ゲマトリア兼デカグラマトン所属、エンターと申します。以後お見知りおきを   作:エンター・■■■■

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トッキュウオー完成〜致します〜!



Mission40 先生というオトナ

 

 

 

《side先生》

 

 

 

 あの日⋯⋯もとい、第三次特別学力試験戦から、頭が回らない。ずっと、エンターのことについて考えていた。いや、エンターから明かされたことについて。と言ったほうが正しいのかもしれない。

 

 

“エンターが、子供⋯⋯”

 

 

 ゲマトリア所属であり、私たちをかなり苦しめてきた主犯。ピアノロイドが言っていた『メタロイド』。多分彼が作るロボの名称であろうそれを私たちに仕向けてきた犯人。

 

 それが、あろうことか子供だった。私が守るべき子供だった。それなのに私は彼を見た目で判断して、外道集団所属で判断して、そしてキツく当たってしまった。

 

 今更、対応を変えたって何かが変化する訳でもない。

 

 それを理解していた。

 

 理解出来ていた。

 

 だからこそズルズルと引き摺って後悔していた。

 

 

“⋯⋯生徒の味方”

 

 

 自嘲するように、たまは反復するように口ずさむ。それは、彼が言っていたこと。彼が私に問うて、私が答えられなかったもの。

 

 今回のことでは、ミカも、ナギサも。皆が皆、疑い合い信じることができなかった。当然、生徒が敵になることも想像できただろうに私はその考えに思い至ってなかった。

 

 

“『誰の味方でもない』⋯⋯か⋯”

 

 

 それは、あの日ミカが言ったこと。生徒が味方だとしても、敵だとしても、私は指揮して話して⋯⋯見ていることしか出来ない。そう、誰の味方でもなかった。

 

 強いて言えば、付き合ってきた補習授業部の味方とも言えようか。

 

 

“⋯⋯⋯⋯”

 

 

 何度も何度も、反復して頭から離れない。電車の中で私が揺らされながらもその言葉が何度も反復される。分からない、自分が何なのか。

 

 アビドス、ミレニアムに続き、生徒の味方でいたいと思っていた。でも、トリニティは思った以上に黒かった。私の土台か何かが崩れ去った。

 

分からない。

 

分からない。

 

アビドスでは黒服に“協力”していた。

 

ヘルメット団前哨基地ではショベルロイドを。

 

便利屋襲撃ではファンロイドを。

 

銀行強盗の時はバーナーロイドを。

 

そして、彼との邂逅の際にはカッターロイドを。

 

ミレニアムでは鏡を回収するために暗躍していた。

 

パラボラロイドで鏡を探し出した。

 

ドリルロイドと巨大ロボでネルの足止めをした。

 

そして、ネル&大量のロボに対して新たに現れたアリスのそっくりさん、アリス・エスケイプとステルスロイドを。

 

そして、トリニティではセイアと同盟関係にあった。

 

見たことがないけど、コピーロイドでセイアと入れ替わって襲撃を防いだことも。

 

ソウジキロイドで私たちを監視していたことも。

 

そしてピアノロイドと共に私たちごとミカたちも騙していたことも。

 

 

 それを全て仕組んだのが、守るべき子供だったという事実も、私に敵対しているという事実も含めて。いや、ゲマトリアだからこそ敵対しているのかもしれないけど。

 

 今更、関わり方を変えたって何も変わらない。変わる訳がない。時が戻るわけでも、急に性格が変わるわけでもない。何も変わらないのだ。

 

 

“私ってば、弱いなぁ⋯⋯⋯”

 

 

 そう自身を卑下する。ヘイローを持ってて、身体が硬くて、銃撃戦が当たり前で⋯⋯キヴォトスは私には想像もできないようなことが多かった。いや、多すぎた。

 

 だからこそ、銃弾1発で死に至る自身の弱さを嘆いた。そして、生徒の味方という自身のことでも迷ってしまって、落ち着けない自身のことについても。

 

 そんな事を考えながら、私はトリニティの方へ電車で向かっていく。明後日はエデン条約の調停式。ナギサたちの頑張りが報われる日。

 

 横を見れば私の色んな考えでごちゃ混ぜになって、歪んだ顔が電車の窓に映る。座っていても横を見れば自身は映る。酷い顔だ。

 

⋯⋯⋯⋯この顔を生徒に見られたくないなぁ⋯⋯多分見られたら心配されるだろうし。

 

 

“『生徒の味方』って、理想論に過ぎないのかな⋯⋯”

 

 

 思えば、『生徒の味方』というものがあやふやだ。勿論不良だって生徒に入るし、襲撃を起こしたミカやアリウスの人たちだってそう。今回の発端は全て私が守るべきと思っていた『生徒』だった。

