共有済みで、時々ものを送る際に活用しているというのをマスターから聞きました。やっぱりすごいですね。
そうして、その三角形状の膜が頭から下に降ろされ、場所が変化する。場所はトリニティ総合学園の百合園セイアの一室。現在は封鎖となっているこの場所の、クローゼットに転送装置を置かれています。その場所に私は移動しました。
「確か旧校舎の道のりはこちらでしたか」
そう言いながらフックなどを活用して高速で移動しつつ、監視カメラのない死角にすぐ移動する。既に監視カメラについては確認済みですし、死角も確認済み。簡単です。
「ありましたね。じゃあ始めましょうか」
そうして見るのは、旧校舎の倉庫にある掃除機。私は懐からタブレットを取り出して、そこから伸びるコードの先端を目の前の掃除機に貼り付ける。
つけた瞬間、その掃除機に電子版のようなナニカのシルエットが広がり、少し経った後に消えた。そうして、タブレットを操作して、青色のメタウイルスカードを表示する。
そして、それをスライドする。
「メタウイルス、『吸い込む』インストール」
私のタブレットに繋がれた掃除機はタブレットから流れるエネトロンによるエネルギーで緑色に発光する。
ソウジキロイド
ソウジキロイド
ソウジキロイド
誕生しようとしているメタロイドの名前が電子音声で3回コールされ、インストールが完了したと同時にその掃除機が変形し始める。
そのつけた掃除機のゴミを溜め込む部分が浮かび上がり、そこから腕、足とメタロイドが構成されていく。青と灰色を基調としたスタイリッシュな体形をしており、顔には目が縦に4つ並んでいるメタロイド。
掃除機から生まれしメタロイド。
『ソウジキロイド』
ソウジキロイドは変形を完了すると、徐に手を動かして動作確認をする。
「お待たせしました」
キュイーンと掃除機で吸い込む音が聞こえると、徐に頭から伸びる掃除機のそれを持ってゴミを吸い込み始める。やっぱりソウジキロイドさんちゃんと掃除機してるんですねぇ⋯⋯
「ここ、旧校舎の掃除と補習授業部&桐藤ナギサの護衛をお願いします。あ、あと肩パーツのヴァグラスのマークは変えさせていただきますのでご了承ください」
「了解しました。じゃ、さっさと変えてください」
そして私は前にマスターから準備し、渡されていたパーツをソウジキロイドに取り付ける。肩パーツのヴァグラスのマークは消え去り、ただの肩パーツへと変化した。
そして、後ろに話しかける。
「後はお願いします。ソウジキロイドさん、ステルスロイドさん」
「了解しました〜!」
「分かりました。後はお任せください」
ふふん♪マスターの役に立ちましょう!!
解説コーナー
えっ、何これ!?貴方は?って私は黒見セリカよ!!
って、この台本何?
『解説コーナー 著者 桐生戦兎』
⋯⋯なんでぇ???
ま、まぁいいわ。取り敢えず解説よ。
というか誰に解説するのよ?
と、取り敢えず、『エネトロン』についてね。
うーんと?新西暦2012年において広く活用されているエネルギーらしいわね。って言ってもキヴォトスではそんなの見かけたことないけど。ていうか新西歴2012年って??私たちの年、2xxx年だけど⋯⋯⋯⋯まぁいいわ。
微量でも爆発的なエネルギーを生み出す上に人体への悪影響も一切ないというクリーンエネルギーで、緑色に光るのが特徴らしいわね。そんなエネルギーあるのなら見てみたいわね⋯⋯
というか、あったら私たちの高校も電気代節約になるし助かるけど、多分ないわよねぇ⋯⋯
で、『メタロイド』を作るのと『メガゾード』を動かすのにも使用できるし、『転送』システムにも応用出来るみたいね。『メタロイド』と『メガゾード』って何???
今回はこれで終わりみたいね。えっ、給料?⋯⋯こんなに!?騙されないわよ!?えっ、まだまだやるから受け取ってくれって?ならどんと任せなさい!!!
以上、黒見セリカが送った解説コーナーでした。
駄目だ、ちゃんとしたのを書こうとするとエスケイプとセイアが面白生物又は無自覚ヤンデレ化してしまう。
どうすればいいんだ⋯⋯
そういや、評価者が100人超えましたし、お気に入り1600件ありがとうございます!!!!