東方深空録   作:・落ち葉・

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第三十七話 天狗の山ツアー 其ノ壱

「はーい、着きました着きましたー…こちら居住区になりまーす!」

 

只今、参加人数二人の天狗の山ツアーもとい案内が哨戒班の射命丸によって行われている。

丁度今先程まで居た居住区に戻ってきたところだった。

 

それにしても…

 

「ちょっと、そら。貴女もうくたくたじゃないの」

 

そうなのだ。

前にも述べたがこの体ってのもあるし、第一山歩きには慣れてないってのもある。

 

「仕方ないじゃん…ちゃんと道が舗装されて無いから行けないんだよ。途中なんて岩場で獣道ですら無くなってんじゃん。ホントに道無き道を進んでた感じだったね。」

 

「そんな愚痴をしてないで、まだ始まったばかりよ?ねぇ射命丸さん、まだいくらでも舗装されて無い道はこの先あるのよね?」

 

「そうですね。私達は基本的に移動は飛行で済ませるものでして、こういった居住区や施設以外はあまり舗装の必要が無いのでちゃんとした道は全くと言っていいほど無いんですよ。」

 

射命丸の口から私にとって悪魔の様に追い討ちをかける返答が成される。

 

というかいつの間にか射命丸の小梅への話し方が直ってた。

 

「だ、そうよ?」

 

と小梅が横目でこちらを見る。

 

「うぇ……どうしろって言うのよ…」

 

すると小梅はふと何かに気付いた様で

 

「ん、そういえばそら、貴女飛べるんじゃなかったっけ?」

 

そうだった、でも移動は跳躍に頼りきりだったから多分今やったら更に疲れるのは目に見えてる。

 

「疲れるからきついかなぁ」

 

「あら残念、私飛べないから飛べるなら乗せてって貰おうと思ったんだけど」

 

決めた、絶対に飛ばない。

小梅絶対重いし…

 

「そら、失礼なこと考える余裕あるならさっさと歩くわよ?」

 

うぇ、見透かされた…

というか小梅目が笑ってない、怖い。

 

「で、では次行きましょうかー…!」

 

少し怯んだ射命丸と共に私は次の目的地へ向かった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「さーて、着きました!」

 

そこには一軒の小屋…と滅茶苦茶高い塔が建っていた。

 

「ここは?」

 

「なんだと思います?」

 

と射命丸が聞き返してきた。

 

だいたい予想はついていたけどここは敢えて物置としておこう、大方小梅もこう思ってるだろうが。

…もちろん口にはしないけど

 

そして私が正直に答えようとした時、

 

「うーん…鶏小屋かしら?」

 

予想の斜め上を行く答えが小梅の口から出た。

ねぇ小梅、冗談でも流石に可哀想だよ。

 

といっても小梅は真正直に答えたらしく、

 

「えぇっ!?…そんな、酷いですよ!」

 

という射命丸の言葉に、

 

「え?違ったかしら?」

 

とキョトンとしている。

あ、これは本当に知らなかった反応だ。

 

小梅は元々天然な所もあるからなぁ…

意図しなくても心貫いていくんだから凄いなと思う。

 

というわけで私が模範解答してやったら、

 

「そうです、そらさん当たりです…正解は私の家です。」

 

おおぅ、落ち込んでる落ち込んでる…

 

「え?でも明らかに家畜のそれ…」

「小梅一旦黙ろうか」

 

私は話を一旦逸らそうとさっきから気になってる隣に建ってる塔について聞いてみた。

 

「ね、ねぇ射命丸。さっきから気になってるだけどこの塔は一体何?」

 

と聞いたところで、

 

「では私の家に入りましょう。」

 

スルーされた。

 

「え?射命丸、この塔は?」

 

「ちょっと散らかってるけどあまり気にしないで下さいね?」

 

駄目だ、完全にスルーされる。

きっと何かあるんだろう、そう思って触れないでおこうとしたその時、

 

「よっ!射命丸、久しぶりだな!元気か?」

 

「うげっ」

 

私たちの頭上遥かから声がした。

射命丸は何か悪い物に出くわした様な表情をしている。

 

「うげってなんだよ、うげって」

 

「あー、はいはい。こんな奴無視して早く入りましょう」

 

「えー?連れないなぁ…で、そのお二人さんは?」

 

塔の窓から顔を出しているその少年がこちらに顔を向けてきた。

 

「私達のお客さんです。」

 

「へぇ、『私達』って事は天魔様公認の…あの方が珍しい」

 

「そんな珍しいの?」

 

小梅が聞く。

 

「そうだね、最後に外部の人間を通したのはざっと百年位前だったっけ?」

 

「そうですね、だいたいその位です」

 

と、射命丸も答える。

 

「というか、何で知らないんですか」

 

続けて射命丸が少年に問う。

 

「あー、まぁそりゃずっと『これ』やってるし」

 

あはは、と笑いながら少年は答える。

 

「またそれですか、まあいいです。他人の趣味に口出しはしませんから」

 

「そうしといてくれ。それじゃあそろそろまた作業に戻るわ、またな!」

 

「いえ、もうさようならです」

 

「またまた…最後まで変わらず連れないなぁ」

 

それじゃ、と言って彼は戻っていったが、

 

「あ、そうそう!」

 

と、何か思い出したらしく、

 

「そういえば名前まだだったね。俺は『辰野草太』」

 

そういえばそうだ。

完全に忘れてた。

 

「私は空神藍空よ」

 

「多野小梅よ」

 

「おう、二人ともよろしくな!」

 

他にも色々気になる事はあるが、そう言って彼は戻っていった。

 

「さて、嵐は過ぎ去ったことだし、入りましょうか…」

 

射命丸は疲れたのか嘆く様にそう提案してきた。

 

思いのほか射命丸も大変そうだ…

 

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