ゲマトリア兼デカグラマトン所属、エンターと申します。以後お見知りおきを 作:エンター・■■■■
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トリニティ総合学園の体育館、そこではもう凄い混沌とかしていた。オープンカーがミカに突っ込み、ピアノロイドは指揮棒を振り上げて終幕のように手を広げ、ソウジキロイドは頭を抱えている。
まさにカオス。
そして、それを引き起こした張本人であるセイアは喋る。
「久しいじゃないか。ミカ」
オープンカーから降りてサングラスをスチャッと掛けてミカに向けて話す。アリウスもシスターフッドが丁度全員倒したが故に、シスターフッドも補習授業部も、当人であるミカも困惑していた。
「Bonjour、先生方?」
そして、隣から出てきたのは我らがエンターであった。だが、その顔はやけに疲れていて頭を抱えているようだった。そして、再起動を果たした先生が話す。
“え、えっと⋯⋯え?”
その光景に、先生は終始困惑するしかない。というか、困惑しないほうが無理があるだろう。ピアノロイド&ソウジキロイド&ミカと戦っていたら急に車が突っ込んでくるなんて誰が予想できようか。
そして、エンターの姿を見て位の一番に指差して叫んだのは阿慈谷ヒフミだった。
「あーっ!!!エンターさん!!お久しぶりです!」
「あ、そうでしたね。お久しぶりですね。ヒフミさん」
エンターとヒフミは旧知の仲。モモフレンズのグッズを買っている者同士であり、ブラックマーケットにいた時に色んな事があって手を組んだことがある。
因みに、エンターは偶にウェーブキャットのぬいぐるみを購入している。ストレス緩和に繋がる為である。尤も、ストレスとは言えどもベアトリーチェの小言関連のものではあるが。
そして、ミカも再起動を果たしてセイアに縋るように話しかける。
「な、なんで生きて⋯⋯」
「生きてちゃ駄目なのかい? 一度、この三人で腹を割って話し合おうと思っていたところだ。丁度いい、ナギサも連れてきたことだし、話し合おうじゃないか」
「セ、セイアさん⋯⋯少し運転を抑えてください⋯⋯うっ」
「お久し振りですね、ミカ様」
そうして出てきたのは蒼森ミネと桐藤ナギサ。トリニティの中でもトップの位置に君臨する者たちがこの体育館に密集しているという異質な光景。
「先ずは、私が何故生きているかから話そうか」
そうして話し始めるはこれまでに起きたこと。
アリウスの襲撃、建物が崩れ血が滴り出ていたあの土地。あの時に出てきてもいない遺体。そもそも遺体などなかったのだ。生きていたのだから当然でもあるだろう。
そして、見えた血溜まりはコピーロイドがばら撒いた血のり。それこそ、傍から見たら死んだと勘違いするほどの特注品。アズサは、そのことも全て理解していた。全てはアリウスを勘違いさせるために仕組んだこと。
そして、あの日百合園セイアと入れ替わっていたのはコピーロイド。何故ならばセイアは病弱であるが故に、逃げ場がなかった。
ならば病弱じゃないセイアを持ってくればいいじゃないか、そんな考えでコピーロイドを作ったのだ。コピーロイドは外見を全てコピーする。そう、それはヘイローさえも例外ではない。
『ふむ、ヘイローまでも写すとは中々凄いですね』
『私自身を見るというのは初めてだね』
『御手柔らかにお願いします。Monsieurエンター、百合園セイアさん』
エンター自身も、コピーロイドを制作しセイアをコピーしたときは驚いた。テクスチャの上書き、それは私と同じこの世界にとっては唯一無二のもの。この世界にとっても、他の世界にとっても、強すぎるものだった。
「そもそも、エンターと知り合ったのも紆余曲折あったからだからね。先生はゲマトリアだと警戒しているのかもしれないが、彼は
そう、今は。彼はそもそもゲマトリア、神秘を探求する組織。時には敵対関係になることもしばしば。この場にいる者は知らないが彼はデカグラマトンでもあるので、敵対関係になることは確定だろう。
そうしてセイアの話を全て聞いた一同は多すぎる情報量にフリーズしていた。事情を知っているアズサ、ミネ、エンター、エスケイプは除くが。
そうして、真っ先に口を開いたのは先生だった。
“エンター、一つ聞かせて”
「なんでしょう?」
“セイアを、どうするつもり?”
