ゲマトリア兼デカグラマトン所属、エンターと申します。以後お見知りおきを 作:エンター・■■■■
追ってきたアリウス生徒を鎮圧し一息ついたのも束の間、すぐさま大隊単位の増援が押し寄せ、更に正義実現委員会の動く気配も見当たらず、窮地に立たされた補習授業部。
そこに現れたのは⋯⋯ティーパーティー聖園ミカだった。
本当のトリニティの裏切り者。
それは、聖園ミカだった。
ミカの口から伝えられたのは、正義実現委員会は動かないとのこと。ティーパーティーとしての権限によって、待機命令を出したからとのことであった。
彼女がトリニティの
そして、出され秘匿した命令にも気づいていたが故にどう動くか考えあぐねていた。
そして、ミカの口から出されたのはこれまでに起きたことの真実。アリウスと手を組んだのは
『ゲヘナが心の奥底から嫌いだから』
という利害関係が一致したからだということ。そして、ミカがプールの中で話していた軍事条約ということについては真っ赤な嘘だったのだ。
だが、ミカがアリウスと和解したかったのは本当の話。
「あの時、先生言ったよね? 『私は生徒の味方だよ』って。てことはさ? 私たちの味方もしてくれるってことでしょ?」
“それはっ⋯⋯!”
「やっぱりね。都合上の判断って奴?まぁいいけど」
「新たな武力集団を得て編成されたトリニティが、ゲヘナに全面戦争を仕掛ける。そう、これが私の計画!」
それは⋯⋯宣戦布告を現す言葉。それに対して、先生は⋯⋯ブチギレた。それは、戦争という言葉に対してか、自身の何かを蔑ろにされたからか⋯⋯
それを合図に戦いが始まったが、アリウスに関してはあっけなくやられていった。だが、そんな事も気にせずにミカは呑気な態度を取る。
それにハナコは一つだけ問う。
「ミカさん、一つだけ聞かせてください!セイアちゃんを襲撃したのも、貴方の指示だったんですか!?」
それは、百合園セイア襲撃事件の話。アリウスを指示しているということは、もしかしたらそういうことなのかもしれない。そんな思いを胸に抱きながら目を鋭くし、ミカに問う。
そしてそれは⋯⋯肯定の言葉だった。
「うん、私の指示だよ。セイアちゃんってば、いつも変なことばかり言って。楽園だのなんだの、難しいことばっかり」
「結果的にはああなっちゃったけど⋯⋯ねぇ、白洲アズサ。何だか一部誤解があるみたいだし、私の代わりに説明してくれない?」
「それはっ⋯⋯!!」
アズサがそれを言おうとした次の瞬間⋯⋯大爆発が起きた。ミカは咄嗟にアリウスの生徒からトリニティの生徒が向かってくるという情報を聞いていたが、警戒に値するには十分なものだった。
「シスターフッド!!」
「⋯⋯まぁ、ちょっとした約束事をしましたので」
「約束⋯⋯?」
「あなたは知らなくていいことですよ」
「けほっ、今日も平和と安寧が、皆さんと共にありますように⋯⋯けほっ」
「す、すいません、お邪魔します⋯⋯」
そうして入ってきたのはシスターフッドが2人、マリーとヒナタであった。そして、先頭に立つのは我らが総長サクラコ様。いつもはポンコツなのにこんなところだけかっこいい人だ。
「シスターフッド、これまでの慣習に反することでは有りますが⋯⋯ティーパーティーの内紛に、介入させて頂きます」
先頭に立つサクラコが、傷害教唆及び傷害未遂でミカの身柄を確保すると突き付ける。その顔に宿るのは少しばかしの怒りと慈愛の精神。
「⋯⋯あはっ。流石にシスターフッドと戦うのは初めてだなー。なるほどね、これが切り札ってこと? どうやったのか知らないけど、あの子たちが何の得もなく動くはずが無いよね⋯⋯? ねぇ、
「⋯⋯」
「ま、いいや。どうせホストになったら、大聖堂も掃除しようと思ってたところだし」
「まぁ、切り札には、切り札ってね☆」
次の瞬間⋯⋯体育館のステージの光が灯り、スポットライドがその2つの影に当てられる。急な事にシスターフッドも補習授業部も先生も困惑するが、その2つの影。その姿が顕になる。
片や顔はシルクハットのような見た目をしていて、指揮者を思わせる姿、燕尾服みたいな姿になっており、白い蝶ネクタイのようなものをつけている。また、袖や襟元にはピアノの鍵盤のような模様がついているロボット。
片やと灰色を基調としたスタイリッシュな体形をしており、顔には目が縦に4つ並んでいて、サイクロン式のエネトロンクリーナーで武装しているロボット。
