ゲマトリア兼デカグラマトン所属、エンターと申します。以後お見知りおきを   作:エンター・■■■■

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私、ダアト予約した。来るの10月、楽しみ




Mission45 Une gentillesse maladroite,un avenir vide

 

 

 先生が運ばれてからも、混乱は収束することはなかった。ただでさえキヴォトスでもトップに君臨するレベルであろうテロ。それも因縁ある二大学園が結ぶ『エデン条約』での大事件。

 

 怪我人の搬送一つでトリニティとゲヘナの確執で揉め事が起こり、そのせいでまた新たな怪我人が出る始末。ゲヘナとトリニティの因縁というものは簡単にはかき消えないものだ。

 

 トリニティこそティーパーティーの者たちや正義実現委員会が抑えてはいるもののその破壊力は凄まじい。

 

 今、補習授業部はバラバラになりかけているのである。ハナコはその頭脳故に事態の収拾に駆り出され、コハルも正義実現委員会として駆り出されていた。

 

 そして、その夜であった。

 

 その昼の曇り空とは違う、夜の輝きに照らされなからも、一人の平凡な生徒が高架橋へと向かっていた。

 

 自身が敬愛するペロロのバッグを持ち、友達にもらったペロロの腕時計を身に着けている生徒。

 

 補習授業部の部長、阿慈谷ヒフミ。その人であった。

 

 

「アズサちゃん、私です。何処にいるんですか⋯⋯?」

 

 

 ヒフミが受け取ったのは一通のメッセージ。座標と時間、そして動物の名を用いた隠語。そんなメッセージを送ってくる相手が誰なのか。ヒフミは考え付かない訳がない。

 

 だからこそ探している。

 

 補習授業部の仲間の一人⋯⋯もとい白洲アズサを。

 

 

「アズサちゃん、答えてください。アズサちゃん⋯⋯」

 

 

 一心不乱にアズサを探し続けるヒフミ。その顔には心配の表情が映っていて。何時の間にかいなくなってしまった彼女を探す。そして、その暗闇の中に見つけ出した。

 

 

「ヒフミ⋯⋯」

 

 

 それは前までのアズサとは思えないほどに、小さく、か細い声だった。まるでアズサは泣きそうで、辛そうで。そんな顔を見て感じ取ったヒフミは心配しながらも話す。

 

 

「アズサちゃん、今まで何処に⋯⋯学園は今、大騒ぎで⋯⋯」

 

「うん、知ってる」

 

 

 それは、端的であるが肯定の言葉。その声に、ヒフミは困惑の声を漏らす。まるでその事件の当事者のように話す彼女は、ヒフミにとっては何が何だか分からないから。

 

 

「⋯⋯これを、誰かが止めなくちゃいけない」

 

 

 嫌な予感がヒフミの背筋を渡った。次に紡がれようとしている言葉を、必死に考えてしまっている。ヒフミは必死にアズサに目を合わせようとするが、アズサは眼を合わせようとしない。

 

 いや、合わせれない。その自重するような重みのある顔はヒフミの心を深く抉ろうとしていた。

 

 

「それは、どういう⋯⋯どうしてそんな顔で⋯⋯」

 

 

 1秒が、1分にも10分にも感じられる。その長さは着々とヒフミの中にある何かを奪っていっているようだった。そして、時が過ぎていくごとに、瞼を閉じているアズサの顔がどんどん曇っていく。それがヒフミはただ心配で、辛そうで、悲しくて。

 

優しいが故に寄り添おうとヒフミがアズサに近づいた時だった。

 

 

「来ないでっ!!」

 

「⋯⋯っ!!」

 

 

 今まで聞いたことがなかった張り裂けそうな声から送られたのは拒絶。色んな感情がぐちゃぐちゃになって混ざり合ったような、悲しそうな顔をしてヒフミを拒絶していた。

 

 

「⋯⋯ありがとう、ヒフミ。でもここまでだ。ここから先に来ちゃいけない」

 

 

 優しさが籠もっていても、悲しそうな、そんな声がこの静寂の夜の下の橋に響き渡る。明確な拒絶、そして感謝の言葉と拒否の言葉。

 

 

「ここから先は私の居場所。ヒフミみたいな善良な人は、これ以上来ちゃいけないんだ」

 

「あ、アズサちゃん⋯⋯?何の、何のお話ですか⋯⋯?私じゃ、何がダメなんですか⋯⋯?」

 

 

 ヒフミには到底、理解できるものではなかった。いや、理解しようとしていても、脳が拒んでいたのかもしれない。自身に何が足りないのか、どうやったらアズサに寄り添うことが出来るのか。そんな事を考えながらもアズサの反応を待つ。

