ゲマトリア兼デカグラマトン所属、エンターと申します。以後お見知りおきを 作:エンター・■■■■
(((((((((((っ・ω・)っ ブーン
かなりサクサク書けて嬉しいぞ!
「マスター、一つ聞いてもいい?」
「えぇ、何でしょうエスケイプ?」
そこには2つ並んで歩く影があった。方やエンター、方やエスケイプ。エスケイプは少しだけ周りを注意しながらも歩き、エンターは悠々とした表情で歩く。
「エネトロンとかもそうだけど、メタロイドを大量に生み出して何をするつもりなの?」
「⋯⋯⋯簡潔に言えば、今後に必要なメタロイドを幾つか生み出しているということです。何体かは倒される可能性がありますが、有用性があるものも多いですからね」
そう言うとエンターはノートパソコンを取り出してシールを摘む。その目線にはマキが廃ビルにスプレー缶で絵を描いていた。
「ふんふふ〜ん♪」
マキは2人が近づいているのを気付いていないのか、それとも集中しているのか分からないが廃ビルに色を塗るのに夢中になっていた。そして、そのスプレー缶目掛けてシールを投げる。
「例えば、こんな風に」
エスケイプはその目線にいてしまっていたため、それを直ぐ様避けると、そのスプレー缶に貼り付き電子版の様なシルエットが浮かび上がる。
そして、懐から赤色のメタウイルスカードを取り出す。
「メタウイルス、『塗る』インストール」
エンターのシールによって繋がれたスプレー缶がエネトロンによって緑色へと変色し、それが周りのスプレー缶を巻き込んで変形し始める。
スプレーロイド
スプレーロイド
スプレーロイド
作り出されたと同時に飛び上がり一回転しながら着地して、まるでパリピの如く動き回る。
「はーっはっはっ!ひやっ、はっはっ!!」
カラーリングはサイケデリックなまでに派手であり、右腕には巨大なスプーレ缶が搭載されている。そしてE-24の文字が身体に刻まれているメタロイド
名を『スプレーロイド』
そして、何が何だか分かっていないマキは唖然とした表情をしていた。端から見てもポカンとした顔である。
「えっ、スプレー缶が⋯⋯えっ」
まぁ普通は困惑しても無理はないだろう。誰だって自分の持ってるスプレー缶がロボットになるなんて想像するどころか考えもしない異質すぎる光景なのだから。というか誰が考えるのだろうか。
「行きますよ、スプレーロイド」
「あぁ!征くぞ!!!」
「これまたテンションが高いのが出来ましたね⋯⋯」
2人と1体のロボットはその場をそそくさと離れていって、残ったのは状況を飲み込めていないマキだけになった。瞬きを2、3回して手を伸ばそうとするがそれは空を切る。
「私のスプレー缶⋯⋯⋯」
自身の使っているスプレー缶をロボットに変えられて少しだけしょんぼりしたマキだったが、後日家のポストに何か入っていると確認したら『すいませんでした』の文字と5万円が入っていて腰を抜かしたのはここだけの話だ。
因みに、後日というのはアリス暴走の前日である。
ミレニアムの近くのビル⋯⋯⋯⋯それも、監視カメラもドローンもない場所。そこから彼女たちを眺めるものがいた。名をエンター、そして隣には
「Monsieurエンター、そろそろであります!」
何日か前に作ったタンクロイドがそこにはいた。そろそろというタイミングを見計らって行こうとしているのである。アリスの暴走を狙って。
「さて、暴走し始めましたね。Keyでしたか、アレが脅威となるか、仲間となるか⋯⋯⋯」
今回の表向きのプラン、それはアリスの預言者化である。アリス⋯⋯否、名もなき神々の王女の持つ権能『プロトコル・アトラ・ハシース』はかなり使える。Keyが答えるかどうかも定かではないが、形式上の表向きのプランである。
「行きますよ、タンクロイド」
「了解!」
その場所にいた2つの影は、いつの間にか消えていた。
謎の機械を触ってアリスが変になり、それによって起き上がった謎の機械を処理し終えた先生たちはアリスへ向かおうとしていた。だが、次の瞬間にはアリスの武器『光の剣・スーパーノヴァ』による射撃でヴェリタスの部室が粉微塵になった。
「『⋯⋯有機体の生体反応を確認』」
「『失敗を確認しました』」
アリスの目が紫色に輝いて機械のような、まるでゲーム開発部が初めて出会った時のような口調で言うそれは、同じアリスかと疑うほど。
そしてまた、機械的な口調を発したと同時にレールガンの充電が始まった。だが、マキの必死の猛攻でなんとかレールガンの充電を阻止する。
「よしっ!レールガン充電失敗!」
「『妨害要素を確認。妨害要素を排除します』」
だが、次の瞬間アリスはマキに近寄り攻撃を仕掛けようとし、腹に一撃を打ち込む。それによって仰け反りお腹の痛みで倒れかけるマキ。そしてまたアリスはレールガンを拾って充電を始める。
ユズとミドリが追い付き、アリスを見る。何時ものとは全然違うアリスを前に必死に呼びかける。
「アリス、ちゃん!」
「い、一体なに⋯⋯アリスちゃん!ねぇ、アリスちゃん!」
“くっ、アリス⋯⋯⋯!”