その2つのロボットの片方を見た補習授業部⋯⋯それも事実を知らないヒフミとコハル、先生は目を見開いた。それは⋯⋯補習授業部でお世話になった、『クリーナー』だったからだった。
「昨日ぶりですね。補習授業部の皆さん」
「クリーナーさん!? どうして!?」
「生憎、私は契約により昨日までは『合宿場』のお掃除でしたので。確かに、合宿場にはいませんよ?」
それは、単なる言葉遊び。あの日、クリーナーが言ったのは「明日は契約なくなるからここにはいないよ」ということ。
ここという言葉が、状況的に『トリニティ総合学園』にいなくなるという勘違いを生まれさせるための罠。小鳥遊ホシノにもやったように、クリーナーもそれをやったのだ。
そして、隣のもう一人のピアノのようなロボットから声が高々に発せられる。
「こほん、改めて!」
「Ladies and gentlemen!!」
「トリニティにご来場頂き有難うございます!」
それは、まるでコンサートのように腕を広げて祝福するかのように叫ぶそのロボット。それに彼女たちは最大級の警戒をする。
「私はエンターが作りしメタロイドが一人!『ピアノロイド!』」
「同じく、クリーナー改めてソウジキロイド」
「さぁ!奏でましょう!美しき
そうして、彼が指揮棒を取り出すと肩のピアノのような何かから線のようなものが出てきて、音楽が流れ始める。それは場に似合わないクラシックな音楽。だが、それとは裏腹に先生たちは絶望していた。
そう、今まで付き合ってくれていたクリーナーが、敵だったから。打ち解けた彼が、敵だったから。
「じゃあ、やってみよっか」
「⋯⋯もう、私は行く所まで行くしかないの」
その言葉を火蓋に戦闘が始まった。
シスターフッドはアリウスを、補習授業部はメタロイド2人と聖園ミカを相手するような形になった。
ピアノロイドは空中に形成された楽譜を指揮棒で振るう。それはまるで、一人で行う大合唱のように。淡々と、淡々と。
「さぁ!奏でよう!クレッシェンド!」
その言葉が発せられた瞬間、その空中に形成された楽譜の音符が、飛び出してヒフミの方へ向かっていった。当然、単調な攻撃なのだから避けるに決まっている。
だが、その音符は⋯⋯爆弾でもあった。
「危ないっ!」
「ひゃっ!?」
咄嗟にアズサがヒフミに覆いかぶさり、それを庇うと、その音符が独りでに爆発する。ピアノロイドの能力⋯⋯それは、空中に楽譜を形成して、その出来た音符をホーミング爆弾にして飛ばす能力かに思われるだろう。
シンプルだがそれも強い。それこそがメタロイドの特性ともいえる。だからこそ、ピアノロイドも例外ではなかった。そしてその爆弾はまた発射される。
それを確認したソウジキロイド、そしてミカは動き出す。
「あはは☆遅いじゃんね!」
「生憎ですが、私も強いですよ」
神秘強化型メタロイドの第2体目。それがソウジキロイド。彼がパワーアップしたのは頭脳と火力。吸い込む力は健在だが、それを取り外して現れる銃と、単純な頭脳が強化されていた。だからこそ、最強格に合わせながらも動くことができる。
それが、ソウジキロイドだった。
ミカは爆発に巻き込まれたアズサを狙う。それにアズサも気づいたようで、ミカに対してアズサも構える。
パンチやキックなどをミカは仕掛けてくるが、それをギリギリの所で避けるアズサ。ミカのパンチやキックにはブオンブオンと風が押し出される音が聞こえることから、一撃貰えばもろに戦闘不能になるレベルの力があるだろう。
アズサを助けに行こうと動こうにも、ソウジキロイドの銃撃とピアノロイドのホーミング爆弾によって遮られる。音楽が流れているからか集中力も乱れかけていたが故に、助けに行けなかった。
「さぁ!第1節!!『ノブリス・オブリージュ』!」
ピアノロイドがそれを発した瞬間、その音楽が変化する。今さっきのクラシックな音楽とは違い、高貴な音楽が流れ始める。そして、それに伴い戦闘も変化した。
ピアノロイドは指揮棒を振るうと、その空中の楽譜から音符20個も飛び出し、ピアノロイドの頭上に整列した。そして、指揮棒でハナコをロックオンした瞬間、それが高速でハナコとコハルの方へ向かっていった。
“単調すぎる⋯⋯いや違う!!ハナコ、コハル!!それはホーミングじゃない!”