 

 

「⋯⋯平凡で優しいヒフミには、似合わないお話だよ」

 

「アズサちゃん、私は⋯⋯!」

 

「『人殺し』」

 

 

 アズサから放たれたその言葉に、ヒフミは足を止めてしまう。キヴォトスでは人殺しというものは禁忌と呼ばれる程に大きな罪。そしてアズサは言葉を続ける。

 

 

「⋯⋯人殺しになった私は、もう友達ではいられないだろう?」

 

「あ、アズサちゃん⋯⋯?だって、だってアズサちゃんは、そんな⋯⋯」

 

 

 そんな人じゃない。そうヒフミは言おうとしたが、アズサの顔を見てその言葉を止めてしまった。そんなことはない、そんな訳がないと思っていても、口に出なかった。何故だか出せなかった。

 

 

「私のせいだ。私のせいで皆が傷ついて⋯⋯先生もかなりの怪我を負った」

 

「正義実現委員会、ティーパーティー、シスターフッド、それにゲヘナの人たちも⋯⋯」

 

「エンターのおかげで緩和されたとはいえ、セイアを傷つけようとしたのも、学園がここまで破壊されたのも⋯⋯全部、私のせいだ」

 

 

 自負するように、自身を蔑むように口ずさむアズサ。その声はとても震えていて、悲しそうで、苦しそうで。ヒフミはそんなアズサに寄り添おうとしたが

 

 

「ヒフミ、それにハナコとコハル。このままじゃ皆危険になる」

 

 

 ヒフミ⋯⋯自身と他の補習授業部のメンバーの名を出されて伸ばそうとした手が止まってしまった。

 

 アズサは今のトリニティの現状が危なく、ひとときに生まれた、大切なものまで傷つけられると思っていた。現状、トリニティは怪我人などの救護や暴れる人の鎮圧など、かなり厳しい状態ではあるが、アズサが思うほどではなかった。

 

 だが、それでも傷つけられてしまったということは変わらない。

 

 

「そ、それはアズサちゃんのせいではありません⋯⋯!せ、先生は、すぐに動けるはず、ですし⋯⋯ですから⋯⋯!」

 

 

 泣きそうな目を必死に堪えてヒフミは言葉を紡ぐ。まるで、それはアズサが何処か遠くに行ってしまいそうで、取り返しのつかないことになりそうだと。そう本能が訴えていた。だが、思うように身体が動かない、言葉が出ない。

 

 

「ヒフミ。そんなハッピーエンドは⋯⋯この世界には無いんだ」

 

「今から私はサオリのヘイローを『壊しに』行く。それ以外に、この事態をとめる方法はない」

 

「ま、待ってください、方法⋯⋯方法ならまだきっと⋯⋯!!」

 

 

 ヒフミは必死にアズサを静止する。無意識だろうか⋯⋯ヒフミはバックを握る手を強くしていた。それはアズサをここまで苦しめてしまっていて、寄り添えなかった悲しさか⋯⋯

 

 そして、アズサは懐からガスマスクを取り出して顔に付ける。壊しに行くと言ったアズサの声は、殺意の声。ここから先は本当に取り返しのつかないものであると。そう暗示しているようで。

 

 

「私はこれから、人を殺す」

 

 

 冷たい声、感情の籠もらない単純であり明確な『殺意』今さっきのものとは比べものにならないほどの殺意であり、ヒフミは足が竦んでしまった。

 

 

「それが当たり前の場所で、それが当たり前だと教わり、それが当たり前みたいに動けるように訓練された存在⋯⋯それが、本当の私」

 

「こんな私が、ヒフミと同じ世界になんていられない」

 

「アズサ、ちゃん⋯⋯?」

 

 

 アズサから出された言葉に、ヒフミの思考は停止しかけた。それはまるで、『人殺し』をする為だけに生まれ訓練された存在だと言っているようで。

 

 そして、アズサは一旦ガスマスクを外してヒフミを見る。その顔は今さっきとは違い、綺麗な笑顔だった。だが、その目は笑っていなくて、とても悲しそうだった。

 

 

「⋯⋯ヒフミ。私を友達だと思ってくれてありがとう。『アズサちゃん』って呼んでくれてありがとう」

 

「可愛いぬいぐるみをくれて、ありがとう」

 

「海に連れて行ってくれてありがとう。楽しい思い出をつくってくれてありがとう。可愛いものが、綺麗なものが、知らないものがあるって教えてくれてありがとう」

 

「補習授業部での毎日⋯⋯あんなに素敵な日々を過ごして、沢山の事が学べて良かった」

 

 