絶体絶命、その言葉を形容できるほどに危機的な状況。ヴェリタスの部員は倒れ、ミドリとユズでは対応できるものではない。
だが、そんな時だった。声が聞こえたのは。
「おい、チビ。そこまでだ」
後ろから現れ、アリスに後ろ回し蹴りを頭部に食らわせて気絶させたのは⋯⋯⋯C&Cコールサイン00、美甘ネルその人だった。駆けつけた瞬間にまた謎の機械が襲いかかってくるが、他のC&Cがそれを破壊する。
「作戦終了」
「これで終わり!」
「お疲れ様でした」
「これでいいか?先生」
周りを見渡しても動いている機械はいない。完全なる大勝利であった。
“ネル、皆!ありがとう!”
「んで、何があったんだ?デケェ音がして来てみりゃ部室がボロボロじゃねぇか。それでチビのあの姿は一体⋯⋯」
「それは、私がお答えしましょうか?」
その声が聞こえたと同時にネルはその方向に銃を構え、先生は警戒態勢にはいる。この声は何度も聞いているし何度もその策に嵌められて痛い思いをさせられた声。
「Bonjour、Mademoiselle?」
“エンターッ!!”
そう、エンターであった。隣にはまるで戦車のようなメタロイドを携えて瓦礫の上から此方を眺めていた。まるで高みの見物と言わんばかりのもので。
「おやおや、私はただ用事を済ませに来ただけ⋯⋯危害を食らわせることはありませんよ」
「てめぇ、あん時の偽チビとメタロイドとかいうロボ従えてる親玉か?」
「ウィー、大正解とでも言いましょうか?美甘ネル」
終わったーという雰囲気から一変、一触触発の雰囲気となる。カリンもその概要をパラボラロイドという相手と共に知っていたため、さらに闘気が上がる。ヴェリタス、C&C、ゲーム開発部、その3つの部の人の銃口がエンターに向けられていた。
「まさか、てめぇがチビをこんなのにしやがったのか?」
「ノンノン、それは大間違いというものですよ。美甘ネル。アリスはなるべくして暴走したんですから」
「なるべくして、暴走⋯⋯?」
コタマがそう呟く。ネルは今にも飛び出して攻撃しそうだが、握り拳を作って必死に抑えている。手玉に取られたあの日から先生を通じて概要を聞き、より一層訓練をし始めたあの日からエンターを目の敵にしていた。だからこそ、キレながらも落ち着いている。
「そう、なにせ彼女⋯⋯いえ、アリスは世界を滅ぼす力を持った存在。名を『名もなき神々の王女』」
「名もなき神々の⋯⋯」
「⋯⋯⋯王女」
ゴクリとミドリとユズは息を呑む。緊迫した雰囲気により一層泊がかかった気がした。名もなき神々の王女⋯⋯その言葉を知るものは今ここにはいない。
「そう、そしてその謎の機械はその王女に従えられし機械兵器。名を『Divi:Sion』これで十分でしょうか」
「まて、てめぇの偽チビとは何が違ぇんだ?見た目もそっくりなチビとは縁もねぇとは思えねぇからな」
「成程、エスケイプのことですか。あの子は⋯⋯簡潔に言えばアリスを元に作ったコピー体とでも言いましょうか?」
「コピー体だと?」
「そう、コピー体です。私が補助用として作り出した存在こそがエスケイプであり、『王女』という運命から逃れしもの、だからアリス・ESCAPE。中々にいいネーミングセンスでしょう?」
ネルの顔に青筋がまた走る。この場にいる全員はエスケイプの存在は知っていた。いや、映像で見ていたといったほうが正しい。途中でステルスロイドによるジャックで監視カメラを切られてしまったが。
「つまり、アリスちゃんとあの時のエスケイプ?はアリスちゃんのコピーだったってこと!?」
「人のコピー⋯⋯まるで人体錬成みたいですね」
「というか!スプレー缶返してよ!!」
その叫びともとれる声と同時にマキの方に視線が集まる。その急展開に「えっ」と呟くとモジモジしながらも話始める。
「昨日、廃ビルの壁塗ってたらスプレー缶をロボにしてきたんだよ!!」
「一応お金入れたんですから大丈夫でしょう?」
「そういう問題じゃないよ!というかサラッと家特定してるし!」
「⋯⋯まぁ、それは置いておきましょう」
「あっ、話逸らした!」
空気が少しだけ和らいだ⋯⋯⋯かと思われたがそんなことは全くなかった。というかそれどころか更に悪化した。目の前で新たにメタロイドが作られたという宣告がされたのだから。つまりでいえば、何かしら悪巧みしているという事実があるのだから。
「取り敢えず、目的を果たすとしましょうか」
『アリスちゃん!!』
そう言うとエンターは身体から触手のようにコードを伸ばしてアリスをぐるぐる巻きにするとエンターがアリスを抱える。その一瞬の行動にネルたちは即座に攻撃を始めようとする。だが、それを先生が制止する。
“アリスをどうするつもり?”