それは、ゲマトリアのエンターに対しての質問。彼はゲマトリアの一味であり、所々で手を焼かせて来た人。敵対関係でもある。だからこそ真意を知りたかった。
「どうもこうも、何もする気はありませんよ。別に黒服のように契約関係を結んだわけでもありませんし」
手を広げあっけらかんと答えるエンター。その声には少々の呆れが含まれていた。
“ゲマトリアの
先生から放たれたのは重い圧。先生にとってはゲマトリアも、まさしくそれに所属しているエンターも警戒対象であることに変わりはなかった。今は敵対していないとはいえ、この事が終わったあとにセイアに何をされるのか分からないから。
だが、その言葉に対してエンターが漏らしたのは⋯⋯呆れを含めた溜め息だった。
そう、先生はエンターのことを
そして、エンターは目を細くして先生を見る。
「何時も思いましたが、大人大人と五月蝿いですねぇ⋯」
それは、少しばかしの呆れと面倒くさそうな声。まるで、先生が言っていることが間違っているかのように。まぁ実際は全然間違っているのだが。
「というか、私まだ17歳ですよ?Mademoiselle?」
“⋯⋯⋯は?”
先生の声からこれでもかと言うほどに冷たい声が出てきた。先生の心を見るとすれば、「この子が⋯⋯子供?」という困惑の心。当然でもあるだろう、こんな大人びた人が子供だということは一目では分かりにくい。
だからこそだろうか、先生は震える声で聞く。
“エンターが⋯⋯子供⋯⋯?”
「まさかゲマトリアが大人のみの組織だと思っていたのですか?勘違いも甚だしいですよ?セイアさんたちは腹を括って話し合いを始めたようですし、私のことについても話しましょうか」
そうして後ろを見れば、セイア、ミカ、ナギサ、ミネ、そして今さっきまで蚊帳の外にされていたサクラコも含めたトリニティの中でもかなり高い位置に存在する者たちやそれに近い人たちが集まり話していた。
この場を作ってくれたのはまさしくエンターである。それ故にナギサは迂闊な行動は出来なく、腹を割って話し合うのみだった。
そんな光景を尻目に、先生に対してエンターは人差し指をピンと上げて語る。
「まず、先生に対してのゲマトリアの観念について、少し勘違いされているようなので訂正させてください」
「ゲマトリアは神秘を探求する組織。黒服のように生徒を利用するのも一つの手段でしかないのですよ。そこの所merci?」
“⋯⋯⋯⋯”
先生にとっては度し難いことが、ゲマトリアにとってはその手段の一つでしかない。それを黙って聞く。もし、この目の前の子が本当に子供だとすれば、先生はまさしく⋯⋯
間違えてしまったということなのだから
「私の⋯⋯肉体年齢と言えばいいですかね。精神年齢と見た目が明らかに大人らしいと色んな方から言われましてねぇ⋯⋯勘違されやすいのですよ」
「前、Divi:SionSystemの所で偶々会った時に大人と言われて少し勘違いされていると思ったのでね。少し訂正させて頂きました」
“⋯⋯⋯”
その言葉に、先生は黙るしかない。いや、反論の余地があるわけがない。もし、もしも本当にゲマトリア所属の17歳なのだとしたら、先生は重大な間違いを犯してしまったのだから。
「そう言えば、貴方は『生徒の味方』なのでしょう?ということは、当然私の味方でもあるということですよね?貴方の理論で行けば、私子供ですし。まさか、『【ゲマトリア所属】だから敵』とか言いませんよね?」
それに対して、先生はぐうの音も出なかった。
先生への観念の疑問
先生への敵対心の疑問
それをストレートで言い放ったエンターは鋭い目で先生を見る。まるで見定めるかのように、又は先生自身の何かを判断するように。
“⋯⋯⋯⋯⋯”
先生はこの時、自分の甘さを思い知った。生徒の味方と謳っておきながら、生徒が敵だったら?生徒が牙を剥いてきたら?ヘルメット団なども生徒なのに、それに敵対した。
黒服が言っていた、『不良も生徒に含まれる』ということも今この時に思い出した。あの問いはまさしくこの場面にピッタリの言葉。彼は不良ではないが、ニュアンス的には似ている。
ボロボロと、先生の中の何かが崩れていく音がする。自身を作っていた何かが、砕けていくような、崩れていくような音がさっきから幻聴のように響く。
つまりで言えば、だ。ゲマトリア所属の人ということだけで大人と決めつけ、挙句の果てにはそのゲマトリアとだけで強く当たってしまった。生徒だということも知らずに。
まさしく、生徒を信じることもせず勝手に決めつけた。先生にとっては重い罪なのだろう。さっきから俯くだけで何も反応しない。否、反応できない。先生の頭は真っ白になって、先生自身が何なのか分からなくなってきていた。
そんな先生を見て、エンターは溜め息をついて先生を見る。その目は期待外れのような目。または、次の行動を思案するような目でもあった。そして口を開く。
「成る程、まぁいいでしょう。因みに、私はセイアさんに何かをするつもりもありません。彼女とは同盟関係なのでね。でも、さっさと決意しておいたほうがいいですよ?」
「取り返しがつかなくなっても、遅いですからね」
そうしてエンターはセイアたちの方を振り向き、先生に頭だけを後ろに向けて鋭い視線を送る。彼女たちを見れば、少し疲れながらも話も終わったようだ。多分わだかまりを解消するためにかなり色んな事を話したのだろう。
そうしていると、セイアたちが先生たちの方へ向かってくる。そして真っ先に口を開いたのは、ミカだった。
「私⋯⋯自首するよ」
その言葉で、この長い長い夜の戦いは終わった。
場面は戻ってセイアたち、エンターが先生と話している間に、こちら側も色々なことを話していた。
「まさかトリニティの体育館で首脳陣が一堂に会するとはね」
「それはセイアさんがやったことでは???」
「概ね同意します」
「⋯⋯これ私必要ですか?」
「えっ、えっと⋯⋯」
「⋯⋯わーお」
簡単にイカれたメンバーを紹介するぜ!
