そうかもしれません
第二十四話 出会い
…うう、ここはどこだろうか?
目を開けるとそこには知らない天井が広がっていた…視界がぼやけ、まだちゃんと覚醒していないと言える。頭がクラクラするくらいなのでかなりの間眠っていたかもれない…
意識がほぼほぼ覚醒してから私は起き上がる。
「まずは、状況確認かな?」
確か私は何百kmかあった道をすっ飛ばして人気のないところでぶっ倒れた筈……そして目が覚めたら布団を掛けられてどこかの部屋の中…と
「うん、まあとりあえず外に出てみよう」
私はよろけながら立ち上がって戸を開け…ようとしたら戸が開き、目の前には私よりもかなり背の高い女性が立っていた。
「きゃっ!」
倒れたのはその女性の方で、私は手を差し延べる。
「だ、大丈夫…ですか?」
多分この人が私を助けてくれたのかな?だとしたら敬語しっかり使わないと…
「あ、ええ…あ!そちらこそ、大丈夫?貴女、都の近くの山の麓に倒れてて、もう三日間も寝てたのよ?」
あ、見事に着いたんだ。
「うん、大丈夫、ありがとう!…ございます」
「よかった…あ、そうだ、自己紹介するね?
私は『多野 小梅』…雑貨屋さんのお手伝いをしているの。今は雑貨屋はご家族で旅行に行ってて私しかいないんだけどね。」
小梅…という女性は黒髪で髪を後頭部の高い所で結っており、所謂ポニーテールというやつだ。
自己紹介されたので私もしなくては、
「…私は空神 藍空…助けてくれてどうもありがとう」
私はぺこりとお辞儀する。
小梅さんもこちらこそ、というようにお辞儀する。
「あ、そうだ!お腹空いてるでしょ?今持ってくるわね!」
と、言うと私の制しも聞かず、飛び出していった。
数分後、彼女はお粥のようなものを持ってきてくれた。
「ごめんね?今はこれくらいしか用意できないの」
「あ、大丈夫、です。ありがとうございます小梅さん」
「『小梅』でいいわよ、それと敬語なんて使わなくていいのよ?」
ふふっ…と笑いながら彼女はそう言う。
「ふふっ…そういえば、貴女これからどうするつもりなの?」
あ、そういえば特に決めてなかった。
「いや特に決めてないです…じゃない!…決めてないよ!」
「じゃあ暫くの間、家にいる?」
「え?いいんですか!?」
すると、頭を軽く叩かれた。
「敬語は無し、って言ったでしょ?…まあ、大丈夫よ。ご主人も寛容な方だし、奥様も優しい方ではあるし、娘さんもご両親に似てとてもいい方だからどうにかなるわよ」
任せて!と彼女は仕草する。
「それじゃあ、これからよろしくね、そら?」
彼女は手を差し出してきた。
「うん!よろしく、小梅!」
私は差し出された手をしっかりと両手で握った。
「さてと…どうする?体に何の異常が無ければ都の案内するわよ?」
私は腕を回したり飛び跳ねてみた、うん、体調は良好なようだった。
「大丈夫だよ」
「それじゃあ案内するわね?…と、その前に気づいてたんだけど」
「貴女…妖怪、よね?」
見抜かれた?妖力は割と抑えているのに…
「ふふっ…なんでバレた?というような顔してるわね…大丈夫よ、怯えなくて、とって食おうなんて思ってないし…それに、私も妖怪よ?だからわかったのよ、貴女が私と同じだって」
なんと、小梅も妖怪だったなんて…見た目からじゃ全くわからなかった。それこそ私はこの髪の色だとかでかなりわかりやすいけど、彼女が同じであることで私にも安心感が生まれた。
「それで、気をつけてほしいことがあるんだけど…都の中とかでは、『絶対に妖力を開放しないこと』それから『空を飛んだり人外とわかるような行為をしないこと』…要するに、妖怪だってバレちゃ駄目ってことよ」
どうして?と私は質問する。
「実はね?この都を建てた方は妖怪も含めて人外は皆悪い物だと考えててそう言った人達を集めて少しずつ広がっていって、いつしかそれが都になったの…今は特に制限は無くて普通の人も住んでいるんだけど未だにここに住んでいる人の中の殆どは妖怪とかを悪を振りまく物として忌み嫌っているのよ…この雑貨屋さんのご家族は皆そういう偏見が無い方々で私は戸籍上この家の家族として人間として生活してることになっているわ。勿論このことはご家族は他の人には言っていないわ。」
妖怪とバレてはいけない理由がわかったところで私は気になっていたことを聞く。
「それで…もし妖怪が紛れ込んでいたのがバレて見つかったらどうなるの?」