「⋯⋯さぁ、どうしましょうかね?何でも答えを先に求めるのは良くないですよ?まぁ、言うなれば我がMajestéの助言に従ったまで⋯⋯⋯とでも言っておきましょうか」
“マジェスティ⋯⋯?”
「確か、『陛下』とかの意味だった気がする⋯⋯」
「ってことはエンターを更に従えている人がいるってこと⋯⋯!?」
そのマジェスティという言葉に冷や汗が垂れる。だが、アリスを取られた今、そんな事を気にしている暇はなかった。先生の制止も我慢できずに直ぐ様ネルが突撃し始めた。
「てめぇ!!チビを返しやがれっ!!」
「タンクロイド」
「了解!」
右腕についている大砲をネルの方に向けると、背後から瓦礫が浮かび上がりタンクロイドの中に吸い込まれていく。そして、弾が発射された。
「はんっ!その程度かっ!」
だが、着弾した瞬間⋯⋯⋯その砲撃は爆発した。そして瓦礫がまるで跳弾の如く飛び回りネルが背後や上から振ってくる瓦礫らしき物を避ける。まるで、その瓦礫を弾にして発射したかのように。
C&Cの面々も即座に応援に入ろうとするが、何処かから現れたバグラーによって足止めされる。それは、ネルも同じだった。目の前にいるのに、バグラーの物量で近づけずにいたのだ。
「では、Adieu。あ、あとこれは餞別です」
「ファイヤァ!!」
その瞬間、タンクロイドがまた砲撃を放つ。その方向は⋯⋯倒れているモモイの方だった。
「お姉ちゃん!」
「モモイっ!!」
即座にヴェリタスとゲーム開発部の人たちが寄りかかろうとするが、間に合わずにその砲撃がモモイに直撃した。だが、モモイの体に傷一つつくことはなかった。逆に、回復し始めたのだ。その傷だらけの身体が。
何が起きているのか理解できない。だが、その一瞬の隙が生まれたせいで、また取り逃した。
だが、これだけは分かる。
エンターにまた、してやられたということは。
「クソっ!!!」
ネルが皆の心の内を明かしたと思えるほどに、強い嘆きが響き渡った。
同時刻、リオはとあるタブレットを見ていた。それは、アリスが暴走した映像とエンターがアリスを回収する映像。エンターに関する情報は、先生のものとこの情報。そしてあの設計図が描かれたUSBメモリのみ。
手掛かりが少なすぎる。
それがリオの感想である。
ゲマトリアという組織に所属していてメタロイドと呼ばれる機械を生み出せる力を持ち、メガゾードと呼ばれる巨大ロボを持っているということ。そして便利屋68、補習授業部に1体ずつメタロイドがいること。
「はぁ⋯⋯⋯」
そして、アリスそっくりの存在、アリス・エスケイプを従えているということ。しかもハッキングして聞いた情報によればエンターがアリスを複製したという恐ろしい情報が出てきたではないか。もしかしたら、もしかする可能性があるのだ。
「それにして、も⋯⋯⋯⋯!?」
そのタブレットの表示を変えた瞬間、声色が変わる。それはまるで焦っているかのような。そんな表情である。
「そんなっ、まさか⋯⋯⋯!?」
AMASもミレニアムに保管してあるものはOKだが、問題はエリドゥにあるもの。その全ての反応が消失したのだ。だが、それだけでは終わらない。エリドゥに繋げれないのだ。
「⋯⋯⋯」
一旦、ハッキングして様子見してみるが依然として変わらない。その最悪ともとれる可能性⋯⋯その可能性が頭に浮かび上がる。
「要塞都市エリドゥが、乗っ取られたっ⋯⋯!」
アリスが連れ去られたこと、要塞都市エリドゥが乗っ取られたこと、そして新たに作り出されたメタロイドたち。その3つのピースが一つの結論へと導かれる。
「まさか、アリスの覚醒⋯⋯?」
もし、目的がそうなのだとしたら、狙いがそれならば、エンターと敵対は必須。それどころか先生たちに協力を仰がなければならない。だが、リオは元々名もなき神々の王女を破壊する予定だったのだ。今更⋯⋯⋯⋯だが、まだ戻れる。
先生に新たな情報を求めるため、そして協力を求めるために⋯⋯リオは先生の元へと向かった。
感想と評価は私の栄養になるので待ってます