 

 『生徒の味方』というものは結局のところ理想論でしかない。救える者がいたら、当然逆もまた然り。救えないものだって少なからず存在するし、もう手遅れな人だって存在する。

 

 

“⋯⋯私って、なんなんだろうね”

 

 

 その言葉は、電車の中に響き渡った。それは今までの自身に対しての言葉か、それともこのキヴォトスに来た先生の役割を与えられた自身に対しての言葉か⋯⋯⋯それは誰にも分からない。

 

ウトウトしてしまう。考えば考えるほど疲れて眠たくなる。

 

何時の間にか私は眠っていた。

 

 

 


 

 

 

 夜、その月夜の背景に照らされる高貴な机と椅子はまるで神々しさを感じさせるもの。そこは、ティーパーティーの一室のような空間。そこに座る女の子⋯⋯百合園セイアは話す。

 

 

「やぁ、また会ったね。先生」

 

 

 ニッコリと笑みを浮かべて私を見つめるセイア。ここは一体何処なのだろう、そんな考えは頭に浮かんだものの口は開きそうになかった。

 

 

「補習授業部の生徒たちは無事合格したようだね。良かった」

 

 

 それは安堵の言葉。実際に突撃してきて補習授業部を見て、そして彼女もまた色んなものを見た。だからこそ先生を真剣な眼差しで見据える。

 

 

「コハルは晴れて正義実現委員会に戻れる筈だ」

 

「ハナコは、自らを曝け出せるような良き相手を、良き友を見つけられたようだね。恐らく今は、少なくとも学校を辞めようとは思っていないだろう」

 

「アズサはきっとこれからも学び続けられる」

 

「そしてある意味では誰よりも最前線で、真摯に努力を積み上げてきたヒフミは、今までの日常に戻れるだろうね」

 

 

 それは、補習授業部のメンバーに対しての言葉。全てちゃんと見ていたよと言わんばかりに言った言葉は何処か嬉しさも混ざっていたようだった。シマエナガも忙しなくパタパタとセイアの頭を回り続けている。

 

 

ミカ(あの馬鹿)は学園の牢獄に一旦入れた。罪についてはナギサと私が決めることだが、この一件が広まることはないだろう。協力者が手を回してくれたようだし。全く、(エンター)というやつは⋯⋯優しいものだね」

 

 

 それは、ミカに対しての言葉。一瞬不穏なルビが見えたような気がしたのは気の所為⋯⋯だといいな。というか、エンターが手を回していたのか⋯⋯

 

 

「そして、クリーナー⋯⋯もといソウジキロイドについては、私の権限で私たちの会議室などの清掃担当になったよ。彼は彼で『別に構いませんよ。Monsieurエンターからも許可頂いてますし』と面倒くさそうに言っていたがね」

 

 

 クリーナー⋯⋯⋯もといソウジキロイド。エンターが生み出したメタロイドの一体。彼、トリニティの清掃担当になったんだ⋯⋯彼の場合、敵を騙すには味方からという感じで私たちを裏切ったフリをして、さらにミカを本当の意味で裏切ったのだろう。

 

エンターの策略は凄まじいな。

 

 

「明後日⋯⋯いや時刻的には明日か。ナギサはエデン条約に調印しに行くだろう」

 

 

 確かに明後日はエデン条約の締結日。ナギサの頑張りが報われる日。トリニティとゲヘナ⋯⋯私が調べた限りでも、長きに渡る因縁に決着がつく条約。その締結日が明後日なのだから。

 

 

「確かに、ここまでは良くできたお話だ。だが、エンドロールには早すぎる」

 

「なにせ君は決意が定まってないし、見守るべき結末は、まだその全貌を現してはいない」

 

「このお話が例えどんな風に転がっていこうと、その道筋は変わらない」

 

 

 そして立ち上がってセイアは私の方に近づく。その顔はまさに決意した顔。この後に起きる何かに対して全力でしようという表れのようでもあった。

 

 

「⋯⋯暗曇」

 

「例えアレを防いだとしても、物語の道筋は変わることはない。ならば、その道筋で抗うのみ」

 

「このトリニティというものは常に暗曇が漂うものだ。それは過去も、今も」

 

「まだ残っているものがある。これはまだ終幕じゃない⋯⋯そのことは君がよく分かっているだろう?」

 

 

 その顔は、その眼差しは私を鋭く見据えた。

 

 

 

 

 


 

 

 

《トリニティ地区の何処か》

 

 

 