すると、私は触れてはいけなかったということに気が付いた。小梅が少し目を逸らして俯く形になっていたからだ。
「あ、ごめん…話したくないなら、それで…」
すると、彼女はいいよ、大丈夫よ、と言ってくれた。
「…実はね、私には前に仲の良かった友達がいたんだ、その子も妖怪だったの…でもある時色々あってその子が妖怪だってバレちゃったの。その子は連れてかれて未だに戻ってきてない…話によると、都の有力な陰陽師とかが集まって…じわじわと、話も聞かずに殺していったらしいの……あんなにいい子だったのに…」
彼女は涙目になって時折水滴が床に落ちる。
「…」
私は何も言えなくなってしまった、いくら人外が嫌いだと言っても善し悪し関係無しに殺してしまうのはあまりにも残酷なものだ…
「…あ、ごめんね…こんな空気にさせちゃって…」
「こちらこそごめんね?無理に話させちゃって」
いいの…と彼女は言ってくれた。
「…まあ…都の人も妖怪を物以下と偏見してる人は多いから、バレたら駄目よってこと……はい!こんな空気はどけてどけて!都の案内するよ!」
そう言って、ムードを変えようとして外に向かった彼女の背中は何処か悲しげだった。
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「はい、それじゃあね、まず私達のいた雑貨屋さんの向かいにあるのが着物屋さん、そして右隣がお食事処、そして左隣の建物は…今は空き家ね」
そう言って私は見回してみる。人の往来は割とあり、がやがやとしている。しかし、どこの建物にも玄関や入り口にお札が貼ってある…恐らく魔除けの物だろう。
彼女は次々にわかりやすく説明してくれた。
そして最後に残ったのは
「ここが、平城宮ね。滅多にくることは無いけど、ここはあまり来ない方がいいわね…常に強い力を持った陰陽師が天皇を守っているから、察知されたらお終いよ。」
私は彼女の注意をしっかりと覚える。
「さて、あらかた説明は終わったわね…それじゃ、モドリましょう。」
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「さて、もうすぐ夜ね…ご家族は明日辺りには帰ってくるから準備しなきゃね」
そう言って私達は晩ご飯を食べて寝床についた。
そして、昼間聞きそびれた事などを質問された。
「そういえば、そらは何処から来たの?」
これは答えていいものなのか、まあ悪いことではないし、実際諏訪子の国がどれだけの知名度なのか知るいい機会なので正直に話すことにした。
「えっと、わかるかな?ここからかなり離れたところにあるんだけど…洩矢の国って言ってわかるかな?」
すると、小梅は驚いた顔をしていた。
「えっ?そら…あの洩矢の国にいたの?」
そう言われたのでこう答える。
「うん、ちなみに洩矢諏訪子ってわかる?」
彼女は頷く。
「うんうん、あの洩矢諏訪子だよね?祟り神ミジャグジを操り神々しき山々の神々を統一する、あの洩矢諏訪子だよね?」
え、諏訪子…そんな凄いことしてたんだ…
初めて知った事実に驚きながら私は話を続ける。
「うん、で、その諏訪子の家に住んでたの」
すると、彼女は静止する、そしてまた驚いた表情に変わる。
「えっ!?そら、そんな凄い神様と一緒にいたの!?そら一体何者?」
「何者と言われても特に何もない一妖怪だし…諏訪子も普通な子だよ?可愛いし」
彼女はまた静止し、またうんうんと頷く…反応が面白い。
まあそんな感じで小梅に私が倒れるまでの経緯を話した。
小梅は熱心に私の話を聞いていた。
「へぇ…そらも色々あったんだねぇ…」
と、感心していた。
そんな形で初めて会ったこの少女とも、打ち解けて、最初の夜が過ぎて行った。
翌日、雑貨屋のご主人が帰ってきて、小梅が事情を説明すると
「あ、いいよいいよ!大歓迎だよ!な?妙?」
「ええ、大丈夫ですよ、宜しくお願いしますね、そらさん?」
奥さんは妙(たえ)という名前でちなみにご主人は真(しん)という名前だった。
「あ、そらさんですね。よろしく」
後から入ってきたのは私より少し身長が高めな娘さんの歌鳴(かな)さん。
皆優しそうな家族で私をノータイムで受け入れてくれた。
こうして、私の新しい人生はようやく始まるのであった。
今回は深夜ではないですね
え?深夜の基準?私は2時から3時ごろですね?