わんぱくFOX・百合園セイア
ナギ茶・桐藤ナギサ
ゴリラ・聖園ミカ
救護!!!・蒼森ミネ
何故か疑われる可哀想な人・歌住サクラコ
そしてさらっとついてきている人・アリス・エスケイプ
以上6名である。一応言っておくが、今はクーデター中であることを忘れてはならない。とは言えどもアリウスは全滅しているから勝ち目などさらさらないが。
そうしていると、セイアとミネが頭を下げる。
「⋯⋯私の勝手な判断で雲隠れしてしまった。本当にすまなかった」
「すいませんでした」
「セイアさんっ!?」
「頭を下げるのはこっちの方なのに⋯⋯」
あのアリウスの襲撃の前まで、セイアは絶望していた。明晰夢だろうか、その未来予知じみた夢を見て、皆が死んでいるところを何度も見せられたら精神が病むのも無理はない。
そんな時にエンターを見つけ、そしてコンタクトを取った。どちらかといえばあちらから取ってきたのほうが正しいが。とは言えども勝手な判断でやってしまったことには間違いはない。
だが、ナギサもナギサで謝るしかないし、ミカもミカで謝るしかない。いわばこれは謝り合戦とも言えよう。そして完全に蚊帳の外にされてしまったエスケイプとサクラコは顔を見合わせる。
「これ、私たち必要あります?」
「⋯⋯さぁ?」
正直ティーパーティーの蟠りを解消するために物理的に集まらせた為こうなっているのだが、そんな事になるなんて知るわけがないサクラコはもうずっと困惑していた。
そして、ミカは懺悔する。
「ごめんなさいっ⋯⋯!!無事だったけど、私がセイアちゃんを殺しかけたことは間違いないから⋯⋯」
泣き目になりながら頭を下げるミカ。
一連の出来事に関しては大体こいつが黒幕なので無理もないが、そもそもそれを利用したのはあのベアトリーチェとか言うカスなので可哀想な人である。ただただ和平をしたかったのに利用されただけなのだから。
「頭を上げ給え、ミカ。確かに一連の出来事に関しては君に責任がある」
「⋯⋯っ」
「だが、こうして裏の探り合いもなく話し合えることができたのもまた事実だ。疑念と暗黒が渦巻くトリニティではこんなことは滅多にない」
「全員が全員、もっと素直に信じていたらこんなことにはならなかった。だから、それは私たちも反省するべき点だ」
もっと誰かを信じることができていたら、もっと誰かを頼ることができていたら。そんなifを語ってもしょうがない。今は現実を見なければ何も始まらない。
「取り敢えず⋯⋯全部吐き出そうじゃないか。蟠りと言う奴を」
そこからは早かった。それぞれの愚痴やら疑惑やら⋯⋯トリニティだからこそだろうか。出てくる出てくる。そして、もう完全に忘れられて蚊帳の外になっているエスケイプとサクラコはトークに花を咲かせた後に、モモトークを交換していた。
「これ何時まで待たされるんでしょうか⋯⋯マスター⋯早くして欲しいですよぉ⋯⋯」
「分かりませんけど⋯⋯取り敢えず待ちましょう」
そして、セイアたちは自身の内にあるものを全て吐き出した。はぁ、はぁと息を荒くしながらも、まるで憑き物が取れたかのように顔が柔らかくなっていた。
そうして、ミカ達が先生のほうへ向かっていき、話している先生とエンターに言う。
「⋯⋯私、自首するよ」
「え?」
「全部、私の責任だからさ⋯⋯ごめんなさい」
でも、それはまるで懺悔しているかのように、この体育館に響き渡った。
ギャグオチからこんなシリアスが出てくるのバグだろ
次回は後日談の先生視点・みんな、待たせたな(スネイク風)
先に聞いておこう。パヴァーヌ編第二章の先生たちにとっての攻略難易度を聞いておきたい。
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MAX HAZARD ON!(最小)
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アークの意思のままに
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ハイパー無慈悲ー!エクゼーイド!
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逢魔時王必殺撃!!(最大)