 アズサの口から紡がれた言葉は感謝の言葉。一つ一つを噛み締めるように、満遍の笑みで。だが、それはもう二度と会えないと暗示しているかのようで。

 

 

「学ぶことは本当に楽しいことだった⋯⋯これまでの時間は、死んでも忘れない」

 

「少しでも、補習授業部の生徒でいられて良かった」

 

 

 ニコリと微笑むアズサ。それはヒフミにとって何よりも喜ばしいものなのに。今だけはアズサの言葉を受け取りたくなかった。受け取れる筈が無かった。

 

 

「ありがとう、ヒフミ。さようなら」

 

 

 ヒフミにとって、その足音がやけにうるさく聞こえる。さようならと言って、アズサは振り返り歩いていく。走るどころか、踏み出すだけで追いつけるのにヒフミの足は動かない。

 

 何故かも分からない。

 

 だが、それはアズサの覚悟を踏み躙ってしまうようで。

 

 

「ダメです、待って、待ってください⋯⋯」

 

 

 手を伸ばす。

 

 届かない。

 

 必死に手を伸ばす。

 

 その手は空振る。

 

 

「きっと、他に方法が⋯⋯せ、先生が、みんなが⋯⋯」

 

 

 ハッピーエンドなんて存在しない。

 

 大団円なんて存在しない。

 

 その先はバットエンドでしかない。

 

 

「『次はみんなで一緒に海に行こう』って、約束したじゃないですか⋯⋯まだ一緒に、ペロロ様の冒険アニメだって、見れてないじゃないですか⋯⋯」

 

「アズサちゃん⋯⋯ダメです、行かないで⋯⋯待ってくださいアズサちゃん⋯⋯」

 

「アズサちゃん!!」

 

 

 声を出しても届かない。アズサに届いて欲しい。そんなタラレバを胸に抱きながら。

 

 

「⋯⋯⋯ぁ、そ、そんな⋯⋯」

 

 

 だが、現実は非情だった。

 

 

「⋯⋯っぁ⋯」

 

 

 涙を流し、嗚咽を出しながら必死に手を伸ばす。

 

 否定したくなかった、助け合えると信じていた。

 

 だが、行ってしまった。

 

 アズサの言うことが正しければ、彼女は人殺しの宿命を負ってしまうということで。

 

 

「誰か、誰かアズサちゃんを⋯⋯」

 

「アズサちゃんを助けて⋯⋯!」

 

 

 助けを求める声。誰かに届くかもしれないという儚い思いを抱いて、誰かに助けを求める。そして、その声は届いていた。大切なものを守る者に。

 

 

「おねがいっ、します⋯⋯」

 

 

 それは、誰かに縋るように。誰かに助けを求めるように。嗚咽を出しながら、泣き叫びながら、誰かに助けを求める。ヒフミは優しいから。

 

 

「だっ、誰か⋯⋯」

 

「助ける求める声、聞こえましたよ。ヒフミさん」

 

「⋯⋯ぇ?」

 

 

 それは、1年前から知り合った人の声だった。趣味を肯定して関わり合った同志とも呼べる存在だった。頭にポンと手を置かれて困惑するヒフミを他所に、その人は話す。

 

 

「Je suis désolé、ヒフミさん。また今度、モモフレンズショップにでも行きましょう。今回は私の奢りです」

 

 

 気が抜けるようなそんな言葉を口に出すその人は、私がいつも助けを求めていた時に助けていてくれた人だった。そして、腕についていた腕時計が少しばかし光っていたような気がした。

 

 

「全く、面倒くさいことになりましたね⋯⋯」

 

 

 そう言いながらヒフミの頭を撫でるその人は、暖かくて、優しさを持っていた。ペロロ印のハンカチを取り出してヒフミの涙を拭くその人は、友達だった。ヒフミはその人の名を出す。

 

 

「⋯⋯エンター、さんっ⋯」

 

「Bonjourヒフミさん。助けを呼ぶ声、聞こえましたよ」

 

「⋯⋯ひぐっ、アズ、サちゃ⋯⋯んがっ⋯」

 

「いつも『助ける』と言っておきながら、肝心な時に遅れてすいませんねぇ⋯⋯」

 

 

 それはまるで自重するように。だが、暖かみを持っていたエンターに、ヒフミはエンターの胸に飛び込んで抱き着いて泣いた。それをエンターは拒絶ぜず、背中をさすっていた。

 

 それにエンターは溜め息をつきながらもヒフミの背中をさする。

 

 

「緊急転送用マーカー⋯⋯つけておいて正解でしたね」

 

「? エンターさん⋯⋯?」

 