「なっ!?」
「えっ!?」
ホーミングかと思い、相殺しようとした時に言われたその言葉。その一瞬が戦闘の命取りとなる。それが戦場の鉄則であり、この場での遅さに直結した。
「さて、ファイヤー」
ソウジキロイドから弾丸が放たれて、ホーミング爆弾かと勘違いして避けた2人に待っていたのは弾丸の嵐。それはまだ避けれるだろう。
だが、次の瞬間⋯⋯そのホーミング爆弾らしきものが閃光を生み、周りを包む。その異常過ぎる光景に一瞬戸惑いつつも目を閉じる。だが、弾丸が向かってきていた。その火力は絶大であった。
「きゃぁっ!?」
「くっ!」
そのソウジキロイドの弾丸をモロに受けて後ずさるハナコとコハル。だが、その間にも音符爆弾は迫ってきていた。
「第2節『悪意と疑念』!!」
ピアノロイドがそう言うとまた音楽が変化する。それはまるで何かを疑うような、疑念が残るような音楽。まるでここに至るまでのナギサたちを音楽にしたかのようなそれは、音符とやって襲いかかってくる。
「ピアノッ!」
指揮棒を振り上げ、音符爆弾を向かわさせた先はミカに対応しているヒフミとアズサ。ミカはそれを咄嗟に察知して避けながらも自身の銃で牽制して動きを遅くさせる。だが、ヒフミが召喚した巨大ぺロロ人形にその音符爆弾が向かっていった。
可能性的には神秘のそれである巨大ペロロ人形はヘイトを向かわせることができる。それ故に音符爆弾の対抗策となっていた。それを見たピアノロイドは手を顎に付け考える。
「ふむ、ペロロが加わることで新たなメロディーとなるか。ならば!」
「第3節『真実と結末』!!」
また転調。それは壮大な音楽であったものの、まるで疑念が晴れてもその先があるような薄暗い音楽。そして、また楽譜が形成されて音符爆弾が作り出される。
「中々に厄介ですね⋯⋯」
「あぁ、あの音符爆弾、形によって違うようだ」
その後ろでも、ミカ&ソウジキロイドVSシスターフッド&ヒフミ&コハルで分かれて戦っていた。ミカとソウジキロイドは数の暴力を捌いていた。
「くっ、やるね!」
「⋯⋯やりますね」
シスターフッドはかなり倒したものの、それでもなお数が多いことに変わりはない。ソウジキロイドが時間を確認すれば、現在は19時55分。残り5分耐えればいい。
「ラ〜ララ〜裏切りと悲しみに包まれた鎮魂曲を!!」
突如、シスターフッドや補習授業部の前に迫ってきたのは、大量のゴム弾。ピアノロイドの特性は爆発させること。だが、爆弾の種類は設定されていない。
つまりで言えば、ピアノロイドは曲によって変化するが、催涙爆弾、ゴム爆弾、ホーミング爆弾、閃光弾。この4つの種類を自在に分けて使役する能力。それが本当の彼の能力。
そして、彼はまた叫ぶ。
「⋯⋯残り、5分程度。そろそろ次のフェーズに移行する。第4節『破壊と混沌』!」
次の瞬間、彼の背中に現れたのは楽譜のようで、まるでヘイローのようにグルグルと回っている。
「⋯⋯時間稼ぎとは言えども、やりすぎじゃないですか?」
ハナコは少しだけ苦笑いを浮かべる。
現在の時刻は19時56分。残り4分時間を稼がねばならない。だが、ピアノロイドの爆破にソウジキロイドの狙撃、ミカの超近距離戦闘に疲弊していた。
「んんっ〜〜!素敵なハーモニィー!さぁ!素敵な楽曲を!」
そして、背中の譜面から大量の爆弾が発射された。それも全てホーミング弾。しかもかなりの速度であり、それは直ぐ様補習授業部とシスターフッドに向かっていった。
19時57分。残り3分。もう凄い混沌とかしていた。攻撃する暇もなく永遠と発射されるホーミング爆弾。それもソウジキロイドによって空中で狙撃され爆風でよろけたら一発アウトのヤバいコース。
それを彼女たちはずっと避けたり相殺していたりした。
「ひゃぁぁぁ!?!?」
「ちっ、数が多い!」
「キツイですね」
「やり過ぎよこれ!」
場所が場所なので、障害物を使えるのだがそれは全てミカが粉砕していく。やはりゴリラの名は伊達ではない。万力のパワー、それは全てを粉砕する。それ故に、逃げ続けるしか無かった。
残り2分となった。
「そこですね」
ソウジキロイドがバキューム型の銃で狙いを定めると即座に撃つ。その先は空中にある音符爆弾であった。
「皆さん、跳弾というのはご存知ですか?」
