東方深空録   作:・落ち葉・

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第三十六話 小梅さん、性格が変わる

 

「さて、何から話そうかの……」

 

成り行きで私達は天魔の家へお邪魔することになった。

 

「うむ、ではまず自己紹介から……儂の名前は『天魔』…と言ってもこれは身分みたいな物ではあるがそれは後程説明するとして、ここら一帯を束ねている者じゃ」

 

 

「私は空神藍空、最近旅を始めたの。旅と言ってもあてはないけどね?」

 

 

天魔は「あてのない旅か、近頃の若い者は面白いのう…」と笑っていた。

 

そういえば最近、歳なんて考えて無かったなぁ…

まあ精神年齢は最も幼い自信があるっていうのも事実だから悲しくなる。

 

 

続いて小梅が未だ固まりながら、

 

「多野小梅です。付き添いです。」

 

 

…この旅、一応貴女が主役なんですよ?

 

 

「そうかそうか。まだ若いのによくやるの…してお主ら何故哨戒班を振り切ってまでここまでやってきたんじゃ?」

 

あ、それについて謝るの忘れてた。

 

 

「あー、あれはですね…」

 

小梅が代わりに答えてくれる様だ、でもなんか嫌な予感。

 

「この娘がどうしてもって言うんで、ごめんなさい、入ってきてしまいました。」

 

ん?何言ってるのかな、小梅さん?

 

「え?いやいやいや!一番最初にアクション起こしたのは小梅じゃ…」

 

「はっはっは、若者はそれくらい活気のある方が丁度良い!それに素直なのはいいことじゃよ」

 

更に、はっはっはと笑い続ける天魔を尻目に、

 

 

「良かったわね、そら?」

 

何が良かったのかは分からないが小梅はこちらに向ってにっこりと微笑んできた。

 

というか小梅、前々から思ってはいたんだけど性格変わった?

茂みに火を放とうとしたり私を弄ってきたり、あんなことがあったのだから仕方無いのかな?

 

そんな疑問を持つ私の心もいざ知らず…依然として笑い続ける天魔と微笑み続ける小梅がそこには居るのである。

 

 

閑話休題

 

 

「ふう……ところで空神と多野、お主らこの周辺の説明はいるか?」

 

暫くして落ち着いた頃、天魔が提案してきた。

 

「何か特別な規則でもあるの?」

 

「いや、ただここへ来るのは初めてであろうから、説明してやるべきかと思っただけじゃよ」

 

私と小梅は顔を見合わせてから小梅が、

 

「じゃあ、よろしくお願いします」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「さて、まずはここじゃな」

 

天魔の住処に入る時にも見た、連なって建てられた民家の様な建物だ。

 

「ここは天狗達の居住区域、頂上から麓までの四分の一が頂上を囲むように存在しておる。今は昼間であるから人気は無いがここに住んでいるのは五百余りおるぞ。」

 

 

 

そして、私達はそこから歩いて少し、居住区の外れの方まで来た。何やら群を抜いて高い建物が見えた。

天魔が言うにはあれは見張り台で、これから行くのは哨戒班の休憩場所兼入山管理局らしい。

 

「お主ら、何か不審な者でも見つかったか?」

 

そこで世間話をしていた複数人の天狗達はハッとした様に直立して、そのうちの一人が、

 

「いえ、こちら異常ありません!……そういえば、山頂付近に現れた侵入者というのは一体、現在、射命丸に特徴等聞いておりますが…」

 

「はっはっは!その件については問題無いぞ!」

 

天狗達は首を傾けている。

恐らく、というか間違い無くその侵入者とやらは私達だろう。

 

「全く…誇り高き我ら天狗族だと言うのに、たかが女二人の不審者の片方すら捕まえられずにノコノコと侵入を許した射命丸は天狗の風上にも置けんな…」

 

他の天狗一人が愚痴った。

 

 

その『射命丸』ってのは私達が遭遇したあの娘かな?

そういえば私の懐に…

 

 

「あぁー!先の二人じゃないですかぁ!あの時はよくも!」

 

と、良いタイミングでやってきた声の主は私達が遭遇したその天狗だった。

 

「射命丸!天魔様の前でなんと節操の無い!この山へ侵入を許したのだぞ、少しは反省の色を見せたらどうだ?」

 

 

「は、はい…以後気を付けます…」

 

上司に叱られて萎えているかと思えば、

 

「…って!ですから、彼処にいる二人が侵入…!」

 

「だから、少しは黙れと言っているだろう射命丸!」

 

色々苦労してそうだなぁ……大方今回の騒動は私達のせいだろうけど。

 

「まあよい、とりあえず射命丸以外は戻れ。しっかり見張りを頼むぞ。」

 

「はい!」

 

と言って、射命丸と呼ばれた天狗以外は走り去って行った。

 

 

「うむ。ところで射命丸、お主、何か用があるのではないのか?」

 

射命丸は慌てた様に、

 

「ややっ、そうでした!……そこの青い貴女」

 

ん?私?

私は私を指差してみる。

 

「そうです、貴女です!貴女、私の地図は何処へ?」

 

あ、やっぱり地図か…だいたい予想はついてたからね。

 

 

そうして私は懐から射命丸の地図を取り出す。

 

「全く…貴女達のせいで酷い目に遭ったじゃないですかー!特にそっちの高身長さん!」

 

今度は小梅か、小梅も自らに指を差して首を傾げている。

 

「そうですよ!貴女しかもういないじゃないですか!貴女は私が隠れてる所に火を…開幕すらしてないのに一番最初にあんなこと…」

 

 

そこまで言った所で射命丸の口は止まった。

小梅を見ると自分の方が身長高いのをいいことに射命丸のことを思いっ切り睨んでいた。

 

それを見て怯んでしまったのか、射命丸は急に大人しくなってしまった。

まあ仕方無いよね、一番最初は私ってことになってるし。

 

 

「ふむ。それで終わりかの?」

 

「あ、はい…ありがとうございました。それでは私は持ち場に戻りますので、はい」

 

先程の勢いはどこへやら、萎縮してしまった射命丸は早くこの場を去りたそうでそわそわしている。

 

 

しかし、

 

「あ!射命丸、済まないが空神と多野を案内してやってくれ!」

 

 

世界はそれを許さない。

 

射命丸は一瞬絶望した様な表情を見せたが、すぐににっこりとしたぎこちない笑顔になった。

 

天魔はこちらを見て、

 

 

「済まない、急用を思い出してな。射命丸は私より詳しく説明してやってくれると思うからそこの所は問題無い。」

 

それじゃあの、と天魔は元来た道を引き返して行った。

 

 

 

「じゃあ、お願いしようかしら。私は多野小梅よ」

 

小梅はにっこりとしながら自己紹介した。

 

 

射命丸はそんな小梅に一瞬身体を震わせて、

 

「あ、わ、私は哨戒班下っ端の『射命丸 文』と申します!これから貴女達の案内をさせていただきます!」

 

と、ぎこちない笑顔を返していた。




そういえば、久しぶりに原作キャラ出ました。
そう考えると今まで東方してませんでしたね…
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