「いえ、こちらの話です。それよりも」

 

 

 そうしてエンターはヒフミの顔に向き合う。もう一度ペロロ印のハンカチでその涙を拭いて向き合う。

 

 

「アズサさんはお任せください。ヒフミさん」

 

「! お願い、します⋯⋯!アズサちゃんをっ⋯⋯!」

 

 

 信頼できる人であることは確かである。

 

 与えられた任務は必ず果たす人がその人であったから。ロールプレイすると言いながらも悪役になりきれない、泣いている人をほっとけない。

 

 そんな人であることはヒフミが今、一番分かっていたから。

 

 

「では、Adieu。ヒフミさん」

 

 

 そうしてエンターは立ち上がり、少しだけ歩いた後に、データのようにその姿が消えてヒフミは辺りを見渡す。目を丸くしてパチパチとさせながらも、必死に立ち上がる。

 

 

「私は、私の出来ることをっ⋯⋯!」

 

 

 そうして、彼女はトリニティの方角へ向かった。

 

 

 

 


 

 

《sideエンター》 

 

 

 

 ヒフミさんにプレゼントしたペロロ印の時計⋯⋯それには、緊急時用マーカーを仕掛けていました。ヒフミさんが助けを求めたときに、近くに自身の任意で転送されるもの。

 

 私がミサイルを防がなかったからこそ招いたこととはいえ、ヒフミさんには申し訳ない気持ちでいっぱいですから。アズサさんには、人殺しの罪を、咎を負って欲しくはありませんから。

 

 そんなことを思いながら暗い道を走る。

 

 

 そうして見えてきたのは銃口を向けるサオリと、倒れそれを睨むアズサであった。

 

 

「虚しい、虚しい、虚しい、虚しい」

 

「くっ!」

 

 そう言いながら、サオリが銃口を向け弾丸を放とうとしていたその時に、私は電子線を伸ばしてアズサをロープのようにグルグル巻きにしてこちらに引き寄せてお姫様抱っこをする。

 

 

「なにっ!?」

 

「!!」

 

 

 急な展開、それにはこの場にいる全員が驚いた。そして私は口を開く。

 

 

「Bonjourサオリさん?よくもまぁ、やってくれましたね」

 

 

 その声から発するのは冷たい声ながらも、怒りを感じられるほどの声。自身でも驚くほどに、冷たい声であった。

 

「何故⋯⋯ここに⋯⋯」

 

「生憎、私の友が助けを求めていましてねぇ⋯⋯駆け付けたまでですよ」

 

 

 それは、私の友⋯⋯ヒフミさんのこと。ヒフミさんが泣いていて、助けるのが遅れてしまった。それだけで十分なものですが何よりもコチラの都合もありますからね。

 

 

「さてさて、貴方たちアリウススクワッドはベアトリーチェから私の殺害命令が来ているようですしねぇ⋯⋯⋯相手してあげましょう」

 

「何を⋯⋯言って⋯⋯」

 

 

 そうして、私はアリウススクワッドに距離を置いて、アズサを降ろし、アリウススクワッドを見る。その目は確実な殺意に包まれていた。

 

 

「私の力の一部、お見せしましょう」

 

 

 そして、私の右目が紅く光りその身体の周りに橙色のデータのようなものが周りに纏わりついた。赤を基調としつつ、エンターのテーマカラーである黒とゴールドが混ざり合ったカラーリング。

 

 人間態の髪型を模したような意匠の上に、メカニカルなマスクが被さっており、特に目の周りが強化され、よりギラついた目。禍々しいが、スーツが細身で、スマートかつ優雅な印象を与える姿。

 

 人間としての、アバターとしての優雅さと、機械的な凶暴さが同居した、不気味で洗練された見た目。

 

名を、『エンター・ユナイト』

 

 

「嘘ッ!?」

 

「何⋯⋯だと」

 

「ひぇぇぇ〜〜〜っ!!」

 

「!?」

 

 

 それに、アリウススクワッドは驚く。そんなものを誰が予想するかと言いそうであるが、事実である。

 

 

「さぁ、始めましょうか。Mademoiselle?」

 

 

 その言葉を皮切りに、闘いが始まった。

 

 

 






アズサぁ⋯⋯君のせいじゃないんだよ
全部ベアトリーチェとかいうゴミが悪いんだよ

だから前回との温度差ぁ!!!

先に聞いておこう。パヴァーヌ編第二章の先生たちにとっての攻略難易度を聞いておきたい。

  • MAX HAZARD ON!(最小)
  • アークの意思のままに
  • ハイパー無慈悲ー!エクゼーイド!
  • 逢魔時王必殺撃!!(最大)
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