その音符爆弾はピアノロイドがホーミング爆弾の中に混ぜたゴム爆弾。そして、それは爆発し弾薬をその勢いのまま跳ね返らせるほどの弾力を秘めたゴム。
つまりで言えば、空中で弾薬が跳弾していた。それも、一度や二度ではない。何度も何度も、どんどん追加されていくそれは補習授業部の部員にとってはあり得ない代物だった。
「そ、そんなのアリぃ!?」
「もう頓痴気じゃないですかぁ!!」
「跳弾、それも勢いを殺さないもの⋯⋯練度が高すぎる」
気を抜けばピアノロイドのホーミング爆弾が、障害物で防ごうにもミカが破壊し、そして一つでも動きが遅ければソウジキロイドが狙撃する。それはもう、完璧な布陣であった。
まさに絶対絶命。だが、時間もそろそろだった。
「⋯⋯残り、10秒」
「えぇ、そろそろですね」
そんな中で、アズサとハナコは呟く。
現在、19時59分50秒。
予告状らしきものに書かれていたことは20時まで時間稼ぎ。そして、セイアが生きていることなどもろもろ。本当かどうか確認する手段はないが、メタロイドがいる時点でそれは確定していた。
そして20時になった瞬間、ピアノロイドが指揮棒を振り上げ、叫ぶ。
「さぁ、最後の節だ!第5節『失楽園・交差する運命』!!」
そして、音符爆弾が発射される。先生のほうに発射されるかと思いきや、それは⋯⋯体育館の壁のほうに発射された。
『“!?”』
その突然の行動にシスターフッドも補習授業部も先生も、ましてやミカも驚いた。そして、次の瞬間にはソウジキロイドも動いていた。まるで作戦通りだったかのように。
ソウジキロイドは聖園ミカの頭に、銃口を向ける。
「さて、動かないでください。聖園ミカ」
「えっ!?」
すかさず、ソウジキロイドは聖園ミカの頭にゼロ距離ヘッドショットを何発も放つ。
それをミカは既の所で避けてソウジキロイドにカウンターとして弾丸を放とうとしたが、ソウジキロイドは何時の間にかピアノロイドの隣にいて、その弾丸⋯⋯否、その体は空中に浮かび上がっていた。
『“!?”』
その光景に、皆は目を疑っていた。そう、ピアノロイドが破壊した壁から車が入ってきてミカを轢いた。そう、轢いたのだ。壁から入ってきたオープンカーの車が。
「いってて⋯⋯何者じゃん⋯⋯ね、え?」
その急展開すぎるものに、メタロイド除く皆の思考は停止した。そして当の本人であるミカはその轢いた本人を見て目を見開いた。そして、そのミカを轢いた主は話す。
「やぁ、久しいじゃないか。ミカ」
「あの穏便に入ってと言ったはずでは?」
「これが穏便の部類ではないのかい?ミカなのだから」
「⋯⋯(軽蔑の目)」
「ううっ⋯⋯まだ頭がクラクラします⋯⋯」
「肩を貸しますので」
「荒運転すぎます⋯⋯」
百合園セイア率いる一行が、そこに現れた瞬間だった。
まぁカオスなことに変わりはなかったが、シリアスが一瞬にして粉々に粉砕された瞬間でもあった。
第三次特別学力試験戦は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』40話をベースにしております。
因みに新ストーリー公開されるまでプロットが崩壊しないかビクビクしてました。
⋯⋯⋯えっ、また紹介!?
分かったわよ。改めて、黒見セリカの紹介コーナーよ。
今回は『ピアノロイド』の能力についてね。
ピアノロイドは鍵盤ハーモニカから生み出されたメタロイドで、まるで指揮者みたいな形をしているわ。
【挿絵表示】
能力は空中に楽譜を作って、その関係で出てきた音符をホーミング爆弾や閃光弾、音響爆弾やゴム爆弾とかに変えて発射してくる能力よ。まさに『芸術は爆発だ!』ってところかしら。
ピアノロイドはそれまでに起きたことを第5節の音楽で纏めることをするわ。たまに先の未来についても楽曲にするとかなんとか。
彼が言っていたのは
第1節『ノブリス・オブリージュ』
第2節『悪意と疑念』
第3節『真実と結末』
第4節『破壊と混沌』
第5節『失楽園・交差する運命』
の5つよ。これ見ると何が起きたのか気になるけれど⋯⋯まぁいいわ、それは後にして⋯⋯
にしても、カッターロイドといい、ショベルロイドといいどうしてこうも高性能すぎるオートマタがいるのかしら。
え?ピアノロイドについての記憶は消してもらう?お金は渡すから?
ちょっと!?待って!?やめt ( ˘ω˘)スヤァ