 トリニティの地区の何処か。その場所には4つの影があった。アリウススクワッド⋯⋯そう呼ばれる者たちである。そして、帽子を被って右手に銃を、背中に()()()()()()()を持つ少女⋯⋯錠前サオリはマスク越しに口を開く。

 

 

「準備しろ、皆」

 

「あ、ああっ⋯⋯つ、遂に始まるんですか⋯⋯!?でも、苦しいんですね⋯⋯辛いんですよね⋯⋯!?温かいご飯は辛くないですけど⋯⋯⋯」

 

「でも大丈夫、それを感じれるってことは生きてる証拠だから」

 

 

 そして伝播するように口を開いたのはヒヨリとミサキ。苦しい、辛い。そんな言葉が当たり前のように広がるその光景は悪寒がするほどだ。

 

 

『あの子はどうなった?』

 

 

 アツコが手話でミサキに聞く。黒く、特徴的なマスクで顔を覆った彼女は、言葉を発する事が禁じられていた。

 

 すべてマスクで覆われている彼女の表情は分からないが、まるで心配するようなものでもあった。だが、ミサキはバッサリとそれを切る。

 

 

「⋯⋯どうでも良くない?結局は同じだし」

 

「その辺にしておけ。ポイントに移動するぞ」

 

 

 アツコは、アズサを心配している。

 

 その事を理解しながら、サオリは移動を促す事によって会話を打ち切った。現在の彼女がどのような状況にあるのか、それを知るのはサオリのみでもあったが故に、それは眩しすぎた。

 

 サオリが破壊され、ガラスも完全にない窓から外を覗き込む。

 

 分厚く、黒い雲。それはまるで明日起きることを表しているかのようだった。

 

 

「⋯⋯黒い雲か、明日は雨になるな」

 

「あ、雨ですか?嫌ですね、雨はジメジメして、苦しいですし、気持ち悪いですし⋯⋯何より冷たいですし」

 

「だが、私達にはお似合いなのかもしれない。温かいものも結局は冷たくなるように(人はいずれ死んでしまうように)

 

 

 そんな言葉を呟く。虚しい、全ては虚しい。そんなベアトリーチェによって吹き込まれた言葉を信じているが故に、悲しい目を向けるだけだった。

 

 そんな言葉は虚空に飲み込まれたが近くにいたミサキがその言った言葉を確認する。

 

 

「⋯⋯リーダー、今何か言った?」

 

「⋯⋯いや、何でもない」

 

 

 ミサキの声に、サオリは首を振った。思い返すのは、アズサの事。先生という大人と出会い、温かい陽の元へと行ってしまった嘗ての同胞。小さい頃から一緒にいた嘗ての仲間。

 

 私たちも陽をエンターを介して浴びたからだろうか⋯⋯それをまた浴びたい、そんな思いが少しだけ芽生えていた。だが、ベアトリーチェの洗脳とも言える教育は根が深かった。

 

 アリウスに生まれ、アリウスとして生き、アリウスとして死ぬ。ただ、そう在るだけが許された道。虚しい、全ては虚しい。そんな言葉が、アリウスを支配していたから。

 

 だから、サオリは振り向かない。振り向けるわけがない。

 

 踏み出した一歩が、割れたガラス片を踏み砕く。パリン、パリンと。その音はまるで心を折らすかのように。

 

 

「行くぞ⋯⋯前に知らされたポイントだ」

 

「は、はい⋯⋯」

 

 

 その胸のうちは、アズサへの嫉妬。だが、そんなものも全て通る言葉に押しつぶされる。 

 

 

『⋯⋯アズサ。どれだけ足掻こうと、抜け出すことはできない』

 

『覚えているはずだ。思い出すはずだ、真実を』

 

 

 心の中で、そう呟く。あの先生がどれだけ尽力しようと、どれだけ生徒の為に尽くそうと。お前の体は憶えている⋯⋯否、刻み込まれているはずだ。

 

『vanitas vanitatum. et omnia vanitas』

 

 すべては虚しい、どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。

 

 

「その筈⋯⋯なんだ」

 

 

 






ブルーアーカイブNEXTMission!

“まさか、彼が言っていたのはこのことだったの?”

「切り札は、取っておくものですよ?」

「全ては虚しい⋯⋯そう思っていた筈なのに」

「貴様ぁぁぁぁぁ!!!」

「じゃあな」


次章『エデン条約編』第3幕&第4幕

『襲撃と悲しみの鎮魂曲』

ReadyGO!

先に聞いておこう。パヴァーヌ編第二章の先生たちにとっての攻略難易度を聞いておきたい。

  • MAX HAZARD ON!(最小)
  • アークの意思のままに
  • ハイパー無慈悲ー!エクゼーイド!
  • 逢魔時王必殺撃!!(最大)
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